魔法少女世界の特撮ヒーロー   作:瓶詰め蜂蜜

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EPISODE10 蠢く更なるドデカい悪意Ⅰ

Side:Another

 

 街中にあるとある空きテナント。山積みにされた椅子と机に囲まれて、アビスマータは自身の傷を癒していた。と、そこへ

 

「全く、無様なものだね。ねぇ、アビスマータ?」

「……サマル」

 

 シーツの掛けられた積み重なった椅子の影から姿を現した蛇のようなディメイア、サマルの小馬鹿にした物言いにアビスマータは顔を顰めた。

 

「何のようですか」

「冷たいなぁ。僕らは同志だろう?心配して来たんだよ」

「白々しい……っ」

 

 ギリッと強く歯噛みし、サマルを睨むアビスマータだが、サマルは堪えた様子も無く、「おお、怖い怖い」と飄々とした態度を崩さずに居た。と、

 

「む、サマルも居たのか」

「おや、シバルバ。……あれ、まさか君も負けたのかい!?」

「うむ?いや、ある程度満足したからな。引き分けという事でさっさと引き上げてきた」

 

 表面を少し焦げ付かせたシバルバが姿を現した事に驚くサマル。だが、シバルバの惚けたような答えに、深くため息を吐いた。

 

「まったく……。シバルバ、君は僕らの中で最も強いんだから。死なれては困るよ」

「うむ。我らの悲願の事は忘れておらぬ。安心しろ」

 

 サマルの言葉に堂々とした佇まいで答えるシバルバ。アビスマータはその様子をただ傍から見ていたら、「それより」と唐突にサマルがアビスマータへと話頭を転じる。

 

「君も、これからどう失態を取り返してくれるのか。楽しみにさせてもらうよ?」

「……五月蝿いです」

 

 怪我の治療もそこそこに、そう言い残してアビスマータはその場から去った。

 

「……そろそろ、潮時なのかもねぇ」

「うむ。以前と比べるまでもないな」

 

 アビスマータの去った扉を見ながら、サマルとシバルバはそう会話をしていた。

 

 

_____________________________

 

 

 

Side:アビスマータ

 

(ふざけるなふざけるなふざけるな……っ!!)

 

 サマルの蔑むような視線とシバルバの見下した態度に、煮えたくるような怒りを抱えながら、私は暗い路地を歩いていた。

 

(それに、あのキュビズムと名乗る人間がっ……!!)

 

 苛立ちのまま歯噛みする。怒りのせいで全身の血が沸騰しそうだ。

 どうにも上手くいかない。全て、あの仮面ライダーが現れてからケチが付き始めたのだ。

 けれど、その程度の障害で止まる訳には行かない。私から全てを奪った人間達への復讐を果たすまでは……。

 

チリッ……!

 

 突然何かが頭に過る。何か大切なものを見落としているかのような感覚。だが……

 

(……気のせいか)

 

 すぐに意識は逸れ、私の中には仮面ライダーキュビズムへの憎悪を吐き出すのだった。




 これでディメイアの幹部が出てきました。
因みに、
コウモリモチーフのディメイア→シバルバ
ヘビモチーフのディメイア→サマル
です。それぞれ名前の由来は、
シバルバ→マヤ神話に登場する地下世界シバルバーから
サマル→エデンの園に棲んでいたアダムとイヴを唆した蛇という説もある死を司る天使サマエルから
です!!
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