スライム娘の用途外使用   作:COTOKITI JP

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一発ネタの短編作品です
勿論プロットなんか書いてない。


スライミーなエリー

真昼間のアメリカ某所。

 

パトカーのサイレンが街中に鳴り響いている。

それと散発的な銃声も。

 

《○○銀行にて事案10-31B(強盗事件)発生!容疑者と現在交戦中、死傷者が既に4人出てる!!支給応援を頼む!!》

 

《町中の信号機が誤作動を起こしてやがる!!大渋滞で装甲車が通れない!!》

 

《容疑者は軽機関銃とグレネードランチャーで武装している模様!……うわっ伏せ――》

 

街のど真ん中にある少し大きめな銀行。

そこを支配していたのはたった一人の男だった。

 

「オラーッ!それ以上近づいたらマジで1mごとに一人殺すからなァーッ!!!」

 

先程パトカー一台をポンプアクション式グレネードランチャー、GM-94で吹っ飛ばしたこの男「エドワード」は大破炎上するパトカーと火に巻かれ逃げ惑う警官たちを尻目に銀行内に残っていた人質達を睨みつける。

 

右手には150連ドラムマガジンを装填したM16。

二名の警備員と愚かにも隠し持った携帯で通報を試みた客一人の犠牲によってその威力を嫌という程思い知らされた彼らは、ただひたすらに目隠しをされたまま震え縮こまる事しかできなかった。

 

しかし彼には不思議な点が一つあった。

 

それは銀行強盗目的で押し入ったことが容易に想像できるにも関わらず、広場から一向に動こうとしないのだ。

 

見える限り強盗に来たのは彼一人で他に仲間がいるようには見えない。

 

そして強盗犯は何かを待ち続けているようにも見えた。

 

「……ん?どうした、終わったか?」

 

エドワードは人質から目を離さないようにしつつ少し距離を置いて受付の壁に背中を預けると、()()と話し始める。

 

<うん、金庫開いたよ。()()()とかいうのも全部壊したし>

 

「……じゃあ手筈通り通気口から運び出した後俺の脱出の支援を頼む」

 

<分かった、すぐに助けに行くから待っててねっ>

 

「頼むぜ、お前の攪乱作戦のお陰で時間は稼げたが……多分そろそろSWATが来る」

 

そう言った傍から、パトカーの残骸を押しのけてSWATの装甲車が数台銀行の前に侵入してきた。

中からフル武装の隊員数十人が出てきて銀行の入り口に銃口を向ける。

 

エドワードは窓から銃口だけを出し、狙いもつけずにM16を乱射した。

警官数名が驚きの声を上げ、装甲車に5.56㎜高速弾が当たって子気味良い音が鳴る。

 

《お前は現在包囲されている!!直ちに投降しろ!!》

 

SWATがスピーカーで垂れ流している声を聴いて人質は安心する者とこれから発生するであろう激しい銃撃戦に不安を覚えるものに二極化していた。

 

《繰り返す、投降しろ!!今投降すれば……》

 

「やかましいわクソボケが――ッ!!!」

 

窓から今度はGM-94を発砲し、榴弾が装甲車に命中した。

貫通こそしなかったものの、爆風と飛び散った破片で負傷し仲間に引き摺られていくSWAT隊員の姿が見えた。

 

「頼むぜ()()()、早く……」

 

「呼んだ?」

 

エドワードの足元に突如現れた謎の水溜まり。

しかも話しかけてきた。

 

そんな異常な光景を気にも留めず、彼は水溜まりと小声で会話を続ける。

 

「エリー、金はちゃんと運べたか?」

 

「うんっ!あのペラペラの紙切れでしょ?鞄いっぱいにして外の()()()()()()に乗せておいたよ」

 

「いいぞよくやった……なら、最後にもうひと踏ん張りだ。あのクソッタレ包囲網を今から突破する……支援頼むぞ」

 

「まっかせてー!」

 

そう言うと水溜まりは高速移動し、外の包囲網へと向かっていった。

暫くもせずに外から銃声と悲鳴が上がった。

 

エドワードに向けられた物ではなく、警官達は大混乱に陥っていた。

 

「おいデイヴィッド!?何やって……うアッ!!」

 

「やめろどうしたッ!?」

 

突如として暴れ出し、M4を乱射し出す同僚にパニックになる彼ら。

隣にいた同僚二人とSWAT隊員が一人撃たれ、死亡した。

 

「わぁああ、わかああんねえぇぇえよおうっ!!!かぁらだがァ……勝手に……!!!」

 

全身から体液を撒き散らしながら弾切れのM4を振り回す警官。

彼を操っていたのは、先ほどの水溜まりだった。

 

耳の穴から体内に侵入し、体を乗っ取ったのだ。

 

「今の内だ!!」

 

銀行のドアを蹴破り、GM-94で催涙弾を撃ち込みM16を乱射しながら階段を駆け下り歩道を全力で走った。

それに気づいた警官とSWAT隊員数名が発砲しながら追ってくる。

 

その頃、エリーは操作していた警官の頭を破裂させると中から飛び出てエドワードを追いかける警官達の元へと猛スピードで向かった。

 

「しゃあっ!!」

 

エリーは自身を構成する液体の一部をブーメランのような形状に変え、警官に向けて放った。

すると、警官と同伴していたSWAT隊員の首が諸共刎ねられた。

 

首無しの死体を尻目にエリーはエドワードの後ろについていく。

 

しかし、彼らの行く先を更に増援でやって来た警官達が塞ぐ。

互いに曲がり角で鉢合わせた彼らは咄嗟に銃を構え、エドワードに向けて撃つが銃弾が彼に到達することは無かった。

 

半透明で液状の壁が、銃弾を止めていた。

 

「助かったっ!」

 

M16の銃口を板状に変形したエリーに突っ込み、向こう側に露出させると逆にエドワードの放った銃弾はしっかりと警官達に当たった。

 

《○○銀行前にて容疑者と交戦中!!SWAT隊員が7人死傷!!同士討ちも発生している!!直ちに増援と救急車を!!》

 

《デイヴィッドに何があったんだよッ!?》

 

《知らねえよ!!》

 

目の前の障害が無くなったのを確認し更に走る彼ら。

 

そして目的地に着くとそこには逃走用の車があった。

しかし…あったのはハイラックスではなくテスラの電気自動車だった。

 

迷いも無くそれに乗ったエドワードはエンジンをかけ、直ぐに発進した。

すると、車の周囲のテスラ車のような液状のガワが剥がれ落ち立派なハイラックスへと変貌した。

 

《容疑者は○○・ストリートを逃走中、灰色のテスラだ。上空からの追跡を頼む》

 

《該当車両の姿は見えない。本当にここに逃げて来たのか?》

 

ここら一体の監視カメラはエリーが破壊しているし、道中もガワの状態で来た為ハイラックスに容疑者がいることは誰も知らない。

 

「…後は落ち着いて帰るだけだ。エリー、金は?」

 

バラクラバを後部座席に脱ぎ捨て、助手席にいるエリーに話しかける。

エリーは先ほどの水溜まりから、人間の女のような外見に擬態していた。

 

黒髪ロングに白のワンピースというこの真冬の季節じゃ目立つ格好ではあったが。

 

「はーい、これだけあれば足りるかな?」

 

肩から伸ばした触手で後部座席にあったダッフルバッグを三つ引っ張り出し、ジッパーを開けて中身を見せる。

 

中には、大量のドル札の束が入っていた。

しかもご丁寧にダイ・パック(追跡用塗料ぶちまけるやつ)まで完璧に処理している。

 

「ハハハッ…!これならビリーに全額返済してもおつりが出るな!」

 

「私達ごはんいっぱい食べられるようになる?」

 

「ああ、シリアルもいつもの安物じゃなくて一番高いのを毎日食わせてやる!」

 

「やぁったあ!」

 

この日、エドワード自身の経歴に武装強盗と大量殺人、違法な重火器の所持を静かに脳内で追加した。




受けが良かったら続き書くかもです。
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