【二巻発売】海外のエロ動画サイトで俺だけ無修正ダンジョン配信 ~無双してスパチャNo.1になったら世界中の女性パフォーマーから罵詈雑言がDMで届きました~   作:フーツラ

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第71話 どうしてこうなった

 都市の外れにある練兵場のような場所で俺とハヤトは腕組みをし、訓練の様子を眺めていた。

 

 青く晴れた空にはドローンカメラが舞い、その下で屈強な男達が一心不乱に剣を振っている。全裸で。

 

 率先して剣を振るのは謁見の間で俺達に物申した赤髪の男。名はホエンベルク。

 

 たぶん高位の貴族なのだろうが、一切の恥じらいもなく、一糸まとわず、その鍛え上げられた肉体を天日に晒していた。

 

 三百人を超える騎士が同時に剣を振り下ろすと、鋭く空を切る音が響く。回数を重ねるにつれて剣は鋭くなり、風切り音が高くなる。

 

「訓練を始めた時よりも随分といい音が鳴るようになりましたね」

「剣を刃筋通りに素早く振れるようになった証拠だな」

 

 たった数時間で見違うほどの効果が出ている。これが……思い込みの力か……。

 

「でもどうします? これからもこの国の騎士達が裸で戦うようになったら?」

「翻訳アプリのプロトタイプがリリースされれば、一番最初に誤解を解かなければならないな」

「はい」

 

 ハヤトと騎士達の訓練風景を眺めていると、俄かに辺りが騒がしくなった。嫌な予感がする。

 

「ちょっと! 黙っていなくならないでよ!」

「そうわよ! こんな面白い光景、配信しないと勿体ないわよ!」

 

 練兵場にやって来たのはアカネとマオマオだった。予感的中である。

 

 二人は早速ドローンカメラを飛ばし、全裸で剣を振る三百名あまりの騎士の様子を配信し始めた。すぐにドローンカメラにぶら下がったスマホから、視聴者の驚く声が聞こえてくる。

 

<ちょっと待つのだ! これはどういうことなのだ!?>

<何がどう間違ったら異世界人が全裸で訓練をするようになるのだ!?>

<諸越とハヤトが悪いのだ!!>

<なんか間違って伝わっているのだ!!>

 

 そう。間違って伝わったのは間違いない。しかし、どのようにすべきだったのか……。今も答えはでていない……。

 

 

#

 

 

 悪魔討伐に民衆が大騒ぎしている中、ホエンベルク侯爵は地面に出来た灰の小山を見つめていた。

 

 悪魔の厄介なところはその逃げ足の速さだ。悪魔には空間を操る力があり、その身が危なくなると忽ち、亜空間に逃げ込んでしまう。そして別の場所に出て、まんまと逃げおおせるのだ。

 

「ホエンベルク様……」

 

 鎧姿の騎士が気まずい様子で声を掛けた。ホエンベルクは視線を地面の灰に向けたまま、答える。

 

「これを見ろ。悪魔の灰だ。異界からきた四人組はたった一度の戦闘で悪魔を討伐してしまった。我々が百日かけて追い詰めるところを、昼食を摂るぐらいの時間で奴等は片付けてしまったのだ……」

 

 ホエンベルクは顔を上げると、大通りで突然始まった勝利のパレードを見遣る。鎧騎士も釣られて顔を向ける。

 

「あの裸の男達、そんなに強かったのですか?」

「あぁ。凄まじかった」

 

 悔しそうな顔をして、ホエンベルクは続ける。

 

「最初は、私と同等ぐらいに感じていた。しかし、途中から変わった……。特にモロコシュ。力という概念が人の形をしているかのようだった」

「そんなに……」と騎士は息を呑む。

 

「奴が魔剣に魔力を注ぐと、悪魔でさえ身動きが取れなくなってしまった。それからは一方的だ。ハヤトの烈火の刃で身を焼かれ、弱ったところをアカネとマオマオの奇術でトドメを刺された。見た目だけで娼婦や男娼と侮った過去の自分が情け無い」

「それは仕方のないことです。誰もが思ったことですから」

 

 ホエンベルクは厳しい顔をする。

 

「我々は少々、ひたむきさに欠けていたのかもしれない。今回がよいキッカケになろう」

「異界の勇者に、その強さの秘訣を請うということですか? しかし、そんな簡単に教えてもらえるでしょうか?」

 

 うーむ。とホエンベルクは考え込む。

 

「まずは導きの聖女、コリンヌから聞いてもらおう」

「それがいいかもしれません」

 

 二人は遠ざかっていくパレードを見つめながら、今後の算段について相談を進めた。

 

 

#

 

 

 多手の悪魔を倒してからが大変だった。大通りでのパレードを終えるとそのまま王城に入り、広いパーティー会場のようなところへ通された。

 

 会場の中は立食パーティーの準備がなされており、俺達四人は一番真ん中のテーブルに案内される。

 

 酒やツマミが次々と運ばれてくるのだが、それよりなにより、挨拶に来る貴族を裁くのが大変だった。

 

 ハヤトはちゃっかりブリーフを穿いていたし、アカネも流石に服を着ていたが、俺だけ全裸のままだ。

 

 神殿に替えのブリーフを取りに行く暇もなく、パーティーに雪崩れ込んだのだから仕方がない。

 

「〇▼×〇■、(/ω\)」

 

 若い女が父親? に連れられ、俺達のテーブルに挨拶に来た。

 

 女は頬を恥ずかしそうに視線を外していたが、父親に促されると、アカネ、マオマオ、ハヤト、俺の順に挨拶をしていった。俺の前では耳まで真っ赤にする。そして手で顔を覆いながら去っていく。

 

 これと同じことが延々と繰り返されていたのだ。

 

「諸越! いい加減にパンツ穿きなさいよ!」

「そうわよ!」

「うるせえ! 俺だって穿けるものなら穿きてえよ! ハヤト、替えのブリーフはないのか?」

 

 ハヤトは毅然とした顔で答える。

 

「バックパックの中にはありますが、流石にブリーフを貸すのは嫌です」

 

 だよなぁ。

 

 俺は仕方なく、勝利を祝うパーティーが終わるまでの間、ずっと全裸でいるしかなかった。

 

 

 会場に来ていた貴族達からの挨拶が終わり、パーティー会場にもお開きの雰囲気が流れ始める。メイド達が料理を下げ始めたころ、しばらく姿を消していたコリンヌが俺達の前に現れた。

 

「お疲れ様でした」という感じで頭を下げると、コリンヌは会場の入り口を手で指す。神殿に戻るのだろう。

 

 コリンヌに先導されて王城の中を歩く。最初は俺の全裸に気を失ったコリンヌだったが、今は平気だ。なんなら「これが勇者だ!」とばかりに得意げにしている気配すらある。

 

 馬車寄せには既に、行きと同じ二頭引きの馬車が止まっていた。御者台では見覚えのある白髭の男が帽子を取って頭を下げている。

 

 コリンヌに促されて客室に乗り込むと、直ぐに馬車は動き出した。

 

 パレードで通った大通りをまた引き返す。扉についた小窓からは茜色の夕陽が差し込み始めた。間もなく陽は落ちるのだろう。

 

 コリンヌは客室の照明をつけると、少し改まって、またペコリと頭を下げた。

 

「しかし、長い一日でしたね」

「あぁ」

 

 この馬車に乗って神殿を出たことが遠い過去のように感じる。

 

「異世界二日目で街中の人にチンコ見られてうれしそうにする男二人」

「変態わね~」

「うるせえ! 俺達は必要だから全裸になったんだ! アカネとは違う! アカネは絶対、趣味で脱いだだろ!」

「はいはい」

 

 アカネとマオマオがニタニタと俺達を弄る。

 

 その様子を見て何かを思い出したのか、コリンヌが客室内にあったスケッチブックを手にし、さらさらと何かを描き始めた。そして、くるりと回してこちらを見せる。

 

 スケッチブックの左端に黒い肌の異形が描かれていた。多手の悪魔だろう。そして右には俺達四人の似顔絵がある。

 

 コリンヌは昼間の戦いのことを話したいらしい。

 

 四人で頷くと、コリンヌはまた何かを描き始めた。描き終えると、また披露される。

 

 スケッチブックの左にはパンツを穿いた俺とハヤトのイラスト。右にはキャストオフして全裸になった俺とハヤトのイラスト。股間の描写は省かれている。

 

 コリンヌは俺達の顔色を窺いながら、左から右へと矢印を引いた。

 

「うん? 何で諸越とハヤトが全裸になって戦ったのか知りたいってこと……!?」

「それは全裸見られると気持ちいいからわよ!」

「違う! 適当なことを言うな!」

 

 コリンヌはニコニコしながら俺からの説明を待つ。まぁ、当然気になるよな……。二人とも全裸になっていれば……。しかし……。

 

「どうやって説明すれば……」

「力こぶでも作れば伝わるんじゃないですか? ちょっと借りますね」

 

 ハヤトはコリンヌからスケッチブックとクレヨン? を受け取ると、まずパンツ有のイラストを指差す。次にスッと指を滑らせ、パンツ無のイラストを指差す。そしてすかさず、右腕を上げて力こぶを作った。

 

 目配せをしてくる。俺にもやれ。ということらしい。

 

 ハヤトに倣って右腕を上げて上腕二頭筋に力を込めた。【ネイキッド】の効果により、いつも以上に筋肉が隆起し、根源的な力の波動が客室内に流れた。

 

 コリンヌが瞳を見開く。

 

「ハヤトがブリーフ脱いで同じことをやった方が伝わるんじゃない?」

 

 と言うが早いか、アカネがハヤトのブリーフを素早く剥ぎ取る。脱衣関連のスキルがカンストしているだけのことはある。

 

「ほらハヤト! 力こぶ作ってみて!」

「はやくはやく!」

 

 二人に促され、フル【ネイキッド】になったハヤトが再び、右手の上腕二頭筋に力を入れる。先ほどよりも逞しく筋肉が隆起し、力の波動が馬車の客室に広がる。

 

「〇▼×……!! ━Σ(゚Д゚|||)━」

 

 ハッキリ違いを感じとったコリンヌは何か叫んだあと、口を開けたまま呆然とした。

 

「これが【ネイキッド】の効果です。全裸になれば全てにおいて圧倒的な力を発揮します」

 

 そう語りながら、ハヤトはアカネからブリーフを奪い返し、さっと穿いてシートに座った。

 

「まぁ、とは言っても【ネイキッド】は俺とハヤトだけのユニークスキルだ。他の人の参考にはならないと思うぞ?」

 

 言葉は伝わっていない筈だが、コリンヌは俺の言葉に何度も頷いて見せた。

 

 【ネイキッド】の説明をしているうちに陽は落ち、馬車は進む。やがて、馬車を引く馬は常歩となり、止まった。神殿に到着したらしい。

 

「〇▼×〇■□▼×〇▼×」

 

 本当にありがとうございました。のようなことを言ったのだろう。馬車を降りた後、コリンヌは俺達四人に深く頭を下げた。

 

「もう! コリンヌちゃん、頭下げ過ぎ!!」

「そうわよ! もっと気楽でいいわよ!」

 

 アカネとマオマオがコリンヌを挟み、背中をバシバシと叩く。二人なりに気を遣っているのだろう。

 

「〇◆×〇……」

 

 コリンヌは俺達を神殿のメイドに引き継ぐと、また馬車に乗って出掛けていった。

 

「さーて! 今晩こそ異世界のイケメンを頂くよ!」

「二日も開けると病気になるからね~」

「夜這いすんじゃねえ!」

 

 アカネとマオマオに大人しくするように念押しをして、俺は神殿の客間に入り、久しぶりにブリーフを穿くのだった。

 

 

#

 

 

「ホエンベルク侯爵の屋敷までお願い」

 

 コリンヌは異界の勇者四人をメイドに引き継ぐと、白髭の御者に話し掛ける。

 

「こんな時間からですか?」

「ええ。侯爵は『何か分かったらすぐに連絡を』とおっしゃっていたので」

 

 御者は両眉を上げて驚いてみせたあと、すぐに出発の準備に取り掛かる。それを見て、コリンヌは満足そうに頷き、一人客室に乗り込んだ。

 

 馬車は今来たばかりの道を引き返して行く。

 

 蹄の音を聞きながら、コリンヌは独り言ちる。

 

「まさか、本当に人前で全裸になることが強さの秘密だったとは……」

 

 パンツを脱いだハヤトとモロコシュが力んだ瞬間、放たれた力の波動。それはコリンヌを納得させるには十分だった。

 

「しかし、あの気高いホエンベルク侯爵が受け入れてくれるかしら……」

 

 馬車は夜の大通りを進む。

 

 ホエンベルク侯爵の屋敷に着くまで、コリンヌはずっと思案に暮れるのだった。

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