魔法少女世界の特撮ヒーロー   作:瓶詰め蜂蜜

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※ちょっと汚い描写があります。食事中の方は気を付けて。


EPISODE11 少女、苦しみの果てにⅠ

Side:???

 

 ……長い、夢を見ていた。

 

『華恋……逃げろぉ……っ!!』

『貴女だけは、生きて……っ!!』

 

 誰かが私に何かを言った。肉の焼ける臭いがする。

 

『あんれぇ?この娘、魔法少女じゃない?』

『丁度いい!!実験がてら、使い勝手のいい駒にしよう!!』

 

 誰かが私に何かを言った。見下ろしてくる視線に純然な悪意を感じた。

 

『いやあっ!!助けてっ!!』

『なんでこんな事するの!?お姉ちゃんは魔法少女じゃないの!?』

『嫌だ……死にたくない……っ!!』

『ウワァァァァァァァァァァ!!』

 

 誰かが私に何かを言った。少しずつ、何かが削れていく気がした。

 

『この……裏切り者!!』

『くたばれ……外道め……っ!!』

『悪魔に魂を売ったか……このクズッ!!』

『ヤメローシニタクナーイ』

 

 誰かが私に何かを言った。少しずつ、何かが壊れていく音がした。

 

『私、■■■■■■■■■■■■■■!』

 

 ■■が■■に何かを言った。……もう、何も思い出せなかった。

 

『僕は優しいからさ、真実を思い出させてあげるよ』

 

 ……長い悪夢を見ていた。とても長い悪夢を……。

 

 

_____________________________

 

 何かの物音がきっかけとなり、意識が浮上する。目を開けて横に視線をずらすと、私を見てカタカタと揺れる四角い何かが居た。

 

「……君は?」

 

 掠れた声が私の口から聞こえた。寝起きだからだろうか。うまく思考がまとまんない。

 

「ばっ……、バットゥ……」

 

 四角い何かは小さく鳴いた。一体何なのだろうか、あの生き物は。

 布団の中でぼんやりと見つめていると、近寄ってくる足跡が聞こえ、襖が開く。

 部屋に入ってきたのは、何処か、見覚えのある女の子だった。

 

「貴女は……」

「先輩、目が覚めたんですね」

 

 優しげに目を細める彼女。確か名前は……

 

「たかだ、うみか……」

「……覚えててくれたんですね、華恋先輩」

 

 優しげな微笑みを浮かべたまま、ゆっくりと布団に横たわる私の元へと近付いてきた。

 

「先輩。貴女の身に何が起こったか覚えていますか?」

「何を……、っ!?」

 

 海歌ちゃんの言葉がトリガーとなり記憶を取り戻す。

 

 

 

 目の前で家ごとお父さんとお母さんが焼き殺された事。

 

 

 愉快そうに私に手を伸ばす蛇のような怪物の事。

 

 

 何故か人類を憎いとしか思えなかった事。

 

 

 

そして、人々を手にかけてしまった事。

 

「うっ、お゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛っ!!」

「ちょっ、先輩!?」

 

 思わず胃からせり上がってきた中身を吐き出してしまう。海歌ちゃんは驚きながらも、慌ただしく私の吐瀉物を片付けようと動き出した。

 いまだに込み上がる嘔吐感を堪えながら、その後ろ姿を眺めた。

 

(ああ、もう私は綺麗じゃないんだなぁ……)

 

 そんな事をぼんやりと考えながら。

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