大井開催5日目第9競走 第11回JBCスプリント
ダート右1200m / 天候 : 曇/ダート: 良
| (枠番) | (馬番) | (出走馬名) |
| 1 | 1 | サマーウィンド |
| 2 | 2 | ポートジェネラル |
| 2 | 3 | ダイワメンフィス |
| 3 | 4 | パフォーマンス |
| 3 | 5 | ジーエスライカー |
| 4 | 6 | ラブミーチャン |
| 4 | 7 | ナイキマドリード |
| 5 | 8 | テンジンミナトオー |
| 5 | 9 | オオエライジン |
| 6 | 10 | セレスハント |
| 6 | 11 | スーニ |
| 7 | 12 | セイクリムズン |
| 7 | 13 | ブリーズフレイバー |
| 8 | 14 | ニシノコンサフォス |
| 8 | 15 | ダッシャーゴーゴー |
こんばんは、ハルノウラワです。
11月3日の文化の日、今宵の大井競馬場は第8競走から第11競走まで重賞とG1級レースがズラリと並んでおります。
……前置きはさて置いて。
そんな私は第8競走のレディスクラシックを完勝してウィナーズサークルで記念撮影やら表彰やらを終わらせて、ちょっと足早に向かった先は。
「え。おい……」
「マジかよ……」
私がパドックの観覧席に現れた途端、観客たちが騒めき出した。
ちょっとぉ。別に暴れるわけでもなしに様子を見に来ただけじゃないの。
この後は知ってる馬や知り合いが続々出走するんだから見に来ないなんて出来ないからやって来ましたわよ、おほほ。
……ダメだ私ったらテンションおかしくなってる。というか、そういえば今の私、馬であることを忘れてた(|||OTL
実は大井競馬の関係者の方々に少し無理を頼んで、パドックに私用のスペースを確保していただいて、レースを走ったばかりの私は美鶴ちゃんを背中に乗せた状態でここまでカッポカッポと歩いてきた。
普通こんなことは起きないから観客の皆様もおっかなびっくりなのは当たり前か。
【えーと……あの、山仲さん? ハルノウラワがパドックに、しかも、観客席側に現れましたが?】
【高橋さん、合成か幻覚かと思うかもしれませんが現実です。背中には馬主代理の黒松美鶴さんが騎乗して、今パドックに設けられた専用スペースに収まりまして……美鶴さんが降りた後、ハルノウラワも座りましたね】
先ほどのJBCレディスクラシックのレースを実況していた山仲アナウンサー。
彼こそ東京シティ競馬の実況を担当して8年にはなるが、まさかパドックの観客席側に専用スペースまで用意されていて、行儀良く座り、出走馬たちを眺める馬など見たことがないどころか前代未聞だ。
しかも……遠距離で良く見えないが、近くにいたファンからサインをお願いされると口にマジックを咥えて、色紙にサインまでしている?
その光景には、女性アナウンサーの高橋共々、驚愕して沈黙してしまう。
【え、えぇと……気をと、取り直しまして。大井競馬第9競走第11回JBCスプリントのパドックを見ていきますが……おや?】
〈姉ちゃん! 応援に来てくれたんだ!〉
〈よぉ、ハルナちゃん、久しぶりだな。……こいつは誰だ?〉
〈マッドさん、えーとね……私の弟分、オオエライジンくんよ〉
〈は、初めまして、マッド、さん?〉
〈ナイキマドリードだ。俺の名前は。……まぁ、マッドって呼んでいいぞ。そうか、お前が噂に聞いてたハルナちゃんの弟分か……〉
〈え?〉
【7番ナイキマドリードと9番オオエライジン、パドックの観客席側にハルノウラワを見つけると寄っていきましたね? 何か話をしているんでしょうか?】
【……そういえば、この2頭はハルノウラワと対戦経験がありますね】
【そうですね。ナイキマドリードは前走のオーバルスプリントで。オオエライジンに至っては前々走のジャパンダートダービーで対戦してました】
【前走の岐阜金賞までは園田所属でしたが、今回は浦和に所属を一時的ですが移してまいりました】
【そのオオエライジンですが、ジャパンダートダービーの後、ハルノウラワの引き綱を咥えて離さなかったんだとか】
【そんなことがあったんですか?】
【……映像が残っていますが、それはまた別の機会に。ただ、ハルノウラワと顔見知りの競走馬たちというのは好走する傾向があるみたいですよ?】
【それって本当に?】
【あながち有り得なくないですね】
高橋アナウンサーからそんなことを聞かされた山仲アナウンサーも、内心で「そんなバカな」とは思いつつも、その証拠は記録に確と残っており、それを見ながら直近の記録を言及した。
【えーと……7番ナイキマドリード、前走のオーバルスプリントではリアライズノユメに僅差で2着。9番のオオエライジンもジャパンダートダービーでは繰り上がりで2着、ですね】
【どちらも得意距離は短距離の電撃戦。……ただ、今日の一番人気はスーニです。スーニといえば、前走の東京盃で同じコースを走り切って勝利を飾っていますが、ナイキマドリードやラブミーチャンを差し置いての1着。そのラブミーチャンは今レースの6番で7番人気。ナイキマドリードに至っては9番人気です。果たして下剋上なるか】
え? ラブミーチャンだって?
6番のゼッケンを付けた馬を探して目で追うと……いたいた。
赤い耳カバーに、黄色いメンコをつけた栗毛の牝馬が見えた。
……そういえばこの子の馬主って、コパノリッキーの人だったよね。
私の視線が注がれたことに向こうも気付いたらしい。
挨拶しようと思ったら、
〈……何よあんた?〉
威嚇されました。
〈えっと……ラブミーチャンさんですよね?〉
〈そうだけど? ……あぁ、あんたがハルノウラワか。浦和のアイドルホースを名乗ってる〉
〈えーと……一応そうです。ハルノウラワです。よろしくお願いします〉
〈……ふんっ〉
ありゃりゃ、素っ気ない。
同じくスーニに声を掛けてみても似たような反応で返された。
お姉さん悲しいなぁ。
〈姉ちゃん〉
〈……コロちゃん?〉
〈大丈夫。僕がいるよ〉
〈……ありがとう〉
別に落ち込んだわけじゃないけど、そんな私を元気付けようとしてくれたのか、オオエライジンことコロちゃんがそんなことを言ってくれた。
そんなコロちゃんことオオエライジン、今日は2番人気か……あれ? そういえばこの時のレースにオオエライジンはいなかった気がするけど……うーん……まぁいっか今更だ。
暫くして騎手さんたちが乗った。
みんな私を見て驚いた顔をしていたけど、その後はいつも通りにパドックを二、三周回ってから、コロちゃんたちはコースに駆けて行った。
パドックビジョンに競馬場のコースとごった返す観客席の様子、そして、音楽隊*1がファンファーレを奏でる姿が映し出される。
ファンファーレの演奏が終わると観客席から拍手と歓声が巻き起こった。
【TCK競馬トゥインクルレース、第9レース。JBC競走二つ目、農林水産大臣賞典第11回JBCスプリントG1、ダート1200m。ダート界のスピード王決定戦です。9番オオエライジン、7番ナイキマドリード、この辺りは順調に納まりました。出走馬15頭で争われます。JRAから5頭、地方他地区から6頭、地元南関東勢は4頭の参戦です】
いいわね、オオエライジンはちゃんと落ち着いてる。マッドさんも緊張してなさそう。
一方で……4番の牡馬くん、結構暴れてるなぁ。
【出走の15頭ご紹介しましょう、サマーウィンド、ポートジェネラル、ダイワメンフィス、パフォーマンス、ジーエスライカー、ラブミーチャン、ナイキマドリード、テンジンミナトオー、オオエライジン、セレスハント、スーニ、セイクリムズン、ブリーズフレイバー、ニシノコンサフォス、ダッシャーゴーゴー。……北海道からの参戦、4番パフォーマンス。三歳馬パフォーマンス、枠入りをちょっと嫌がっておりますが前進して納まりました。一昨年のJBCスプリントの勝ち馬、人気の中心スーニもゲートに納まりました。最後はダッシャーゴーゴー、久々のダート戦。これからゲートに誘導されます……さぁ、行こうJBCスプリント、準備完了───】
さぁ、ここからが本番……あとは事故なくみんな無事に走り切ってほしい。勝敗云々を別にして望むことはただそれだけ。
【───スタートしました! 揃った飛び出しを見せました。綺麗に飛び出しましてまずは先頭ポジション争い、内から5番のジーエスライカー出ていくか。その外から笠松のラブミーチャン、ラブミーチャンが2番手! さらに外から追随します9番オオエライジン、園田の雷神が3番手! 4番手には12番セイクリムズン、その外側に13番ブリーズフレイバーです。後は7番ナイキマドリードがこの位置、その内からは1番サマーウィンド、外めからはダッシャーゴーゴー、この圏内です。さらには3番ダイワメンフィス、集団後ろ辺りにセレスハント。あとは内側を通りましてポートジェネラルが追走で3コーナーのカーブ。外からスーニ、それからニシノコンサフォス、パフォーマンスは後ろから2頭目。しんがりが8番テンジンミナトオー。3コーナーから4コーナー、ここで先頭が9番オオエライジンに変わりまして、ここでさらに加速する!? ラブミーチャンが2番手、3番手にジーエスライカー。先頭と2番手の間にどんどん差が開いていく! だが果敢に挑みます4番手のセイクリムズン上がっていきます! 直線コースに向きました! 先頭オオエライジンのまま2馬身、3馬身と開いていくが、後方からスーニとナイキマドリードが追い上げてくる! 逃げる逃げるオオエライジン、ラブミーチャンも負けじと加速して差を詰めようとする、ジーエスライカーズルズル下がっていくがそれをナイキマドリード交わして前に行く! 外からセイクリムズン、さらにはダッシャーゴーゴー、大外からスーニ! 200を切りました、オオエライジンまだまだ逃げる、ラブミーチャン追撃、外からセイクリムズン、さらにはナイキマドリード、ダッシャーゴーゴー! 大外からスーニ! 先頭はオオエライジン! ラブミーチャン、ナイキマドリード、セイクリムズン、ダッシャーゴーゴー! 4頭が横に広がった、外からスーニ伸びてくる! スーニが伸びる! オオエライジンを捉える、捉えた! スーニが差し切ってゴール!】
あちゃー、コロちゃんとマッド先輩、負けちゃったかぁ。
でもまぁ、レコード出されちゃ文句も出まい。
【タイムは1分9秒9! 今日は外から差し切りましたスーニ、一昨年に続いてJBCスプリント二度目の制覇。豪快に差し切りました! 勝ちタイム1分9秒9、このレースでもレコード叩き出されました! 園田の雷神を抑え込んでの差し切り勝ち、2着オオエライジンとはハナ差での決着です。3番手争いは4頭接戦。12番のセイクリムズン、6番ラブミーチャン、7番ナイキマドリード、15番のダッシャーゴーゴー。この4頭固まって3番手4番手の争い。最後追い込んだ10番セレスハントは惜しくも7着。第11回JBCスプリント最後の直線で横に広がった。ゼウスの矢の如くオオエライジン先頭を行きましたが、それを大外から11番スーニが伸びて捉えて差し切っての勝利。セイクリムズン、ダッシャーゴーゴー、ナイキマドリード、そしてラブミーチャン、この4頭が横に広がって3番手争い接戦です】
ふぁー。やっぱ観に来てよかったわー。
スーニのあの差し切りはしっかりと目に焼き付けといて今後のレースの参考にしようっと。
……あと、帰ったらコロちゃんの残念会と反省会もやらなきゃね。
2011年11月3日木曜日 大井競馬 第9競走
第11回JBCスプリントJpn1 ダ1200m(右) 曇 良
着順
1着・スーニ
2着・オオエライジン
3着・セイクリムズン
4着・ナイキマドリード
5着・ラブミーチャン
6着・ダッシャーゴーゴー
7着・セレスハント
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この話の中に出てくるスーニって、実はナイキマドリードと同じ厩舎に所属することになるんですが、2011年当時はまだ中央に籍を置いていたらしく、栗東に所属していたようです。
その戦績を調べてみると、本当はスーニも2011年の黒船賞に参戦するはずでしたが、東日本大震災の影響で開催中止の憂き目に。
ただ、それで諦めずに2012年・2013年の黒船賞に参戦してくるので、もしかするとハルノウラワとは近い内に再会するかも?