ブラックルームの最高傑作 山内春樹   作:たかきょう

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5月.洗礼

 

 

5月1日の朝。俺が教室に入ると大方の予想通り、クラス中が大騒ぎになっていた。

 

 

「なぁ、山内。今月のポイント振り込まれてたか?」

 

 

「いや、1ポイントも振り込まれてねぇよ。」

 

 

「だよな?俺もなんだけど...」

 

 

池からの問いにすっとぼけて返事を返しておく。間違っても俺がSシステムを事前に把握していたなどと知られてはいけないからだ。

 

 

そうしている内に茶柱がやって来て、朝のホームルームが始まった。その際にSシステムの詳細が明かされた事でクラスメート達は騒然としている。茶柱はその様子を見て俺達を不良品とこき下ろしていた。

 

 

まぁ...茶柱の言い方は悪いが、実際にその通りだとは思う。ブラックルーム側の情報によると例年のDクラスですら、5月になってもクラスポイントを200近くは残していたらしいからな...それが0ポイントなのは史上初と言ってもいいし、歴代最悪の不良品と言われても文句は言えない。

 

 

それでも、大半のクラスメートは文句を言っていた。ポイントが支給されないなら来月からどのようにして生活すればいいのか?だったり、自分がDクラスである事に納得がいってなかったりと...理由は様々だ。

 

 

さらに茶柱が中間テストで赤点を取ったら退学という衝撃的な事実を突き付けるとクラスメート達はさらに騒ぎ始めた。ちなみに俺もわざと手を抜いて30点以下の点数を取った以上、ここで静かにしているとクラスメート達から違和感を持たれるので、やむを得ず他の赤点組と一緒になって騒ぐ振りをしておいた。

 

 

(おいおい...このクラスは本当に難易度MAXといっても過言じゃないぜ?この調子だと先が思いやられてしまうな...)

 

 

茶柱が退出してホームルームが終わってからも、ギャーギャーと騒ぎ続けるクラスメート達を見て俺はため息が出そうになった。

 

 

(とりあえず、プライベートポイントを恵んでもらえるよう外村辺りに頼んでみるか...)

 

 

クラスメート達からの目もある以上はこういう無能ムーブをやっておいた方が良いだろう。

 

 

ちなみに...実際にはプライベートポイントをかなり残している俺だが、今後のためにもその事は絶対にバレてはいけないのだ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後...平田からの提案で中間テストに向けての勉強会を開く事になったのだが、平田を快く思ってなかったり、他人との交流を苦手とする一部の生徒は不参加だった。俺としては参加しておきたかったが、カモフラージュ要員の須藤と池が参加しない以上は二人に合わせておかなければならない...

 

 

そうしないと今後の俺の『三バカ』扱いに支障が出ると判断したのだ。

 

 

俺が赤点候補という事もあってか、綾小路からは堀北主催の勉強会に誘われたが一旦は断っておく。誰に対しても友好的な平田の勉強会を断ったのに今の俺達を内心では見下しているであろう、堀北の勉強会にはすんなり参加するのは不自然だからな...

 

 

そう思っていると、今度は櫛田から堀北主催の勉強会の誘いを受けた。

 

 

大方、今まで櫛田に対して下心丸出しで話しかけたりと()()()は櫛田にデレデレしていた様子の俺を見ていた綾小路が櫛田の頼みなら断らないだろうと判断して櫛田に俺達を勉強会に誘うように頼んだのだろう。

 

 

恐らく、櫛田の頼みなら須藤や池も了承するだろうと考えていた俺はこの誘いに応じてやる事にした。

 

 

その後、俺の読み通りに須藤と池も櫛田からの勉強会への誘いを了承した。これで須藤や池が退学になる可能性も下がるだろうと安心しきっていた俺だが、ここでとある問題が発生した。

 

 

それは...須藤が方程式も分からないほどの馬鹿であった事、堀北の態度があまりにも上から目線すぎた事だった。

 

 

おかけで勉強会は瞬く間に崩壊し、怒って退出していった須藤に便乗する形で俺と池も退出した。その後、クラスのグループLINEが堀北への悪口で埋もれたのは言うまでもないだろう...そのまま、悪い流れになりかけたが綾小路の策略もあって何とか阻止する事ができた。

 

 

その後、何やかんやあって勉強会は再開された。その際に堀北は俺達に謝罪するなど、数日前よりも多少は性格が丸くなったように見えたが恐らく綾小路が影で何かしたのだろう。

 

 

途中で試験範囲の変更がおこなわれ、茶柱の報告が遅れるという予期せぬアクシデントにも見舞われたが同時に櫛田がクラスメート達に過去問を配布した事もあってそれぞれのテスト勉強は順調に進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ついに中間テスト当日。

 

 

櫛田が配布した過去問とテストの内容が同じだった事もあって、クラスメート達は順調に中間テストを乗り越えていった。池なんか余裕の表情を浮かべているくらいだ。

 

 

俺はそんなクラスメート達の様子を見て安心しきっていた。

 

 

(よし!この調子なら、今回の中間テストで退学になる奴なんていないだろうな。一時はどうなる事かと思ったぜ...)

 

 

ちなみに俺は実力を隠すためにいくつかの問題はわざと間違えている。それでも、全教科60点台にはしておくつもりだ。あまりにも手を抜きすぎて俺自身が赤点を取ってしまえば意味がないのだ。

 

そう思いながらも...国、数、社 、理の4つの教科のテストを乗り越えていった時、またしても予期せぬ事態に直面した。

 

 

何と昨日の夜...須藤がまさかの寝落ちをしてしまい、英語だけ過去問を見る時間がなかったというではないか!

 

 

(いや、寝落ちってマジかよ?須藤の奴...俺がいなかったら冗談抜きで退学者第1号になってたんだろうな...)

 

 

俺は焦っている須藤や堀北を見ながら、英語の平均点をできるだけ下げてあげなければと考えるのだった...

 

 

 

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