魔法少女世界の特撮ヒーロー   作:瓶詰め蜂蜜

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EPISODE9 セイレーンの祈りⅢ

Side:海歌

 

 私が到着した時、仮面ライダー……四方田君は既にボロボロだった。

 

「弱い……弱いぞ!!アビスマータの奴を追い詰めたという力は見せないのか!!」

 

 四方田君と相対していた蝙蝠の様な人型の魔物が、槍を片手に叫ぶ。

 

「五月蝿いよ……。これでもこっちは本気なんだよ」

 

 フラつきながらも立ち上がる四方田君。と、その時。

 

『WORKING!!WORKING!!WORKING!!……』

 

 という音声が鳴り響き始めた。それと同時に「げ、不味い……」という四方田君の声も聞こえた。

 

「よm……仮面ライダー!!」

「っ!?たk、ノブレスセイレーン!?」

 

 私の呼び声に、驚いた声を上げながら振り向く四方田君。私はそれを無視して問い掛ける。

 

「その音声は何!!何が危ないの!?」

「いや、熱暴走してるだけだから!!取り外せば問題……」

 

 『熱暴走』。その単語を聞いた瞬間。私は全力の魔法を四方田君目掛けて放った。

 

「セイレーンウィンド!!」

「うおわぁっ!?」

 

 四方田君は腕でガードしたが、私は別に攻撃が目的ではなかった。

 

「あ、あれ……。音が止んだ?」

「仮面ライダー!!」

 

 不思議そうにキョロキョロしている四方田君に叫ぶ。

 

「は、はいっ!?」

「私が冷却するから、全力を出しても構わない!!」

「なっ!?」

 

 私の言葉に絶句する四方田君。そしてすぐに言い返してきた。

 

「そ、そんな事したら君の立場が……」

「構わないわ!!私が魔法少女を目指したのは……みんなを守る為、みんなを救う為!!みんなに……笑顔で居て欲しいから!!」

「っ!?」

「だから……。貴方を支えて上げる。遠慮無くやっちゃって、仮面ライダー!!」

 

 私がそう叫ぶと、四方田君は小さく「……分かった」と呟いて、改めて人型の魔物へと向かい合った。

 

「……む?話は終わったか?」

「ああ。……というか、律儀に待つんだな」

「我は力のかぎり戦いたいだけだ。戦えるのなら、少しの時間待つぐらい構わん」

「そうか。なら……お望み通り、全力で行くぞ!!」

『HEAT UP!』

ボウッ!!

 

 四方田君はそう叫んで、腰のベルトを操作すると勢い良く突進した。

 

_____________________________

 

Side:一

 

『WOR「セイレーンウィンド!!」

『WOR「セイレーンウィンド!!」

『WOR「セイレーンウィンド!!」

 

 何度、熱暴走状態に突入しかけたか。その度に貴田さんが魔法を使って冷却してくれた。そのお蔭で、俺はシバルバと互角に戦えていた。

 

:凄えぇ……凄えぇよ魔法少女!!

:クールちゃん、ありがとう!!

:いけるで、イッチ!!このままなら行ける!!

武神:うん。クールちゃんが外付けの冷却装置になってくれているから安全にインフェルノリアクターを全力で使えているね。

歌って踊れる大図書館:けど、それは何時までも持たないわよ……。現にほら

「えっ?」

 

 大図書館ネキのレスに思わず貴田さんの方を見てしまう。と、そこには

 

「せ、セイレーン……ういんどぉ……!」

 

 汗を滝のように垂れ流し、ふらふらと足もおぼつかない貴田さんの姿だった。

 

「貴田さん!?」

「余所見をするな、仮面ライダー!!」

「っくぅっ!!」

 

 とっさに駆け寄ろうとした所を、シバルバに妨害される。

 

:一体あれは……!?

歌って踊れる大図書館:魔法少女に限らず、魔法と言ったらよくセットになっている物が有るでしょう?

:へ?

魔剣な師匠:……あ、MPか!!

Dの意思を受け継ぐ蜘蛛:あー!!確かに!!

歌って踊れる大図書館:あんなに魔法を連発してたんじゃ、MPは早く枯渇するでしょうよ。……寧ろ、良く持ったほうよ。

 

「ノブレスセイレーン!!もういい!!もう休んで!!」

「そんなの……ハァ、お断りよ……!!」

 

 俺の懇願を青色吐息混じりの拒絶で返す貴田さん。「何で……っ!!」と聞き返すと、

 

「最初に……言った、じゃない……っ!!こほっ、……私が、貴方を支えるって……!!」

 

 真っ青な顔から滝のように流れ落ちる汗。肩で息をしているような程に疲労感を隠しきれていないのに、笑顔を浮かべてそう言い放つ貴田さん。その笑顔も苦しいのを我慢しているのがバレバレな程に歪んでいた。けれど、その気迫に俺は気圧されていた。

 

:……カッケェ。

:本当に、凄いよクールちゃん。

NTRからのザマァ好きな狐:これは……彼女の事を見くびり過ぎていたようだ。反省するよ。

 

 スレのみんなも称賛する中、シバルバが俺に槍を向けながら口を開いた。

 

「ふむ。あの娘は中々に強き心じゃないか。……なのに、お前は足踏みしている。無様だな」

「……」

 

 俺は言い返せなかった。貴田さんが文字通り死力を尽くしているのに、俺はそれに甘えていた。貴田さんが暴走を抑えてくれるからという甘えを持ったままで、暴走する事を恐れながら戦っていた。

 

「……ああ、本当に無様だよ。俺は」

「む」

「だから……、今ここで限界を超えてやる!!やってやろうじゃねぇかぁっ!!」

 

 そう叫んだ瞬間。リアクトブースターの熱で溶けた筈の、貴田さんの魔法で生み出された氷の粒が、俺の目の前に集まってきた。

 

「これは……」

:まさか、新しいキュービット!?

『クリアセイレーン!!』

 

 目の前で新しく誕生したキュービット、クリアセイレーン。ゆっくり手を差し出すと、掌の上にポトリと落ちて来た。

 

武神:おめでとうイッチ。ランクアップだ。

 

「……いえ、貴田さんのお蔭ですよ。これは」

 

 クリアセイレーンキュービットを握りしめながら、武神ネキに返事をする。そして、改めてシバルバを見据え、手にしたクリアセイレーンキュービットのボタンを押した。

 

『クリアセイレーン!!』

『SET!!』

『WOWWOW!!』『WOWWOW!!』

『WOWWOW!!』『WOWWOW!!』

 

「力を借りるよ、ノブレスセイレーン。……変身!!」

 

『CUBE UP!!』『BURST!!』

『仮面ライダーキュビズム!!クリアセイレーン!!』『ブレイジング!!』

『IGNITION……&COOLING!!』

「……もう大丈夫。心配しないで」

「……うん」

 

 新しい変身を見届けた貴田さんは、力なくへたり込み、そのまま気絶した。

 ゆっくりとシバルバを睨むと、

 

「……ははっ!!まさか新しい力に目覚めるとは!!どうか見せてくれ、その力を!!」

 

 シバルバは心底嬉しそうにそう言うのだった。




 暴走克服フォーム登場!!
 インフェルノリアクターは文字通り反射炉、原子炉モチーフの為、暴走克服には冷却水=水、氷系のアイテムが相応しいと思ってたので、ようやく出せて良かったです!!




 因みに、みんなが好きな暴走フォームは何かな?蜂蜜は暴走フォームの金字塔、プトティラです。
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