浦和の桜吹雪   作:Simca Ⅴ

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 まさかの2日連続更新になるとは自分でも思っていませんでした……。

 アンケート、締め切らせていただきます。
 皆様、ご投票ありがとうございました。

 また、零課様へ。
 改めまして、キャラクターの使用許可をいただきありがとうございます。

 あと、(今更ではありますが)今回はストーリーの演出上、登場する史実馬たちのイメージが大きく異なる場合があります。
 ご了承ください。


#16「最初で最後のチャンス〜2011年オーバルスプリント〜」※後書きにおまけ有り

 黒潮盃から約2週間後。

 

《兵庫の雷神、大井でも炸裂!》

 

 その見出しのスポーツ新聞がハルノウラワの馬房に額縁入りで飾られていた。

 写真には、ウィナーズサークルでグリーディング用の特別馬具に身を包んだハルノウラワと、「第45回黒潮盃」の優勝レイを肩に掛けたオオエライジンのツーショットを中心に、優勝騎手や関係者たちが一緒に映り込んでいた。

 

〈……ふっふっふ〉

「……ハルナちゃんまたニヤけてる」

「黒潮盃でオオエライジンと再会してからずっと嬉しそうだもんなぁ」

 

 それを見ていて微笑ましいような呆れたような呟きを漏らす調教師親子。

 

「……さぁて、ハルナちゃーん。もう時間だよー」

〈はーい〉

 

 おはようございます、ハルノウラワです。

 気付けば明日には本番のオーバルスプリントが控えていて、今日はその仕上げ。

 

 そうそう。

 実はこんなに嬉しいのはオオエライジンくんと再会して黒潮盃の勝利を祝福できたことだけではない。

 

 だいぶ前になるけども、まず、日本ダービーをオルフェが勝利してクラシック二冠を達成したこと。

 

 次に、クーパーくんが新潟の新馬戦(ダート1800m)を無事に勝ち上がったことと、函館でもゴールドシップが新馬戦を勝利して勝ち上がってるのが分かったこと。

 

 そして何と、この世界にもちゃんと「ケイジ」が存在していることがその後の競馬新聞を読んでて確定したのだ!

 

 とはいえ、私は彼らと道が交わることはないと思ってる。

 そもそも、彼は後に無敗で中央のクラシック四冠を達成して、菊花賞ではゴールドシップとの同着勝利を決める歴史的快挙が待っている。

 対する私は彼の一年先輩だけども、地方でチヤホヤされてる程度の所詮はアイドル馬の二世に過ぎない存在だし、純粋に実力ではきっと彼には太刀打ちできないだろう。きっと人気も後々彼に上塗りされるだろうし。

 何せ、2014年凱旋門賞の「日本艦隊」勝利の立役者だ。私に同じことができるかと問われれば、即座に「無理」って答えると思う。

 

 まぁ、私は別に、今は地方で走れるだけで満足よ。

 だってこの後のオーバルスプリントでは、プレジャー先輩やユメちゃんとの直接対決が待っているし、その次のJBCレディスクラシックではクラーベセクレタとのリベンジも決定。ついでに、同時開催のJBCスプリントにはオオエライジンくんも出てくるし、JBCクラシックでは“砂のハヤブサ”スマートファルコン、“超越者”トランセンド、“高知総大将”グランシュヴァリエ、そして、“高崎の撃墜王”シャッタードスカイの四強が参戦の頂上決戦……! 同じレースでこそ走れないけど、時間があったら色々と話を聞いてみたいなぁと思ってたりする。

 ちなみに昨日、出走表を見て驚いたけど、前述の“高知総大将”グランシュヴァリエもオーバルスプリントに出てくるらしい……。

 さらに、JBCステイヤーズにはナコウトプカラさんとナコウトオトメオーによる同馬主対決まであるという。しかも、この2頭(ふたり)の父親がナリタトップロードとテイエムオペラオーなもんだから、「覇王世代の娘たちの決戦」と大々的に宣伝されてる。欲を言えば、アドマイヤベガ産駒やメイショウドトウ産駒も参戦して欲しかったけど……前者は早死に、後者は芽が出なかった故か。結局覇王世代の子供世代がJBCステイヤーズで出揃う、というのはこの世界では夢物語で終わってしまった。……まぁ、無いものはないのだから、嘆いても仕方がない。

 

「それにしても、ジャパンダートダービーに出て、出走しないとはいえ黒潮盃の日に炎天下の大井でグリーディングをして、これからオーバルスプリントとJBCレディスクラシックか……スケジュール的にこの子に無理をさせていないか心配になってくるなぁ」

「まぁ、でも、この子はすごいよテキ。だって、同じレースを走った馬との再戦には目を輝かせてるんだもん。しかもスケジュールまで知ってて尚嬉しそうな雰囲気を漂わせながら調教に来る。こんな馬は初めてだよ」

「そうだな。ついでに字まで書けるアイドルホースってなると唯一無二だろうな」

 

 調教の合間合間の休憩で、そんなことを岡嶋さん親子が言ってた。

 まぁ、岡嶋先生の危惧もわからないでもない。

 だけど、同期や知り合いが同じレースに出るなら、私だってやる気にならざるを得ない。じゃないと示しがつかないでしょ?

 それに。

 

「……お、見ろよ、富山さんのとこのプレジャーだ」

 

 私たちが休憩していたら、調教コースを駆けていくプレジャー先輩の姿が見えた。

 

「何か……去年のオーバルスプリントからまるで別の馬みたいになったよね」

「だな。しかも、9歳馬で衰えもあるはずだってのに、あんなにやる気に満ちた姿は初めて見た」

「セイウンプレジャーにとっては現役最後のレースでもあるからね。陣営もそりゃ気合が入るよ」

 

 その理由を野田トレセンのみんなはほぼほぼ知ってる。

 そう、私が焚き付けたようなものだ。

 

「新聞の見出しもまぁ凄いことになってるなぁ」

 

 光和さんが指摘したのは、今回のオーバルスプリントの特集が組まれた記事。

 

 《9歳の最年長馬vs浦和の新世代アイドル》と題して、私とプレジャー先輩の対決が注目されてる……。

 あ。

 メインの写真、去年のオーバルスプリントの時、私が無理やり観客席まで行ってレースを見に行った時のやつだ。

 レースが終わった後の私とプレジャー先輩のツーショットまでバッチリ撮られてるし。

 

「紙面にデカデカとセイウンプレジャーが写ってるね……」

「今年の出走メンバー、本当にこれでただの重賞扱いか?」

 

 光和さんと岡嶋調教師(せんせー)も思わず口をあんぐりさせている。

 何々、内容は、っと……、

 

《この馬は燃え尽きた───浦和に移籍してきた時のセイウンプレジャーの印象を調教師の富山不二男氏はそう語った》

《しかし、そんな馬にも実は燻ってる火種は残っていて、そこに火をつけたのは間違いなく、ハルノウラワの存在でした》

《当時のハルノウラワはダートG1の全日本2歳優駿を勝利し実力を示し始めていましたが、まだまだ「ハルウララの子」としての知名度の方が高い、言うなれば、「虎の威を借る狐」とか「親の七光り」といった陰口のような辛辣な評価も見え隠れしていました》

《ところがハルノウラワの存在は、それからの数ヶ月の活躍で間違いなく浦和だけでなく、地方競馬全体に変化を与えたと言えるでしょう。これまで競馬に興味を持たなかった層の人々が地方競馬場に足を運ぶようになり、特にハルノウラワを応援している層は小学生などのお子様が多く、そのお子様たちにせがまれた親御さんたちが一緒に競馬場へ訪れるようになり、その親御さんたちがハルノウラワだけでなく、各々が応援したいと思った馬の馬券を買うようになったり、競馬そのものを「ギャンブル」というよりは「スポーツ」として観戦するようになったりなど、数年前までその場所にあったことすら知らなかったはずの地方競馬場へ毎週のように足を運び、そこに友人知人を誘ってさらに訪れる人を増やすという連鎖が生まれました》

《これはハルノウラワだけではなく、彼女と同世代、もしくは同じレースで切磋琢磨する現役世代たちの中にも光る実力を持つ馬たち、取り分け、ハルノウラワと同じレースを走り善戦したり好走したりした馬たちにも注目が集まったからこそ》

《同レースには他にも注目株がズラリ。ハルノウラワの同期であり、北関東二冠牝馬のリアライズノユメ。今年のさきたま杯の勝者でオーバルスプリント連覇の期待も掛かっているナイキマドリード。高知総大将グランシュヴァリエなどなど》

《さらに、この内、ハルノウラワやグランシュヴァリエなどが次走の照準をJBCに合わせており、オーバルスプリントは間違いなくその前哨戦と言えるだろう。今年のオーバルスプリントは中央では格付けなしの重賞扱い(南関東のグレードとしてはS2に昇格)、しかし、蓋を開ければ、出走馬のメンバーだけでも南関東重賞どころか、G2かG3に匹敵する。例年よりもレベルの高いレースが期待される》

《なお、本レースでセイウンプレジャーは引退が決まっており、同日の第12競走終了後に引退式も予定されている》

 

 ……ワーォ、こりゃプレジャー先輩の華を持たせるだけじゃなくて下手なレース出来ないね。久々にプレッシャーを感じるかも?

 

「たかだかG3を1勝しただけの馬なのに、引退式までやるなんて……」

「馬主の西野さんに対して発起人の黒松さんがとにかく頼み込んで、引退式だけでなくハルナちゃんのためにプレジャーを引き取るんだというし。そのために今回の優勝賞金と同額を西野さんに出したっていうんだから中々粋な事をするよな」

 

 ちなみに、今回のオーバルスプリントでプレジャーさんが引退するのは周知の事実なんだけども、実はうちの馬主さんがプレジャーさんを買い取ることが確定してるらしく、暫くは浦和で誘導馬をして、その後種馬にするみたい。

 ただ、プレジャーさん曰く「自分の血統は怪しいから果たして種付けさせてくれる相手がいるかはわからない」だそうな……。

 ……まぁ、大丈夫、きっといい事あるよ。

 仮に大成出来なくても、私が引退した後も同じ牧場に知った顔がいると安心できるし。それに、プレジャー先輩の側にいると落ち着くし。

 

「実はハルナちゃんのお婿さん候補だったりして?」

〈まさかぁ〉

「でも、浦和所属になってからプレジャーが心を許している様子の馬といえばハルナちゃんぐらいだし、あり得るんじゃないか?」

〈んもぅ〉

「あだっ、イテテ……」

 

 おっと……滅多なことを言われたもんだからつい光和さんを小突いちゃった……。

 自分のやらかしのせいでこうなっちゃったわけだから……気不味いけど、私は謝罪の意を込めて光和さんの顔をペロペロと舐め回すことにした。

 

「だ、大丈夫だよ、ハルナちゃん……イテテ……」

「ハルナちゃん……、君は一体何をやっているんだい……?」

 

 光和のボケにツッコミを入れたことを賢いと感心すべきか、それともその結果、光和の脇腹にハルナちゃんのクリーンヒットが入ってしまったことを責めるべきか。あるいは、謝罪の意思を込めた顔舐めを褒めるべきか。

 ……そう一瞬悩んだ末に岡嶋調教師が捻り出した一言は、褒めるでも責めるでもなく、困惑した様子での問い掛けだった。

 

 ただ、ハルナはやはり賢い。まるで怒られると気付いたかのように、目に見えて悄気ていたのを岡嶋調教師は見逃さず。

 

「全く……でもまぁ、そんな顔するなよ……オーバルスプリント、勝てたら思いっきり撫でてあげるからな?」

「ヒヒンッ」

 

 ちなみに、光和の怪我は大した事なかった。痣こそ残ったが、それも数日で消える程度の軽いものだったのは幸いだった。

 若くて羨ましいよ。

 


 

 2011年9月8日、浦和競馬場。

 

 浦和開催日2日目第11レース 第22回オーバルスプリント(重賞)

 ダート左1400m / 天候:晴 /ダート:良

(枠番)(馬番)(出走馬名)

1トーホウオルビス

2テイエムカゲムシャ

3ケイアイライジン

4グランシュヴァリエ

5ハルノウラワ

5トーホウドルチェ

6ディアーウィッシュ

6ナイキマドリード

7キングスゾーン

710ダイショウジェット

811リアライズノユメ

812セイウンプレジャー

 

【平成23年第5回浦和競馬開催2日目。今日のメインレースは第11競走、今年で第22回を数えるオーバルスプリント、ダート1400m。去年までは12月開催でしたが、今年からは9月開催の交流重賞となりました。去年まで格付けは南関東G3(S3)でしたが、今年は南関東G2(S2)に格上げに*1。出走馬12頭。地方中央問わず、短距離ダートの実力馬たちが一堂に会しています】

【その中でも注目なのは、5枠5番ハルノウラワ。一番人気です。今や浦和を代表するアイドルホースと名高いですが、前走ジャパンダートダービーは繰り上がり勝利ながらも、最終直線でクラーベセクレタ、オオエライジンらと接戦を繰り広げた実力は本物。そんな彼女とかつて兵庫ジュニアグランプリ、全日本2歳優駿、そして福山の若草賞などで激闘を繰り広げたのは、今日の三番人気、8枠11番リアライズノユメです】

【去年の年末にJRAから足利に移籍して、その後、北関東牝馬二冠を達成。三冠目の北関東秋華賞を来月半ばに控えていますが、その前に、宿敵ハルノウラワに引導を渡すべく、ここオーバルスプリントに参戦して参りました】

 

〈ねぇ聞いた? 「宿敵に引導」だって〉

〈私たちの関係ってそこまで大袈裟じゃないのにねー〉

 

 第10競走がつい先ほど終わり、オーバルスプリントに出る私たちはパドックでグールグルと周回中。

 若草賞以来の再会となったユメちゃんと旧交を温めながら、実況の解説にゆるくツッコミを入れる。

 

【二番人気に、去年の勝者ナイキマドリード。今日は6枠8番での出走です】

 

〈俺の一番人気は取られたか……お嬢さんたち。やってくれたな〉

〈え? どなた?〉

〈マッド先輩、お久しぶりでーす〉

〈おう、ハルノウラワ、とか言ったな。去年のオーバルスプリントでは応援ありがとうな〉

〈いえいえ〉

〈え? ハルナちゃんこの(ひと)と知り合い?〉

〈え、まぁ、うん〉

〈去年のお前さんは観客席に座っててビックらこいたが、活躍は聞いているぞ、特にクラーベセクレタから〉

〈え? クラーベセクレタ?〉

 

 マッド先輩の口からその名前が出てきて一瞬目を白黒させたが、穴が開くほど読んだはずの競馬新聞の内容を思い出すと、漸く理解できた。

 

〈……あぁー、そっか、セクレタとマッド先輩って同じ厩舎でしたっけ?〉

〈そうだ。JDDの激闘なんてもう耳にタコができるぐらい聞いたぞ。それだけに、失格になったと知った時には不貞寝して一日調教に出てこなかったが〉

〈うっわぁ……〉

〈……え? 失格って何があったの? シャコウ、とかやっちゃったの?〉

〈あー……話せば長くなるしなぁ……〉

 

 馬同士の交流というのは本来は狭いものだ。

 色んなところを転戦して、同じレースを走る馬や、見かけた馬に話しかけたりするなんて私ぐらいだろう。大抵のお馬さんというのは(特に闘争心を引き出すための調教を受けてる競走馬などは)神経質で臆病でピリピリしていたり、余所余所しかったりするのが普通だ。

 そんなお馬さんに話しかけに行ってる私が馴れ馴れしいかもって? 分かってる。自覚はある。

 でも、そうしないと退屈だし寂しいし場が持たないからねー……。私なりのルーティーンよ、ルーティーン。

 

 ただ、個人的に、セクレタの失格があってもなくてもJDDは私の負けだったと考えてる。そのクラーベセクレタが失格になったのもカフェインの摂取が原因だというけど、人間の基準で言ったら禁止薬物にもならないはず。

 ユメちゃんの言う斜行も失格になる行為ではある。メジロマックイーンに乗ってた若き日の(タッケ)さんだってやらかしてるし。

 

 しかし、賭ける側だった時(人間だった頃)は……こう言ったらアレだが、そういった「失格」や一着降着といったレース内容は馬券が買える年齢になって(大人になって)からはあまり見たことがない。だから、正直何とも言えないし思えなかった。

 

 だけど、走る側になってみると(競走馬としての今生では)、実にモヤモヤするものだ。

 私みたいに思う馬が果たして他にいるかはわからないけれども、少なくとも私自身は勝者として胸を張れない。「ジャパンダートダービーを勝ちました!」だなんて、とても言えない。

 

【去年のオーバルスプリントに出走した馬といえば他にもいます。8枠12番セイウンプレジャー!】

【既に9歳馬、にも関わらず、今日は六番人気です。競走馬としてはだいぶ高齢故に陣営より本競走で引退する旨を受けていますが、前走では宇都宮で開催された国内G3のさくらんぼ記念を制覇。それも、フリオーソやグランシュヴァリエなどの強豪たちが集まったレースを最低人気で一着でしたからね】

【引退レースを勝利で飾れるか注目です】

 

〈やぁ、ハルナちゃん〉

〈プレジャー先輩〉

〈……まだあれから九ヶ月しか経っていないのが信じられないよ〉

〈……そうですね〉

 

 思い返せば、二頭(ふたり)が出会ったのは去年の12月末だった。

 それから帯同馬として群馬トレセンに修行へ行ったり、東日本大震災の時は年長者としての貫禄を活かして周りの馬たちを落ち着かせたり。

 さらに、今まで手が届かなかった重賞で勝利を収めてみせた。

 

 改めて振り返ると、出会って1年も経っていないとは思えないほどの内容の濃さ。

 

 それもこれも、セイウンプレジャーにとっては全てハルノウラワの存在のお陰だった。

 

〈中央ではうだつが上がらず燻っていて、碌な戦績すら立てられない内に故障して気付けば地方に流されて、そこでやる気を無くしていた俺を奮い立たせて、こんな大舞台にもう一度来るきっかけを君は与えてくれた。だから今回は君へのお礼の代わりに俺の全力をぶつけよう。手加減はしないぞ〉

〈……えぇ、もちろんです、先輩。私も全力で挑ませていただきます〉

 

【セイウンプレジャー、ハルノウラワと睨み合っていますが……】

【去年のオーバルスプリントは特別開催のハルノウラワ・グリーディングが並行で行なわれていましたが、あの時のハルノウラワは観客席からレース模様を見ていました。セイウンプレジャーが4着同着になったあのレースでは、走り終わった後のセイウンプレジャーが、まるでお礼を言うためにハルノウラワに近付いていきました。それが、今年は両者ともにレースを走る側にいます。浦和の新星アイドルに立ち塞がるは、数多のライバル、その筆頭がこのレース最年長のセイウンプレジャーです。新世代エース対ベテランの対決……それを見守るため故か、本日は平日の木曜日の夕方にも関わらず、スタンド席のほとんどが既に埋まっています。売り上げも過去最高を更新しそうな勢いです……!】

 

 ……ちなみにここだけの話だけど、このレースの後に船橋競馬の関係者から「さざんかテレビ杯*2にも出てください……!」と馬主さんは懇願されたらしいけど、「日程的に無理できないのでダメです」と断りを入れた結果、船橋競馬場の関係者さんたちは血涙だの悔し涙だのを流したとの噂まで……。え? 私が出てないだけでそんな影響が出るものなの? こう言っちゃなんだけど、そのさざんかテレビ杯にもダートのスターたちがいるんだよ? フリオーソとかスマートファルコンとかいた気がするけど……あれ? そういえばもう一頭有名なお馬さんがいた気がする、エスポワールシチーだったかな……?

 

〈おい、貴様か〉

〈……?〉

〈貴様じゃ、貴様。そこの娘〉

〈……え? 私ですか?〉

〈そうじゃよ。この高知総大将を無視するとはなんと生意気な〉

〈? え? 高知総大将? まさかあなたがグランシュヴァリエ!?〉

〈いかにも。我こそはグランシュヴァリエ。其方が其方があのハルウララの娘とな?〉

〈え。あ、はい。……うぅ゛ん、あー、我こそはハルノウラワ! ハルウララの娘なり!〉

 

 黒鹿毛のいかついあんちゃんから声をかけられたら、まさかのまさかであのグランシュヴァリエだったでござる、……って、私も変な口調が移っちゃった。

 某SFドラマのクリンゴット人*3みたいな名乗りになっちゃったけど、咄嗟に出てきた口上がこれしかなかった!

 

〈ハルノウラワ……やはりお前か。去年はよくもやってくれたな?〉

〈え? ……えぇー、恨みっこなしですよぉ……!〉

 

 高知総大将ご本人様(グランシュヴァリエ)が私になんか因縁付けてきたけど、一瞬何のことやらと思ったら高知でやった新馬戦のことだよね? えぇー……誰経由か知らないけど恨み買うような走り方なんてしてませんよー!?

 

〈お前との勝負を心待ちにしていたぞ。わしの家臣を正々堂々破ってみせ、それも人気を独り占めとは……〉

〈あ、あの……?〉

〈……クソッ、許せん! 羨ましいではないか!!!

 

 えぇー……!? 恨みというか会ったこともないはずの馬から嫉妬されてたってこと私ぁ!?

 

〈高知所属でもないお前みたいな余所者に勝ち逃げされた上に人気まで奪われ……わしの家臣たちにとってそれがどれだけの屈辱だったかお前には分かるまい! このぽっと出の小娘め……デカい顔をしおって〉

 

 いやいやいや、確かに親の七光りかもしれないですけど、そこまでは言い過ぎ!?

 でもこういうタイプの人って言い返したら面倒なことになるし、どうしよう……って、え!?

 

【おっと、どうしたことでしょうか。セイウンプレジャーがハルノウラワとグランシュヴァリエの間に入ります……】

 

〈おい、高知総大将さんとやら〉

〈……この老耄め、この前はよくもやってくれたな?〉

「ビヒヒーンッ!!!」〈口の聞き方に気をつけろ、この若造が!!〉

 

【あ、セイウンプレジャーがグランシュヴァリエに激しく嘶きました!?】

 

「ヒヒーンッ!!!」〈……あ゛ぁん!? やろうってのか!?〉

 

「ちょ、おい、落ち着け!」

「プレジャー、どうどう……!」

 

 あぁ、厩務員さんたち困ってるじゃないの……。*4

 

〈せ、先輩、あの、ちょっと……〉

〈止めないでくれ、ハルナちゃん〉

「ちょ、マッド?」

「ユメちゃんも?」

【そこに、リアライズノユメとナイキマドリードまでもが乱入!?】

【あぁ、大変です、パドックは一触即発の状態です】

〈おっさん、俺も同じ気分だ〉

〈同じく。私も黙っていられない〉

〈高知総大将だか何だか知らんが、碌にG1も勝ってないくせによく言うぜ〉

〈そうよ〉

〈いや、あの、ねぇ……?〉

〈……ケッ、腑抜けどもが。ハルノウラワ、そうやって周りに助けられて満足か?〉

〈……ちょっと、今なんて言った?〉

()()()()()()()()()()()()()()()()と言ったんだよ〉

〈……ハッキリ言っていい? 何が高知総大将か。あんたなんて最低(さいってー)

〈〈〈……!!〉〉〉

 

 明らかにドスの効いたハルノウラワの声。

 こんなのは兵庫ジュニアグランプリでオルフェーヴルを注意した(わからせた)時以来だ。

 しかし、今回はさらに怒りも籠っているように感じた。

 

〈こんなのが高知総大将? 私のお母さんがいた高知を代表する馬があんたなの? ハッキリ言って面汚しだわ〉

〈……〉

〈いいこと? 私にとって、このレースはとても大事なものなの。それをあんたなんかに台無しにされてなるもんですか! 「デカい顔するな」だって? そんな大口を叩くのは私たちに勝ってからにしなさいよ。私だけでなく、南関東のみんな、全国のみんな、ここに集まった私を含めた11(にん)、全員を抜かして真っ先にゴールに辿り着いてみなさいよ、高知総大将さん? 私は誰よりも、あんたよりも早くゴール板を抜けてみせる〉

〈……〉

〈……今度はダンマリ? 全く、失礼しちゃうわね〉

 

 何かスイッチが入ったハルノウラワは、グランシュヴァリエに対してそう捲し立てるかのように言って退けた。

 途端に黙りになったグランシュヴァリエに対して、一旦冷静になったハルノウラワは怒りから一転して呆れたかのように溜め息を吐きながら、パドックの周回に戻って行った。

 周りの馬たちからの視線も気になるが、ついハルノウラワがギロっと睨むと、周りも彼女をつい避ける。

 こんなハルノウラワを見るのはこの場の誰もが初めてだった事だろう。

 去年の覇者であるがまだ知り合いの域にしか達していないナイキマドリードだけでなく、彼女をよく知るリアライズノユメとセイウンプレジャーまでもがその迫力に驚愕して固まってしまう。

 その雰囲気を破ったのは誰かのクツクツとした笑い声だった。

 

〈……クックック〉

〈〈〈……?〉〉〉

〈クックック……ハーッハッハッ!! 言ってくれるじゃないか。こうじゃないと面白くない〉

〈……おい、あんたまさか?〉

〈あぁ? ……あぁ、悪いなおっさん。あのハルノウラワとかいうアイドルホースとか持て囃されてる小娘だがな、どんな奴か気になっていたんだよ。特に、本気で怒らせたらどうなるかをな〉

〈え、じゃあ、さっきのは芝居?〉

〈まぁな。さっき「腑抜け」とか言ったのは謝る〉

〈あ。あぁ……わかった〉

〈だがな……あの()()()()も言ってただろう? 「誰よりもゴールを先に駆け抜ける」ってな。俺もそうだし、お前らもそうだろう? 失望させるなよ。そんな状態で勝っても全然嬉しくないからな〉

 

 

 

「ハルナちゃん……何だか今日はやけに湯気が立ってないか? 大丈夫かい?」

「ヒヒン」〈大丈夫〉

 

 パドックでの周回も終わり、福延さんを背中に乗せてもう一度周回してからコースに向かう途中、福延さんにそう声を掛けられた。

 さっきのやり取りを見ていなかったらしいので適当に誤魔化した。

 

(さっきのハルナちゃん……いつもとはまるで別の馬みたいだったな)

 

 しかし、福延もあの現場を実は見ていた。

 グランシュヴァリエがハルノウラワにちょっかいを出したらしき場面といい、そんなハルノウラワとグランシュヴァリエの間にセイウンプレジャー、リアライズノユメ、さらにナイキマドリードまでもが割って入った姿。

 そして、どうやらグランシュヴァリエがハルノウラワを怒らせたらしく、文字通りの野次馬と化していた他の出走馬たちからの視線をハルノウラワが払い除けていた様子も。

 残念ながら、ハルノウラワの思惑とは裏腹に福延は騒動の一部始終を見ていた。

 

「……」

 

 そこでふと思った。

 

「!」〈福延さん!?〉

「大丈夫だ、ハルナちゃん。君は良い子だよ」

 

 福延は愛馬にそう語りかけるように声を掛けながら、優しく首筋や立て髪を撫でた。

 

「……グランシュヴァリエだろ」

「!」

「……あいにく、俺は拓さんや生沿くんみたいには、馬同士の会話がどんなもんかは分からない。だが、あいつに何を言われたかはどうだっていい。重要なことは一つ。このレースを勝つのは俺たちだ。そうだろう?」

「! ヒンヒンッ」

「そうだ、良い子だ。……今日はこれで行こう」

「ヒヒン」

 

 そうして、一人と一頭(ふたり)にしか分からない合図で、今日のレース展開を決めた。

 


 

【各馬ゲートに収まりまして───】

 

 ガチャンッ、

 

【───スタートしました、先頭、ハルノウラワが逃げで行きます、その二番手にナイキマドリードが続きまして、三番手にトーホウオルビス、外側からキングスゾーン、少し遅れてリアライズノユメ、北関東二冠牝馬が続きます。ここにいた、セイウンプレジャー。今日がラストランです。1周目スタンド前を通過して第1コーナーへ。続きます、2番テイエムカゲムシャ、7番ディアーウィッシュ、10番ダイショウジェットで第2コーナーを通過。向正面へ。高知総大将グランシュヴァリエ、ここで追い抜きに掛かる。ケイアイライジンが最後方だ。先頭は依然ハルノウラワ、上がり3ハロンのタイムは37.8秒。間も無くレースも折り返し地点、二、いや三番手との馬身差は10馬身以上開いているが、そのハルノウラワに喰らいつくここで二番手は12番……セイウンプレジャー!? セイウンプレジャーが二番手に上がってきていた!? 】

〈!?〉

 

 その実況に反応して観客席からも騒めきが増した。

 ついでに、ハルノウラワも驚きを隠せなかった。

 

(えぇ!? ここで上がってきちゃうの先輩!?)

〈ハルナちゃん、いや、()()()()()()! いざ尋常に勝負!!〉

〈……えぇ、行きますよ!!〉

 

【さ、三番手に後退したトーホウオルビス、トーホウドルチェが上がって代わりに三番手へ。五番手に控えるナイキマドリード、その後に僅かな差で続くリアライズノユメ! ハルノウラワの同期です! 追随するはテイエムカゲムシャ、ダイショウジェット。グランシュヴァリエも早めに上がってきた! 第3コーナー入りましてディアーウィッシュ、ケイアイライジン、最後尾にキングスゾーンです】

【ここからラストスパート、先頭のハルノウラワ、二番手のセイウンプレジャーとの間は1馬身差、その後方から後続もどんどん追い上げてくる。三番手に躍り出たぞナイキマドリード、続くはグランシュヴァリエにダイショウジェットにリアライズノユメ! さぁ、先頭ハルノウラワのまま最終直線! ハルノウラワ、セイウンプレジャー伸びていくが、外からナイキマドリードにグランシュヴァリエにダイショウジェット、さらに大外からリアライズノユメも飛んできた! 先頭集団固まっています、トーホウドルチェは一歩遅れたか。ここで、前に出たのはナイキマドリード、いや、さらに外からリアライズノユメ、ハルノウラワとセイウンプレジャーも必死で追い縋る! グランシュヴァリエとダイショウジェットが五番手、これは厳しいか、そのままゴール! 先頭は……ナイキマドリードとリアライズノユメの叩き合い、これは……写真判定です。3着にハルノウラワ、浦和のアイドルホースは惜しくも敗れた! 4着に半馬身でセイウンプレジャー……おっと、ここで5着入線でグランシュヴァリエとダイショウジェットも写真判定です。よって6着も未定。7着にトーホウドルチェといった具合か】

 

 結果が出て、息を整えて、改めて電光掲示板に目をやったセイウンプレジャーはやり切った顔をすると同時に溜め息も吐いた。

 

〈かー、悔しい……敗けたぁ〉

〈先輩……お疲れ様でした〉

〈あぁ、ハルナちゃん……いやはや、最後の最後で不甲斐ない有様を見せちまったな〉

〈いいえ。最後の直線の先輩も十分怖かったですよ。最後の最後で溜めた脚を使おうとしたら追いつかれそうになって焦っちゃったし。やっぱり落ち着かないとダメですね……〉

 

 実際問題、まさか第3コーナーに入る前にセイウンプレジャー先輩が二番手に上がってきたという実況を聞いて驚いた。

 最終直線で勝負を仕掛けてくるものとばかり思っていたのに。

 

〈いいや、紛うことなく俺の負けだ。最終直線でギリギリ脚が残るか分からんかったから俺も焦ったんだよ……〉

〈あぁ……なるほど……〉

 

 つまり、あの時セイウンプレジャー先輩から感じたのは私へのプレッシャーと焦りだったか……。

 ウマ娘で言うとデバフスキル(「圧迫感」や「逃げためらい」)みたいなものを私は食らってたのか……いかんなぁ、賢さが足りないよ賢さが。

 

 そうして、1分か2分か、時間が経ったら、お、1着は……、

 

【1着、11番リアライズノユメ! リアライズノユメ、3歳牝馬、北関東の二冠女王がオーバルスプリントを制した! 牝馬による、それも3歳馬による勝利はオーバルスプリント始まって以来! 歴史的快挙を達成しましたリアライズノユメ!!】

 

「わあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

【2着にハナ差でナイキマドリード……】

 

 あー……歴史的快挙をユメちゃんに持っていかれちゃったかぁ……、流石にこれは悔しい……。でも、友達が勝ったんだし、ね。

 一足早く声をかける権利はあるでしょ!

 

〈ユメちゃん、優勝おめでとう〉

〈! あ、ありがとう、ハルナちゃん……〉

〈おー、おー、よしよし、涙ぐむのはウィナーズサークルが終わってからにしなさいよ〉

〈でもでも……南関東の重賞で初めて勝てたから……〉

〈あー……そっかぁ〉

 

 言われてみると、ユメちゃんが重賞を勝ったのって北関東を除くと門別でやってたエーデルワイス賞ぐらいだったっけ。

 

〈クッソォ……、若手のメスガキたちに一杯食わされたわ〉

〈メスガキって……失礼なぁ。ざぁこざぁこって罵ってあげようか?〉

〈メスガキ? 雑魚?〉

〈あ……ユメちゃんはまだ知らなくていいからね〉

 

 ってかこの時代からあったっけ、「メスガキ」なんて単語……?

 ちょっと恥ずかしくなったので目を逸らすついでに掲示板に目を向けたら……あれ? 右側にハナ差って出てるのに、5着が空欄?

 

【お知らせします、先ほどの第11競走にて入線した4番グランシュヴァリエと10番ダイショウジェットにつきましては、写真判定の結果、5着同着とさせていただきます。繰り返しお伝えします。5着が同着のため、着順掲示板に馬番号を掲示できないので、ご了承ください】

 

 5着同着?

 グランシュヴァリエと、えっと……ダイショウジェットさんが?

 はー、こんなこともあるんだなぁ。

 そうなると今回のレースで賞金貰えるお馬さんが()()もいるってことになるわけで。

 えー……太っ腹だなぁ。まぁ、6着同着にしちゃうと馬主さんから文句言われそうだし、あまり起きないことだけど当然だよね。*5

 

〈はぁ!? 5着同着!? 何だそれ!?〉

〈へー。俺も30戦ぐらい走ってるがこんなことになったのは初めてだわ〉

〈俺だってもう8歳だが、こんなの見たのは初めてだぞ?〉

 

 同着自体も珍しいが、それが賞金を貰えるか否か(5着か6着か)のラインで起きることはさらに珍しい。

 確率で言ったらどれぐらいか忘れちゃったけど、滅多に起きるものじゃないのは確かだ。

 


 

 なお、翌日の競馬新聞にはしっかりとユメちゃんがトップの写真に載ったし、プレジャー先輩の引退式の模様もバッチリ載った。

 

 《9歳のベテラン馬勇退。浦和のアイドルホースに後を託す》って見出しと一緒に。

 

 さらに、今回の珍記録も別のページで紹介されることになった。

 

 そして、私は───、

 

《ハルノウラワ、次走は大井開催のJBCレディスクラシックを目指す》

《JBCレディスクラシック、初代チャンピオンの栄冠は誰の手に? 2011年11月3日大井開催の第8レースは18時発走》

 

 今回のオーバルスプリントでは偉業を達成できなかったけど、次こそは勝つ!

 何てったって、次走の出走メンバーには───、

 

《クラーベセクレタ陣営、JBCレディスクラシックへの出走を表明か》

《ハルノウラワへのリベンジに挑む》

 

 ふっふっふ……そうこなくちゃね!

 

*1
ただし、交流重賞に認定されたため、JRAの基準では「格付けなしの重賞」という扱いだった(〜2012年まで)。2013年より、日本国内G3(Jpn3)の格付けとなり現在に至る。

*2
史実の日本テレビ盃。ここではウマ娘でのレース呼称に統一しています。ご了承ください。

*3
???「クリンゴン、です」

*4
馬が厩務員に引かれていて騎手が乗っていないのは、パドックで出走馬が周回する時の前半の状態。後半からが騎手が乗った状態を言うらしい。

*5
ちなみに、2010年のオーバルスプリントの賞金額は、1着が2000万円、2着が700万円、3着が400万円、4着が200万円、5着が100万円だった




 ぱかライブに出てきた声優さんの役名が伏せられていて、反応集では「グランシュヴァリエかも」とかいう声もあったので、実馬のグランシュヴァリエを出すなら今しかないと思いました。

 ちなみに、2011年のオーバルスプリントは映像も実況も残っていないので、netkeiba様を参考にさせていただきつつ、ほぼ1から展開を作りました。(何故かパドック映像は残ってるのにぃ……)

◎おまけ
 14.5話の中でチラッと触れたこと。
 このハルノウラワがいる世界の2022年組がどうなったかを簡単に箇条書きしてみる。

○イクイノックス
 この世界とは異なり、2023年の有馬記念にも出走。ドウデュースを2着に抑えてゼンノロブロイ以来20年ぶりとなる秋古馬三冠を堂々と達成して引退する。

○ドウデュース
 この世界とは異なり、屈腱炎にはならず2024年の有馬記念に出走し、レガレイラをハナ差で破って無事に秋古馬三冠を達成。前年のイクイノックスに続く2年連続の大偉業に日本中が大盛り上がりしたことは言うまでもない。なお、ハルノウラワがいる世界では2022年の東京大賞典に参戦して勝利。2023年は海外遠征し、ミラノ大賞典と凱旋門賞などを勝利して凱旋帰国している。

○スキルヴィング
 青葉賞を勝利するも、2023年の日本ダービーでは出馬表が出た翌日に感冒に罹り、出走を断念せざるを得なかった。
 その代わり、同年の宝塚記念に出走した結果、イクイノックスの追撃すら振り切って無事に勝利。3歳馬としては初の宝塚記念勝利馬に輝き、「幻のダービー馬」の称号を得た。
 同年の有馬記念では引退レースとなったイクイノックスの2着に終わるが、翌年は3月第一週に2018年より小倉で行なわれていたG1のシンガポール航空インターナショナルカップ(副題として「クロススキッパー記念」が付けられて開催されていたが、2025年からは5月開催の新潟の常設G1となる)の勝利を皮切りに、海外遠征を実施し、イタリア、フランスを転戦。
 5月にイタリア共和国大統領賞(G1)を勝利し、その後、日本馬としては2007年のスイープトウショウ以来のパリ大賞典制覇を成し遂げる。
 帰国後、天皇賞・秋に向けての調教中に屈腱炎を発症し、惜しまれつつも引退した。
 その後、種牡馬となり、ハルノウラワとの間にも産駒が生まれている(ハルノウラワの2026)。

○リバティアイランド
 この世界と同じくあちらでも牝馬三冠を獲得するも、その後は中々勝利できなかった。
 2024年になり、陣営がイタリア行きを選択し、11月開催のイタリア平地G1であるローマ賞を勝利する活躍を見せた。
 それから日本に帰国し、有馬記念に出走するも、12着と惨敗。さらにレース後、屈腱炎を発症したことが判明し、2024年内での引退となった。翌年1月に東京競馬場で引退式を行なった後、繁殖牝馬となる。
 第1子は2023年の秋古馬三冠馬イクイノックスとの子(リバティアイランドの2026)。
 翌年の第2子は2024年の秋古馬三冠ドウデュースとの子(リバティアイランドの2027)。
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