華恋が現場に着いた時、キュビズムはこれまでの者とは何処か違うディメイアに押されていた。
「ぐはっ!?」
「弱いなあ、ライダー!!」
全身を装甲で覆った、ダンゴムシのようなディメイアは喋り、キュビズムを追い詰めていた。
火花を散らし転がるキュビズム。
「キュビズム!!」
華恋はキュビズムの名を呼び、瓦礫の散乱した広場を駆け抜ける。
「はっ!?何でここに……!?」
キュビズムは驚き戸惑う。それを無視して、キュビズムへと手に持っていた三体のキュービットを差し出す。
「ほら、忘れ物です」
「いや……。わざわざ届けに?」
戸惑うキュビズムに、華恋は笑顔で頷く。
「私にはもう力も何も有りません。けど、罪を償いたいから。せめて、貴方の手伝いをさせて下さい」
そう微笑む華恋は既に死を望んでいた少女では無かった。
しかし、
「なんだぁっ?裏切り者の虫けらに、何が出来るんだよお?」
嘲笑とともに侮辱するディメイアに、華恋は凛とした雰囲気を纏い対峙する。
「何が出来るか、私にも分かりません。……けれど、足掻く事ぐらいは出来ます。元魔法少女の意地、舐めないで下さい!!」
「……っ!?うざってぇえっ!!」
華恋の啖呵に苛立ったディメイアは口から火球を放つ。
「危ないっ!!」
ダメージのせいでまだ立ち上がれないキュビズムには、這いつくばったまま手を伸ばすことしか出来なかった。
ドゴオオオオオオンッ!!
「くそっ……!くそぉっ!」
「そ、そんな……」
「クハハハハッ!!ザマァ見やがれってんだ、雑魚がっ!!」
目の前で爆炎に包まれて、見えなくなってしまった華恋の姿に、悔しさのまま拳を地面に叩きつけるキュビズム。
避難誘導を終わらせて駆けつけた海歌はショックを受けて、口を手で覆う。
そして、火球を放ったディメイアは、生意気な事を言った人間が焼け死んだと喜び、その無様な最期を嘲笑う。
と、その時だった。
「っ!?これは……」
「風が吹いてる……?」
「あん?何だぁ?」
いまだ煙が立ち込めて影も形も見えない華恋へと、風が吹いている事に気が付く三者。そして、
「はあっ!?」
「なっ!?てめぇ!?」
「嘘ッ!?」
煙の中から立方体状のオーラに包まれた華恋が呆然と自身の周りを見ていた。
「これは……」
「キュッキュッ!!」
「キュビキュビッ!!」
「キュキュビキュビッ!!」
「貴方達は……」
驚く華恋の手元で、キュービットが三体跳ねていた。それを見て華恋は理解した。自分を守ってくれたのはこの子達だと。
華恋は振り向きキュビズムを見る。驚きからか、動きを止めたままのキュビズムの姿に思わずクスリと笑ってしまった。
掌の上のキュービット達へと向き直り、華恋は尋ねる。
「……私に力を貸してくれる?」
「「「キュビキュビ!!」」」
華恋の質問に元気に跳ねて答えるキュービット達。
「……ありがとう」
微笑み感謝を述べると、華恋は一体のキュービットを掴みボタンを押した。
『クルセイドバット!!』
華恋がクルセイドバットキュービットを起動させると同時に、華恋の腰に光が集まり、新しいドライバーが誕生した。
『フルールドライバー!!』
「これは……っ!?」
新しく生まれたフルールドライバーは、かつて華恋が使用していたアフールドライバーと形状が酷似していた。
しかし、黒がメインであったアフールドライバーとは違い、フルールドライバーは白に金で装飾され、神聖な雰囲気さえ漂わせている。
「なんなんだそれはぁっ!!」
慌てふためきながら怒鳴るディメイアを無視し、華恋は首だけ振り返り、キュビズムへ微笑む。
「ありがとう。華恋にアビスマータを乗り越えるための力をくれて」
視線をディメイアへと戻すと、一歩前へと踏み出す。
「待ってて、すぐに終わらせるから」
『クルセイドバット!!』
『SET!!』
再びクルセイドバットキュービットを起動させ、フルールドライバーへとセットする。
ファンファーレの様な待機音と共に、華恋は左手を時計回りに回し、顔の右側で止めて変身ポーズを決める。
「変身!!」
掛け声と共に右手でレバーを下ろすと、ベルト前面の顔がセットしたキュービットを食べる様に開閉する。
『Got Boost Link!!』
『ライダー!!』
『クルセイドバット!!』
『A Fleur!!』
変身音と共に、ドライバーから発生した白い光に身体が包まれて、光が弾けるとともに、華恋は聖騎士のような装甲の戦士、仮面ライダーフルール クルセイドバットへと変身した。
「仮面ライダーフルール。……参ります!」
右手に持つランス。フルールランサーを構えて、フルールはディメイアへ向けて突撃する。
二号ライダーこと、仮面ライダーフルールの誕生です!
……メアバ?あれはカブトで言うザビー枠みたいな物です。二号ライダーではありません。