メアバシステム試運転から二週間が経った。「いいねぇ。とても素晴らしいデータだ!脳が……脳が震える……っ!!」と興奮していた博士は正直言うとめちゃくちゃ怖かったが、とりあえずは無事に終わった。
「それでも、やっぱりキュビズムの活躍は凄いんだなー」
ネットを見れば、魔法少女達よりも早く人型の魔物を倒すキュビズムを英雄視している書き込みが多数見受けられる。
しかし、それと同じぐらいキュビズムの正体を探ろうとする動きが多かった。
「……やっぱり、みんな気になってるんだろうなー。キュビズムの事」
ボンヤリとタブレット片手にベッドで横になっていると、部屋の前をタタタッと駆け抜けていく音が聞こえた。兄だ。
(最近良く出かけてるなぁ……)
以前まではどちらかと言うとインドアよりだった兄が頻繁に外に出る様になった。健康的で良いのだが、人型の魔物が頻繁に現れるようになっているから、家族としてはそこが心配……。あ、魔法少女候補生の私も心配かけてるか。ならお互い様か。
なんて、益体もない事を考えていると、
プルルルッ……プルルルッ……
ベッド脇に置いていた携帯から着信音が鳴った。
「はい。四方田です」
『F地区2‐38に人型の魔物が現れた!!迎えをよこしているからそれに乗って急行してくれ。……メアバの実戦投入を行う』
「……はい。分かりました」
携帯を切ると、すぐさま出動準備を済ませた。恐怖心もあるが、不謹慎ながらワクワクしているる自分も居た。
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Side:一
マシンモトクロチェイサーに跨り、街の中を走行する。約二ヶ月越しにディメイアが現れたのだ。普通の魔物は頻繁に現れていたが、現れるのは久し振りでちょっとびっくりした。
「っ……と、到着したな」
フルフェイスヘルメット越しに、暴れ回るディメイアを睨みつける。
「……?」
俺の視線を感じ取ったのか、ディメイアがこちらを振り向いた。
・あれは……サナギか?
・ぽいな。色は茶色か……。
・絶対色感:いや、あれは焦げ茶色だ!!
・まじか!?
・サナギの様なディメイアか……
・コクーンディメイアか?
・コクーンは繭だぞ。名付けるならピュパディメイアだろ
「ピュパディメイアか……。いいね、そう呼ぼう」
スレ民の案を採用しつつ、キュビズムドライバーを具現化させる。
『ライジングヒーロー!!』
『SET!!』
「変身!!」
『CUBE UP!!』
『仮面ライダーキュビズム!!ライジングヒーロー!!』
ライジングヒーローフォームに変身し、ピュパディメイアに拳をぶつける。が、
「……っかったぁっ!?」
「……?」
ピュパディメイアの装甲は硬く、逆にダメージを受けた。
「なら、パワータイプで行くか?」
『オニマッチョ!!』
『SET!!』
「変身!!」
『CUBE UP!!』
『仮面ライダーキュビズム!!オニマッチョ!!』
「も一つおまけに……」
『ゴッツアイアン!!』
『SET!!』
『CUBE UP!!』
『ゴッツアイアン!!』
ゴッツアイアンキュービットを使用し、金砕棒『ゴッツアイアン』を生成する。
能力把握の時に使用した時は、重すぎてライジングヒーローでは使えなかった程の重量を誇る金砕棒だが、パワーに優れたオニマッチョなら……
「ふんっ!!」
軽々と振り回すことができる。
「……!?」
「よし、これなら効くな。……おんどりゃあっ!!」
ゴッツアイアンを振り回し、ピュパディメイアを殴打する。少しずつだが装甲が凹み、ダメージも次第に大きくなっている。
「さて、そろそろトドメと行くか。……っ!?」
コンダクションキューブを回そうとした瞬間、飛んできた斬撃を咄嗟にゴッツアイアンで受け止める。
「おいおい……」
斬撃が飛んできた方を見れば、そこには既におなじみになりかけている真っ黒少女、アビスマータ黒い剣を片手に歩いて向かってきていた。
「久し振りね、キュビズム。今度はあのボーッ!!……って燃えるやつは使わせないわ」
・ボーッ!!……って燃えるやつって?
・インフェルノリアクターじゃね?
・呼び方可愛いな……
・幼女っぽくて、いいな……
「残念だけど、使わなくても勝てるよ。この二ヶ月、ただ遊んでいたわけじゃないからね」
スレ民の戯言を無視しつつ、ゴッツアイアンをアビスマータへ向けて放り投げると、すぐさま新しいキュービットを取り出す。
『ブンブンバンブー!!』
『SET!!』
「それは……っ!?」
ゴッツアイアンを一振りで真っ二つにしたアビスマータは、変身中の俺を見て驚いていた。……まあ、突然俺の周りが竹林になっていたら驚くよな……。
「変身!!」
『CUBE UP!!』
『仮面ライダーキュビズム!!ブンブン!バンブー!!』
コンダクションキューブを回すと、周囲に生えていた竹。正確には竹型の強化アーマーブンブンバンブープロテクトなんだが、それらが変形しつつ脛、腿、腕、右肩、胸、背中に装着され、地中からタケノコのように勢いよく飛び出したキューブシンボラーが左肩に装着される。
最後に背中にブンブンバンブーフォーム専用の武器、タケザオシャフトが生成されて変身は完了した。
タケザオシャフトを背中から取り出し、伸縮スイッチを押すと両端が伸びる。
「ブンブン振り回したいや!!……なんちて」
「わけが分からないわ……」
タケザオシャフトを振り回して攻撃をしつつ少しボケると、アビスマータが困惑しつつも剣で攻撃をいなして自身とピュパディメイアを守っている。
「……その姿はテクニック、身体能力ではなく長柄武器を用いた高速戦闘に特化しているのね」
「うわ、もうバレちゃった」
アビスマータの一文字斬りをタケザオシャフトで受け止める。……ちょっと切れてるぞ、これ。
「特徴は分かった。なら、もうその姿では私には勝てないわ」
「本当にそうかなっ?」
勢い良くアビスマータの腹へ向けて蹴りを放つが躱された。本当に強いな、あいつ。
「ちょっとした変わり種で行くぞ!」
『エクスネーク!!』
『SET!!』
『CUBE UP!!』
『エクスネーク!!』
エクスネークキュービットをセットし、コンダクションキューブを回し、左肩のキューブシンボラーをブンブンバンブーのものからエクスネークのものへと変更する。
「とりゃっ!」
タケザオシャフトを振り回すと、両端が伸びて鞭のようにしなりながらアビスマータとピュパディメイアへ向かう。
「っ!?」
「……!!」
アビスマータはなんとかといった様に剣で防御し、ピュパディメイアは薙ぎ払われて倒れた。
「なかなかやるじゃない。今日のところは引くわ」
「はっ?……っておい、ちょっ……!!」
アビスマータが取り出した毒々しい緑色の球を地面に叩きつけると煙が立ち昇り、アビスマータとピュパディメイアの姿を覆い隠した。
そして、煙が晴れた頃には既に姿は無かった。
「……ったく、逃げられたか」
少し愚痴を零しながら、マシンモトクロチェイサーに跨がろうとすると、
「っ!?」
ババババッ!!
狙撃され、咄嗟に後飛び退り躱した。
「……ったく、次はなん……だ……」
狙撃してきたのは誰だと思い、そちらを向けば、
「仮面ライダーキュビズム。魔法違法使用行為の現行犯で取り押さえます」
不思議な形をした銃を持った、満の姿があった。