【二巻発売】海外のエロ動画サイトで俺だけ無修正ダンジョン配信 ~無双してスパチャNo.1になったら世界中の女性パフォーマーから罵詈雑言がDMで届きました~   作:フーツラ

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第1話 アダルトチャットでダンジョン配信

『みんなおはよう! A級冒険者のハヤトです! 今日はこれから新宿ダンジョン第十階層のフロアボス、ハイオークに挑むよ!!』

 

 画面の中では若いアイドル風の冒険者がカメラに向かって握りこぶしを見せている。その背後には似たような風貌の男達が十五人程いた。集団でフロアボスに挑むのだろう。

 

 一通り視聴者のコメントを拾った後、A級冒険者達はボス部屋の扉を開いた。ドローンカメラが先行して入り、中の様子を映し出す。

 

 ボス部屋の地面に紫色の魔法陣が浮かび上がり、その中央に豚面をした二足歩行のモンスターが出現した。ハイオークだ。

 

 ハイオークは右手に持つハンマーを高く掲げ、勇ましい声で冒険者達を威嚇する。

 

『よし! 配置につけ!!』

『はい!!』

 

 A級冒険者の指示に従い、タワーシールドを持った五人が前衛のポジションに入りハイオークに対して距離を詰めた。

 

『ブイィィィ……!!』

 

 ハイオークのハンマーが振るわれる。が、壁のように隙間なく並ぶタワーシールドに難なく弾き返された。

 

『今だ!』

 

 タンクの後ろに控えていた中衛の五人がタワーシールドの隙間から短槍を突き出した。穂先がハイオークに刺さった途端、画面全体にモザイクがかかる。なんとなく、ハイオークが地面に転んでいるのが分かる。

 

『とどめだ!』

 

 後衛の五人が魔法を放ったようだった。火球? がハイオークの頭? 付近に集まる。多分、窒息死を狙っているのだろう。

 

『この状態で五分待機!!』

 

 前衛がタワーシールドでハイオークの体を固定し、ただ時間が経つのを待つ。やがて、ハイオークは息絶えたようで体は煙になった。そして、モザイクが解除される。

 

 残されていたのはイチゴぐらいの大きさの魔石が一つ。売れば五万ぐらいにはなるだろうか。十六人で分けると考えるとしょぼい稼ぎだ。

 

『今回も完勝でした! 今日はこのボス戦をあと十五回やります! 是非最後まで見てください!!』

 

「見るわけねーだろ!! 何が面白いんだよ!!」

 

 思わずPCの画面に向かって叫んでしまった。

 

 久しぶりにダンジョン配信を観てみたが、以前にも増して酷い状況だった。一滴でも血が出た瞬間、画面全体にモザイクが自動でかかり、なんのリアリティもないシーンが続く。

 

 加えて冒険者達は確立された攻略法を安全マージンをとってただ繰り返すだけ。つまらない。本当につまらない。

 

 しかし、視聴者の多くはそれで「良し」としている。推しのイケメンや美女がワイワイと仲間達と一緒にモンスターと戦っているだけで満足なのだ。

 

「これが一番人気の冒険者かぁ……。くそくらえだ。こんな流れ、俺がぶち壊してやる……」

 

 俺はノートPCの蓋を閉じると、予め準備していた冒険者用のバックパックに仕舞った。

 

 戸締りをしたあと、ブレーカーを落とす。いつ帰ってくるか分からないからだ。

 

「よし……」

 

 バックパックを背負い、俺は家を出た。ダンジョン配信にロマンを取り戻すために

 

 

#

 

 

<うん? なんでパンツ一丁のオッサンが一人で配信してるの?>

<これから女が登場して絡みが始まるんでしょ>

<このオッサン、ムキムキだな>

<諸越大徳って実名?>

<てかさ、手に剣持ってない? ここアダルトチャットだよね?>

<女に剣はやばいっしょ! 別の玩具にしてあげてwww>

 

 ベルトで左腕に取りつけたスマホを確認すると、早くもチャット欄が騒ぎ始めていた。それはそうだろう。俺はいわゆるアダルトチャットサイトでダンジョン配信を始めたのだから。

 

 サイト名は『ExtremeChat』。無修正で完全NGナシという過激なサイトポリシーがウケて世界中の男性の間で大流行しているアングラエロサイトだ。

 

 パフォーマーの多くは若い女性で、あの手この手を使って視聴者からスパチャを稼ごうとする。

 

「50ptくれたらブラジャー外します!」とか「100ptくれたら全裸になります!」という感じだ。ちなみに1ptはだいたい百円ぐらい。

 

「視聴者のみんな、俺の声は聞こえているか?」

 

 俺は宙に浮いたドローンカメラに向かって話し掛ける。

 

<ういうい。聞こえてるぜ。女まだ?>

<どんな女の子を呼ぶの?>

<若い子頼みます!>

<えげつない絡みまってるぜ!>

<てか、ここ洞窟? 洞窟でやるの?>

 

 視聴者は当然、女の登場を待っている。

 

「済まない。実は女は登場しないんだ」

 

<えっ!? ゲイ向けなの?>

<ゲイタグ付いてないじゃん!>

<通りでオッサン、ムキムキだと思ったんだよ>

<ウホっ! いい胸筋してんなぁ~>

<I wanna have fun with you>

<ゲイ湧くのはえ~>

 

「済まない。ゲイ向けでもないんだ。俺は今から、ダンジョン配信を行う」

 

<!?!?!?>

<えっ! どゆこと!? エロサイトでダンジョン配信!?>

<フリーダム過ぎるだろwww>

<無修正ダンジョン配信www>

<てか、ダンジョン配信なら服脱ぐなよww>

 

 もっともな指摘だな。しかし俺にも事情がある。

 

「実は俺はユニークスキルを持っているんだ。スキル名は【ネイキッド】。薄着になればなるほど、身体能力が飛躍的に向上するんだ」

 

<普通のサイトでダンジョン配信出来ない奴じゃんwww>

<ハズレスキル過ぎるwww>

<だからってエロサイトでダンジョン配信するなよ!!>

<日本の恥過ぎるwww>

 

 大分盛り上がって来たな。そろそろ俺の真意を話すか。

 

「俺は現在のダンジョン配信を取り巻く環境に不満を抱いているんだ。かつてのダンジョン配信は自由だった。モンスターの死も人間の死もありのまま、視聴者に届けられていた。しかし今は違う。大手サイトはコンプライアンスが厳しくなり、血生臭いシーンには自動でモザイクが入るようになってしまった」

 

<あぁ、確かにモンスターを斬った瞬間、モザイクだよね>

<AI判定厳しいからな。血が出たらモザイク>

<人間も顔以外で肌色の割合が多いとモザイクだし>

 

「また、全てのダンジョンは攻略法が確立され、安全マージンをとった集団攻略が一般的となった。そこに、冒険の入り込む余地はない。つまり、ダンジョン配信にロマンがなくなったのだ!」

 

<ブリーフ姿で真面目に語るなよwww>

<ブリーフ語り、じわるwww>

<まぁ、オッサンの言いたいことは分かるよ>

 

「だから俺は完全NGナシのExtremeChatでダンジョン配信をすることにした!! そしてその舞台は二十年ぶりに新たに発生したソマリアダンジョンだ!!」

 

<えっ……!? ここソマリアダンジョンなの?>

<ゲリラが占拠して入れない筈じゃあ>

<世界初じゃない? ソマリアダンジョンの映像って>

<どうやって入れてもらったの>

 

「百人ほど、こいつで【仲良く】したら、ダンジョンに入れてもらえた」

 

 そういって右手に持った長剣を掲げる。

 

<……仲良く……。意味深……>

<え、それって〇したってこと……!?>

<諸越、やべー奴じゃん!>

<おまわりさん! こいつです!!>

 

「殺したとは言っていないぞ。仲良くしただけだ。それに、みんなもソマリアダンジョンの完全無修正配信を見たいだろ……!?」

 

<うっ……>

<正直みたい>

<無修正ダンジョン配信スタート……!!>

 

 よし。本当の冒険を見せてやる。

 

 俺は長剣を肩に担ぎ、ダンジョンを進み始めた。

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