今回も、冒頭は重い話になるので、前回と同じく不愉快な描写が含まれるかもしれません。
ご了承ください。
※2025年2月25日追記……リアライズノユメの騎手の名前を間違えていたので修正。
2011年3月11日───東日本大震災の発生。
まさか、前世で起きたあの大災害がここでも起きてしまうなんて……。いや、正直言って、「起きてほしくなかった」という気持ち半分、もう半分は日々の調教ですっかり忘れてしまっていた。
しかし、続々入る被災地からの情報や同時に増え続ける死傷者数、東日本全域及び北海道での被害のニュースなどなどを聞いているうちに、暗い気分になって、いつの間にやらこんなことを考えてしまっていた。
「仮に
「それを果たして大勢に信じてもらえただろうか?」
あの日の夜はそんな自問自答に苛まれた。
でも、その直後、疲れた顔をしながら私の様子を見に来た福延さんが私のお腹を枕にして寝始めてしまうと、私までもがうたた寝して、次に気が付けば翌日の朝8時だった。
「震源地に近い福島競馬場の被害はかなり酷いらしい。盛岡と水沢は馬場や馬こそ無事だったらしいが、釜石にあった場外馬券場が津波にやられて何人か流されたって話だ。栃木のほうは、宇都宮では競馬場含めて多くの建物に被害が出て長時間停電が続いたそうだ」
『うわぁ……そっちは大丈夫なの?』
「
本来なら野田トレセンに帰る日だったけど、それどころではなくなった。
幸いにして、高崎競馬場と群馬トレセンのライフラインはほぼ無傷で、浦和と高崎を結んでいる関越自動車道にも大きな被害は特に無いらしい。
しかし、さいたま市では震度6を観測した場所もあり、野田トレセンに残っていた岡嶋先生の息子さんである光和さんはトレセン内の片付けに追われていたため、群馬トレセンにいる岡嶋先生は、携帯のビデオ通話機能を使って光和さんと打ち合わせがてら群馬トレセンと高崎の現状報告をしていた。内容としてはラジオや高崎競馬場、及び群馬トレセンで仕入れた情報と、野田トレセンの被害状況などのやり取り。その中には当然、被災地から入ってきた情報も出てくる。
「ここから近い足利市でも死者は出ていないらしい。競馬場も厩舎も無事だそうだ。そっちはどうだ?」
『片付けが大変だよ……あと、桜花賞も中止だって』
「何!? ……そうか。そりゃそうなるよな」
足利と高崎が無事だったとはいえ、あの後、宇都宮と東北沿岸、関東全域の被害を鑑みた群馬競馬と栃木競馬の関係者が会合をした結果、北関東競馬の3月の開催は全部取りやめ。4月は未定ながらも北関東桜花賞と北関東皐月賞は中止か延期になる可能性が高いらしい。
それに、浦和で行なわれるはずだった桜花賞も震災の影響で開催中止というか南関東も3月いっぱいの開催取り止めになった。
特に、船橋競馬場の状況はかなり酷いらしい。地震による揺れだけでなく液状化現象などで馬場が使えなくなってしまったんだという。
『舞浜と船橋競馬場は液状化現象で酷いことになってるみたい。あっちはコースが使えないから調教できなくて……』
「そうなると何頭かうちの厩舎に
『あぁ、その件でちょうど相談したかったんだ。4月半ばぐらいまで厩舎の馬房を借りたいって話が来てる。河島さんから「うちのを一頭か二頭預かってくれないか?」って』
「一頭か二頭か……「それだけなら預かります」って伝えてくれ」
『いいのか親父……じゃなくてテキ?』
「あぁ。ただホントに「一頭か二頭」だぞ? それ以上はキャパが足りないって言っといてくれ」
『分かったよ』
「それと、河島さんがうちの厩舎を見にくるっていうなら、お前はあの人に張り付いておけ。あの人の調教は参考になるだろう」
『分かった、ありがとう。どれぐらいで帰れそう?』
「まだ何とも言えないな……足利と高崎は無事で、浦和までの道も使えるが、こっちも色々とっ散らかっているしな。おまけに予定まで吹き飛んだとあれば……まぁ、早くてもあと2日か3日は掛かるかもな」
『あー……ハルナちゃんの桜花賞も中止だしなぁ……次をどうするかすら決まってない』
「日本全国が競馬どころじゃないのはわかっているんだ。でも、これが俺たちの仕事だしな……」
その後、光和さんとの通話を終えた岡嶋先生は「さぁどうしたものか」と腕を組んで、私のレースローテを練り直すことに。
しかし、事実上ほぼ1年分の予定を作り直すようなものだから、当然、1日や2日で片付くはずもなく……そもそも1ヶ月先にレース開催が出来るかどうかも定かでない現状からレースローテの組み直しなんて難しいどころか無謀に思える。
恐らくは重賞の幾つかは中止ないしは代行開催を余儀なくされる。記憶が正しければ、確かオルフェが出走する皐月賞も中山開催が出来なくて府中の東京競馬場に会場を変更することになったし、この年のマイルCS南部杯も中止こそ免れたものの、盛岡ではなく東京での開催に変更されたはずだ。前世との差異がいくつか出てるから場所は変わるかもしれないが。
そんな最中でも間借りさせて貰っている群馬トレセンで私と福延さんは調教を続行した。
予定がどうなるかわからないけれども、それ即ち「仕事が休み」というわけにも行かない。
これから野田へ帰るにしても何処か行ってから帰るにしても、何処の陣営も人馬共に大地震による動揺が未だに残ったままだし、岡嶋先生も福延さんも厩務員さんたちにも皆等しく疲労の色が濃く見えていた。
なので、少しでも気が紛れることをしたいって思うのは人も馬も同じだろうか。
そもそも、私たち浦和勢や、プカラさんたち地元群馬勢、それに足利所属のユメちゃんも、割とみんなまだマシなほうだった。
一番深刻な問題を抱えたのはクーパーくん。
彼が所属している美浦トレセンの被害状況がかなり酷い状態だそうで……茨城県や福島県ともなれば、その惨状なんて語るまでもない。
改めて、自然の脅威を目の前にしては人も動物も等しく無力だということを思い知らされた。
そして、
いよいよ明日か明後日にでも野田トレセンに戻る準備を進めて、福延さんと岡嶋先生、それに私をも交えて、今後の予定を話し合う───こんな表現で合ってるか分からないけれども、岡嶋先生は漸く散らかった予定を纏め終えた様子だった。
しかし、その前に一本の電話が掛かってきた。
「お電話代わりました、岡嶋です」
『浦和の岡嶋正男調教師ですか?』
「はい、そうですが」
『失礼しました。私、福山市市長の羽根田と申します』
「え? あ、あの、どういったご用件で?」
『はい、実は……単刀直入に。このような状況で大変言い出しづらいことなのですが───』
───数日後、3月28日。
行きの道中、いつもの如く光和さんの選曲で「Vacation」や「Rush Hour」などのGoGo’s尽くしな車内BGMの馬運車に揺られながら、遥々やってきましたのは、広島県の福山競馬場*1。
【さぁ今年も福山競馬場にやって参りました第9回若草賞ダート1800m、3歳牝馬の限定戦。今年から地方競馬全国交流競走に指定された本競争でありますが、ラジオの前の皆様は耳を澄まし、テレビをご覧の皆様は観客席をご注目ください。今日の福山競馬場は平日にも関わらず超満員御礼。先ほど来場者数が5万人を突破したとのことです!*2】
【それもそのはず、今年の若草賞には北関東・南関東の優駿たちも駆けつけて、何と13頭立てでの競走! これは2009年より福山開催となった本競走において最多の出走馬が揃うことになりました! 南関東からの参戦は皆さんもご存知な浦和のハルノウラワを始め、船橋からはマニエリスム*3とマルヒロブライティが。大井からもクイーンオブシーの参戦、そして北関東からは足利のリアライズノユメが駆けつけてくれました!】
私が知ってる歴史では中央競馬にケイジが現れたお陰で2013年の廃場を免れて2024年にも存続していた中国地方唯一の地方競馬場。
この世界ではどうなることやらと思っていたら、何と収容人数の2.5倍のお客さんが来てしまった!?
いやん、福山競馬場が壊れちゃうー!
「凄いことになっちまったなぁ……」
「福山競馬場始まって以来の大盛況って触れ込みらしいぞ」
うわぁ、マジか。
しかも、浦和と北関東の桜花賞が中止になった影響で、私とユメちゃんだけでなく、見覚えのあるマルヒロブライティと、今回の地震でうちの厩舎にダイバートしてきたお牝馬のマニエリスムちゃんまでもが参戦というビックリ箱みたいな状況に。
ちなみにこの3歳牝馬限定戦の「若草賞」。
凄くややっこしいことに、元々は笠松で初めて開催された競走だったそうだけど、それが2009年からは福山競馬場での開催になり、2014年からは名古屋に移っていた。
私がいた世界の2023年では名古屋開催で格付けも「SP1」になってるけど、福山開催では単に「重賞」という扱いだったとか。
ここで、関東圏の競馬再開時期が不透明(3月16日時点)で、しかも浦和の桜花賞が中止になり、そこに福山市の市長が直々に出走のオファーに来たともなれば乗らずにはいられない。
……まぁ、浦和の桜花賞は無理でも、4月から順次競走は再開するみたいなんだけどね。
【この内、ハルノウラワとリアライズノユメが1番人気の座を僅差で争っています。格付けがなされていない重賞であるにも関わらずレース前から人気争いが白熱してます!】
【うわぁ、今更ですが、これ本当にただの重賞なんですか? G2とかJpn1じゃなくて!?】
【そう仰りたい気持ちも分かります。近年、キャパに見合わず閑古鳥が鳴いていた福山競馬場ですが、今日は一味も二味も違い、かつてない程の賑わいを見せています。注目の1着賞金も、何と過去最高の700万円、2着以下の賞金も同様に100〜50万円の振れ幅こそあれど急遽増額という大盤振る舞い! なお優勝馬には副賞として福山市長賞。及び福山市営競馬会特別賞が付きます】
【先日のドバイワールドカップにて日本馬たちがワンツーフィニッシュを決めた影響でしょうか?】
お? あの伝説の名勝負の話をここでするの?
この実況さんが言ってるのは、ドバイのG1に参戦したヴィクトワールピサとトランセンドのことだろう。
私が人だった時の
そんな時に、競馬民たちを勇気付けるような戦果を齎したのがあの
ただ、前世との差異はやはりある。
例えばブエナビスタなんかがそうだ。前世ではドバイワールドカップに参戦するも8着だったのが、この世界では生まれが3年早いので参戦するどころか引退済み、何ならそのオーナーが
【あのレースは確かに凄かったですよね。きっとこのレースを見に来た人々のほとんどがトランセンドとヴィクトワールピサの勇姿を知っているかもしれません。しかし、それだけではございません。今回の競走について。2月の大井で行なわれた桃花賞勝利馬のマニエリスムの陣営によれば、「ハルノウラワとの対決の舞台に浦和の桜花賞を想定していた」とのことです】
【なんと……しかし、先日の東北地方の震災の影響で急遽中止になってしまい、それでここへ?】
【とのことです。また、ユングフラウ賞でハルノウラワに先着されて4着に終わったマルヒロブライティ陣営も「このままでは終われない」と決意を固めて福山に上陸して参りました。さらに、3月16日の時点では北関東桜花賞の開催が不透明だったため、兵庫ジュニアグランプリと全日本2歳優駿でハルノウラワの好敵手として矢面に立ってきたリアライズノユメも参戦という南北関東勢の豪華メンバーが揃いました】
【これがまさか俗に言う「ハルノウラワ効果」でしょうか?】
【きっとそうでしょうね】
4月から南関東で開催が再開されるとはいえ、私が参加すると聞きつけたら、そこにユメちゃんたちも乗っかってきた。
その結果、n回目の「ご覧の有様だよ!」というわけである。我ながらこんなこと言うのも飽きてきたが、そう表現するしかないんだから許してちょ。
【この他には兵庫からリジョウクラウンとマンボビーン、笠松からタキノナアチャンとミラノボヴィッチ、高知からタケショウマンボ、地元福山からはムツミマックスとユメミルチカラの2頭が参戦です】
……ん? ミラノボヴィッチちゃんを曳いてる調教師の人、どっかで見たような気が……ラブラブアタック?チャンネーチャン?そんな名前のお馬さんの調教師をやっていたような……?
〈ねぇ、ちょっと。どうしたのハルナ?〉
〈ん? うーん……見覚えのある顔の人なんだけど、何で知ったか忘れちゃったことってユメちゃんはある?〉
〈人の顔? そんなん
え? マジか。まるで欧米人から見たらアジア人がみんな同じに見えるとか言われちゃうみたいな?*4
〈でも
〈……まぁね。でも、あなたみたいに周りの細かいことまではさっぱり〉
〈そっかー……〉
〈で、あなたが気になった人って誰?〉
〈人を見分ける自信はないけど〉と前置きしたユメちゃんに、私はミラボノヴィッチちゃんに一旦視線をやり、さらに鼻先を彼女の調教師先生の方に向ける。
その先生を見てユメちゃんは、
〈うーん……? 見覚えがあるような無いような?〉
〈そっか……〉
〈……ちょっと。あんたたち何見てんのよ?〉
〈〈あっ〉〉
調教師の人を見ていたら、件のミラノボちゃんに怒られた。こりゃ失礼。
「……さっきっから何か視線を感じるなぁと思ったら、リアライズノユメとハルノウラワが俺のことを見てきてるように思えたんだが?」
「きっと気のせいですよ」
ミラノボヴィッチを引いてる厩務員と調教師は、同じパドックにいた2頭からの視線を単なる偶然と思って片付けようとした。
ところが、同じ笠松から参戦のタキノナアチャンを曳いていた厩務員が2人にこんなことを言った。
「……いや、わからないぞ、酒田」
「北山さん?」
「北山、それってどういう意味だ?」
「知らないんですか? 柳井さん、ハルノウラワって実は休憩中に競馬新聞を読んでるとか言われてる馬なんですよ」
〈!〉
タキノナアチャンを担当している北山厩務員の言ったことがハルノウラワにも伝わった。
ミラノボヴィッチを担当している調教師の名前は柳井さん───そう言われて思い出した。
(柳井調教師っていうと、
ハルノウラワは前世で起きたことを思い出そうとする。
だが、彼女の頭がフル回転していることも露知らずに柳井は、
「はっ。まさか。ダイタクヘリオスみたいなことあり得るわけない」
そう笑い飛ばした。しかし尚も北山は食い下がり、こんなことを暴露した。
「いや本当なんですよ、浦和にいる同期が教えてくれて。何なら昨日、ドバイワールドカップの録画を岡嶋先生と一緒に見てたのを目撃しました」
え?それ、コンプラ的にヤバいんじゃぁ……?
「ホントかよぉ」
「マジですよ? 反応がギャン中のおばさんみたいでしたし」
ちょ!? 見知らぬ
「ブルルルッ……!」
「「「!?」」」
「……まさか、今のを聞いて怒っちゃったのか?」
「は、ははは、まさかなぁ……?」
ハルノウラワが「悪口を言われた」と認識したのだろうか?
「そんな馬鹿な」と思ったミラノボヴィッチ陣営と北山厩務員だったが、実はその勘が当たっていたのを後日知ることになる。
当然だが、ハルノウラワが人の言葉を理解できるだけの、いや、それ以上の賢さを持つことをハルノウラワ陣営はもはや常識として知っているので、厩務員がハルノウラワを宥めた。
「気にするなよハルナちゃん。大丈夫。勝って見返してやろう。な?」
「……ヒヒンッ」
「よしよし、良い子だ」
それから間も無く、「止まーれー」という間延びした声がして、パドック内を周回していたお馬さんたちの歩みが一旦止まる。
そして、私の背中に福延さんが乗ったのを確認すると、再びパドックをまた周回する。
(正確には北山のせいだが)ギャン中のおばさん呼ばわりされたことに腹は立ったが、それでも前世にあったことを記憶の奥の奥まで探っていたら、福延さんを背中に乗せてからパドックを2、3周グールグルしてから漸く……柳井さんのこと、思い出した。あぁなっちゃうんだよなぁ……。
何とかならないものか……うーん……。
「……ハルナちゃん、何か考え事してるのかい?」
ギクッ。……福延さんたら何で分かったの?
「何で分かったの? みたいな顔してるね。見てれば分かるさ。けど、今はレースに集中しなさい。いいね?」
……そうだね。何も今日明日にあの悲劇が起きるわけじゃない。まずはこの若草賞を勝たなきゃね!
第9回若草賞(重賞)
ダート右1800m / 天候 : 晴 / ダート : 良
| (枠番) | (馬番) | (馬名) | (騎手名) |
1 | 1 | ミラノボヴィッチ | 濱口久須彦 |
2 | 2 | マンボビーン | 末浦昌宏 |
3 | 3 | リジョウクラウン | 岳村達哉 |
4 | 4 | タケショウマンボ | 森永太一 |
4 | 5 | タキノナアチャン | 筒井裕輔 |
5 | 6 | ヒシダイアナ | 津々井悠介 |
5 | 7 | ユメミルチカラ | 黒河智洋 |
6 | 8 | クイーンオブシー | 三村弘典 |
6 | 9 | ムツミマックス | 池田登志喜 |
7 | 10 | ハルノウラワ | 福延悠一 |
7 | 11 | リアライズノユメ | 益田紀文 |
8 | 12 | マルヒロブライティ | 三本松泰人 |
8 | 13 | マニエリスム | 尾崎啓太 |
【今日の福山競馬第10競走。サンケイスポーツ杯第9回若草賞。全国から集まった3歳牝馬13頭によって行なわれます。ダート1800m、天候は晴れ、馬場状態も良となっています】
【返し馬が終わり、各馬がゲートに入ります。偶数番の馬がまずは入りまして、10番ハルノウラワがゲート入り───】
【───最後に13番のマニエリスムが収まりまして全馬枠入り完了し───、】
続けて、間を置かずにガチャンッという音がしてゲートが開き、
【───スタートしました、各馬揃った綺麗なスタート。7番ユメミルチカラと9番ムツミマックス、福山所属の代表馬たちが真っ先にハナを取りまして、三番手に12番マルヒロブライティ、続いて1番ミラノボヴィッチ、4番タケショウマンボ、高知馬が続きます。六番手に10番ハルノウラワ、5番タキノナアチャン、11番リアライズノユメ、13番マニエリスム。ここまでが先行集団を形成しています。大井から参戦の8番クイーンオブシーが十番手の位置にいてそのまま第1コーナーに入ります。6番ヒシダイアナ、3番リジョウクラウンと2番マンボビーン、兵庫勢が現在最後方のまま先頭集団が第2コーナーを越えて向正面へ。ここで先頭に出ます9番ムツミマックス、12番のマルヒロブライティが二番手。三番手にユメミルチカラ、ここでハルノウラワがやや前に出て四番手に上がっていきます。順位を振り返っていきます。先頭は依然としてムツミマックス、福山の代表としてここは意地を見せたいところ。二番手にマルヒロブライティ、三番手に上がってきたぞハルノウラワ。ここで兵庫勢も動いた、2番マンボビーンが凄い勢いで上がってくる、7番ユメミルチカラを交わして大外から四番手に上がってきた。五番手に足利のリアライズノユメが続き、13番マニエリスムと3番リジョウクラウン、1番ミラノボヴィッチが追走。第3コーナーに入ります。ここで先頭に立ちました10番ハルノウラワ! ムツミマックス追いますが届きません、後ろからマンボビーン、リアライズノユメ、マニエリスム、リジョウクラウンがどんどん上がってきた。第4コーナーでも先頭譲らないハルノウラワ、二番手のマンボビーンから3馬身リード、三番手はリジョウクラウンとリアライズノユメが争う! マニエリスム、ミラノボヴィッチ、ヒシダイアナ、クイーンオブシーが上がってくる、マルヒロブライティも後を追い、そのまま最終直線に入ります! ハルノウラワ、先頭を維持して粘る、だが後方からリジョウクラウンとリアライズノユメが追い上げてきた! 残り200、リジョウクラウン、ハルノウラワまで1馬身半まで迫るが粘る粘るハルノウラワ、そのままゴール! 第9回若草賞! 1着はハルノウラワ! 若草に桜が芽吹いた! 浦和で咲けなかった無念をここ福山で晴らして浦和の桜吹雪が春風を呼び込んだ! 一足早く福山に桜が満開だ!!】
「「「ワァーッ!!」」」
【2着と3着は写真判定です。4着にマンボビーン、5着も写真判定です】
【凄いレースになりましたね……2着と3着は、リジョウクラウンとリアライズノユメ。体勢的にリジョウクラウンが有利か。5着もミラノボヴィッチとマニエリスムのどちらか。確定までお待ちください】
〈はぁ……はぁ……はぁ……ふぅー……あ、あんた、やるじゃないの……!〉
〈ぜぇ……はー……ぜぇー、はぁー……あ、あたしの調教師をジッと見ていた奴に負けたぁ……〉
〈そ、そんなムキにならなくても……〉
〈あたしのせんせーにあんたたちガン付けていたくせにぃ……!〉
〈〈?〉〉
何の話?
ハルノウラワとリアライズノユメはそう思った。
この直後に分かったことだが、実はミラノボヴィッチちゃん。私たちが柳井さんのことをジッと見ていたことやその時の私たちの反応を見ていて柳井さんのことを馬鹿にしていたように思い込んだらしく、それで私たちにレースで勝とうと闘志を燃やしていたみたい。
当然ながら事実無根で、私たちは〈(彼女の先輩である)ラブミーチャンの調教師さんだったから気になってしまった〉と口を揃えて弁明したら
ついでに、北山厩務員におばさん呼ばわりされたことにキレたことも言い含めたら、今度はタキノナアチャンが謝りにくるというカオスな状態になった。
しかし……「
うーん……また天啓が降りてきて欲しい……。こういう時こそクロさんとエルちゃんに相談したいのになぁ。実に困った。どうしよう……。
2011年3月28日月曜日 福山競馬 第10競走
第9回若草賞 重賞 ダ1800m(右) 晴 良
着順
1着・ハルノウラワ
2着・リジョウクラウン
3着・リアライズノユメ
4着・マンボビーン
5着・マニエリスム
6着・ミラノボヴィッチ
8着・タキノナアチャン
いや実はね、本当ならここまで描くつもりなくて、若草賞は次回に回すつもりでいたんです。
しかし、いざ投下しようとしたプロットが、こう言ったらあれですが、何だか上手く噛み合っていなくて。作り直している内に行間が詰まっていき、気付いたら作中で時間が2週間ぐらい飛ぶことになりました。
それにしてもサウジカップ、フォーエバーヤングは凄かった……最終直線でロマンティックウォリアーに前に出られた時は負けたと思ったのに、残り50mぐらいで差し返してくるなんて思いもしなかった。
ちなみに動画でフォーエバーヤングが矢作さんの帽子を被ってたのを見ると、「ウマ娘化したらこの帽子を被って出てきそうだなぁ」なんて思った。
続いてフェブラリーステークスも凄かった。コスタノヴァの初G1制覇と、急遽騎乗することになったレイチェル・キング騎手の日本での初G1制覇と情報量が多すぎぃ! こうなるとユングフラウ賞でも何かとんでもないものが出そうな予感がする……!