「えっ……なんでっ!?」
『スゥイート……チョコ』
『スゥイート……チョコ』
『スゥイート……チョコ』
動揺を隠せず、満は何度もギジキュービットをセットし直してトリガーを引くが、メアバへと変身しない。いや、出来ない。
「よく分からないけど、好都合……。まずは貴女から!!」
「っ!?危ない!!」
アフールの飛ばした斬撃を、満に当たる前に割り込み防ぐ。
「なぜ庇う!?そいつもお前の敵でしょ、キュビズム!!」
「違うよ。敵とか関係ない。助けたいから助けたんだ。ヒーローの本質は、お節介だからね」
『サンダーボルテックス!!』
『SET!!』
『CUBE CHARGE!!』
アフールへとそう返し、キューブレードへサンダーボルテックスキュービットを装填する。
「倒させてもらうよ、アフール」
「舐めるなあっ!!」
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Side:満
私は、お兄ちゃんが好きだ。勿論、異性としてではなく家族としてだが。お兄ちゃんに恋人ができた時は、お母さん以上にいびってやると決めている。
そんな私だが、実は元々、お兄ちゃんとはあまり仲が良いとは言えなかった。喧嘩はしないが、私が無関心と言うか、そんな冷めた関係だった。
けど、小学四年生の頃に、私がいじめの標的になったのだ。理由は
兎にも角にも、いじめで塞ぎ込んでいた私を励まし癒し、いじめっ子達に釘を差し、イジメの事実を証拠付きで周知させたりして、私へのいじめを終わらせたのだ。お兄ちゃんは。
それ以来、私は兄の事が好きで好きでたまらなくなり、ブラコンをこじらせるにまで至った。
だから、魔力持ちだと分かった時は嬉しかった。仮面ライダーとして戦う力があると知った時は嬉しかった。大好きなお兄ちゃんを今度は私が守れるからだ。なのに……
「なんで、変身できないの……?」
私のこぼした疑問に、手に持つメアババスターはただただ音が鳴るだけで、私には応えてくれなかった。
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Side:一
背後で呆然としている満を庇いながら、アフールの攻撃を捌く中、俺はチラリとアフールの背後を盗み見た。
(なんであのディメイアはアフールの援護をせずに突っ立ってるだけなんだ?)
何故か、嫌な予感がビンビンする。
「よそ見を……するなあぁっ!!」
「うおっ!?」
勢い良く逆袈裟に切り上げられた剣撃にたたらを踏む。これはやばいと感じ、咄嗟にたこ焼き型の高熱弾を撃って距離を作る。
「くっ……!」
吹き飛ばされながらも、剣を盾にダメージを防ぐアフール。そして、再び距離を詰めようとしたのか、駆け出そうとした瞬間に、ふらりと膝をついた。
「えっ!?」
「な、なんで……?」
変身が解け、アフールがアビスマータへと戻る。バイザーのような仮面で顔の半分が隠されているが、戸惑っているのがわかる。その時、
「あーあー。やーっぱり、枯渇しちゃったかぁ」
新しいディメイアが姿を現した。そのディメイアは全身に蛇が巻き付いているかのような意匠が施されていて、顔も蛇そのものだった。
「サマル……!!」
「アビスマータちゃん、お疲れ〜。助けに来てあげたよ」
そう言って、蛇のディメイア……サマルは蹲るアビスマータの肩に手を置いた。そして、
「……とでも言うと思った?そんな訳無いよねぇっ!!」
「きゃっ……!?」
アビスマータの服の襟を、猫をつまみ上げるように持ち上げると、腰に巻いていたアフールドライバーを強奪して、俺へ向けて投げ飛ばした。
「ちょっ!?……おい、何してんだ!仲間じゃないのか!?」
慌てて受け止めつつ、サマルへ向けて怒鳴ると、サマルは不思議そうな様子で、
「は?仲間?このお人形ちゃんが?冗談も程々にしてよ、仮面ライダー君」
そう言って、ケラケラと笑う。
「私が、お人形ですって……?」
「ちょっ、無茶しない……」
「黙りなさい!!」
フラフラと立ち上がろうとするアビスマータを止めようとしたが、突き放される。
「サマル!!早く答えなさい!!」
「……そうだねぇ」
怒るアビスマータを見つめつつ、サマルはクスクスと愉快そうに笑う。
「僕は優しいからさ、真実を
「真実……?」
訝しげなアビスマータを無視してサマルがフィンガースナップを鳴らした瞬間、アビスマータが剣を落とし、両手で頭を抱えて苦しみ出した。
「ぐぅあ゛ア゛あ゛あ゛ア゛ア゛あ゛ア゛ア゛ッ!!!!!」
響き渡るアビスマータの絶叫。背後の満もその様に思わず一歩引いていた。
喉が引き裂けるのではないかと思うほどの絶叫をあげたアビスマータは、そのままふらりと背中から倒れる。慌てて受け止めると、バイザーの様な仮面がポロリと外れ落ちた。
仮面が取れたアビスマータは気絶しているのか、ピクリとも身動ぎしない。まるで、眠り姫の様に。
「お前らは一体……」
サマルを睨んでいると、誰かの足音が聞こえてきた。
「やあやあ、大変のようだね」