【二巻発売】海外のエロ動画サイトで俺だけ無修正ダンジョン配信 ~無双してスパチャNo.1になったら世界中の女性パフォーマーから罵詈雑言がDMで届きました~ 作:フーツラ
ソマリア首都モガディシュにあるソマリア暫定国民政府。三階建てのビルのロビーで多くの日本人が眉間に皺を寄せ、ベンチに座っていた。日本冒険者協会が派遣したソマリアダンジョン調査団だ。
受付ではリーダーを務めることになったハヤトが通訳アプリを使い、ソマリア暫定国民政府の職員の男と押し問答をしている。
「なぜガイドと車が用意されていないんだ!? ダンジョンまではソマリア暫定国民政府が案内してくれる予定になっていた筈だ」
スマホの通訳アプリがハヤトの言い分を職員に伝える。職員は飄々とした表情で答え、通訳アプリが音声を出力した。
『もう日本の調査団の為に用意したガイドは出発した。一番最初に出た』
「そんな筈ないだろ! 俺たちはここにいる」
男は苦笑いして両手を広げ、頭を左右に振る。
『そんなこと言われても困る。私たちは約束を果たした』
「ふざけるな! もう他の国の調査団はダンジョンに向かったのに、日本だけ置いてけぼりじゃないか」
ハヤトは食い下がる。ダンジョンで苦戦するならともかく、辿り着けないなんて赤っ恥以外の何物でもないからだ。
しばらく同じようなやり取りを繰り返していると、ロビーの扉が開いて別の職員がやってきた。
そしてハヤトと揉めている職員の横に立ち、二体一になる。元々いた職員がソマリ語で事情を説明すると、後から来たもう一人がハヤトのスマホに向かって答えた。
『日本からきた調査団の女は私がダンジョンに案内した。二日ほど前だ』
「それは調査団のメンバーではない! 冒険者証を確認したのか?」
通訳アプリがハヤトのクレームを淡々と訳す。
『そんなもの一々確認しない。このタイミングで日本人が国民政府に訪ねてきて、ダンジョンに行きたい! と言えば調査団だと思って案内するに決まっているだろ』
職員はさも当然と答えた。
「クソ! 杜撰すぎる!!」
ハヤトが怒りをぶちまけていると、ベンチに座って様子を見ていた調査団の女が立ち上がり、受付に向かった。広報担当として調査団に参加している【A-generation】の遥だ。
遥はハヤトの横に立ち、まぁまぁとなだめる。
そしてハヤトに代わって聞き取りを続けた。
「ダンジョンに案内した女性はどんな人だったのですか?」
『金髪の若い女だ。ソマリアダンジョンで配信を行うと言っていた』
「そうですか。ただ、その女性は残念ながら調査団の一員ではありません。大変お手数なのですが、我々をダンジョンに案内して下さい。追加の費用は日本冒険者協会に請求してもらって大丈夫です」
結局、暫定国民政府の職員の要求は金銭だったらしい。追加請求出来ると知って急に相好を崩す。そして『明日の午後には出発できる』とハヤトに伝えた。
遥はフッと息を吐き、ハヤトの顔を見る。まだ不満気だが、少しダンジョンが近づいたことに安堵しているようにも思えた。
「すまない」
「とんでもないです。出しゃばってごめんなさい」
遥がペコリと頭を下げると、ハヤトは「やめてくれ」と手を振った。
二人は他の団員が待つベンチに戻ると、「明日の昼に出発だ。今日はホテルに戻るぞ」と声を掛けた。
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アカネがモーラナイフ一本で仕留めたモリイノシシの雄を捌いていると、俄かに辺りが騒がしくなった。
ちなみにアカネにどうやって百キロ超えのモリイノシシを狩ったのか聞いても、「えっ、普通にナイフで刺した!」としか返って来なかった。そろそろアカネの異常性に気が付いてきたが、その核心部分が何なのかは分かっていない。
「諸越! 誰か来る!」
アカネはおでこに手を当ててひさしを作り、声を上げた。その視線の先には厳つい男達。先頭は見知った顔だ。
迷彩服を着たスキンヘッドの白人が俺を見つけて右手を上げる。ガストンだ。その背後にいるのはアメリカの調査団のメンバーだろう。どいつもこいつも隙のない歩き方をしてやがる。
「久しぶりだな! モロコシ! そのイノシシは俺達の歓迎会のメインディッシュか!?」
木の杭に貫かれ、あとは焚き火に掛けるだけとなったモリイノシシを指差し、ガストンは軽口をたたく。
「遅かったな。ガストン。間違えてソマリランドに行ったのかと思ったぞ?」
ガストンに向かって右手を出すと、ガッシリと握り返された。まだまだ衰えてはいないらしい。
「それでそちらのお嬢さんは? 随分と強力なスキルを発動させているようだけど、日本の調査団のメンバーか?」
警戒心を露わにして、ガストンはアカネに視線を送った。
「スキル? なんのことだ? この女はエロチャットのパフォーマーだぞ?」
「エロチャットのパフォーマーがこんな強力なスキルを使えるわけないだろ? 見てみろよ」
そう言ってガストンは右手の親指で自分の背後を指差す。アメリカ調査団のメンバーは一律に頬を赤らめ、熱に浮かされたような顔をしていた。
「まさか【魅了】のスキルか?」
「たぶんな。モロコシは【ネイキッド】でレジストしてるから気が付いてなかったんだろう。ウチのA級の耐性を抜くなんて、かなり強力だぞ」
俺とガストンの会話を聞いて、アカネはキョトンとしている。
「えっ? 私、何かした?」
「アカネ……。お前に会った男はなんでもお前の言うこと聞いたりしないか?」
「そりゃーアカネちゃんぐらい美人でスタイル抜群の女を前にしたら、どんな男も言うこと聞くに決まってるでしょ!」
ガストンと顔を見合わせる。
「これは無意識に常時発動してるな」
「だな。このモリイノシシも【魅了】にやられたんだろう……。雄だし……」
「もしかして、画面越しにも【魅了】は効果あったりするのか?」
「耐性の低い男には効くかもしれんな……」
アカネが長く『ExtremeChat』のスパチャランキングNo1だった理由はスキル【魅了】かもしれない。
「ガストン。アカネが【魅了】待ちってことは……」
「あぁ。とりあえず協会には黙っておく。各国で奪い合いになるだろうからな。最悪、政治利用される危険性もある。とはいえ、長くは持たないだろう」
アカネは相変わらず首を傾げている。
「今までバレなかったのが奇跡だな」
「最近、スキルが急成長して強力になったんじゃないか? スキルは精神に影響を受ける。ライバルでも現れたのかも」
アカネのライバル……。まさか、俺か!? ちょっと責任を感じてしまうな……。
「モロコシ。アカネがスキルをコントロール出来るようになるまで訓練に付き合ってやれよ。それに、自分の意思を押し通せるぐらい強くならないと」
「……面倒だが仕方がない。多分、俺も関係しているからな。【魅了】持ちだとバレても普通に生活できるぐらいには強くする」
「よく分からないけど、よろシコ!」とアカネは俺の尻を叩いた。
その後、アカネの魅了から醒めたアメリカ調査団のメンバーはキャンプ地の設営に取り掛かった。
そして夜はガストンの言った通り、モリイノシシでアメリカ調査団を歓迎することとなった。