美鈴さんの攻撃から大図書館ネキに庇われ、俺は自分の事と、大図書館ネキとの関係を所々誤魔化しながら説明した。
「つまり、マキア様は世界の隔たりを超えて不特定多数と意思疎通ができ、その人間はそこで知り合った友人である。と……」
「そういうことよ」
どこから出したのか分からないテーブルセットの椅子に座り、優雅に紅茶を飲む大図書館ネキ。
「まあ、マキア様ならあり得そうな話ですが……。その人間はどうやって幻想郷に来たのですか?」
胡乱げな表情の美鈴さんに尋ねられ、俺は説明しようとパラレルコネクトキュービットを取り出そうとする。が、
「……あれっ!?パラレルコネクトが居ない!?」
慌てて自分の服のあちこちを触りながら探すが、何処にも居ない。
「……もしかして行方不明かしら」
「はい……」
大図書館ネキに力なく答えると、大図書館ネキは頭を押さえた。
「それじゃあ、貴方。元の世界に帰れないわよ」
「ですよねぇっ!!」
泣きそうになりながら叫ぶ。そこで美鈴さんが冷や汗を垂らしながら聞いてきた。
「なんだかよく分からないですけど……何かまずいんですか?」
「正直に言うと、最悪に近いわ」
大図書館ネキは顔を引き締め説明を始めた。
「元々、彼がこちらに来た原因となったパラレルコネクトキュービットと呼ばれる物は『世界同士を分かつ壁に干渉する力』が有るの。それで、下手にこの力がこの幻想郷で暴走してしまうと、最悪の場合、幻想郷自体が滅びるわ」
「まずいじゃないですか!?」
「そう、まずいのよ」
真面目な様子で頷く大図書館ネキを見て、申し訳無さで縮こまる。
「とにかく、早い所見つけ出さないといけないわ。パラレルコネクトキュービットを」
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Side:Another
「きゅ〜……」
静謐な森の中、ピョンピョンと跳ね回っては寂しそうに鳴く存在があった。
「きゅび、パラ〜」
そう。一と逸れたパラレルコネクトキュービットだ。パラレルコネクトキュービットも、一やマキア達転生者も知るよしはないが、現在パラレルコネクトキュービットが居るのは妖怪の山、その中腹である。
ガサガサ……
「きゅびっ!?」
近くの茂みからのっそりと現れた名も無き山犬の妖。妖はパラレルコネクトキュービットから漏れ出る力に引き寄せられてきたのだ。
「グルル……?」
「きゅ、キュビ……?」
その妖はとても飢えていた。故に……
「グルルァッ!!」
「キュッ……!!」
パラレルコネクトキュービットを丸呑みにした。そして、
『パラレルコネクト……!!』
その姿は歪み、歪な人型の山犬が赤と白の浄衣を纏ったかの様な姿へと転じた。
「グルルル……。ハラ、ヘッタ……」
本来話せなかったはずの言語をカタコトながらも発し、山犬だった妖はのそのそと森の中を進んで行った。