ゲヘナクソ雑魚TSサキュバス   作:TSサキュバス流行れ

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放課後の甘い快楽

 

 

 

 リリスがゲヘナから離れた翌週の金曜日の放課後。リリスは授業を終えると同時に鞄を持ち、脇目も振らず教室を飛び出した。

 留学前であれば教室でクラスメイトと雑談に勤しむところだったが、生憎と今の彼女に話しかけてくるような酔狂な生徒は、このクラスには居ない。リリス本人もこの一週間という短い時間でそのことを良く理解していた。

 

「急げ、急げっ」

 

 トリニティ式の鞄を背負い、新調した硬さが残る白い制服姿で廊下を歩いていく。

 校門を抜け、寮にたどり着く。授業を終えて幾ばくも無いためか、共用ルームにも他の生徒の姿は見えなかった。

 

「ただいまーっと!」

 

 帰宅して早々鞄をベッドの上に投げ飛ばす様は、数少ない前世から引き継いだであろう性格が見え隠れしている。

 その反面、制服は丁寧に脱いでクローゼットにかけ、下着姿になる。

 

 そのまま脱衣所に向かってシャワーを浴びる。とは言っても全身の汗をお湯で流すだけの簡易なものだ。顔に水がかからぬよう注意を払い、ものの数分で脱衣所へと戻る。

 予め畳んで置いておいたお気に入りの服に着替え、両手首に香水を1プッシュ。所々崩れた化粧を直せば完璧だ。

 

「……よしっ! 今日も可愛い!」

 

 忘れ物の有無を確認した後、今度は汗をかかぬようにゆっくりと寮から出る。

 数あるトリニティの寮でも比較的立地の良いこの棟は、歩いて数分程で近くの街へたどり着いた。

 

 そこから特に買い物をするわけでもなく、人気のない路地裏へと移動する。辺りに人の姿が見えないことを確認した後、リリスは隠していた羽を顕現させた。

 他の生徒に見られたら石を投げられること必至の羽は、片方で彼女の背丈ほどの長さがある。空を飛ぶために大きくしているため、その特徴も大きく表れている。

 

 そんな羽をはためかせ、埃を巻き上げながら空中へと浮かぶ。

 

(透明化の魔法、今度お父さんに教えて貰おうかな)

 

 そんなことを考えながら、巨大なヘイローが浮かぶ空の下、直線状の雲を残してトリニティを後にするリリスであった。

 空気を切る音を耳にしながら、ポケットからスマートフォンを取り出す。

 モモトークのトーク一覧、そこで一番上に固定されたヒナの名前を押し、メッセージを送った。

 

『今出たとこだよー』

 

 手の大きさから片手での操作ができないため、両手の親指で器用にフリックした文章を送る。

 電波が届きにくいのか、数秒の遅延の後に送信が完了したのを見て、リリスは満足げに頷いた。

 

 

 

 

 

 場面はうって変わって、ゲヘナにある最も大きな遊園地。その最寄りの駅へと移る。

 駅のホームを出た先、雨どいによって日陰になっている場所に立っているのは、私服姿の空崎ヒナだった。

 

「おいおい、あれ風紀委員長じゃねえか?」

「マジかよ。何でこんなところに?」

 

『ゲヘナの風紀委員長』と言えば、無秩序混沌としているゲヘナの治安を司る最強の生徒として、学園内外問わず有名人である。

 その王冠のようなヘイローと、ワンピースの下から出ている大きな羽は、見る者によっては身を凍らせる恐怖の象徴にもなりうる。

 

「どうせ遊園地のパトロールだろ」

「……じゃあ何で私服なんだ?」

 

 そんな有名人であるヒナが、駅前で一人で立って居たら注目されるのは必然だ。

 彼女の姿を見て邪推する生徒がいるのも仕方のないことだろう。

 

「はぁ……」

 

 しかし、それを一身に受けるヒナは良い気分ではない。

 風紀委員という腕章をつけて立っているならまだしも、彼女は一人の少女『空崎ヒナ』としてここに立っているのだから。

 もどかしそうに背負った愛銃を背負い直し、ポケットから取り出したスマートフォンを見る。

 

 未だ、連絡が来ることはない。

 

「……まだかしら」

 

 呟くヒナの左手にはウィークナイトと書かれた、違う絵が描かれた遊園地のチケットが二枚。

 それを落とさぬよう、しっかりと握り直すヒナであった。

 

 

 

 待ち合わせの時間。17時まで残り5分となった。

 いつも時間に余裕を持って来るはずの待ち人の姿がいまだ見えないことに、段々とヒナの心は乾いていく。

 トーク画面を開いて見るは送られて来たメッセージ。

 

『今出たところだよー』

 

 というメッセージが送られてきてから、既に数十分が経過した。

 あまり能動的ではない性格がモモトークにも表れているのか、基本的に返事をする必要がない場合は既読だけつけて済ませているヒナ。

 そんな彼女が、固まったままの画面を開いては閉じるを数回繰り返している。

 

『今どこにいる?』

 

 そう入力し、送信ボタンの上に親指が来た所で動きを止める。

 

「っ……」

 

 スマートフォンを持ったまま固まったヒナの心には、様々な感情が渦巻いていた。

 来たる楽しい時間に対する期待、時間ギリギリになっても来ない不安、メッセージを送ることで面倒な女だと思われないかという葛藤。

 その共存する感情が、ヒナの心を大きく揺さぶっていた。

 

「────ん!」

 

 そのとき、どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた気がした。

 しかし、辺りを見渡してもその姿は見えない。

 

(……まあ、もう少し待ってみようかな)

 

「ヒナちゃーん!!」

 

 画面を閉じようとしたとき、今度は先ほどよりもはっきりと声が聞こえてきた。

 

「えっ?」

 

 横からではなく上から聞こえてきた言葉に、困惑の声を上げながら空を見るヒナ。

 するとそこには、大きく翼をはためかせてこちらに向かってくるリリスの姿が見えた。

 

 そのまま止まることなくどんどんとその姿は大きくなっていき。翼を大きく広げて地面へと降り立った。

 

「ちょ、ちょっと……!」

 

「ギリギリセーフ! 危なかったぁ……」

 

 あまりに目立つ行動に苦言を呈するヒナだが、リリスは大きく息を吐いて額を腕で拭う。

 リリスのスマートフォンの待ち受けには、16時58分と表示されていた。

 

「そうじゃないでしょ……んっ、もう……」

 

 再度注意しようと思ったヒナだが、それを知ってか知らずか遮るようにリリスが胸元に飛び込んでくる。

 受け止めた衝撃こそ強かったが、そこはキヴォトスで最強と名高い彼女のフィジカルで受け止める。

 

「んーっ! ヒナちゃんの匂いだあ」

 

 リリスは顔を埋めて左右に振りながら声を上げ、変わらない柔軟剤の香りにほっと息を吐く。

 服で遮られてくぐもった声は、しっかりとヒナの耳に届いていた。

 

「んっ、くすぐったいわ」

 

 布を通して胸にかかる暖かい空気にくすぐったく身をよじらせるヒナ。

 いつもと変わらない友人に安心感を覚えつつ、ヒナは慣れた手つきでリリスの脇の下に手を入れた。

 

「ほら、もう時間だからいくわよ」

 

「はーい!」

 

 その小さな体からは想像できない程軽々とリリスの体を持ち上げるヒナ。

 抱き上げられた状態のリリスは、愉快そうにきゃっきゃと笑いながら返事をした。

 

 地面に降り、ヒナの隣を歩くリリス。

 10センチメートル以上身長の差があるにも関わらず、特に無理して歩く様子が見えないのは、ヒナがリリスに気を使った故のことだ。

 

 そんなヒナの左手に、何も言わずに自身の手をそっと差し出すリリス。

 揺れる手に狙いを定め、自身の手のひらをヒナの手のひらに重ねることに成功した。

 

「……手、随分冷えてるのね」

 

 春先と言えど上空の空気は冷たいもの。

 左手に走った冷たさと、遅れて来た暖かさに一瞬背筋を震わせる。

 

「うん。上の方はやっぱりまだ寒いから……あったかいなぁヒナちゃんの手」

 

 子供特有の暖かい体温と、丸々とした柔らかい感触が手のひらから伝わってくる。

 出会ってから十年近い間に、何十何百と繰り返してきたはずなのに、未だにヒナはこの感触に慣れれずにいた。

 

 自身の心内を表すかのように、しおれるように垂れ下がっていた羽も、すっかり元気を取り戻している。

 しかし、そんな無意識の変化にヒナ本人が気づくことは無い。

 

「あったまるまで握ってていい?」

 

「どうせ断っても聞かないでしょう? ……別に、今更聞かなくたっていいわよ」

 

「えへへ。やっさしい」

 

 調子に乗ったのか、そのまま上へ引っ張った手の甲を自身の頬に擦りつけるリリス。

 この行動も、ヒナが怒らないことを確信した故の行動だ。

 

「早く行こ! 金曜の夕方だから絶対混むよ!」

 

 かと思えば、リリスは繋いだヒナの手を引っ張って駆け出していく。

 そんなリリスに、ヒナは困惑の声を上げながらもついて行く。

 

「乗るならやっぱジェットコースターでしょ~」

 

 自身の高鳴る心臓の音に、あえて気づかないふりをしながら。その小さな背中を見つめるのであった。

 

 

 

 十数分後。人でごった返した園内に、並んで歩くリリスとヒナの姿があった。

 二人とも園内で買ったカチューシャを頭に付けている辺り、間違いなく楽しんではいるのだろうが、それにしては様子がおかしかった。

 

「はぁ……」

 

「……リリス?」

 

 ため息を吐くリリスに、小さく語りかけるヒナ。

 さっきまであれほど楽し気に走っていたとは思えないリリスの姿が、ヒナの目に入っていた。

 リリスがこうなった原因は、彼女がお目当てにしていたアトラクションにある。

 

「身長制限あるなんて聞いてないよ……!」

 

 そう。リリスが乗りたがっていた、キヴォトスでも随一の高低差を誇るジェットコースターは、最小身長が140センチメートルに制限されていたのだ。

 高校生になって二年が経つリリスだったが、130センチ台前半の彼女がそれに乗れるわけもない。

 ダメ元で出した必殺技(背伸び)も秒で見抜かれ、気落ちしながら帰って来たというわけだ。

 

「ヒナちゃんだけだったら乗れたみたいだし……」

 

 自身が居たことでヒナが乗れなかったことに対しても罪悪感があるようで、リリスの気分はどんよりと底の底まで落ち込んでいた。

 心なしかその卑猥なヘイローの色も褪せているように見える。

 

 そんなリリスにどう話しかければ良いか迷うヒナだったが、そこでふと思い出したのは彼女の背中から生えている羽のこと。

 すれ違う人々の邪魔にならないよう縮小された羽を見ながら、リリスに問いかけた。

 

「あなたの変装って、背を大きくしたりはできないの?」

 

 実際のところ、ヒナは昔一度夢で成長した姿を見せて貰っているためできると確信している。

 しかし、伝えようにも夢の中での記憶を持っていることをリリスに知られたくはない。

 

 夢の中でリリスが自身に性的興奮を向けていることはとうの昔に気が付いているし、自身もそれに応える気をずっと示し続けているためだ。

 記憶が残らない夢の中で、なおかつ相手が据え膳を出しているにも関わらず、一線を超えないように耐え忍んでいるリリス。

 

 やむを得ない事情があったホシノならともかく、自身の欲望のために未成年に手を出すのは駄目だと、変な所で常識を働かせている。

 そして、その結果としてヒナはずっと生殺しにされている訳だから質が悪い。

 

「……ほら、羽を大きくしたりしてたでしょう?」

 

 ともかく、ヒナは夢の記憶が残っていることをリリスに伝えて、現実で気まずくなることを恐れている。

 そのためこのような回りくどい伝え方になったのだ。

 

「そうじゃん! 天才だよヒナちゃん!!」

 

 手をポンと叩き、再度ヒナの手を引いて走り出すリリス。

 行き先は園内にある女子トイレ、その個室。

 

「待ってて!」

 

 そう言って扉を閉めて鍵をかける。

 すると、扉の隙間や空いた天井から、リリスが魔法を使用した際に出る紫色の淡い光が漏れてくる。

 

 鍵が開く音と共に、ゆっくりと扉が開いた。

 

「どう? うまくできた……!?」

 

 それと同時に声を掛けたヒナだったが、その言葉は彼女自身の息を飲む音にかき消された。

 自身の顔にかかる影を見上げながら、驚きの表情を見せつける。

 

「……おっきくしすぎちゃった」

 

 苦笑いと共に姿を現したのは、ヒナが想定していたよりも大きく成長した、リリスの姿だった。

 

「170センチくらいかな? 女の子にしてはちょっと大きいよね」

 

 胸の前で手を組み、首を傾げるリリス。

 丁度ヒナの顔の正面にある、成長したリリスの大きな胸が上下に揺れた。

 

「……そ、そうね。並んでみると違和感があるかも」

 

 残っているのは数年前に夢で一度だけ見た朧げなもの。

 思い起こせば確かにこのような風貌をしていたが、いざ目の前にしてみると色々と破壊力が凄まじい。

 

 大人びた、しかしどこか面影が残るリリスの瞳が、上目遣いをするヒナの瞳と交差する。

 

「ヒナちゃん……」

 

「っ……」

 

 意識的か無意識的か。妖艶な雰囲気が漂うリリスに、ヒナは思わず息を飲んでしまう。

 

「か、かわいい!」

 

 そんな彼女を見て何を思ったのか、リリスは顔をほころばせて彼女を抱き寄せた。

 頭を埋め尽くしても尚余る大きな胸の間に、ヒナの顔が差し込まれる。

 

「こんな、急に……んっ♡」

 

 視界が閉ざされたことにより、胸の感覚と谷間から発せられる香水と汗、強くなった淫気の匂いが脳を刺激する。

 それでも理性を失わなかったのは、ひとえに彼女の淫気耐性の強さからか、はたまた理性の強さからかは定かではない。

 

「だって私、ヒナちゃんの上目遣い、初めて見たんだもん!」

 

 スキンシップとして何度も抱き着いてきたリリスからすれば、今回の行為も日常の一環と言える。

 しかし、想いを寄せた友人の成長した姿を見せられたヒナからすれば、心穏やかでいられるかは微妙なところだ。

 

 だが、そんな時間も長くは続かない。

 リリスとヒナは後から来た利用客からの奇怪な視線を背中に受け、恥ずかしそうに園内に戻っていく。

 

「よ、よし! じゃあ、早速リベンジだね!」

 

 気まずくなった空気を戻すように、大きくなった体で声を上げるリリス。

 しかし、手を繋ぐことは変わらないようで、ヒナの手を引いて再度来た道を戻る。

 

 この時のリリスはすっかり忘れていた。

 体を成長させることは、力の消費がかなり激しいことに。

 幸か不幸かそれを自覚せず居られたのは、繋ぎ続けたヒナの手のひらから神秘を、少しづつ吸い取っていたからに他ならない。 

 

「っ……そ、そうね」

 

 その後ろには、中途半端に快楽を受け続け、興奮させられたヒナがついていく。

 しかし、ヒナはリリスの楽しみを邪魔したくはないと、献身的な心遣いによってそれを隠そうとする。

 

「はっ…はぁ…っ」

 

 ーーーー結局、彼女が顔を赤くし、息を切らしている事に気が付いたのは、二人がジェットコースターに乗った後の話だった。

 

 

 





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 R18版IF:https://syosetu.org/novel/355317/
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