【二巻発売】海外のエロ動画サイトで俺だけ無修正ダンジョン配信 ~無双してスパチャNo.1になったら世界中の女性パフォーマーから罵詈雑言がDMで届きました~   作:フーツラ

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第66話 ディスコミュニケーション

 俺達を応接室に案内した少女はしばらくするとペコリ頭を下げ、部屋から出て行った。代わりのティートローリーを押した別の少女が入室し、ぎこちない笑顔を作りながら、茶の準備を始める。

 

 ソファーの間にあるローテーブルにティーカップが4つ並べられた。香ばしい湯気が立ち、芳醇なかおりが鼻孔のなかで優しく広がる。たぶん、高級な代物だろう。歓迎されているようだ。

 

「これからガストン、八塚とのミーティングをセットしようと思う。アカネとマオマオは馬鹿なことを言って邪魔をしないように」

 

 アカネとマオマオが同時に眉間に皺を寄せた。

 

「顔面チンコプレスの諸越に言われたくない!」

「顔チン・プレ越って呼ぶわよ」

 

 クソ……。こいつら、しつこいな……。取り敢えず無視しよう。

 

「ハヤトは八塚に会議リンクを送ってくれ。俺はガストンに送る」

「はい」

 

 茶を飲みながら俺の失態をチクチク弄る二人をスルーし、ミーティングの準備を進める。スマホでビデオ会議アプリを立ち上げ、スピーカーをオンにしてローテーブルに置くと、直ぐにガストンと八塚も参加してきた。

 

『ガストンだ。今、どんな状況だ?』

 

 真剣な声色。

 

「ライブ配信は見ていただろうから、詳細は省く。今はまだ、応接室の中だ。俺達を導いた銀髪の少女はついさっき部屋から出て行った。今はメイドのような恰好をした少女に茶を振る舞われているよ。敵意は感じない」

『そうか……』とガストン。安堵の息を吐く。心配していたようだ。

 

『異世界人とのコミュニケーションは大丈夫なの? 言葉は通じないのよね?』

 

 八塚の発言。これは俺が相談したかったことと一致する。

 

「今回の会議の一番の議題はそれだ。俺達に今、一番必要なもの。それは翻訳アプリだ」

『翻訳アプリかぁ……』

『それは面白そうね! 是非、協力させて頂戴!』

 

 二人の反応は分かれた。根が冒険者のガストンと、普段から企業人を相手にしている八塚では発想が異なるのだろう。八塚は翻訳アプリの可能性と重要性に瞬時に鼻を効かせ、即座に協力を申し出た。

 

「では、翻訳アプリ開発は八塚が主導して進めてくれ。品質よりもスピードを重視で。八塚にはいくらでも企業の伝手があるだろう? 異世界人の会話データはWEBミーティングを通していくらでも送ることが出来る」

『一つお願いがあるのだけど……』

 

 八塚の探るような声がスマホから響いた。

 

「なんだ?」

『翻訳アプリがリリースされるまでの間、ライブ配信は無音でやって欲しいの』

 

 ほう……。なかなか強かだな。

 

「他の勢力に翻訳アプリを開発させないつもりか?」

『ええ、そうよ。もし異世界翻訳アプリの開発が成功すれば、私の発言力は増すことになる。貴方達4人を守りやすくなるわ』

 

 俺達4人。というより、八塚はハヤトを守りたいのだろう。まぁ、いい。

 

「わかった。翻訳アプリのリリースまではドローンカメラのマイクは切ってライブ配信を行おう。視聴者には『音声が届かなくなった』と伝えておけばいい。ただし、急いでくれよ?」

『もちろんよ。期待に応えられるように頑張るわ!』

 

 八塚は声を弾ませる。

 

「ガストンに聞きたいのは各国のソマリアダンジョンの攻略の状況だ。第二十階層に届きそうな国はあるか?」

『いや……ない。俺達も含めて第十五階層のタイラントアントクイーンに敗退を繰り返している』

 

 ガストンは悔しそうに語った。【転移】でクイーンに近付くことは出来ても、モンスター最硬を誇る外骨格を破るのは至難の業だ。ガストンは小範囲であれば空間を抉りとることも可能だが、クイーンの巨体には効果が薄い。そんなことをしている間にタイラントアントに囲まれてしまうだろう。

 

「なるほど。では当分、異世界にやってくる冒険者はいないということだな」

『そうなるな……。そもそも、第二十階層に達したら無条件に異世界にいけるのかも不明だ。あの少女、明らかにお前達を待っていただろ?』

 

 アカネとマオマオがニヤニヤし始めた。また俺の失態を蒸し返すつもりだろう。

 

「そうだな。俺達が来ることを察していたのは間違いないだろう」

「でもチンコ丸出しなのは察してなかったけどね!」

「絶対今頃、日本では再現AVが撮影されているわよ。ドアを開けたら即チンコわよ」

 

 やめてくれ。再現AVはやめてくれ……。

 

 俺の動揺は余所に、ガストンはアカネとマオマオを無視して会話を続けた。流石である。

 

『翻訳アプリが開発されれば、異世界転移についても詳しくわかるだろう』

「そ、そうだな。当面の俺達の目標は異世界人と良好な関係を築き、より多くの会話データを集めることになる」

『ソマリアダンジョンや他国の調査団の動きについては逐一報告する』

「頼む」

 

 大まかな方向性が決まったところで、ガストン・八塚との初めてミーティングは終了した。

 

 

#

 

 

 導きの聖女コリンヌは応接の間から出ると、足早に廊下を進む。すれ違う神殿騎士や司祭はコリンヌに話し掛けようとするが、その険しい顔を見て咄嗟に言葉を引っ込めた。

 

「ふぅ……」

 

 コリンヌはある扉の前まで来ると、息を整えてからノックをした。すぐに「入りなさい」と返事があった。

 

「失礼します」

 

 そこは大司教の居室だった。執務机に座った大司教は期待に満ちた青い瞳をコリンヌに向ける。

 

「異界の勇者は……訪れたのか?」

「はい。いらっしゃいました……。男二人、女二人の四人で……」

 

 勇者の訪れは本来、喜ばしいことだ。厳しい状況にあるロリアン王国にとって勇者は期待の星の筈。しかし、聖女コリンヌの顔は浮かない。

 

「何かあったのか?」

「はい……。勇者様は……その……」

「どうした?」

 

 コリンヌは頬を赤らめる。

 

「衣服をお召しになられていませんでした……」

「うん? どういうことだ?」

 

 大司教は首を捻る。

 

「ですから……、全裸だったのです」

「全員がか?」

「いえ……。男性二人だけ……」

「何故だ?」

「分かりません……」

 

 コリンヌは耳まで真っ赤にしてなんとか答えた。大司教は腕組みをして唸り始めた。

 

「ずっと全裸なのか?」

「いえ……。私が驚いて気絶してしまってからは、パンツだけ着用するようになりました」

「明日以降の予定は分かっているな?」

「はい……。私は勇者様を王城へ導き、国王に謁見。その後、王都の大通りでパレードを行います。民衆に勇者の訪れを知らせるために」

 

 大司教は眉間に皺をよせ、低い声を出した。

 

「服を着てもらえ。神殿騎士の鎧にマントを合わせれば恰好はつくだろう」

「でも……。言葉が通じません」

「身振り手振りでなんとかなるであろう?」

「頑張ってみます」

 

 コリンヌは思いつめた表情で、大司教の居室を後にした。




※表現に注意した本作の【配慮版】の投稿をカクヨム様で始めました。配慮が足りない部分がありましたら、教えてください!

↓↓↓【配慮版】↓↓↓
https://kakuyomu.jp/works/16818093084526944064
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