【二巻発売】海外のエロ動画サイトで俺だけ無修正ダンジョン配信 ~無双してスパチャNo.1になったら世界中の女性パフォーマーから罵詈雑言がDMで届きました~   作:フーツラ

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第17話 戦いの代償と昔話

「はぁはぁ……」

 

 肩が勝手に上下して、周囲の酸素を肺にかき集める。視界に映る最後の髑髏ムカデが煙になって消えた。そして、こぶし大の魔石が残る。

 

 ダンジョンの通路には同じようなサイズの魔石が何百と転がっていた。全部、髑髏ムカデのものだ。

 

 ブリーフを拾ってバックパックのところまで歩き、水筒を取り出した。身体が強烈に水を欲しているのだ。

 

 水筒の半分を飲み干し、呼吸を整えたところでやっとブリーフを穿いた。ドローンカメラが中空から俺を見下ろしている。

 

<お疲れなのだ!>

<すごい魔石の数なのだ!>

<これでボス戦じゃないってやばいのだ!>

 

「ふぅ……。まさか、いきなりこんな物量でくるとはな。油断したわけではないが、想像以上にソマリアダンジョンはやばい。これを見てくれ」

 

 地面に寝かせていた長剣を持ち、ドローンカメラの前にかざす。刃はボロボロになり、剣身に大きな亀裂が入っている。

 

「この長剣はあるダンジョンでのドロップ品で今まで刃こぼれすらしたことがなかった。切れ味はいまいちだが、とにかく丈夫で頼れる相棒だった。しかし、あと何回かモンスターを斬れば完全に折れてしまうだろう……」

 

<しんみり話しているけど、さっきまでこの男は全裸だったのだ!>

<いまもパン一なのだ!>

<武器がないのにどうやって戦うのだ? 一度テントに戻るのだ?>

 

「いや。このまま第七階層への階段を探す。確かに武器はこの有様だが、たぶんもう大したモンスターは出現しない。視聴者のみんなには伝わらないと思うが、ダンジョンから感じる魔素が極端に薄くなったんだ。こういう状態ではモンスターの出現率が下がる。第六階層はあの髑髏ムカデによる挟撃がメインなんだろう。だから、テントに戻るのは第七階層に降りてからだ」

 

<へええ。勉強になるのだ!>

<そんな話、初めて聞いたのだ!>

<テントには予備の長剣はあるのだ?>

 

「一応、予備はある。しかし、こいつに比べると大分落ちるな……」

 

<そんな装備で大丈夫なのだ?>

<ゲリラから武器を譲ってもらうのだ?>

<ゲリラは剣なんてもっていないのだ!>

 

「もう少しすれば友人がこのソマリアダンジョンに来る予定なんだ。そいつに長剣を預けてあるから大丈夫だ」

 

<ソマリアに来る友人なのだ?>

<ん!? アカネのことなのだ!>

<いったいアカネとは何友達なのだ!?>

 

「いや、アカネじゃない。友人はオッサンだ。そもそも俺はアカネと知り合いじゃないからな。ライブ配信だって一度も見たことないし」

 

<アカネは諸越の配信みているのになのだ!>

<アカネ可哀そうなのだ!>

<ちょっと! 私の配信も見なさいよなのだ!>

 

 うん? こいつ、アカネなのか? まぁ……いいか。疲れて相手するのも億劫だ。

 

「じゃあ、そろそろ第七階層への階段を探す。地味な配信になるとは思うが付き合ってくれ」

 

 バックパックを背負い、一応剣を構えながら第六階層の探索を再開する。

 

 少し歩いてもやはりモンスターの気配はない。魔素も薄いままだ。この調子でいけば、問題なく第七階層への階段に辿り着けるだろう。

 

<そういえば諸越はマッピングしないで大丈夫なのだ?>

<本当なのだ! マッピングアプリ使ってなさそうなのだ!>

<いままでもずっとしていなかったのだ!>

 

「いや。勿論マッピングはしているぞ。ただし、頭の中で。今でこそスマホは高性能でかつ滅多に故障もしなくなったが、昔はそうじゃなかった。魔素にやられてマッピングアプリのデータが吹っ飛ぶなんてざらだ。紙も燃やされたり、濡れたりすれば読めなくなる。だから、ダンジョンのマッピングは頭の中でやるのが一番なんだよ」

 

<諸越が急にできる男に思えてきたのだ!>

<諸越の若い頃の話を聞きたいのだ!>

<今までで一番やばかった話を聞きたいのだ!>

 

 やばかった話なぁ……。歩きながら記憶の糸をたぐる。

 

「俺が南米で活動していた時のこと。あるダンジョンに隠し階層が見つかったんだ。当時のアングラダンジョン界隈では話題になって、世界中から冒険者が集まり宝を求めて探索した」

 

<本当に昔話なのだ!>

<おもしろそうなので話すのだ!>

<これからヤるってタイミングで面白そうな話をしないでなのだ!>

 

「その隠し階層である若い冒険者がスキルオーブを発見したんだ。世界冒険者協会のデータベースにも載っていない奇妙な文様が描かれたスキルオーブを。たまたま【鑑定】スキルを持っていた冒険者がいたので、その若者は鑑定を依頼。結果は【魔力の泉】と出た。魔力が無限に湧いてくるという代物だった。若い冒険者は飛び跳ねて喜び、早速スキルオーブを使用して――」

 

<うんうんなのだ!>

<それでそれでなのだ!>

<どうなったのだ……!?>

 

「――隠し階層ごと爆発した」

 

<えっ……なのだ……!?>

<無限に湧き出た魔力が暴発したのだ?>

<諸越は大丈夫だったのだ!?>

 

「俺は爆風で全裸になったお陰でなんとか生き延びたが、他は全滅だよ。ほとんどのスキルオーブは人間にとって有益だが、ごく稀に、害を及ぼすものもあるんだ……」

 

<関係者全滅ってこわいのだ!>

<爆風で【ネイキッド】発動は草なのだ!>

<勉強になったのだ!>

 

 

 昔話をしながら探索すること約二時間。俺は第七階層への階段を見つけることが出来た。そこでライブ配信を終え、攻略階層を更新してテントへ戻った。

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