【二巻発売】海外のエロ動画サイトで俺だけ無修正ダンジョン配信 ~無双してスパチャNo.1になったら世界中の女性パフォーマーから罵詈雑言がDMで届きました~   作:フーツラ

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第67話 服を着る?

 応接間に案内されてから2時間近くが経過した頃、銀髪の少女はその後ろにメイド服姿の女をぞろぞろと引き連れて戻ってきた。メイド達はそれぞれ、ティートローリーを押している。

 

 しかし、その上にあるのは茶でも食事でもない。ピカピカに磨かれた鎧だ。鎧下やマント等も見える。

 

「諸越さん……あれは……」

 

 ソファーから立ち上がったハヤトは険しい顔をメイド達に向けた。

 

「あぁ、俺達に鎧を着せるつもりだろう。参ったな」

 

 低い声が出た。無意識に鎧に対するネガティブな感情を抱いてしまったのだ。

 

 そんな俺達の反応を見て、対面に座るアカネが怪訝そうに尋ねてきた。

 

「別にここはダンジョンじゃないし、他の国の冒険者もいないんだから、鎧を着るぐらいいいんじゃない? 【ネイキッド】を発動させることもないでしょ?」

 

 アカネは【ネイキッド】持ちが二枚以上衣服を身に付けたとき、どれだけ弱体化するのか理解していない。

 

「無理だな。鎧なんて身につけたら、俺やハヤトは一歩も歩くことは出来ないだろう。服を着たときの【ネイキッド】のデバフはアカネが考えているよりも遥に強烈だ」

「えっ? じゃー、どれぐらいの恰好なら動けるの?」

「短パンにタンクトップが活動限界だ。ギリギリ歩ける。辛いけどな」

「活動限界って言葉、服装にも使うんだ……。ちなみに、マントだとどうなるの? 全裸にマント」

 

 ニヤニヤするアカネとマオマオ。妙案だと思っているのだろう。

 

「【ネイキッド】はそんな生易しいスキルじゃない。たとえ一枚でも、全身を覆うマントなんて羽織れば、たちまち弱体化して地に伏してしまう」

「そりゃ~諸越が日本にいないわけね……。真冬でも裸足のタンクトップ短パンおじさんだもん……」

 

 アカネとマオマオは顔を見合わせて唖然としている。そして銀髪の少女達は俺達のやり取りを不思議そうな顔をして見ていた。

 

「どうします?」

「俺達の事情を身振り手振りで伝えるしかないだろう。会話データとして残したいから、ハヤトは彼女達とのやり取りをスマホで録画しておいてくれ」

「わかりました」

 

 ハヤトはスマホを手に持ち、レンズを俺に向ける。俺は銀髪の少女の前まで歩くと、ティートローリーに乗った鎧を指差し、その後に手を振って拒絶の意思を示した。「これを着ることはできない」と。

 

 少女は苦笑いをしてから、鎧の方を手で指し「どうぞ」というジャスチャーをした。

 

 俺は首を横に振る。

 

 するとまた少女は苦笑いをしながら俺に鎧を勧めた。このやり取りが何度も続く。

 

「もう! まどろっこしいわね! そもそも、そーいうやりとりは自己紹介してからでしょ!」

 

 痺れを切らしたアカネが立ち上がり、俺と少女の間に立つ。そして自分のことを指差して「アカネ!」と大きな声で何度も伝えた。少女は目を丸くしながらも、「アカネ……?」とリピートする。

 

「そうよ! 私はアカネ! こいつは諸越!」

 

 そう言って、アカネは俺を指差し、何度も「諸越! 諸越!」と叫ぶ。少女は形のいい口を開き、ゆっくり一音一音発する。

 

「モ……ロ……コ……シュ?」

「ひゃひゃひゃひゃや! 苦しいぃ、お腹痛いぃひひひひ!」

「モロコ主、正解わよ……!! いひひひひ!」

 

 アカネと飛び出してきたマオマオが床に転がり、腹を抱えて馬鹿笑いをする。

 

「笑ったら失礼だろ! なぁ、ハヤト?」

「ぷっ……!」

 

 ハヤトも吹き出し、必死に笑いを堪えている。

 

 少女は嬉しいような困惑したような曖昧な笑顔を浮かべ、笑い続けるアカネとマオマオを眺めていた。

 

 やっと落ち着いたアカネが銀髪の少女を指差し、「貴方は?」と尋ねた。流石に何を問われているか察した少女は白くほっそりとした指で自分ことを指して「コリンヌ」と言った。

 

「……コリンヌ……?」

「これは、バリエーションが豊富だわね……」

 

 アカネとマオマオが顔を見合わせて頷きあっている。一体、何のことだ? 二人はひそひそと「パコ」や「シコ」、「スコ」、「モコ」と言い合う。

 

 その後、マオマオとハヤトも自己紹介を終え、それぞれ「マオマオ」「ハヤト」として認識された。なんで俺だけモロコ主なんだ……。

 

「ところで、コリンヌはなんでモロコ主に鎧を着せたいの?」

 

 ティートローリーの上の鎧を指差しながら、アカネが問う。コリンヌは噛みしめるようにゆっくりと話し始める。

 

「〇×□□××……。モロコシュ、ハヤト、アカネ、マオマオ、〇×▽▽□××……」

 

 当然、意味は分からない。しかし、俺達四人の名前を呼んでいるのは聞き取れた。

 

「なるほどね……」

 

 アカネは腕を組み、したり顔で頷く。

 

「わかるのか?」

「ニュアンスは伝わったわ。コリンヌが言いたいのはこーいうこと。『最初から裸のAVは面白くないでしょ? はじめはちゃんと鎧を着て欲しい」

「アカネは今すぐ地球に帰れ!」

「なんでよ! 本当にそう言ってたかもしれないでしょ! ねえ?」

 

 アカネが同意を求めると、頭をブンブン縦に振ってマオマオは同意した。二人とも地球に帰って欲しい。

 

「もうさ、一回服を着てどうなるか見せた方がはやくない?」

 

 ハヤトと顔を見合わせる。確かにそうした方が伝わるか……。しかし、二人同時に戦闘不能な状態になるわけにはいかない。ここは異世界。何があるのか分からない。

 

「ハヤト。悪いが用意された服をきたらどうなるか、見せてやってくれないか? 何かあっても俺が守るから」

「わかりました」

 

 少し遠巻きにして撮影していたハヤトはスマホをマオマオに渡すと、コリンヌの前に歩み出た。そして自分とティートローリーの上の鎧を指差しながら、話し掛ける。

 

「俺と諸越さんは【ネイキッド】という特殊なスキルを持っているんです。全裸になれば凄まじいパワーと回復力を発揮しますがその反面、二枚以上衣服を着ると極端に弱体化してしまうんです。今から、それをお見せします」

 

 ハヤトの真面目な声色にコリンヌも釣られて表情を引き締め、小さく頷いた。

 

「何かあった時のために、おれはフルで【ネイキッド】を発動させておくぞ? 今は友好的だが、コリンヌ達を完全に信用したわけではないからな」

「はい。お願いします」

 

 俺はコリンヌとハヤトからすっと離れ、速やかにブリーフを脱いだ。そして、壁に立てかけておいたフレイムタンを握る。メイド達から「ヒッ!」と小さく声が上がった。大騒ぎしないことから、事前に聞かされていたのかもしれない。

 

 ハヤトはティートローリーの前までいくと、キルティング生地で出来た上着を手にとり、さっと羽織ってみせた。

 

「〇▽××〇!?」

「大丈夫!?」

「急に顔色悪いわよ!?」

 

 上着を着た途端、ハヤトは顔面が蒼白になり、床に膝を着いた。ぜえぜえと苦しそうに息を吐く。縋るようにティートローリーに手を伸ばし、キルティング生地のズボンを手にとり、床に寝転びながら足を通す。どんどん顔色が悪くなる。

 

 途中までズボンを穿いたところでハヤトはピタリと手をとめ、まるで死んでしまったかのように脱力してしまった。ブリーフ丸出しで床に寝転がっている状態だ。

 

「……〇▽×■■……?」

 

 コリンヌは何かつぶやき、心配そうにハヤトを見つめている。

 

「アカネ。ハヤトの服を脱がせてやってくれ」

「分かったわ! アカネちゃんの早脱がせを見せてあげる!」

 

 アカネはハヤトの横に膝を着くと、あっという間にキルティング生地の上下を脱がせてしまった。ついでにブリーフまで剥ぎ取る。きっと癖なのだろう。

 

「ふぅ。やっぱりキツイですね。服は」

 

 フル【ネイキッド】を発動したハヤトは青白い顔から一転。活力に漲った表情をして、パッと跳ね起きた。ハヤトのあまりの変わり様にコリンヌは目を白黒させている。

 

「これで伝わったでしょうか? 俺と諸越さんは服を着ると動けなくなってしまうんです。だから、いつもブリーフ一枚でいるんです。決して、露出狂のような変態というわけではありません。必要だから、このような恰好をしているんです」

 

 ゆっくり、言い聞かせるようにハヤトは続けた。ちなみにハヤトも俺も全裸だが、もうコリンヌやメイド達は慣れてしまったようで、全く騒がない。

 

「……▽〇■×▽〇■×……」

 

 コリンヌは小さく頷き、ティートローリーの傍に控えていたメイド達に合図を出す。メイド達はすかさず、反転して応接間から出て行ってしまった。残ったのは茶の準備をしてくれる一人と、コリンヌのみ。

 

 コリンヌも用事があるようで、ペコリと頭を下げると応接間を後にした。

 

「はい!」

 

 アカネがボール状に丸めたブリーフをハヤトに投げて渡す。ハヤトは素早くそれをキャッチすると、慣れた手つきで穿いてみせた。俺も同じタイミングでブリーフを穿く。

 

「異文化交流って難しいですね」

「あぁ」

 

 妙な疲労を感じながら、俺はソファーに腰を下ろした。

 

 

#

 

 

 息を弾ませたコリンヌが大司教の居室の扉を叩く。すぐに「入れ」と返事があった。扉を開いた先には、待ち構えていたかのように居住まいを正して執務机に座る大司教の姿。

 

 コリンヌは思いつめた表情をして進み、執務机の前に立つ。報告を待ちきれないのか、先に大司教が口を開いた。

 

「どうだった?」

「結論から申し上げますと、異界の男勇者様二人に服を着てもらうことは出来ませんでした」

 

 大司教の顔が険しくなる。

 

「何故だ? 何故、異界の勇者は服を着ない? 女勇者は服を着ているのだろ? 男勇者だけ服を着ないのは変だ」

「これは推測なのですが……」とコリンヌは前置きをした。大司教はぐっと身を乗り出し、聞き入る。

 

「男勇者のお二人は【過敏症】だと思われます」

「【過敏症】? あの、鉄を握ると手がただれたりする病気か?」

「はい。男勇者のお一人が私たちの前で、こちらが用意したギャンベゾンを羽織ったのですが、急に顔が青くなり床に伏してしまいました」

「そんなことが……」と大司教は腕を組んで悩み始める。

 

「その後、ギャンベゾンを脱いで全裸になった途端、男勇者様は急に元気になられました」

「うーむ。その話だけ聞くと、肌が極端に過敏なのかもしれぬな……。これでは王の謁見やパレードにも下着一枚で臨むしかないか……。しかし、うーむ……」

 

 大司教は先のことを考えて唸り始める。散々悩んだあと、大司教はパッと顔を上げた。そして意を決したように話始めた。

 

「仕方あるまい。国王には事前に事情を説明しておこう。解決できないことに悩んで時間を掛けるよりも、思い切って進めてしまった方がいい」

「私もそう思います」

 

 コリンヌは意志の籠った視線を大司教へと向けた。すぐに言葉が返ってくる。

 

「では、予定通り明日、国王への謁見とパレードを実施するよう調整を掛ける。ちなみに、勇者の名前は聞いたか?」

「はい。金髪の女勇者がアカネ、桃髪の女勇者がマオマオ。頭に角のある男勇者がハヤト。身体の大きな男勇者がモロコシュです」

「アカネ、マオマオ、ハヤト、モロコシュの四人だな。さっそく、国王に伝えにいく。コリンヌは引き続き勇者の応対を頼む」

「お任せください」

 

 さっと立ち上がった大司教は大股で歩き始める。コリンヌもそれに続き、二人はテキパキとした様子で部屋を後にした。




※表現に注意した本作の【配慮版】の投稿をカクヨム様で始めました。配慮が足りない部分がありましたら、教えてください!

↓↓↓【配慮版】↓↓↓
https://kakuyomu.jp/works/16818093084526944064

面白いことに、カクヨムの感想欄は全然「ずんだもん」がいないんですよね。サイトによって読者さんのノリというか連帯感が全く違って、勉強になります。
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