【二巻発売】海外のエロ動画サイトで俺だけ無修正ダンジョン配信 ~無双してスパチャNo.1になったら世界中の女性パフォーマーから罵詈雑言がDMで届きました~   作:フーツラ

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第75話 淫欲の悪魔

 褐色の肌に黒い紋様を浮かべた女型の悪魔が、丘の上の廃墟でその身を風に委ねていた。瓦礫に凭れ掛かるように座っていると、時折吹く強風が艶のよい黒髪を靡かせる。

 

 女型の悪魔が空を見上げると、雲は逃げるように流れていく。その雲が流れ着く先に向けて、目を凝らす。

 

 遠く遠く。遥か遠くに集落が見えた。

 

 更に目に力を込める。ニヤリと笑い、満足そうに口元を緩めると、悪魔は右手を高く上げた。

 

 天に向けた掌には深紫に妖しく光る珠が生まれている。悪魔はその珠にゆっくりと爪を立て、やがて握り潰した。

 

 深紫の光珠の中から現れたのは、無数の粒子。

 

 風に乗り空高く舞い上がると、雲を追いかけるように流れていく。

 

 悪魔はその様子を見て満足そうに頷いた。

 

『淫子が増えるまで二十日といったところかしら……』

 

 風に向かって話し掛ける。

 

 風は強く吹いて「ヒュウ」と返事をした。

 

 悪魔が淫子と呼んだ深紫の粒は空に溶けながら、遥か遠くの集落を目指す。

 

 トロンとした赤い瞳でしばらく空を眺めた後、何かを感じ取ったように、背を伸ばし、女型の悪魔は立ち上がった。

 

『……誰か、灰になったようね……』

 

 生き物のように黒髪がうねる。悪魔の心のざわめきを表すかのように。

 

『この方角は……王都セントレア? 誰が居たのかしら……』

 

 しばらく王都のある方角を見つめた後、急に興味を失ったように、ストンと腰を下ろし、悪魔はまた瓦礫に寄り掛かった。

 

『あぁ。楽しみだわ……。慎み深いロリアン王国の人々が淫子を取り込み、淫蕩の限りを尽くすようになる日が……』

 

 女型の悪魔は顔に微笑みを浮かべたまま瞼を閉じる。そしてまた、風に身を委ねた。

 

 

#

 

 

「日常配信でも結構見る人いるんですね。今も一万人以上、視聴者が接続してます」

「異世界の風景が珍しいのだろうな」

 

 ハヤトは馬車の客室の窓から外を眺めた後、自分のスマホに目を落とした。ExtremeChatのアプリを開いているのだろう。

 

 つられて俺もスマホを見る。確かに一万人を超える視聴者がHAYATO垢に繋いでいた。画面にはなだらかな丘陵が映されている。ドローンカメラが馬車の外を飛び、異世界の風景を流しているのだ。

 

 コメント欄には考察勢が押し寄せ、異世界の植生や生態系についてアレコレ議論を交わしていた。

 

 とてもエロチャットとは思えない高尚さだ。

 

 ドローンカメラが小動物を映す度にスパチャが投げられ、ハヤトがお礼のコメントを返す。まったりとした時間が流れていた。

 

 馬車の中がこんなにも静かなのはアカネとマオマオが眠っているからだ。

 

 二人には馬車の揺れが心地よかったらしい。互いに身体をくっつけて、「スースー」と寝息を立てている。

 

 その横ではコリンヌが地図の上に悪魔の羅針盤を置き、難しい顔をしていた。悪魔の潜んでいそうな場所を探しているのだろう。

 

「見当はつきましたか?」

 

 翻訳アプリを介したハヤトの問いに、コリンヌは頭を振る。

 

『方角は分かっているんですが、幾つも村や町があるので絞り切れてないです。もう少し進んでみないと分からないですね……』

 

 申し訳なさそうにするコリンヌを気遣い、ハヤトは笑顔を作る。

 

「焦っても仕方ありません。じっくり行きましょう。食料は沢山積んでますし」

 

 今回の旅は馬車二台と護衛の騎士五名と、それなりの大所帯だ。一台の馬車の客室には俺達四人とコリンヌ。もう一台は食料や武具、野営道具が山になって積まれている。そして馬車の周りを騎馬に載った騎士が見張りながら、街道を進んでいた。

 

 どこに悪魔が潜んでいるか分からない以上、しっかり準備をする必要があった。

 

 実際のところ、一番焦っているのはハヤトだろう。しかし、そんな様子はおくびにも出さない。

 

 ただ馬車に揺られていた。

 

 しばらくすると、ドローンカメラが客室の窓から中に入ってきた。あまりにも絵に変化がなさすぎて、搭載AIが気を利かせたようだ。

 

 ドローンカメラはハヤトの膝の上に着地し、対面に座るアカネとマオマオを映した。コメント欄が反応する。

 

 

<平和なのだ>

<二人とも眠っていると、かわいいもんなのだ>

<眠っている間だけはまともな女子に見えるのだ>

 

 

 視聴者のコメントに反応するように、アカネが寝言を言う。

 

「……諸越ぃぃ。無理だってぇぇ。オークキングの王冠かぶってやるのはぁぁ」

 

 

<前言撤回なのだ!>

<眠っていてもとんでもない女なのだ!>

<平和な時は破られたのだ!>

<諸越……! まさか、試そうとしたのだ!?>

 

 こいつ……。いったいどんな夢を見てやがるんだ……。

 

「諸越さん?」

 

 ハヤトが驚いた顔を俺に向ける。

 

「俺がそんなことやるわけないだろ! アカネが勝手に妄想しているだけだ!」

「ですよね」

 

 アカネの夢は続いているようで、頬を赤く染めながら、身体をくねらせる。

 

 すると、今度はマオマオが寝言を言った。

 

「……ヒールの部分で踏むの? モロコシは注文が多いわね~」

 

<諸越! どこを踏んでもらうつもりなのだ!>

<二人、そんな関係だったのだ!?>

<女に興味ないと思っていたのに! 幻滅なのだ!!>

<ワシも昔はよくヒールにお世話になったものなのだ>

 

「諸越さん?」

 

 ハヤトが再び俺を見る。

 

「俺は何もやってないし、やられてない! こいつ等が勝手に夢を見てるだけだ!」

「……ですよね」

 

 馬車の旅は続く。

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