Side:一
ここ最近はディメイアは出現せず、魔物だけが現れるようになっていて仮面ライダーとして戦うことがなかった。……まあ、それはいいことなんだけど。
そんな感じで暇な時間が多い中、俺は貴田さんと並んで、貴田さんの家に向かっていた。
貴田さんのおばあさんに「遊びにおいで」と誘われたので、向かっている途中で貴田さんに出会ったのだ。貴田さん曰く「送迎役」だとか。
最近良く話すようになったとはいえ、同じクラスの女子が相手だ。盛り上がれるような話題がパッと出てこない。
(……ど、どうしよう)
と、その時。俺のポケットの中でライジングヒーローキュービットが騒ぎ出した。目立たない程度にだが。
「ごめん、貴田さん!ちょっと用事思い出したから!」
「えっ、ちょっ!?」
貴田さんの返事も聞かずに、走り出す。そして、貴田さんの死角に入ったところで変身し、モトクロチェイサーを生成して現場へと向かった。
……背後で貴田さんの声が聞こえた気がするが、なんて言ったのかは聞き取れなかった。
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現場に着くと、見覚えのあるディメイアとメアバに変身した満が戦っていた。
「くっ!」
装甲から火花を散らして、殴り飛ばされる満。俺は、満へ追撃しようとするピュパディメイアへと飛び蹴りを放つ。
「……っ!キュビズム」
「大丈夫か」
「問題……ない……っ!!」
ふらりと立ち上がる満は手に持つ銃をバックルに装着し直し、新しいギジキュービットを取り出した。
『パキパキチョコ』
『SET』
『ドゥーン……!ドゥーン……!』
『BANG!』
『SYSTEM ON』
『パキパキチョコ』
トリガーを引くと、満の持つ変な銃の銃口からチョコレートが滴り、剣の形になって固まった。
「はあっ!!」
「……!!」
チョコレートの剣はピュパディメイアの甲殻に容易く傷をつける。
「これなら行けるか?」そう思った時、見慣れた斬撃が飛んできた。
「アビスマータ……!!」
「折角の改良型ディメイアなの。羽化前に殺させはしないわ。」
ピュパディメイアの隣に立ったアビスマータは何処からともなく獣の顔を模したベルトを取り出した。
「いい機会ね。ついでにこれ、試させて貰うわ」
「それは……!?」
『バッドバット……』
『SET……』
腰にベルトを付け、右手に持ったギジキュービットからおどろおどろしい音声を鳴らし、ベルトのバックルの、獣の口に当たる場所にセットした。
禍々しさを感じる待機音の中、ゆったりとした動きでアビスマータはバックルの右横についているレバーを勢い良く下へ押し込むと、バックルの獣がギジキュービットを食べる様に口を閉じた。
『Got Boost Link……』
つんざく悲鳴のような音と共に、レバーと連動して下がった上顎がゆっくりと上へと戻る。と、獣の口から黒塗りの影のようなコウモリが大量に溢れ出た。
『BITE UP……』
『バッドバット……』
溢れ出たコウモリ達がアビスマータの体を包むと、少しずつ歪み形作り、黒い影が液体のように弾け飛ぶと、黒い装甲に青いラインの走った仮面ライダーが立っていた。
『A Fool……』
「字はアフール。仮面ライダーアフール。……と、言うらしいわ」
やっぱりダークライダーは必要でしょ!!という事で仮面ライダーアフール登場です。名前の由来は愚者を意味するフール……ではなく、インドネシアのジャワ島で目撃されるコウモリのような姿と言われるUMA、ア・フールです。
メアバの持つギジキュービットがチョコレートのみなのは、ギジメモリ『バット』は高性能AIが搭載されていて、地球の記憶は入ってない為特殊な力が使えず、複数捕獲していたチョコドンゴチゾウがメアバシステムのギジキュービットの原型になります。