魔法少女世界の特撮ヒーロー   作:瓶詰め蜂蜜

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EPISODE11 少女、苦しみの果てにⅡ

Side:華恋

 

 四方田君に言われた『死ぬ事は逃げ』という言葉。それがずっと頭の中をグルグルと巡っている。

 

「ば、ばっとぅ?」

「あ、君は……」

 

 モソモソと布団の中から這い出てきた四角い子。……確か記憶ではキュービットって呼ばれていた筈だ。

 

「キュビ、クルクル?」

「……心配してくれてるの?」

「きゅっび!」

 

 ぴょんぴょんと跳ねるキュービット。少し微笑ましくて、思わず口角が上がってしまう。

 

「ふふっ……。ありがとう」

「キュビッ!!」

 

 と、ふと外を見た時。この家の前を二人乗りの改造バイクが駆け抜けていった。

 あのバイクは見覚えがあった。キュビズムが乗っていたバイクだ。なら、今の二人組は……

 

「四方田君と……海歌ちゃん?」

 

 慌ただしい雰囲気の二人。一体何があったのか。

 

「もしかして、魔物かな」

 

 思わず予想が口からこぼれる。けど、一度人類を裏切ってしまった私が関わる資格なんて無い。何より、今の私には魔法少女として戦うための魔力すら無いのだから。

 そう考え、視線を逸らす。と、

 

「きゅっび!!きゅっびっ!!」

「キュビキュビー!!」

「キュビッビッビッビッ!!」

 

 と、キュービットが三体、ピョンピョンと縁側に続く障子の前で跳ねている。

 

「もしかして、出たいの?」

「「「キュッビッ!!」」」

 

 思わず聞くと、声をそろえて返事をされた。けど、どうしよう。もう、あの二人は結構離れてるし……。

 

「何か悩んでるのかい?」

「うひゃあっ!?」

 

 考え込んでいると、すぐ近くから人の声がした。驚いて思わず変な声が漏れた。

 

「おやおや、驚かせてしまったねぇ」

「えっと、貴女は……」

 

 振り向くと、お婆さんがお盆にお茶を淹れた湯呑み……湯気が出て無いから冷茶だろうか……をのせて持っていた。

 

「私かい?私は貴田はな、いつも孫が世話になってるねぇ」

「貴田……孫……。ああ、海歌さんのお祖母さん!!」

 

 その正体に行き着き、スッキリする。それにしても、油断してたとは言え気配を感じ取れなかったなんて。……私も腕が落ちたのかな。

 

「ところでさっきから悩んでるようだけど、どうかしたのかい?」

 

 「はいお茶」と、湯呑みを手渡してきながら花さんは質問してきた。

 

「まあ、ちょっと……」

「あんたは若いんだから、悩んだら取り敢えず突っ走ってみたらいいのさ。それが若者の特権さね」

 

 言い淀む私にそう言う花さん。けど、

 

「もし失敗してしまったら……」

「失敗なんて、後から取り返せるもんだよ」

「けど……!!取り戻せないものもあるんですよ!!」

 

 思わず言い返してしまう。やってしまったと、言ってから青褪めるが、花さんは顔色変えずに一口お茶を飲み唇を湿らすと口を開く。

 

「なら、一生懸命取り返せばいいさ。失った分……いや、それ以上をね」

「失った分以上を……」

 

 はなさんの言葉を繰り返してしまう。それが、今の私に必要なこと……?

 

「どうやら、何か見えてきたようだね」

「……はい。ありがとうございました。花さん」

「そんな真面目くさって言わなくてもいいよ!ただの老いぼれの戯言さね」

 

 照れ隠しか、そう言って手を振るう花さん。そして、

 

「……ほら、行きたいんだろう?早く行ってきな!」

「はい!!」

 

 障子の前で動かなくなっていたキュービット三体を引っ掴むと、私は玄関へと向かうのだった。

 

 

_____________________________

 

Side:花

 

「まったく、()()()にも困ったもんだよ」

 

 手に持つ湯呑みの茶を飲みつつ、思わず愚痴をこぼす。

 

「……けど、お陰でマイナスな方向に向かっていた意識を引き戻せたけどねぇ」

『手助けに行かなくてもいいのか、花』

「何を言ってるんだね。私はもうただの老いぼれさね」

 

 影の中から聞こえてきた古くからの相棒にそう答えつつ、家を飛び出していった元アビスマータちゃんこと華恋ちゃんを見届けるのだった。




 伏線貼り貼り〜♪
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