「こ、こほんっ。見苦しいところを見せたわね。お客人」
「ええ。物凄く見苦しかったわね」
「誰のせいよ誰の!!」
茶々を入れる大図書館ネキに対して、フシャーッと猫のように威嚇するレミリアさん。
「それよりも……。パラレルコネクトキュービットが異変を起こしているって、どういうことですか」
話を本筋に戻そうと声をかけると、ハッとした様子のレミリアさんが慌てて姿勢を正す。
「え、ええ。正確にはそのパラレルコネクトとやらの力を得た妖怪が誕生してしまうの。……今はまだ、力がそこまで無いわ。だからこそ、早く見つけ出さなくてはいけないの」
「でも、レミリアさんなら見つけられるんじゃ?」
俺がそう尋ねると、静かに横に首を振り、レミリアさんは口を開く。
「残念だけれど、あの妖怪の運命は複雑に絡み合ってしまっていて、私でも読み解けないほどなのよ。あのスキマ妖怪でも見つけられないのではない程に存在が特殊過ぎるの」
「……それは少し厄介ね」
静かに聞いていた大図書館ネキが重々しく口を開く。
「それでレミリア。貴女はイッチに何を求めるのかしら?」
「お客人の運命はあの妖怪と、正確にはパラレルコネクトとやらと密接に繋がっているわ。もし倒すとなると、お客人の力が鍵になる。だから今は少しでも倒す可能性を上げるために……」
ここで一度間を置き、俺をちらりと流し目で見る。そして、
「この幻想郷を巡り、己を鍛えて欲しいのよ」
と言い出すのだった。
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Side:海歌
窓越しにも関わらず、ミンミンとけたたましい大合唱が聞こえてくる中。冷房がよく効いた家の一室で、私は先輩と顔を見合わせて話をしていた。
「夏休みに入ってから四方田君と連絡が取れないのだけれど……」
「キュービット達もそわそわとしてて、落ち着きも有りませんし……。一体どうしたんでしょうか?」
既に夏休みが始まってから四日が経ち、私も先輩も四方田君の安否を心配していた。
「桃が言っていたのだけれど、満ちゃん……四方田君の妹さんがお兄ちゃんが消えたって言っていたらしいんです」
「けど、一君は仮面ライダーの力を持っているわ。そう簡単に危機的状況になるかしら……?」
そう話し合い、同時にため息を吐く。本当に、何処に行ったのやら。
「けれど、魔物の発生はあるのにディメイア達は出てこないわね」
「むしろ、こんな物が届いていたわよ」
不思議そうに首を傾げる先輩の前に、いつの間にか家のポストに届いていたハガキを見せる。
「えっと……。『暑中お見舞い申し上げます
炎暑ことのほかきびしい中、仮面ライダーのお二方はお変わりなくお過ごしでいらっしゃいますか。
キュビズムの方は所在が不明な為、把握出来ているフルール、貴女の方へとこうして届けさせてもらいました。
おかげさまで私ども一同、相変わらず元気に暮らしておりますのでご安心ください。
この暑さはまだしばらく続きそうです。くれぐれもご自愛くださいませ
ディメイア幹部 魔人シバルバより
P.S.アジトの裏の畑で採れた西瓜です。是非、お食べ下さい』……ってこれ」
「何考えているのかしらね、ディメイアって……」
「……私、食べないからね」
痛そうに眉間を揉み込む私に、先輩は心底忌々しそうに手紙を投げてそう吐き捨てた。まあ、それも致し方ない、か。
「ほんと、何処に行ったのかしらねぇ……」