Side:一
「あっ……」
「あ……」
学校帰り、コンビニで買い食いをしようと寄ったら、また貴田さんに遭遇した。……なんかデジャヴを感じる。
「えーっと……」
「……四方田です」
「……そうだったわね」
同じクラスであることは覚えていたようだけど、名前はまた忘れられていたみたいで、チョットショックだった。
「……それで、四方田君は何してるの?」
「何って……買い食い」
右手で持っていたビニール袋から肉まんを取り出して見せる。
「……そう」
「……あ、興味無いよね」
気も漫ろな返事を貰い、肉まんをしまうと「それじゃあ」と別れた。
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「あっ……」
「……どうも」
また別の日、今度は図書館で貴田さんと遭遇した。……やっぱりデジャヴを感じる。
「……その本」
「あ、はい。ロストメモリー*1です」
「……好きなの、神山飛羽真」
「ええと、まあ……はい」
貴田さんの質問に抱えていた本を見せつつ答えると、「そう……」とだけ答えられた。
「……それじゃあ、俺はこれで」
「うん。さようなら」
貴田さんと別れの挨拶をすると、図書館を後にした。
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「もしかして、ストーカー……?」
「いや、違います……」
またもや、貴田さんと遭遇した。今度は週末のゲームセンターでだった。
「何で最近になって遭遇しまくるんでしょうかね……」
「偶然にしても出来過ぎだと疑いたくなるぐらいなんだけど……」
ゲームセンターの中を移動しつつ会話をする。
暫く歩いていると、突然貴田さんが歩みを止めた。視線の先を見てみると、ふうとくん*2のぬいぐるみが景品のクレーンゲームを見ていた。
「……ふうとくん、好きなんですか?」
「えっと……。うん」
コクリと恥ずかしそうに頷く貴田さんの反応を見て、クレーンゲームの筐体に近づく。
「どうしたの……」
「ん?いや、ちょっとクレーンゲームをやりたくなって」
そう返して、筐体に百円玉を二枚投入して、レバーを動かして、制限時間内に狙いのポイントまで動かす。
「よーし……。ここ!!」
ボタンを落としてアームを降ろす。
「あっ……」
ふうとくんぬいぐるみの真横に落ちたアームを見て、隣で見守っていた貴田さんが思わず声を出す。
「大丈夫。このまま見てて」
「えっ……?」
首を傾げる貴田さん。だが、アームが上へと持ち上がり、ふうとくんぬいぐるみのタグに引っ掛かったアームの爪を見て、「あっ!?」と驚きの声を上げる。
「よし、一発ゲット!!」
ガッツポーズをしつつ、落ちてきたふうとくんぬいぐるみを取り出し、貴田さんへとそれを渡す。
「はい」
「……いいの?」
「うん。百円しかかかってないから、遠慮なくどうぞ」
「……ありがと」
嬉しそうに、恥ずかしそうに、はにかむ貴田さんの顔を見て、思わずドキリとした。やっぱり美少女だな。貴田さんって。
ジャンル:ラブコメではないから、雑でも許して……。