【二巻発売】海外のエロ動画サイトで俺だけ無修正ダンジョン配信 ~無双してスパチャNo.1になったら世界中の女性パフォーマーから罵詈雑言がDMで届きました~   作:フーツラ

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第56話 あっちの世界

 スカルジェネラルとヴァンパイアの群れを殲滅し、ソマリアダンジョンの外に出たときには、陽はすっかり傾いていた。

 

 茜色の空を見た途端、疲労と空腹と喪失感がドッと押し寄せてくる。

 

「はぁ……」

 

 俺の隣でハヤトが背中を丸め、長く息を吐く。遥かが攫われたのだ。無理もない。ハヤトが憔悴しきった様子はアカネとマオマオにも影響を与えていた。いつもは姦しい二人も、今ばかりは無駄口を叩かず、心配そうな顔をしている。

 

 一同、無言でキャンプ地へと向かっていると、大柄なスキンヘッドの男が道を塞ぐように現れた。ガストンだ。

 

「災難だったな」

「あぁ。ソマリアダンジョンに来てから、予想外なことばかりだよ」

「話をしたい。俺のコンテナハウスに来てくれ」

 

 返事を待たず、ガストンは踵を返して歩き始める。俺が承諾するのは見越しているのだろう。

 

 俺達は無言でガストンの背中を追い、アメリカのキャンプ地へと入り、コンテナハウスに収まった。

 

 ガストンが応接ソファーに座ると、対峙する様に俺、ハヤト、アカネ、マオマオの順に腰を下ろす。

 

 ハヤトが「はぁ……」と小さく溜息をついた。それに応えるように、ガストンが口を開く。

 

「配信は観ていたから大まかな事情は分かっているつもりだ。実際にMKRYと対峙したお前達の印象を聞きたい」

 

 唾を呑み込む音がコンテナハウスに響く。しばし、静寂が広がった。

 

 アカネが口を開く。

 

「奴には私の【魅了】が効かなかったの」

「ワタシの【呪術】も効果なかった」

 

 マオマオも悔しそうに続けた。

 

「成長したアカネの【魅了】やマオマオの【呪術】が通用しない相手……。耐性はフル【ネイキッド】状態のモロコシに匹敵し、【空間魔法】に似た能力をもつ存在……。つまり……」

 

 ガストンが自分の頭の中を整理するように呟く。アカネがそれに答えた。

 

「ホモの悪魔?」

 

 ホモかどうかは分からないだろ……!? 

 

「ワタシもそう思うよ」

「同調するな!」

 

 マオマオを諫めると、ペロリと舌を出して自分で自分の頭に軽い拳骨を落とした。

 

「ホモかどうかは別にして、悪魔という存在であることは間違いないだろう。MKRY自身がそう言っていたのだから」

 

 俺の言葉にハヤトとガストンは頷く。

 

「俺が気になっているのは奴が言った『あっちの世界』という言葉です。奴、MKRYは遥をつれてあっちの世界へと、行ってしまった……」

 

 ハヤトが拳にぐっと握りしめる。何も出来ずにMKRYを行かせてしまった自分を責めるように。

 

「元々、アメリカではダンジョンが異世界に繋がっているのでは? という説があった。今回のMKRYの発言によって裏付けされた感じだな」

「俺が一番気にしているのは奴の『このダンジョンを進めば、いずれ辿りつく筈だ』という言葉だ。MKRYはなんらかの手段でソマリアダンジョンと異世界の繋がりを察知したことになる」

「それは奴の空間を操る能力に拠るものだろうな」

 

【空間魔法】を操るガストンの言葉は重たい。

 

「遥を取り戻すには、どうすればいいと思います? ガストンさんなら、何か思い当たることがあるのでは?」

 

 ハヤトは縋るような声を出した。ガストンは口元を歪め、気不味そうにする。

 

「残念だが、俺にもわからんよ。愚直にソマリアダンジョンの先を目指すしか、思い付かない」

「わかりました……」

 

 落胆する。と予想したが、それは違った。ハヤトの瞳には強い光が灯る。ため息をついていたハヤトはもういない。

 

「あれ? ハヤト元気になっちゃった?」

 

 意志を固めたハヤトの股間にアカネの手が伸びる。

 

「わっ! ちょっとやめて下さい!」

「アカネは1ミリでいいから空気を読め!」

「空気の単位はミリじゃないわよ?」

「うるせえ!」

 

 俺達のやり取りを見て、ガストンが呆れて苦笑いをした。

 

「ねぇ、マオマオ。異世界人とパコリングしたら滅茶苦茶スパチャ貰えると思わない?」

「思う! 異世界の偉い人の家で自慰行為するのもいいよね!?」

 

 頭が痛くなる会話だが、こいつ等なりの意思表示だろう。「異世界を目指す」という。

 

「これが、ソマリアダンジョンのトップランナーなんだよなぁ」と頭を抱えるガストン。

 

「あぁ。残念だがその通りだ。このまま突っ走って、あっちの世界に辿り着く」

「そして、遥を取り返します!」

 

 ハヤトは力強く宣言した。俺達に明確な目的が生まれた瞬間だった。

 

 

#

 

 

 八塚舞はけたたましく鳴るスマホを掴み、薄く瞼を開いた。目に入ってきたのは「日本冒険者協会」の文字。

 

 さて、何の用だろう。自分は既に冒険者協会から身を引いている。午前10時30分まで寝ていても、誰にも文句を言われない身分だ。

 

 一度スマホを手放し、グッとベッドの上で伸びをする。大分、頭がスッキリしてきた。スマホはまだ鳴り続けている。

 

「もう!」

 

 根負けした八塚はベッドの端に置いたスマホを手に取り、上半身を起こしながら画面をタップする。

 

「……はい」

『こちら、八塚さんのお電話で宜しかったでしょうか?』

「そうですが?」

 

 八塚は努めて低い声を出す。呼び出し音で起こされた不快感を相手にぶつけるように。

 

『ご無沙汰しております。広報の袴田です。お元気ですか?』

 

 ふっと八塚の表情が緩む。てっきり理事長の米沢が電話してきたのかと、警戒していたのだ。

 

「お久しぶりです。どうかしたんですか?」

 

 袴田はベテランの職員だ。以前は理事長という立場上、上下関係を明確にして接していたが、今は関係ない。歳上のおじさんを敬うような口調で、八塚は返した。

 

『八塚さんは、御厨さん達の件はご存じですか?』

「えぇ。知っているわ。Extremechatでの配信も見ていたし。大変なことになったわね。理事長は各所への説明に追われていることでしょうね」

『それなんですが……実は……」

 

 袴田が言い淀む。何かあったのだろうか?

 

「熱でも出したの? 米沢は?」

『いえ……。失踪しました』

「ぶへっ……!?」

 

 口から出た間抜けな声に八塚自身が驚き、目を丸くする。

 

『大丈夫ですか?』

「……大丈夫です。あまりにびっくりしたもので。あれだけ理事長の座に固執していた米沢がまさか失踪とはね……。余程堪えたんでしょうね」

『いえ』

 

 八塚は意外な返答に眉を動かす。

 

『米沢理事長は御厨さんが遥さんを連れて消えた後、とても嬉しそうにしていました。あんな上機嫌な顔は見たことがありませんでした』

「それはどういうことですか? あの事件を喜んでいたとでも?」

『はい……。まるで、全てが思い通りになったように、満面の笑みを浮かべていました』

 

 八塚はベッドから立ち上がり、寝室を歩きながら会話を続ける。落ち着かない様子だ。

 

「御厨君達を育てたのは米沢……。米沢が仕組んだとでも言うの……」

 

 ぶつぶつと独り言を続ける八塚。

 

『八塚さん……』

「あっ、ごめんなさい。何でしょう?」

 

 袴田は一瞬溜めてから話し出す。

 

『日本冒険者教会に戻ってきてくれませんか? この状態を立て直せるのは八塚さんしかいません!』

「……」

『お願いします!』

「……私には無理よ……」

『そんなことはありません! 私は八塚さんの功績を知っています! たった一度の失敗で、否定されるようなモノではありません! お願いします! 他の職員も八塚さんの復帰を望んでいます!』

「……」

 

 散々粘られた後、「少し考えさせて」とだけ告げて、八塚は電話を切った。

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