【二巻発売】海外のエロ動画サイトで俺だけ無修正ダンジョン配信 ~無双してスパチャNo.1になったら世界中の女性パフォーマーから罵詈雑言がDMで届きました~ 作:フーツラ
『八塚君。我々は日本冒険者協会にがっかりしているんだ。理由は分かるね?』
経団連の副会長はいたぶるような口調で問いかけた。
八塚は疲れ切った顔でぼんやりとweb会議用の大型モニターを見つめている。
『聞いているのか? なんとか言ったらどうだね……!!』
副会長の怒鳴り声がスピーカーと八塚の肩を震わせた。
「日本の調査団が……ソマリアダンジョンの第一階層を突破出来ていないからです……」
『その通りだ!! 素人でも突破出来るのに、調査団のメンバーは一体なにをやっておるんだ! 新たな発見を期待していたのに、世界に恥を晒しているだけじゃないか!! 我々がどれだけの金を君たちに投資しているのか理解しているのか……!?』
モニターの中で副会長は顔を真っ赤にしている。一方の八塚の顔を青白く、血の気が引いていた。
「申し訳ございません……」
『謝って何か事態が好転するのかね!? 謝罪より今後の対策を説明したまえ!! まさか、何も考えていないわけではないだろうな……!?』
八塚の呼吸が荒くなる。
「怪我を負ったメンバーの代替要員を選定中です。決まり次第、ソマリアに派遣します……」
『それは何の対策にもなっていない――』
ピコン! と通知音が鳴って、八塚のノートPCのモニターにポップが上がる。『ソマリアダンジョン日本調査団がライブ配信を開始しました』と書かれてある。八塚は助けを求めるようにポップをクリックした。ブラウザが立ち上がり、大手動画配信サイトが表示される。
「えっ……!!」
『どうしたんだね?』
「ハヤトが一人でソマリアダンジョンに挑んでいます……」
ノートPCのモニターには短剣一本を右手に持っただけのハヤトが映っていた。カメラマンは帯同させておらず、ドローンカメラとスマホで配信を行っているようだった。
『十五人も冒険者を投入して駄目だったのに、ハヤト一人で何が出来るというのかね? まさかやけくそになって自殺配信じゃ、ないだろうね?』
副会長の粘着質な声に、八塚の顔が厳しくなる。
「ハヤトはそんな人間じゃありません! 見ていてください!」
『ふん。これ以上、日本の冒険者の評価を下げなければいいが……』
副会長もライブ配信の視聴を始めたらしく、静かになる。
ソマリアダンジョンの第一階層を、ハヤトはゆっくりと進んでいく。チャット欄がざわつき始める。
<あれ? なんでハヤト一人なの?>
<他のメンバーは?>
<まだ怪我が癒えてないんじゃない?>
<だからって一人でダンジョンアタックはやばくない?>
ドローンカメラがハヤトの顔を大写しにした。その表情に悲壮感はなく、ふっきれたような清々しさがある。
<ハヤト、笑ってる>
<どうしたんだろう?>
<あれ、ハヤト壊れちゃった?>
ハヤトが足を止めた。前方から三体のハイオークが姿を現す。
<ちょっと私、ハイオークトラウマなんだけど>
<私もちょっと無理。フラッシュバックする>
<ハヤト、大丈夫かな……>
視聴者の声とは関係なく、カメラはハイオークにフォーカスした。三対一の状況に愉悦を感じ、豚面が醜く歪む。その時――。
ビュン! と空気を割くような音がした途端、先頭のハイオークにモザイクが掛かった。頭部がなくなっているように見える。血が噴き出し、モザイクが強くなった。
一体がガクリと膝を落とし、地面に倒れる。後ろの二体は何が起きたのか理解出来ず、茫然としている。
ドローンカメラがハヤトを映すと、その手から短剣が消えていた。
<えっ、短剣を投げて仕留めたってこと?>
<そんなあっさり……>
<ハヤト、こんなこと出来たの?>
ハヤトの背後に回ったドローンカメラが、我に返ったハイオークが迫りくる様子を映す。豚面は怒りで歪み、瞳はひどく濁っている。
振り上げられたハンマーがハヤトの胴体を薙ぐ。が――。
「ブイ……!?」
ハンマーヘッドがハヤトの左手で止められる。ハイオークは振り解こうと力を籠めるが、ハヤトに握られたハンマーはビクリともしない。
しかし、もう一体いる。
割り込むように現れたハイオークがハヤトの頭にハンマーを――。
ピタリ。と右手でハンマーは止められた。ハイオークは瞳を大きく見開く。
『邪魔だ』
吐き捨てるような声。と同時にハヤトは両手でハンマーを引っ張り、ハイオーク同士をぶつける。
一体の頭がおかしな方向に曲がった。すぐにモザイクが掛かる。もう一体は無様に地面に転がった。すかさずハヤトが足でハイオークの頭を押さえる。
『邪魔だって言ってるだろ』
グシャ。
ドローンカメラは音だけを拾う。しかし、何が起きたのかを伝えるには十分だった。
八塚は呆けたような顔でモニターに映るハヤトの顔を見つめている。
『ほお。やれば出来るではないか。今まで出し惜しみをしていたのだな。ハヤトは』
会議室のスピーカーが副会長の声を響かせた。
「ハヤトは……日本最強の冒険者ですから……」
その言葉は本心だったのか。それとも八塚の願望だったのか。
ノートPCのモニターには淡々とした足取りでダンジョンを進むハヤトの姿がある。
その後、彼の行く手を阻もうとするハイオークは数多現れたが、何れも瞬殺された。チャット欄は熱狂し、ハヤトを称賛する声が溢れる。
そしてハヤトはあっさりとソマリアダンジョンの第二階層に達した。