【二巻発売】海外のエロ動画サイトで俺だけ無修正ダンジョン配信 ~無双してスパチャNo.1になったら世界中の女性パフォーマーから罵詈雑言がDMで届きました~   作:フーツラ

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第55話 MKRY

「今日は久しぶりにダンジョン配信だよ!」

 

 第十階層の転移の間でアカネが声を張り上げた。ドローンカメラに取り付けたスマホから、視聴者のコメントが読み上げられる。

 

 

<今日は四人でダンジョンアタックなのだ?>

<いや、油断は出来ないのだ。こいつらダンジョンでも平気でパコリングするのだ>

<ここは第何階層なのだ?>

 

 

「ここは第十階層だよ! ほら!」

 

 アカネは転移の間から出て、通路の先を指差す。その直線上には大きく開いた扉が見えた。ドラゴンゾンビが鎮座するボス部屋だ。

 

 

<ん? 第十階層って今、御厨達がボスと戦っているのだ?>

<一体、何をするつもりなのだ?>

<まさか、ボス戦に勝利して喜ぶ御厨達に再び【魅了】をかけるのだ?>

<そして、ホモプレイをさせるのだ?>

<それはやめてあげてなのだ!>

<もう十分、MKRYは業を背負っているのだ!>

 

 

 コメント欄が盛大な勘違いをしている。俺達は御厨達の監視に来ただけだ。流石のアカネももう一度御厨達にホモプレイを命じることはないだろう。ないよな?

 

 マオマオとアカネはキャッキャと楽しそうにしながら、ボス部屋へと近づく。俺とハヤトもそれに続いた。中の様子が明らかになる。

 

「やるじゃん」

 

 アカネの一言は御厨達の優勢を伝えるものだった。無数のスカルジェネラルがドラゴンゾンビの体にしがみつき、その動きを止めていた。そして遠距離からヴァンパイア達が様々な魔法を放ち、腐肉を焦がし削っている。

 

 ボス部屋の中を見渡すと、壁際に遥と御厨達がいた。じっとこちらを見ている。

 

「アカネ! 御厨達がこっち睨んでるよ!」

「あっ、本当だ! めっちゃ睨んでる! 生意気ね!」

 

 

<アカネ! 短気は良くないのだ!>

<やめるのだ! 【魅了】しちゃ駄目なのだ!>

<Charm Mikuriya!>

<Mikuriya, I'm waiting for you!>

<Entertain me, Mikuriya!>

 

 

 急に海外のコメントが増えたな。一体、何事だ?

 

「これは時間の問題ですね。もうドラゴンゾンビに勝ち目はありません」

 

 冷静に戦況を観察していたハヤトが呟く。たしかに、御厨達の勝利は揺るがないだろう。スカルジェネラルがドラゴンゾンビに対して相性が良過ぎる。

 

 そもそも、スカルジェネラルは普通のダンジョンであれば深層のフロアボスを張るようなモンスターだ。それを【テイム】出来てしまうのが異常なのだ。

 

 ドラゴンゾンビの体はどんどん削られ、小さくなっていく。もう立っていることも出来ず、地面に崩れ落ちている。

 

「あっ!」

「おわた」

 

 アカネとマオマオが声を上げたタイミングでドラゴンゾンビの巨体は煙となった。壁際にいた御厨達が駆けだす。

 

「私達も行こ!」

「わかたよ!」

 

 釣られて変態二人も走り出す。

 

「諸越さん」

「あぁ」

 

 アカネが【ボス討伐おめでとう魅了】をする可能性がある。流石にそれは止めたい。俺にもまだ、良心はある。

 

 

 ボス部屋の真ん中に、大きな魔石が現れていた。

 

 御厨達はいち早く魔石の元に辿り着くと、その周りをスカルジェネラル達が取り囲んだ。「横取りはさせない」というように。

 

「御厨! 遥! フロアボス討伐、おめでとう!!」

「いい戦いだたよ! ちょっと濡れた!!」

 

 アカネとマオマオが近寄ろうとすると、スカルジェネラル達がそれを阻んだ。

 

「何よ! 私達はお祝いしようとしただけなのに!」

「そうわよ! 警戒しすぎよ!」

 

 二人は抗議を続けるが、スカルジェネラルは意に介さない。ただ無言で立ち、アカネとマオマオの行く手を阻んでいる。

 

 しばらくすると、スカルジェネラルで作られた垣根を割るように、巨大な魔石を抱えた御厨達が現れた。疲れているのか、表情が虚ろだ。そのすぐ後ろには遥の姿も見える。

 

『……お前達は、配信をしているのか……』

 

 御厨の口から、奇妙な声が響いた。ひどく掠れていて、直接頭に響いてくる声だ。

 

「ん? 勿論、配信はしてるわよ?」

 

 アカネが答えると御厨の口元が緩む。

 

『……そうか。ならば、いいものを見せてやろう……』

 

 御厨は魔石を地面に置くと、左腕を高く掲げた。手首に奇妙な文様が見える。まるで、目玉のような……。

 

 二人の男も御厨の左右に立ち、同じように左腕を高く掲げた。その手首にもやはり目玉がある。

 

 手首の目玉はギョロギョロと動き、周囲の様子を観察しているようだ。

 

「なにあれ……!?」

「キモ……!!」

 

 近くを飛んでいたドローンカメラから、視聴者のコメントが聞こえてくる。

 

 

<御厨達の手首になんかついてるのだ!>

<目玉なのだ! 動いてるのだ!>

<一体、どういうことなのだ!?>

<展開についていけないのだ!!>

 

 

 視聴者も混乱している。

 

「諸越さん。あれが奴等の?」

「あぁ。異常なスキルレベルの要因だろうな」

 

 警戒したハヤトがグラビティソードを構える。俺は静かに、フレイムタンを握る手に力を込めた。

 

『……ふふふ。よく見ておくのだぞ……?』

 

 御厨達は掲げていた腕を下ろし、巨大な魔石に手を翳す。紫の光が御厨達三人の身体を包む。光は大きくなり、一つの柱となった。

 

「何あれ……?」

「やばいよ……!」

 

 光りの柱の中から現れたのは二メートルを超える巨体の何か。たとえるなら、黒いハイオーガか。ただし、全身の至る所に目玉がある。

 

『……フフフ。フハハハハハ……!!』

 

 不快な笑い声が脳に直接響いた。

 

「ハヤト!」

「はい!」

 

 二人してブリーフを脱ぎ去り、剣を構えて踏み込もうと――。

 

『……気を付けろよ? 遥に当たるぞ……?』

 

 御厨達だったモノの腕の中に意識を失った遥の姿がある。物理は危険か? ならば――。

 

「アカネ! マオマオ!」

 

 二人の顔に焦りが見える。

 

「駄目……。【魅了】が効かない……」

「【呪術】も……」

 

 どうする……? 遥を人質に取られ、周囲はスカルジェネラルとヴァンパイアに固められている。とりあえず、時間を稼ぐか……。ガストンもこの配信を観ている筈。奴がいればなんとかなる……。

 

「お前は何者だ?」

 

 数多の目玉がギョロりと動き、俺に視線を集中させた。

 

『……俺は召喚された悪魔の身体の一部が成長し、意思を得た存在だ。名前はそうだな。母体となった男の名前をもらおうか。MKRY《ミクリヤ》だ……』

 

 悪魔……? 召喚……?

 

「お前はどこから召喚された?」

 

 MKRYの全身に散らばる無数の目玉が「ニヤリ」と笑った。

 

『……それは決まっているだろ? あっちの世界だ……』

 

 そう言うと、MKRYは右手を上げ、虚空を引き裂くような仕草をした。途端、空間に亀裂が入る。破間の向こうには全てを吸い込んでしまうような、黒い渦が無数に見えた。

 

「あっちの世界?」

 

『……そうだ。このダンジョンを進めば、いずれ辿りつく筈だ。俺はそんな面倒なことはしないが……』

 

 MKRYは空間の破間に入ろうとする。

 

「待て……! 遥を置いていけ……!!」

 

 ハヤトの声を聞き、MKRYの目玉が愉悦に染まった。

 

『……悪魔は人の嫌がることをする存在なんだよ……』

 

 遥を胸に抱いたまま、MKRYの体は黒い渦に吸い込まれた。すぐに、空間の破間は塞がってしまう。

 

「遥ぁぁあ……!!」

 

 ハヤトの悲痛な叫びがボス部屋に響く。

 

 そして、それはMKRYの【テイム】を解くきっかけになった。

 

 俺達は息つく暇もなく、スカルジェネラルとヴァンパイアの群れとの戦闘に雪崩れ込んだ。

 

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