浦和の桜吹雪   作:Simca Ⅴ

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 だいぶお待たせして申し訳ありません。
 このストーリーで登場する架空馬たちの血統表を作ったりとか、高崎競馬場の航空写真を手に入れてたりで「群馬スペシャル風味の魔改造をどう入れるべきか、へっへっへ……」とかニヨニヨしていたら、それどころでは無くなってしまいました……。
 詳しくは活動報告にも書かせていただきましたが、大変なことになってしまいましたね……。

 しかし、気付けばこの物語を描き始めてもう一年経ってたか。
 これからもラストまで頑張って描きたいと思います。

 今回、本編は短めですが、後書きがその代わり長いです。
 出来れば読んでいただきたいですが、退屈になったら申し訳ない。


#16.5「気になる血統持ちの子を新聞で見つけた件」※後書きにおまけ有り・作中に血統表あり

 10月。

 この時期の日本競馬は中央地方問わず忙しくなる。

 何せ、9月後半辺りに行なわれるスプリンターズSから秋のG1戦線がスタートし、ここからはほぼ毎月2回以上G1レースが繰り広げられるため、目が離せない展開が目白押しだ。

 主要な(G1)レースだけでも中央では、菊花賞に秋華賞に天皇賞・秋にエリ女にジャパンカップにマイルCSに有馬記念……あ。まだこの時代はジャパンカップダートとか言われてるチャンピオンズカップもそういえば中央G1だったなぁ。

 また地方でも、マイルCS南部杯に、JBC四競走、年末には東京大賞典も控えている。

 ついでに北関東の菊花賞と秋華賞は区分こそ北関東G1(NKG1)だけれども、来年からは北関東菊花賞がJpn1に。北関東秋華賞がJpn2に昇格するらしい。私が知る歴史でもシマカゼタービンや群馬三銃士*1の登場で北関東三冠レースはこの時代には既にほぼJpn1かJpn2の格が与えられるほどの実力馬揃いのレースに昇華していたけれども、この世界では群馬三銃士がいないからか……でも、一歩遅れる形ながらも実現しそうで何よりだ。

 

 ……そういえば今年(2011年)は東日本大震災の影響で盛岡競馬場が使えなくて、南部杯を東京でやるって言ってた気がする。

 ちょうど前日に東京競馬場で毎日王冠を実施する兼ね合いからそうなったみたいだけど……フェブラリーステークスの芝からダートに入る、あのコースでマジでやるの? 東京のダート1600mコースなんてそれしかないしなぁ。今年は出走しなくて良かった。

 

 おまけに北関東秋華賞と北関東菊花賞……開催はそれぞれ10月9日の第10競走と第11競走??

 地方とはいえ1日でG1級を二つもやっちゃうなんて大丈夫なん?*2って思ったけど、この日の中央の重賞は毎日王冠ぐらいで、その翌日の体育の日には南部杯まで控えているからこうなっちゃったか……。

 なるほど。敢えてこういう日に北関東はG1級を固めてお客さんを集めようってことか。

 

 というか、北関東秋華賞……実は私の前世にもあったけど、あっちはダート2100mだったと思う。2005年の高崎競馬場大改修でコース幅拡張で12頭が14頭になり、2300mと2800mの発走距離のコースも追加されていたけど、こっちではどうなっているかしらね。何々……。

 

《北関東秋華賞(NKG1)、高崎競馬場ダート右回り2100m、フルゲート14頭》

 

 なんだ、こっちも条件は同じか。

 宇都宮開催の北関東オークスの距離も1900mのまま。一方で北関東の桜花賞なんて足利競馬場開催に固定されていて、1400mの短距離戦になってる*3……私がいた世界(前世)では足利競馬場は廃場になっちゃってたしなぁ。こんなバタフライエフェクト、一体どこから出てきたのやら。

 

《注目は2枠2番リアライズノユメ。北関東桜花賞とオークスを制して北関東二冠牝馬達成の他、直前の重賞オーバルスプリントでは並み居る強豪馬たちや牡馬を差し置き、さらに宿敵・ハルノウラワをも下して3歳馬兼牝馬として初の同競走勝利を飾る》

《北関東桜花賞(ダート1400m)を制し、次戦の北関東オークスも宇都宮の1900mで無事に制した。リアライズノユメにとって2100mは未知の領域だが、期待値の高まりは止まらない》

 

 おぉ、凄い期待されてるじゃんユメちゃん。

 あーぁ……私もレースを生で見たかったなぁ……。

 ……もしウマ娘がいる世界でだったら叶ったかもしれないなぁ。ちょっと残念。

 

 それで、出走馬はと……。

 

 高崎競馬場開催日2日目第11競走 北関東菊花賞(NKG1)

 ダート右2600m / 天候 : ?/ダート: ?

(枠番)(馬番)(出走馬名)

11クラシカルノヴァ

22オメガスカイツリー

33クシロスフィア

4トウシンイーグル

5ベルシャザール

5アサクサポイント

6グッバイテキサス

6サクライーグル

7サクラゴスペル

710ボリングブルク

811マイネルティンラン

812タイムズアロー

 

 あれ? ユメちゃんの名前がない……と思ったらこれは北関東菊花賞だった。

 こっちだと、2800mじゃなくて2600mでの開催なのね。

 ざっと読んでもジャパンダートダービーでもお見かけしたグッバイテキサスぐらいしか顔を合わせた相手がいない感じ。

 名前だけでなら聞いたことある馬名がちらほら……私だって競走馬の名前やレース全部の結果を知ってるわけじゃないけど、君ら私の前世でも北関東菊花賞にいなかったよね? そんなお馬さんたちばかりな気がする。当然だけど、2011年のこのレースではどの馬が勝ったか覚えていない。2020年のJBCステイヤーズではディープ×ハルウララ産駒の私の推し馬が勝ったのはよく覚えてるけど。

 辛うじて解るのがマイネル冠やサクラ冠ぐらいだけど……サクライーグル? ニシノさんにもイーグルっていなかった? 同じレースにトウシンイーグルがいて、北関東秋華賞にもブラックイーグルとかいうお馬ちゃんが出るみたいだし、私の同期って「⚪︎⚪︎イーグル」ってお馬さんを結構見る気がするな?*4

 

 ……ん? ちょっと待てよぉ。

 今、「ベルシャザール」って出走馬にいなかった?

 5枠5番に……やっぱりいた。

 え? 確か今年の日本ダービーで3着になった馬じゃないの? オルフェやウインバリアシオンともクラシック三冠路線でやり合っていたはず。

 あ、そういやこの子、後々にジャパンカップダートだかフェブラリーステークスだかで勝利したお馬さんだった気がする……何でそんなエリートがこんなところに!? 君、菊花賞は菊花賞でも出るレース違くない? ……まぁ、私が直接ぶつかるわけじゃないからいいけどさ*5

 

 ……目を回しそうになっていたら、クシロスフィアってお馬さんの血統が目に入った。

 どれどれ……えーと、3枠3番のクシロスフィア……っと。

 

ステイゴールド

(1994)

サンデーサイレンス

(1986)

Halo

(1969)

Hail to Reason
Cosmah
Wishing Well

(1975)

Understanding
Promised Land
ゴールデンサッシュ

(1988)

ディクタス

(1967)

Sanctus
Doronic
ダイナサッシュ

(1979)

ノーザンテースト
ロイヤルサッシュ
ファレノプシス

(1995)

ブライアンズタイム

(1985)

Roberto

(1969)

Hail to Reason
Bramalea
Kelley's Day

(1977)

Graustark
Golden Trail
キャットクイル

(1990)

Storm Cat

(1983)

Storm Bird
Terlingua
Pacific Princess

(1973)

Damascus
Fiji

 

 父はステイゴールド、母は……ファレノプシスか。まぁたド偉い血統のお馬さんが出てきたもんだなぁ。

 ……やっぱここ、リアルにウイポの世界じゃね……?

 

 馬主さんは……え!? エ○ドゥじゃん!? 勝負服もまんまあの会社のイメージカラーである黄色に水色に白……はぇー、この世界では日本の航空会社が馬主やってるのかー……。

 名前の由来は何々。

 

 「北海道の地名(クシロ)+阿寒湖の名産品である丸いマリモ(スフィア)から」。

 あー、確かに言われてみればなるほどって思う。

 ステイゴールドの勝ち鞍といえば阿寒湖特別、その阿寒湖があるのは釧路で、阿寒湖の名物といえばマリモだもんね……。

 

 記事を見ると何々……?

 

《クシロスフィア、北関東菊花賞で戴冠か?》

《父にステイゴールド、母にファレノプシスという血統を持つ本馬は、2歳期のノーススターカップ(NKG1)を快勝するも北関東皐月賞11着、北関東ダービー3着という惜敗を重ねている。しかし、これまでのレース模様からは父からはスタミナ、母からは走るセンスを受け継いでいることがしっかりとわかる。また、同馬主所有の一歳年上の牝馬サロマプリンシパル(父・ダンツフレーム)は去年の北関東菊花賞を制しており、同馬主所有馬による連覇にも期待が掛かる。そんなクシロスフィアに立ちはだかるのは、言わずと知れた今年の北関東クラシック二冠馬グッバイテキサスである。直近のG1といえば大井で開催されたジャパンダートダービー(四着)であるが、同競走の出走馬にはハルノウラワ、グレープブランデー、オオエライジンにクラーベセクレタなどの実力馬が揃う中では充分に好走を果たしたと言えるため、挑戦者の立場にいるクシロスフィアでも簡単には勝てない相手だろう。そして、ついに10月を迎え、三冠最後のレースに立つ時が来た。今や彼らの目標は北関東菊花賞の栄冠に狙いを定められた。勝つのは、2004年以来(新体制後では初)の北関東三冠を狙うグッバイテキサスか。それとも旅人を父に持つクシロスフィアが二冠馬を下して戴冠するか。もしくは、それ以外の猛者たちが彼らを差し置いて打ち勝つか。決戦の舞台は10月9日の高崎競馬第11競走・第34回北関東菊花賞。新たなるヒーローたちの激走を見届けよ》

 

 わーぉ、すごく熱い記事だ……こんなん書かれたら尚更生で見たいじゃんこのレース……。

 

 って、ちょっと待って。今の記事なんて書いてあったっけ?

 サロマプリンシパルってお馬さんの父はダンツフレームだって!?

 あの馬って確か、種牡馬入り出来ずに亡くなってなかった?

 つまり、この世界では早世せずに子孫を残せたのか……。

 

 うん……もう今日は寝よう。12頭とはいえあんな豪華メンバーが揃った出走表に加えて、誌面から出るわ出るわの情報量の暴力がヤバすぎて、もはやキャパオーバー……。気のせいか頭まで痛くなってきたし……。あと、泣きたい。地味に泣きたい。こんな面白そうなレース、参加できないどころか見れないなんて……。

 

 ……気を紛らわせるためにラジオでも聞こうかな。

 そうしてチューニングを合わせてっと。あ。流れてきた。

 

【Dark in the night♪】

 

 Dark in the night *6かぁ、これこれ、ユーロビートの定番曲って言えばこれだよね。

 ただもう曲も終盤かぁ。

 

【FM NACK5 79.5(セブンティナインポイントファイブ)! お送りしましたのはMaio&Coの《Dark in the night》でした! 今宵は90'sユーロビート特集をお送りしています。続いてお送りする曲は、THE BIG BROTHERの《WILD REPUTATION》!!】

 

 軽快なDJのトークから、ちょっと変わり種なイントロを使った曲が流れてくる。

 レースにピッタリな曲だ。いいなー……───。

*1
ホクリクダイオーツバキプリンセスノルンファングのこと。

*2
JBCを除く。

*3

*4
ニシノイーグルが登場する回は『ウマ娘編④「久々に姿を見た幼馴染が兵庫の最終兵器になっていた件」』を参照のこと

*5
グッバイテキサス「いや、良くねぇよ!?」

*6
曲はこちらを聴きながらお楽しみくださいませ。




◎北関東秋華賞(Jpn1・2025年時点)
 2005年から2007年に掛けて行なわれた、いわゆる「北関東競馬組合によるレースの整理」の過程で誕生した3歳牝馬限定戦の重賞。
 初開催は2007年10月8日であり、当初の格付けは北関東G2(NKG2)だったが、2010年に北関東G1に昇格を果たしている。
 出走条件は上記の他、北関東所属、もしくは他地区の出走枠が4枠あり、2012年の第6回開催からは交流重賞になった関係で中央出走枠も3つ追加された。その後、2014年開催の第8回から正式に日本国内G2(Jpn2)に昇格した。
 第1回開催時から北関東菊花賞との同日開催となっており、2010年代において10月開催の高崎競馬の新たな名物レースの地位を確立した。
 2020年代に入ると、3歳ダート三冠路線の整理に伴い、南関東オークスのJpn1昇格と共に北関東秋華賞もJpn1へと昇格を果たした。
 2005年、及び2019年に行なわれた高崎競馬場の改修工事により、向正面の直線に高低差15mの上下坂道が追加(なお、2018年までは高低差が10m前後であった)されたため、距離が同じ南関東オークスとはこの点で差別化が図られている。
 2024年には浦和の桜花賞、川崎の南関東オークスと共に南北関東の牝馬三冠の一大レースに名を連ねている。
 ちなみに、2025年の時点でも「南関東三冠」、「北関東三冠」、「南関東牝馬三冠」、「北関東牝馬三冠」が並行して存在している。

○ 「北関東競馬組合によるレースの整理」について
 2000年代初頭。
 九州の中津競馬場が廃場の危機に直面していた他、東北地方の上山競馬場の業績不振を重く受け止めた群馬と栃木の連名による北関東公営競馬では、新たに北関東競馬の整理が議論されることになった。
 その整理第一弾として行なわれたのが、北関東三冠・北関東牝馬三冠の開催地分配だった(なお、整理第二弾は開催地整理に伴う各競馬場の修繕・改修工事。整理第三弾が人員及び給与面の改善であった)。
 この改革の目的は北関東に所属する足利・宇都宮・高崎の各競馬場の特色を活かすための役割分担であり、北関東三冠の開催地が集中していた宇都宮から、北関東菊花賞と2007年度に新設される北関東秋華賞の開催を高崎に、北関東桜花賞と北関東皐月賞の開催を足利へ移設し、再固定した。
 この他、「群馬記念」、「(足利)尊氏賞」など開催地の固有名詞がついた競走を除いて北関東の重賞がそれぞれに分配された(その代わり、「高崎ダービー」は事実上の廃止となり、北関東ダービーへ統合されるなどした)。
 例えば宇都宮で開催されていた「とちぎスプリンターズ天馬杯」は、短距離・マイル戦専門に特化された足利競馬場に開催が移った。
 一方、2003年に結局は廃場となってしまった上山競馬場だが、そちらで行なわれていた重賞のいくつかを北関東競馬が引き継ぐ形となり、そのうちの一つだった「さくらんぼ記念」は交流重賞(Jpn3)として2007年より宇都宮開催で復活した(なお、上山城大賞典と山形記念は同じ東北に属する盛岡競馬場に引き継がれた)。
 また、「とちぎ大賞典」と「高崎大賞典」は2008年より「北関東大賞典」に統合されて一新され、12月前半の長距離ダート戦(宇都宮開催の2600m、及び高崎開催の2800m)として開催されている。こちらは北関東G1だった(2020年よりJpn3へと統合されて事実上の格上げ)が、高崎と宇都宮の持ち回りで開催されている。当初は偶数年を高崎、奇数年を宇都宮で開催する決まりであったが、2011年に発生した東日本大震災の影響で宇都宮競馬場の再修繕が必要となったため、2010年に続き2011年も高崎での開催が連続し、2012年の開催が宇都宮となった。このため、2012年から2018年までは偶数年開催と奇数年開催の役割が逆になったままだった(ただし、2019年の高崎競馬場の改修工事に伴って一時閉場、2018年と2019年は宇都宮開催が連続したため、2020年からは当初の決まり通りに戻っている)。
 「北関東大賞典」は12月前半での開催と必ず長距離ダートでの開催となる特性上から「ダート版のステイヤーズステークス」または「ダート版ダイヤモンドステークス」と競馬ファンたちから比喩されるようになる。
 同競走を勝利、ないしは好走した馬たちの中には後にパリ大賞典を勝利するスキルヴィング(2023年勝利馬・なお第15回は宇都宮開催)などがいる。
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