Side:満
メアバ初出動を終え、私は支部へと戻ってきていた。
「ふぅーん……。あの四角いのはキュービットっていうんだ」
「はい」
目の前でメアババスターの再調整をしている博士の呟きに頷く。
「キュビズムにはまだまだ未解明の力があるだろうね。うーん……ワクワクするねぇ」
ドライバーを机に置き、メアババスターを元のジェラルミンケースに仕舞うと、博士は私の方に向き直る。
「早く捕らえてよ?彼は犯罪者であると同時に、サンプルになり得る存在なんだから」
「思いっきり人体実験する気満々なんですね、博士……」
呆れた視線を向けるが、「んふふ〜」と笑って誤魔化される。
「それじゃあ、失礼します」
「うん。んじゃあ、よろしくねん」
ジェラルミンケースを手に取り、研究室を後にする。
しかし、博士には言わなかったけど、あのキュビズム……
(何故か、知っているような気がするのは、なんでだろう?)
そんな疑問を胸のうちに秘めたまま、長い廊下を歩いていくのだった。
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Side:一
「あっ……」
「……?」
満が仮面ライダーに変身したのを目撃した翌日。アイスを買おうと外に出ていると、同じクラスの貴田さんに遭遇した。
「貴田さん、こんにちは……」
「……何処かであったかしら?」
「いや、同じクラスの四方田ですけど……」
挨拶すると、警戒して一歩……いや、三歩下がる高田さんにツッコむと、「あ……」と気まずそうな表情に変わる。
「記憶になかったんだ……」
「その……ごめんなさい」
視線を逸らして気不味そうにする貴田さんに「別にいいよ」と返す。
「それじゃ、貴田さん。俺はこれで」
「あ、はい」
軽く会釈して貴田さんと別れる。それにしても……
(記憶に残ってないとか、俺、クラスじゃ影薄いのかな……)
その事実に少し……いや、かなりショックを受けた。
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Side:海歌
(少し、……いやかなり失礼だったわよね)
少し前に別れた四方田君の事を思い返し、自罰的な考えになってしまう。
流石にクラスメイトの名前を覚えていないのはいけなかったか。
「およ、海歌ちゃん。どうしたの?元気無いけど」
「あ、桃」
考え事をしながら歩いていたら、いつの間にか待ち合わせ場所に到着していたらしく、桃が心配そうに顔をのぞいてきた。
「なにかあったの?おっぱい揉む?」
「別に大丈夫だよ。……おっぱいは揉まないから押し付けてこないで」
「えー……」
ぎゅむぎゅむと体を押し付けてくる桃を身体から引き離そうと両手で押し出す。
「海歌ちゃん。私は心配だよ?海歌ちゃんって自分ひとりで抱え込みがちだし」
「桃……。いや、本当に大事ではないから。ちょっと失敗したなぁ……って思ってるだけだから」
「そうなの?」
まだ疑ってる桃に「そうそう」と言って頷いて肯定する。
「ほら、早く行こう?」
「あっ、ちょっと待ってよー」
歩き出した私を、桃は慌てて追いかけてくる。桃と話していると少しだけ心が明るくなった。……恥ずかしいから、桃には言わないけど。