【二巻発売】海外のエロ動画サイトで俺だけ無修正ダンジョン配信 ~無双してスパチャNo.1になったら世界中の女性パフォーマーから罵詈雑言がDMで届きました~   作:フーツラ

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第61話 世間の反応

 日本冒険者協会理事長代理、八塚舞はハイバックチェアにゆったりと身体を預け、随分と余裕のある表情を顔に浮かべていた。

 

「そろそろね」

 

 ノートPCのタッチパッドに指を這わし、「参加」ボタンをクリックした。web会議用の大型モニターに経団連の副会長の顔が大写しにされる。

 

『久しぶりだな。八塚君』

「ご無沙汰しております。副会長」

 

 副会長は険しい顔をしているが、八塚にそれを気にする様子は全くない。自らがペースを握るべく、はっきりとした声で話し始めた。

 

「早速ですが、進捗について報告します。A級冒険者ハヤトをはじめとしたソマリアダンジョン日本調査団は第十五階層のフロアボスを撃破。その勢いは留まることを知らず、既に第十七階層に達しています──」

『ちょっと待ちたまえ!』

 

 副会長は八塚の報告を遮ろうとするが、止まらない。

 

「また、フロアボス討伐時にドロップアイテムも獲得しており、今後の鑑定結果次第では、日本の産業界に大きなインパクトを与えることになると思われます。……副会長、何か質問ですか?」

『進捗の前に報告することがあるだろ! なぜ、海外のエロ動画サイトでダンジョン配信をさせているんだ!? ハヤトをA級冒険者に復帰させたのなら、一般の大手サイトで配信させれば良いだろう!?』

 

 八塚は鼻で笑うと、「仕方がない」という顔つきで説明を始めた。

 

「日本調査団の、ハヤトの凄さを伝えるのに最も適しているプラットフォームがExtremeChatだからです。ハヤトの真価は全裸になったときに発揮されるので」

『そんな理由で日本冒険者協会の評価を地に落としていいと思っているのか……!?』

 

 両掌を上に向け、八塚は失笑する。

 

「副会長? 各国の反応をご存じないのですか? 今や日本調査団は世界で一番注目を集める存在なんですよ? 御厨君達の話題なんて一瞬で吹き飛ばしてしまいましたし。人々はハヤトが異世界への扉を開く日を、心待ちにしているのです」

『くっ……』

 

 言葉に詰まる副会長を見て、八塚は満足そうに眼を細めた。

 

「そろそろ、日本調査団のダンジョンアタックが始まるので失礼します」

『ちょっと──』

 

 赤い「退出」ボタンをクリックし、八塚はweb会議を終わらせる。協会支給のノートPCの蓋をパタリと閉じると立ち上がり、八塚はそそくさと会議室を後にした。

 

 

#

 

 

『本日のトップニュースです。ソマリアダンジョン日本調査団が第十八階層に到達しました』

 

 缶に入ったカクテルを飲みながら、八塚舞はテレビのすぐ前に座り、二十二時のニュース番組を眺めていた。まだ缶を開けたばかりだというのに、すでに頬が赤い。

 

 テレビの画面には頭に角を生やした青年のイラストが映っている。まるで裁判の様子を伝えるような絵柄だ。

 

『映像を使うことが出来ないので、本日もイラストで日本調査団の戦いの様子をお伝えします。解説はダンジョン専門家の利根川さんです。よろしくお願いいたします』

 

 女性キャスターにダンジョンを専門家として紹介された白髪の男は上機嫌で話し始める。

 

『いや~今日のダンジョンアタックも凄かったですね! ソマリアダンジョン、滅茶苦茶やばいです。第十六階層からは幻獣と呼ばれるモンスターが出現するのですけど、第十七階層ではケルベロスとキマイラが同時に現れましたからね! 他のダンジョンではイレギュラーでしか目撃例のない、超レアなモンスターなんですよ!』

 

 利根川は早口でまくしたてた。画面には、剣を構えてケルベロスと対峙する二人の男のイラストが映されている。

 

『ここで日本調査団のメンバーについて紹介したいと思います』

 

 女性キャスターは四人組のイラストが描かれたフリップを手に持って話し始める。

 

『この角が生えている青年がリーダーのハヤトさんです。その隣の背の高い男性が諸越さん。二人とも【ネイキッド】というユニークスキルを所有していて、とても戦闘力が高いです』

 

 利根川がしゃしゃり出て、女性キャスターの紹介に補足をする。

 

『このイラストでは二人は服を着てますけど、普段はブリーフ一枚しか穿いてないですからね! それどころか本気で戦うときは全裸になってます! 【ネイキッド】だから!』

 

 女性キャスターは若干迷惑そうな表情を見せてから、メンバーの紹介を続ける。

 

『この金髪の女性はアカネさんです。【魅了】というレアなスキルを所有していて、主にモンスターにデバフを与える役割を担っています』

『アカネはね! 滅茶苦茶ドスケベなんですよ! 検索エンジンで【アカネ】って入れたら検索候補に【オフパコ】【パコリング】【パコニック】って出てきますから!」

『利根川さん! 落ち着いてください! 只今、不適切な表現が御座いましたことを深くお詫び申し上げます』

 

 ペコリと女性キャスターは頭を下げるが、利根川は止まらない。

 

『で、頭がピンクなのがマオマオですね! 本名はメイメイっていうんですけど、ExtremeChatでのハンドルネームがマオマオなので、みんなマオマオって呼んでいます。台湾出身のA級冒険者で実力は確かです! でも、この子もドスケベなんですよ! 個人的にはアカネよりマオマオの方が好みです! 私のおすすめのアーカイブ動画は──』

『ここで一旦CMです』

 

 女性キャスターが利根川をシャットアウトし、テレビの画面には自動車会社のCMが流れ始めた。

 

 八塚は手に持った缶カクテルをグイと煽ると、リモコンでテレビのチャンネルを変える。別のニュース番組でもソマリアダンジョン日本調査団が取り上げられているのを見て、八塚は満足そうに頷いた。

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