星月(以下星)「さて、ここからは座談会のコーナーです。ファンブックでは藤巻先生と冨樫先生のお二人でしたが、ここでは今作品の作者である私とこのお二人に来ていただきました」
白瀧(以下白)「どうも、皆さんいつもありがとうございます。大仁多高校一年、白瀧です」
西村(以下西)「同じく大仁多高校一年、西村です。皆さんよろしくお願いします」
星「今回はこの三人でお送りしていきます。ちなみに今回キャラクターのデータにはファンブック第一弾を参考にしております」
白「ここまで長かった。本当にこの一言に尽きるな」
星「ですね。もう本編は第六十話を突破。ここまで来るとは思ってもいませんでした」
西「キャラも大分増えましたよね。全国編でさらに多くなるでしょうけど」
星「そのためにもこの話、ということです。前から要望がありましたが、細かいキャラの話などもできますので。それではさっそく話を……」
西「……ところでその前に一つお聞きしたいことがあるんですけど」
白「どうした?」
西「白瀧さんはわかりますけど、なぜもう一人が俺なんですか? “キセキの世代”とか小林さんとか光月さんとか、他にも人選があったのでは?」
星「理由ならありますよ。今回は話のポイントとなる帝光のこと、そして小説内容のメインである大仁多のことを知っている選手という点で選考しました。内容的に両方を知っている人にいて欲しかったのです」
白「たしかにそれならば俺と西村以外に適役はいない、か。帝校中出身で現在は大仁多に所属している」
西「はあ、そういうことならば。わかりました」
星「このコーナーでは小説のことについて話を交えつつ、以前活動報告で募集した皆さんの疑問に答えていこうと思います」
西「じゃあその前に俺から多分読者の方が気になっているであろう質問いいですか?」
星「いいですよ。なんですか?」
西「では早速」
・白瀧の精神力
西「データ集で公表された白瀧さんの精神力、低くないですか? むしろ5あっても良い気が……」
星「強いのと強く見えるのは違うということですよ。これについては緑間の過去編や桐皇対誠凛でも垣間見えますね。トラウマも持っているから決して高くない。ただキラーインスティンクトという勝負強さをもっているので、平均的な3にしました。あともう一つ理由があるのですが……ネタバレになってしまうので控えさせてもらいます」
西「もう一つ?」
白「……」
・白瀧のスタミナ
西「じゃあ二つ目。白瀧さんのステータスの表だけ赤線引いてあったけど、あれどういう意味ですか? 赤線の場合はスタミナの項目が4に表記されていましたけど」
白「以前感想でも聞かれたことか」
星「単純な能力でいえば4。しかし試合にて、総合的なスタミナを考えるならば5ということです。彼のバスケスタイルを考えれば理解できるでしょう」
西「ああなるほど。でもどっちにしろ白瀧さんのバスケスタイルなら表記しなくてもよかったんじゃ?」
星「……まあ、そうかもしれませんね」
白「基本的に5と考えてもらえれば大丈夫だ。余程のことがなければ、な」
・総合能力
西「大体俺からの質問は以上です」
白「結構内容多いから大変だな。能力も人それぞれだから説明は必要なんだろうし」
星「そうですね。ちなみに今回紹介した全登場人物中、能力の総合点数が最も高かったのは東雲さんでした」
白「はぁっ!?」
西「……すみません、何を言っているのかわからない。何故東雲さんが?」
星「桃井とかは女子力が低かったために総合点数が下がりましたが、東雲さんは5なのでかなり稼ぐことができたので」
白「ああ、たしかにリコ・桃井ペアは女子力で平均点を下げていたな」
西「というか、スポーツ漫画のお話なのに選手を差し置いてマネージャーが最高能力値を記録するとは一体……」
星「項目が大きく違いますがね。ちなみに白瀧とかも女子力は高めの設定です」
白「まあ料理とか裁縫とかは一通りできるけど」
星「他で言うと楠、勇作の二人かな。特に勇作は妹の橙乃ができない分、彼が代わりに務めていたということもあって高いという設定です」
西「なんで女子力が高い人の話で男の名前ばかり出てくるんですかね……」
白「まあ、原作でも火神・氷室とか高い選手はいたから」
星「むしろ女子力が壊滅的な女子がいるんですよ……」
西(……あれ? 女子力ってなんだっけ?)
・登場人物の設定
白「改めて話を聞くと個性豊かな人物が多い様に感じる」
星「そうですね。加えて先ほども述べたように作品内の登場人物はとても多いですから。ちなみに登場する大仁多のメインキャラのうち設定ができあがるのが一番早かったのは白瀧、遅かったのは橙乃です」
西「まあ白瀧さんは他の人たちに先駆け、短編の時点で登場していましたからね」
白「むしろ橙乃が遅かったのが意外だ。登場数も多いし早いと思っていたのに」
西「そういえば実際俺より初登場も早かった気がします」
**(橙乃初登場回:第三話、西村初登場回:第九話)**
星「たしかにある程度は出来ていたんです。しかし彼女の性格を決めるのに時間がかかりました」
白「性格? と言うと?」
星「現在の性格ともう一つ候補があったんです。その場合は血も涙もデレもないような性格でした」
西「デレってその二つと並ぶようなものでしたっけ?」
星「そのため登場シーンや白瀧をはじめとしたチームメイトとの会話場面も当初は違うものでした。最終的にはストーリーや部員との交流を考えて、そして名前が持つ温かい雰囲気から今の性格に落ち着いたわけですが」
白「……まあ、よかったのかな?」
西「微妙ですね」
星「さらにこの性格だった場合、勇作の性格も変わります。今でこそ重度のシスコンですが、後者の場合は橙乃に冷たくあしらわれて喜ぶ重度のシスコンになっていました」
西(結局重度のシスコンじゃないですか)
白(むしろ変態度がグレードアップしているんですがそれは。今はまだマシだったのか……)
星「という形で本編は出来ました。――それではここからは以前募集した質問に答えていこうと思います。では、早速一つ目から」
・帝光時代、白瀧は彼女いたんでしょうか
西「最初からけっこうダイレクトな質問が来ていますよ」
白「え? 何、これ。俺が自分で答えなきゃ駄目? 罰ゲームですか?」
星「私が答えてもいいですけど」
白「……ッ! わかったよ、言えばいいんでしょ言えば! いませんでしたよ!」
西「白瀧さん……」
星「中学時代から桃井に好意を抱いていたんですけどね。何度か告白したけど失敗し、その後も告白も考えたけど、彼女の寂しそうな表情をみて告白できなかったという」
西「え!? 告白したんですか!?」
白「いや、したというか……」
星「肝心の桃井に告白だと気づいてもらえなかったという」
西「……ある意味フラれるよりも酷い」
星「まあそういうこともあって中学時代彼女はいない設定です」
白「逆に告白されても、意中の女性がいるから受けるわけにもいかなかった」
西「真面目すぎる。試しに少しだけ付き合ってみようとか思わなかったんですか?」
白「俺がそんな器用なことできると思っているのか?」
西「無理ですね、すみません」
星「一途な一面がありますからねー。高校では果たしてどうなることやら。ちなみに以前感想で返したのですが、IH~WCにかけて彼の恋愛関係は大きく動く予定です」
・白瀧、茜、神崎、光月、小林の嫌いな生物とその理由
星「これは原作の単行本でもあった質問ですね」
西(俺が入っていない……)
白「黄瀬って答えちゃ駄目?」
星「いじめよくない!」
白「だよな。まあ冗談は置いといて」
西(本当に冗談だったのだろうか?)
白「俺はハトかな。……小学生の時、登校中にフンをかけられた」
星(安定の不運)
西「当然の怒りですね。登校の後大変だっただろうな……」
星「ここにいないキャラは私が。茜は虫全般。とにかく子供の時から駄目です」
西「まあ女性なら普通ですよね」
白「……もっと変な生物の名前が出てくるかと思った」
西「え?」
星「神崎は毛虫です。中学時代、外で友達と話している時、壁に背中を預けていたら何匹も背中に張り付いてきたとか」
白「勇でもそれは嫌いになるわ」
西「その後の対処が大変そうです」
星「光月はクモ。寝ようと布団にこもって天井を見上げたらいた」
白「あいつが困惑する姿が目に浮かぶよ」
西「多分、こういったことは苦手ですよね」
星「小林は鶏。小学校時代、彼が生き物係で世話をしようとした際に攻撃され、小屋の中を走り回ったとか」
西「一番想像できない場面ですよ」
白「しかも一番面白そうだな」
星「本人はトラウマなんだからやめてあげて!」
・過去編は短編と同じ設定なんでしょうか?何か役職の変更はあり?
西「……帝光中に関する質問ですね」
白「ああ。まだ断片的にではあるが各人物の回想で結構描写あるからな」
星「結論を言いますと基本的な流れは同じです。しかし短編の時には登場していない西村がいるなどの変化もあります」
西「あの時はまだ俺の設定もできていませんでしたから」
星「はい。それとあまり詳しくは言えませんが、その流れの段階もこの長編の方が重い展開が多いです」
白「中学時代はどうしても、な。二年生の時なんて皆色々酷かったし」
西「……キセキの世代をはじめ、他の選手達も変化がありました」
星「役職についても変化はないです。白瀧は一般部員として参加していました」
白「ま、副主将が二人というのは特例だったからな。緑間が副主将である以上、何も問題はない」
西「個人的には白瀧さんが代表でもおかしくなかったと思います」
白「俺はそんな器じゃないよ」
・もし花宮戦で白瀧がラッキーアイテムを受け取っていたらどうなっていたでしょうか?
星「これは、緑間が語っていた過去編の話ですね」
西「二年の全中の話。……あの時か」
白「まあ、今考えればあの試合が大きな分岐点だったよな」
西「白瀧さん……」
星「色々思うところはあるでしょうが、結論としてラッキーアイテムを受け取っていたら白瀧の離脱はなくなっていました」
白「……はぁっ?」
西「何故!? どうやって!?」
星「ラッキーアイテムであるカッターナイフの刃がいつの間にか出ていて、白瀧が指を切ってしまう。思ったより深くて試合に出られそうにないと監督が判断。という形です」
西「ちょっと怪我は負うけど滅茶苦茶よくなっている! 重症が軽症に変わるほどに!」
白「ラッキーアイテムの内容も重要なキーポイントになっていただと……? ラッキーアイテムってマジで何なの?」
星「小説でも緑間の命を救うほどの結果を見せました。効力は計り知れません」
白「……別に緑間に何か言うつもりはないが、何故か納得できない」
・白瀧ってモデルがいるんでしょうか?
星「これは感想でも似たような質問があったやつですね」
白「まああの時は技に関する内容だったけど」
西「白瀧さんの場合は技術面に関する話題が多いような気がします」
星「ある分野に特化した選手ですからね。一応モデルというか参考にした選手はいます。彼のプレイスタイルの参考としてはNBAのアレン・アイバーソン選手です。ポジションは違うのですが、NBAの中では決して長身ではないが卓越した瞬発力でアシストを記録し得点をあげる名プレイヤー」
西「ジョーダンとも戦った有名な選手ですね」
白「新人王をはじめ数多くのタイトルを取った選手でもある。オリンピックにも出ていたな」
星「あとモデルというわけではないのですが、設定として彼が憧れている選手がいます。これはプレイスタイルというか、どちらかというと彼のバスケに対する意識に反映されています。後ほど本編で――おそらく第四章のIH編で出てくるでしょう」
・大仁多を決める前は西村の進路先はどこだったんでしょうか?
西「あ、これ俺への質問ですね」
星「そういえば白瀧が桐皇の進学をやめたとは描きましたが、西村のそれまでの描写はしてなかった」
白「結局進路変えてしまったからな。時機も早かったし」
星「変更前は西村も桐皇を一般受験する予定でした。この時点ですでに泉真館なども声をかけていたのですが、やはり彼の意志をひきつけることはなかったので」
西「どうせ進学しても俺には意味ないですから」
白「……すまんな、西村」
西「謝らないでくださいよ」
・彼女がいる選手を教えてください
西「これはまたストレートな質問が」
白「……でもそんなにいないんじゃないか? 原作組でも少ないし、俺達もまだ一年生だし」
星「一応現段階で明らかになっている人物でいきます。小林・東雲、楠・西條、山田、神戸、以上6名です。ちなみに現在も付き合っている人物のみカウントしています」
白「うち二組が同じバスケ部内か」
西「女子マネージャーってやっぱり選手と付き合うことが多いのですかね?」
星「一概にそうとは言えませんが、多い方だと思いますよ。部活で交流する機会がありますから」
・選手の名前の由来があれば教えてください
白「これは設定に関する話か」
西「原作でも誠凛やキセキの世代、氷室さん。さらには無冠の五将など名前に関する話題がありましたね」
星「今回はキャラが多いので具体例として白瀧・光月・橙乃の三人を説明します」
西「お、この作品の中でも登場数が多めの方々」
星「はい。まず白瀧――白瀧要。これは彼の選手としてのあり方を一字ずつ込めました」
白「あり方?」
星「苗字から説明を。まず『白』。これはキセキの世代同様、色関係です。白は全ての基準。白から様々な色に変化、対応していく。アジャストもこの意味が強いです。もう一つ意味があったりしますが、これは後の機会に。次は『瀧』。これは彼の現状ですね。私が読んだ『三国志』という作品の逸話からとりました」
白「中国の歴史物語だな」
星「その通り。その重要人物である劉備と曹操の英雄に関する話です。『龍は実在するか?ありとみればあり、無いと見ればない。龍が表すのは英雄。龍というものは天に昇る機が熟さん時は頭を埋め、爪を隠し深淵にひっそりと身をひそめ、さざ波さえ立てない。だがひとたび機が熟したとみるや、風を起こし、雲を呼び、一気に天を駆け上がる』」
西「龍、英雄か」
星「今はまだ龍は水の中にいる。……ということで『瀧』です。滝でもよいかと思ったのですが、こちらの場合は水のイメージが強いので瀧にしました」
白「正直身に余りすぎる話だけど……」
西(俺達からみればそうでもないけどな)
星「最後、『要』。これは文字通りチームの中での役割。スコアラーとしては勿論、パス回しや精神的な支えなどチームの要として存在する。今となっては司令塔なども務めるほどです」
西「こう見ると何か尚更凄く見えます」
白「辞めろ、恥ずかしい」
星「桃井を好きという設定は逆に彼女の名前から取り入れました。桃の花言葉、『私はあなたのとりこ』から。桃井は黒子へ感情が向いていますが、逆に彼女へ恋愛感情を抱いている人物がいなかったので」
西「青峰さんという例外もいますけどね」
星「そうですね。では次、光月――光月明」
白「大仁多のインサイドを担う生粋のパワープレイヤーだな」
星「彼に関しては彼の性質を全ての文字で示しています」
西「白瀧さんとはまた変わった形ですね」
星「『月』は一人では『光』ることが出来ない。太陽の光を得て、『明』るく輝くことができる。彼の性格と力を踏まえた名前にしてあります」
白「月、か。黒子の光と影という話はあったけど、こちらでは太陽と月で示したわけだ」
星「はい。相互関係という点では変わりない。光月も力はあるものの一人では戦うことが難しいので。ちなみに月に関してはもう一つ意味がありますよ」
西「何ですか?」
星「月が本当に明るく輝くのは太陽が沈んでからです」
西「……は?」
白「え? それってどういう――」
星「では次行きましょう!」
白「無視!?」
星「橙乃――橙乃茜。彼女に関しては彼女の過去からとっています」
西(あ、完全に話を切り替えた)
星「『橙』はキセキの世代や白瀧同様、色関係です。暖かい過去の情景、そして白瀧達との関係を示す。橙色は緊張を和らげ力を出せる状態にします」
白「確かに俺も何度か橙乃には元気をもらったな」
星「『茜』は同じく過去の一場面、夕暮れを意味する。彼女の大切な思い出を表す一言です」
西「以前も描写ありましたけど、やっぱり彼女の過去も何か大きな意味があるんですか?」
星「そうですね。少なくとも今の彼女の、そしてある人物の今を作り上げた原因となっています」
白「こう見ると名前って意味があるんだな」
星「そうですね。ちなみに名前という点では神崎と本田は原作でいう火神、青峰と同様の意味を兼ねていますよ」
西「へえ。何か主人公との関係ですか?」
星「バ神崎とア本田」
西「あっ(察し)」
白(バカ神とアホ峰というやつか。そういえば二人とも学業の成績が……)
星「他に原作同様、共通点で決めたグループもあります。大仁多の三年生は自然に関する事。聖クスノキは留学生のジャン以外は歴史上の天才と謳われた人物の苗字。盟和高校は勇作以外の選手は執筆当時、某球団に所属する選手の苗字となります」
・橙乃や東雲は何カップですか?
星「来るかもとは覚悟していた質問来ちゃったよ」
白「原作にもあったな。これに関しては……俺達は何も答えられない」
西「むしろ答えられたらただの変態ですよ。俺達は知らない方が良いのでは?」
星「まあまあ。えっと、現時点で登場している人物ですと橙乃・Dカップ、東雲・Bカップ、西條・Cカップという設定です。なのでFカップの桃井が登場する生徒の中ではスタイルがずば抜けていますね」
白「え!? 桃井さんってFカップもあるの!? やべえ!」
西「白瀧さん……」
星「うーむ。逃れられない男の本能。悲しいかな」
・白瀧がいなかったら大仁多はどうなっていたんでしょうか?
西「これって原作的な意味ですかね?」
星「おそらくそうでしょうね。大仁多はWCが初登場でIHの描写がなかったので」
白「ただそうなるとかなり違う気がする」
星「そうですね。まず人材ですが白瀧がいないとなると西村の進学もなくなってしまう。この場合はSFに三年生の佐々木が入り、PGも小林・中澤の二枚看板になる」
西「まあ俺の場合白瀧さんがいなければ大仁多目指しませんからね。学力的に入れるかわかんないし、PGに正レギュラーの小林さんがいるし」
星「加えて光月の覚醒がなくなってしまう。これが一番大きいですね」
白「たしかに。あいつは誰か同級生に頼れる存在いないと成長は難しそうだな」
西「下手すれば秀徳との練習試合で立ち直れなくなる可能性もありますよ」
星「はい。他にも一軍に心強い同級生がいないことで神埼や本田にも影響がでるでしょう。そういう問題もありまして白瀧がいない場合、大仁多はIHには出場できないと思っています」
西「え!? 県予選で敗退ってことですか!?」
星「その通り。準決勝で楠・ジャンの二人に苦戦を強いられ、決勝で盟和に惜敗、といった感じです。さすがに白瀧・西村・光月三人の戦力低下は大きすぎます。この三人は純粋な戦力としては勿論、流れを変えることが出来る貴重な逸材だと思っています」
西「レギュラー二人、そしてベンチメンバー一人。エースがいなくなるし確かに違いは大きいけどここまでとは」
白「IHには盟和が出場、か」
星「はい。そしてWCで大仁多が借りを返す。原作でも大仁多は昨年のIHベスト4と言っていましたが、今年の話はしていなかったので出場していないのでは? と思ったわけです」
西「でも結局冬のWCで秀徳・緑間さんに負けてしまうと……」
白「原作では瞬殺だったか。切ないな……」
星「まあ設定ですので。むしろNG集で使おうと思っていた『橙乃が盟和に入っていたら』という設定の方が怖いですよ」
白「ああ。そういえば橙乃は盟和に入ろうと思っていたんだっけ?」
西「というよりも勇作さんの一方的な願い、ですかね?」
星「色々事情はあるでしょうね。とにかくそうなった場合の大仁多対盟和が、こちら」
「お兄ちゃん。……勝って!」
橙乃の思いが込められたその一言が、勇作の力を呼び覚ました。
「なっ!?」
あまりにも唐突で、そして鮮烈だった。
白瀧の視界から一瞬で勇作の姿が消える。マークをかわした勇作は他の選手がヘルプに出ることさえ許さず、ボールをリングに叩きつけた。
――『ゾーン』。試合における余計な思考が全て消え、目の前のプレイだけに没頭する極限の集中状態。
選ばれた者だけが入ることを許された究極の領域。
だが勇作の
白「……は?」
西「……え?」
星「勇作、妹の叫びを受けて覚醒」
白「シスコンってすげえ!」
西「いやさすがにシスコンはシスコンでもこれは勇作さんだけでしょう。ちなみにこの後試合の展開はどうなるのでしょうか?」
星「この後は勇作の奮闘により大仁多が逆転負けを喫します」
白「結局!?」
西「つまり白瀧さんがいなくても、橙乃さんがいなくても結論は同じだと?」
星「橙乃がいないことにより白瀧の強化フラグが立たないんですよね。考え方も固執したままで成長しきれない。むしろ余計に自分を追い込んでしまう。逆に盟和に入ることで勇作が覚醒する、と」
白「勝因:マネージャー」
西「マジですか。なんかゲームでいう勝利条件みたいだ。ある条件を達成しないと絶対にゲームクリアできない、という」
星「他に白瀧が別の高校に行ったらどうなるか? みたいなことを考えたこともありますけどね。聖クスノキに入って楠とライバル関係になり下克上。盟和に入って勇作・橙乃と共に王者大仁多を倒してIHとか」
西「……あれ? ひょっとして大仁多のピンチ? 俺も多分そっちに行くだろうし」
白「PG:西村、SG:楠、SF:白瀧、PF:真田(主将)、C:ジャン。この組み合わせが何気に一番主人公チームみたいに感じる」
西「盟和の場合は金澤さんがシックスマンに入ってPG:細谷・西村、SG:白瀧、SF:古谷、PF:勇作(主将)、C:神戸、そしてマネージャー橙乃という感じですかね。フロントラインが充実しているし戦力的には本当に大仁多にも負けていませんよ」
星「他にもレギュラーのSFがいない誠凛とかも面白そうですけどね。ま、大仁多に入るのが色んな人にとってベストな気がします」
・最後に
星「以上、皆様方から頂いた質問の答えとなります。送っていただいた方々、本当にありがとうございました」
白「これでこのデータ集も終わり、か」
西「ということはついに……」
星「はい。次回からは新章、IH編へ突入します」
西「そうか。長かったな」
白「初のIH、キセキの世代との公式戦。期待と不安が一杯だよ。緑間が敗退したものの、代わりに誠凛が、火神・黒子が勝ち上がっている」
星「間違いなく激戦になる。その中で誰が勝ちあがっていくのか……」
西「三年生の先輩達の為にも、少しでも長くコートで戦えるよう、頑張りましょう!」
星「そうですね。では――ここまで読んでいただきありがとうございました。ここから先では次章予告を少しだけしていきます。予告が好き、見たいという方だけ先へと進んでください。皆様、本当にありがとうございました」
白「これからも頑張っていくので!」
西「応援よろしくお願いします!」
――新章、突入!
各都道府県の予選を勝ち抜き、選ばれた猛者が集うIH。
その舞台で、ついに彼らの真の戦いが幕をあける。
「自分さえ救えない弱者に、弱者は救えない」
最強と謳われる“キセキの世代”との真っ向からの戦い。
かつては共に戦ったチームメイトと、初めて敵として全国で、公式戦で顔を会わせる。
「今でもお前の考えがわからないよ。なあ、何でだよ? 何でだよ赤司!?」
「マッ、スルゥゥゥゥッッ!」
「あらそう? でも、私はちゃんと覚えているわよ」
「だってもう俺らの方が上ってわけでしょ?」
「……ありました。弱点」
「よーやく出番か。じゃあ景気よく決めさせてもらいましょうか!」
「テメエを倒せないようじゃ、キセキの世代になんて勝てるわけがねえだろうが!」
「今から現れるのは――あの男の、本質だ」
予選よりもさらに厳しさを増す試合。
勝利の笑みがこぼれ、敗北の涙がコートに落ちる。
「既に賽は投げられた。もう誰も戻ることは許されない」
「あいつは俺の期待を裏切らない!」
「まだ始まったばかりだ。楽しんでいこうぜ」
「生憎こんなところで負けるわけにはいかねえんだ」
「決して甘く見ていたわけじゃねーけど。でも、全国はマジで別物だよ」
「それがお前の答えなのか」
「お前が……他でもないお前達があの人のことを否定するな!」
選手達の思いが交錯し心は揺れ動く。
「またですか? もう聞き飽きたんですよ、そんな戯言は!」
「お願い。どうか行かないで」
「まさか、まさかあの時から?」
「残酷な選択だな。酷い男だ。――だが正しい」
「何をやっている白瀧!!」
「お前達に聞く。希望は尽きたと、そう思うか?」
死闘の果てに待っているものは――栄光か、絶望か。
「そんなつもりで言ったのではないのですよ。……申し訳ない」
「ダメ――――!!!!」
「今さら気づいても遅い。今から手を打とうとも無駄だ。大仁多はもう、終わりだ」
「馬鹿じゃないの? 諦めれば楽になれるのに、何であがくんだよ?」
「こんの、馬鹿もんが!」
「同情や哀れみはいらない! 俺が欲しいのは勝利だ! 勝って約束を果たす!」
黒子のバスケ 銀色の疾風 第四章 IH編
「嬉しかった。俺にはその言葉が、ただ嬉しかったんだよ」