【二巻発売】海外のエロ動画サイトで俺だけ無修正ダンジョン配信 ~無双してスパチャNo.1になったら世界中の女性パフォーマーから罵詈雑言がDMで届きました~   作:フーツラ

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第70話 悪魔

 赤髪の男は謁見の間を飛び出すと、直ぐ近くに控えていた騎士と会話してから剣を受け取り、駆けていった。

 

 この街に現れた脅威の情報を聞いたのだろう。なんの迷いもなく、城の中をもの凄い速度で走っていく。

 

 その後を追いながら、頭を整理する。

 

 コリンヌは王に俺達を紹介した。オークキングの話などを踏まえると、「勇者」という肩書が俺達に与えられた可能性が高い。

 

 それに対して反発したのが俺の前を行く赤髪の男だ。謁見の間にいたのは貴族や王族だろう。その中であのような態度を取れるということは、かなりの地位があり、かつ実力者だと推測できる。

 

 男は城を抜けると更に速度を上げる。大通りを往来していた人々は赤髪の男の姿を認めると、あわてて道を開けた。その流れは連鎖する。

 

 海が真っ二つに割れるように道が開けた。その道を赤髪の男は弾丸のような速度で進んでいく。

 

 地球の基準でいえばA級冒険者以上。身体能力だけならS級クラスかもしれない。

 

 そんな男が異世界からのぽっと出の勇者を認められないのは、理解できる。

 

「諸越さん!」

 

 後方から声がした。軽く首を振って横目でみると、ハヤトだった。必死の形相で駆けている。

 

「俺は赤髪の男を追う! ハヤトは神殿に戻って剣を持って来てくれ! 戦いが始まれば俺が空に魔法を放つ! それが目印だ!」

「分かりました!」

 

 しばらく走っていると、ハヤトの気配がなくなった。神殿に向かったのだろう。

 

 大通りにいる人々の姿はどんどん疎らになっていく。そして剣呑な雰囲気が漂い始めた。

 

 赤髪の男は徐々に速度を緩め、やがてある建物の前で足を止める。その建物は時計塔のようだった。大きな時計と鐘が見える。そして異形の姿も。

 

 異形はMKRYと同じように黒い肌をしていた。しかしMKRYのように数多の目が身体中にある代わりに、腕が六本あった。まるで阿修羅像のような姿をした悪魔……。

 

 そしてその手、一つ一つに悍ましいモノが握られている。人の頭だ。

 

 多手の悪魔は時計塔の鐘の傍に腰かけ、まるで道化師のように人の頭を弄んでいた。

 

「〇△×■〇……!?」

 

 赤髪の男が声を荒らげると、悪魔はお手玉をやめて立ち上がる。そして散歩でもするような気軽さで、中空を歩き始めた。徐々に赤髪の男との距離が詰まる。

 

 多手の悪魔はピタリと足をとめる。宙に浮かんだまま。そしてじろりと俺の方を見た。

 

『時空の歪みを感じたから寄ってみたら、案の定、異界の者がやってきていたか』

 

 直接、脳に声が響いた。MKRYと同じだ。こいつらには言語の壁は関係ないのかもしれない。

 

「お前は何者だ?」

 

 悪魔は少し困った顔をする。

 

『これは参ったな。異界の言語は理解できない。こちらの念話は伝わっているのか?』

 

 小さく頷く。

 

『お前はなぜパンツしか穿いていない? 服はどうした?』

 

 うーん。ボディーランゲージで【ネイキッド】について伝えるのは無理があるな。そもそも敵である可能性が高い相手にスキルのことを伝える必要はない。

 

 俺が考え込んでいると、赤髪の男が剣を大上段に構え、魔力を込め始める。

 

『うん? 私は異界の者に用があるのだ。貴様は消えてよいぞ? それとも私が消して──」

「■〇〇△×……!!」

 

 男の長剣から鋭い斬撃が文字通り飛ぶ。しかし悪魔は焦らない。手にもった人の生首を一つ、飛ぶ斬撃の軌道上に放り投げる。

 

 パアァァン……!! という破裂音と共に、生首は激しく爆発して斬撃を消し飛ばした。

 

 この悪魔、手に触れたものを爆発させることが出来るのか……? 厄介だな……。接近戦は避けるべきだが手元には魔剣がない。今の爆発でハヤトはこの場所に気が付いただろうか?

 

「■〇〇△×■〇〇△×……!!」

 

 赤髪の男は雄たけびを上げながら次々と斬撃を飛ばす。しかし多手の悪魔はひらりと躱しつつ、生首を投擲する。破裂音が連続し、衝撃波によって周囲の建物のガラスが割れて飛び散る。

 

『おっと。生首が足りなくなった。調達しないと』

 

 多手の悪魔はおどけた様子でそういうと、その身を宙高く舞い上がらせる。そして手で庇をつくり、わざとらしくきょろきょろと探し物を始めた。

 

『見つけた』

 

 悪魔が六本の腕を大きく広げ、クイと手をしゃくる。

 

「キャアアアァァ……!!」

 

 悲鳴。一つではない。いくつも連なる。

 

 悲鳴の後は窓の割られた建物から人が飛び出し、宙を舞い始めた。強力な【念動】だ。人間を浮かせるほどの……。

 

 腕の数と同じ六人が悪魔に吸い寄せられていく。

 

 それまで息を潜めていた住人達が窓から顔を出し、絶叫する。しかし、打てる手はない。

 

 赤髪の男も固まっている。斬撃を飛ばせば宙を舞う人間の身体を真っ二つにしてしまうだろう。

 

 どうする……? 時間はないぞ……。

 

「諸越さん……!!」

 

 待ちくたびれたぞ! ハヤト! 

 

 振り返ると、ブリーフを脱ぎ捨てフル【ネイキッド】状態のハヤトが疾風のごとく駆けてきた。フレイムタンとグラビティソードを手にしている。

 

「グラビティソードをくれ!」

「はい!」

 

 ハヤトが投擲したグラビティソードが俺のブリーフのみを切り裂き、地面に突き刺さる。

 

『うん? なんで全裸になっているんだ……?』

 

 悪魔の手が止まった。興味深く俺とハヤトを観察している。

 

 俺は興味を惹き付けたまま、グラビティソードのグリップを握った。フル【ネイキッド】で一気に魔力を流し込み、強力な重力場を作り出す。

 

『なんだと……!?』

 

 悪魔の【念動】で宙に浮いていた人々は直ちに地面に吸い寄せられた。身体はきついだろうが、生首爆弾に変えられてしまうよりはマシだろう。

 

「うおおおおぉぉぉ……!!」

 

 動揺する悪魔にハヤトが放った炎の刃が襲い掛かる。飛翔して逃れようとするが、そうはいかない。俺はグラビティソードに魔力を全力で注ぎ、悪魔の真下に強力な重力場を作り出した。

 

『なぁ……!?』

 

 間抜けな声が脳内に響いた。烈焔の刃が悪魔を呑み込み、その体を炭化させる。ボロボロになった悪魔の腕が崩れるように地面に落ちた。

 

『異界の者よ……。あくまで我々に仇をなすつもりだな? 後悔するなよ……』

「え……!? 逃がすわけないじゃん!」

「そうわよ!! 悪魔は馬鹿わね!!」

 

 このタイミングで現れたのはアカネとマオマオだった。ドローンカメラを飛ばしていることから配信中らしい。

 

 二人は俺やハヤトの前に立つと、半死半生の悪魔と対峙する。

 

「弱っている悪魔にレジスト出来るかしら!?」

 

 アカネは得意の早脱ぎで全裸になると身体をくねらせて【魅了】を発動させた。悪魔の表情がトロンと蕩ける。

 

「もうこうなったら【呪術】を掛けるのも簡単ね~」

 

 マオマオは手に持った粘土人形に魔石を食わせ、「【呪】」と呟く。粘土人形と悪魔の体が【呪術】によってつながってしまった。

 

 サディスティックな表情を浮かべたマオマオ。左手に持った粘土人形をドローンカメラの前に持っていき、右手で「チョキ」をつくる。

 

「えい!」

 

 マオマオが粘土人形の首を無造作に切り落とす。途端、陶然とした表情を浮かべたまま、悪魔の首は胴体と泣き別れになり、鈍い音を立てて地面に落ちた。

 

 数秒後、浮力を失った悪魔の体も地に落ち、頭部と一緒に灰になる。

 

<うおおおおお……!! なんかよく分からないけど勝ったのだ!!>

<異世界での緒戦に勝利したのだ!!>

<相手は悪魔だったのだ!? MKRYとは別の固体なのだ!?>

 

 視聴者が盛り上がると同時に、街の人々も騒ぎ始める。これまでどこに隠れていたのか? というぐらいの人々がわっと表に出てきて大歓声を上げ始めた。

 

 悪魔というのはこの世界の人々にとって憎しみの対象であり、打倒すべき存在なのだろう。

 

 人々が時計塔の周りで大騒ぎしているなか、一人神妙な顔つきをしているのは赤髪の男だ。地面に残された悪魔の灰をじっと見つめている。

 

「悪かったな横取りして」

 

 赤髪の男に話し掛ける。言葉は通じないだろうけれど。

 

「△×■■〇〇〇〇△×」

 

 男は俺に顔を向けると、呆れた様子で何かを呟いた。謁見の間で感じたような敵意は感じない。

 

「アカネ! マオマオ! ハヤト! モロコシュ!」

 

 名前を呼ばれて振り向くと、コリンヌだ。追いかけてきていたらしい。コリンヌは俺達一人一人を指差しながら、何度も名前を呼んでいく。

 

 すると、時計塔の周囲に集まった人々がそれに倣い始めた。

 

「アカネ! マオマオ! ハヤト! モロコシュ!」

「アカネ! マオマオ! ハヤト! モロコシュ!」

「アカネ! マオマオ! ハヤト! モロコシュ!」

 

 人々が何度も何度も俺達の名前をコールする。コリンヌは満足そうに頷き、俺の手を取って歩き始めた。

 

 悪魔討伐の話は瞬く間に広がったようで、大通りには先ほどとは比べ物にならないほどの人混みが生まれていた。その中を、コリンヌと俺達四人が歩く。

 

「ねえ!? なんかこれパレードみたいだね!!」

「そうわね! なんかお祭りみたいわね!!」

 

 アカネとマオマオの言う通り。

 

 図らずも、俺達はこの世界の人々に盛大に歓迎されることになったのだった。

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