ゲヘナクソ雑魚TSサキュバス   作:TSサキュバス流行れ

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淫魔への道は楽じゃない

 

 

 

 幼稚園入園を来月に控えたとある日の夜。()こと夜伽リリスは、眠る準備を済ませてベッドの上に横たわっていた。

 百センチメートル近くしかないこの小さな体を踏まえても、馬鹿みたいにデカいサイズのベッドは、家族三人で川の字になっても余裕がある。どうやらワイドキングというベッドを特注で作ったらしい。何だよワイドキングって。存在すら初めて知ったよ。

 

「ちゃんと歯磨きしましたか?」

 

「うん!」

 

 サテン生地のサラサラとした白いパジャマを身に纏ったお母さんに抱かれながら、私は子供らしく返答を返す。

 こうして二人の前では子供らしく女の子として過ごすことを決意した私だったが、これが意外にも簡単だったのは驚きだ。

 

 少なくとも女の子として過ごすことに対してそこまで抵抗は無かった。むしろ前世で服や髪型などの外見にこだわるという経験が無かったため、その楽しさを知ることができたというのは僥倖と言ったところだ。

 ……この楽しみを前世で知ることができたのなら、もしかしたらもっと違った結果だったのかもしれないと考えると少し悲しくなるけど。

 

 ともかく私は、今世で親バカ両親の着せ替え人形になることをむしろ楽しんでいるのだ。

 指通りの良すぎる白色のロングヘアのアレンジを考えるのも朝の日課と化しているし、顔のいい女の子に産んでもらえてとても嬉しい限りである。

 

「トイレ行ってくるね」

 

 そこでふと寝る前のトイレを忘れていた事に気が付いたため、お母さんの腕から抜け出して駆け足でトイレへと向かっていく。

 こうやって寝る前に出しておかないとベッドを濡らすことになるので欠かさず行う必要があるからね。

 成長期を終えてからは眠気とトイレを天秤にかけて、前者を選ぶなんてこともザラにあったが……オムツを脱いで一日目でおもらしをする羽目になりたくなかったら、皆もしっかりトイレにはいくことをオススメする。

 

 トイレを済ませ、寝室に戻る途中に大きな鏡が張られた場所で立ち止まる。

 私を縦に二人並んでも余裕で入るであろう大きな鏡には、金髪赤瞳の美幼女が移り込んでいた。

 同世代の子供と比べて身長は少し小さいが、約4.5等身程の幼い体は見る者を悩殺させる魅力を放っている。

 

「えへへ」

 

 まず顔をパッと見て目に入るのは、幼児特有の眠たげな瞳だろうか? 大きな目の中に納まる、宝石のように透き通った赤い瞳は、ずっと見つめていると不思議な気持ちになってくる。

 子供ながらにツンと先が立った高い鼻に薄い唇は母親譲りで、目頭目尻共に邦人離れしたクルミ型の並行二重は父親そっくりだ。目元だけ見ると力強さが、それより下は甘みのある顔立ちとなっている。

 しかし私が自分の体で一番気に入っているのは、このお人形のような顔立ちではない。

 

「ふん……っ!」

 

 両手を握って体に力を込める。集中するために閉じていた目を開くと、母親譲りの金色の髪の毛の色素はすっかり抜け、艶のある白髪になっていた。

 赤い瞳と白い肌にこの髪色となると、まるでアルビノのような儚さを感じられるね。

 そう。人前でサキュバスの特徴である角、羽、尻尾を隠せるように、私はこうやって髪の色を変えることができるのだ。

 

「おっ、変装の練習か?」

 

 そんな私に話しかけてきたのは、歯ブラシの取っ手を口から出したパジャマ姿のお父さんだった。

 この前出かけたときのような黒髪黒目ではなく、白く染まった前髪をヘアバンドで上げ、その下から覗く赤い瞳が私を見つめている。

 

「ほら お父さんと同じ色だよ!」

 

「ああ。綺麗な色だ。けどあんまりやり過ぎると疲れるから程々にしろよ?」

 

 歯ブラシを咥えたまま器用に喋ると私の頭を撫でて洗面台へと向かい、口をゆすいで帰ってきた。

 帰ってきたお父さんの足元へと駆け寄り、両手を上げて己の存在をアピールする。

 

「だっこして!」

 

「おう」

 

 嬉しそうに小さく笑った後、お父さんは私の脇の下に手を入れてひょいと持ち上げた。

 こうやって子供らしく振る舞うことに抵抗をあまり感じないのは、()が母子家庭で育ったことに起因しているのだろうと考える。

 

 ……前世では基本、子供のころから母親が仕事から帰ってくるまで、家で一人ぼっちだったからね。

 こうして当たり前のように父親がいることも、私からすれば凄く貴重に感じられるのだ。

 

「こうして髪色揃えると俺そっくりだな」

 

「ねー。角もちょっと大きくなったんだよ」

 

「おいこら、やめろ突っつくな」

 

 頭に生えた二本の角を頬に押し付けて突っついてみる。……きっと、私は無意識のうちにこういうじゃれ合いを求めていたのだろう。

 くすぐったそうに笑うお父さんを見て、心地よい暖かさが胸に広がっていくのを感じる。子供らしく振る舞うとかの意識は差し置いて、私は間違いなくこの家族での団欒を楽しんでいた。

 ……それ故に、前世で一人残してしまった母親のことを思うと少し苦しくなる。

 

「……大分早いが、そろそろ頃合いかもしれねぇな」

 

 頬を突く私の角を手のひらでさすりながら、お父さんが小さく呟いた。

 ……まあ、だからといって今の私何ができるわけでもないんだけどね。

 私がするべきことは、この家族の一員として今の人生を楽しむという事だけなのだから。

 

「ふぁ~」

 

「もう九時か。餓鬼は寝る時間だぞ」

 

「お母さんに怒られちゃうよ? 汚い言葉遣いだって」

 

 あくびをした私をからかうように頭を撫でるお父さんに反撃してみる。

 数年お母さんの娘として過ごしてきて分かったが、あの人マジで良いとこのお嬢様っぽいんだよな。昔の写真見たら、王族が座るような馬鹿でかいテーブルでお茶会をしている写真とかもあったし。

 お父さんから色々ちょっかいかけたのは容易に予想がつくが、二人の出会いについては気になるところだ。どうやってあんなお嬢様を落としたのだろうか。

 

「そりゃ困ったな。お母さんには内緒にしてくれよ?」

 

「このまま連れてってくれるならいいよ!」

 

「お安い御用だ」

 

 寝室まで腕に抱かれた状態で運んでもらい。柔らかいベッドの上放り投げられる。

 

「あはは! びっくりした!」

 

「っもう、怪我したらどうするんですか?」

 

「俺とお前の子がこんなので怪我しねえって」

 

 その乱暴な扱いに苦言を呈するお母さんだったが、本気で言っている訳ではないのだろう。

 私を挟んで反対側に横たわるお父さんに「仕方のない人です」と呟き、楽しげに笑う私の頭を撫でてくれた。

 

「ほら。明日もお出かけするんですから早く寝ますよ。無職のお父さんの運転で」

 

「無職言うな。楽しく暮らせてるんだからそれでいいじゃねえか」

 

「ふふっ、誰のお金で楽しく暮らせてるんですか?」

 

 そんなお母さんの言葉による攻撃に、お父さんは無言で部屋の電気を消すことで対抗するのであった。

 

「ふあぁ、おやすみ……」

 

 子供の体というのは睡眠を多く求めるもの。

 突然襲い掛かる強烈な睡魔に身を任せ、私は心地よい眠りへと落ちていくのであった────

 

 

 

 

 

 

 

「────あれ?」

 

 ……と思っていたのだが、気がついたら私は知らない空間に立っていた。

 眼下には中世ヨーロッパのような雰囲気の、しかし人が住んでいるとは思えない禍々しい空気感の街並みが広がっている。

 雲に隠れた昏い太陽は、明度の低い紫色の光で地上を照らしており、地平線の向こうには青い雷が降り注いでいた。

 

「なに……ここ?」

 

 魔界と表現するのが最も適切であろう場所に突然ぽつんと立たされ、全身をどうしようもない不安感が支配する。

 そんな中、呆然と立ち尽くす私の耳に聞き馴染みのある声が入ってきた。

 

「気が付いたみたいだな……っとと」

 

「うっ、ふえええ……」

 

 後ろを振り返ると、そこには確かにお父さんの姿があった。魔王みたいな荘厳な服装に変わっていたり、角や羽が見たこと無いくらい大きくなっている等の変化はあるが、その優しい顔は私のお父さんそのもの。

 足元に駆け寄って抱き着くと、強い恐怖を紛らわすかのように顔を埋める。すると安心感からか思わず涙が滲んできた。

 ……私こんなに涙もろかったかな。

 

「おいおい。悪かったって。流石にいきなりが過ぎたか」

 

 きっと精神が肉体に引っ張られているに違いない。そう思わないと、私は自分の尊厳を保てそうになかった。

 すると脇の下を掴まれたような感触と共に浮遊感が体を襲う。泣いている私をお父さんが抱き上げたのだろうか。

 

「ほら。もう戻ったから安心しろ」

 

 目の前の景色を見ないように強く目を瞑る私の背中を、お父さんは安心させるようにさすっている。

 

「っ……?」

 

「悪いな。故郷を紹介したかったんだよ」

 

 意を決して目を開けると、そこには見慣れた家の庭が広がっていた。

 D.U.の郊外にある高級住宅地の一角にそびえたつ、我が家の庭には穏やかな陽の光が差し込んでいる。

 

「うえっ、怖かったぁ……」

 

 落差からか涙が止まらない私の頭を優しく撫で続けるお父さん。

 ……というより、四歳の子供をあんなおぞましい空間に放り込むとか、父親の倫理観について小一時間問い詰めたいレベルだ。

 

「……お母さんに言うから」

 

「ちょ、マジで勘弁してくれ!? お詫びとしてお父さんの凄い魔法を色々教えてやるから!」

 

「……ほんと?」

 

 その言葉に思わずお父さんのお腹に埋めていた顔を上げ、冷や汗をダラダラ垂らしたお父さんを見つめる。

 まだ私は女の子とエッチするという目標を忘れたわけではないんだ。自分から聞くのは憚られたため黙っていたが、まさかお父さんから教えて貰えるのは凄い嬉しい。

 ……しょうもない魔法だったらお母さんにチクっちゃおう。私を泣かせた代償は高くつくということを、この無遠慮な男に思い知らせないといけない。

 

「ああ。だが、これを教えるにあたって約束して欲しいことがある」

 

 そんな決意を胸に秘めていると、お父さんはしゃがんで私に目線を合わせ、真剣な表情で前置きをしてきた。

 身構える私に対し、お父さんは指を立てて語る。

 

「現実……特に人前でむやみにこの力を使わないことを約束してくれ。異能持ちの人間自体はそこそこいるようだが……」

 

 そう言ってお父さんは左手を何もない空間に向け、紫色の渦のようなものを射出した。

 凄まじい光とともに辺り一面が爆音に包まれ、思わず目を閉じてしまう。

 

「……それでも悪目立ちするのは間違いないからな」

 

 目を開けるとお父さんの手のひらから向けて、放射線状にある建物や地面が、地平線の奥まで跡形もなく消し飛んでいた。

 閑静な住宅街の面影は何処へやら、円形にくり抜かれた自動車の断面が赤熱している光景は、まるで航空機による爆撃を受けた後を思わせる。

 

「泣くなよ? ここはお前の夢であって現実じゃない。入り込んだ俺と主であるお前以外は、この世界には誰一人として居ないからな」

 

 そう言ってお父さんが指を鳴らすと、魔法によって消え去った道路や建物が元通りに復帰した。

 

「もちろん、こんな莫大な力を出せるのは夢の中だけだ。俺の故郷まで行けばその限りじゃないんだが……ちょっと前に星ごと吹っ飛んじまったらしいからな」

 

「えぇ……」

 

 何それ私初耳なんだけど。

 サラッとエグイ過去を話したお父さんだが、寂しそうな様子など一切見せず、いたずらっ子のような笑みを浮かべて私の頭を乱雑に撫でた。

 

「つまり、俺たちの種族は俺とお前しかもう残っていないってことだ」

 

「そうなんだ……」

 

 そんな漫画みたいな設定があったとは驚きだ。しかもそれを対して苦にしていない辺り頭のネジが吹っ飛んでいて面白い。

 私の前だと普通の子煩悩な良いパパって感じなんだけどな。近所の人との関係も良好だし。

 

「追放されたときはムカついて自暴自棄になってたけど、こうしてホノカとお前と結ばれて俺は幸せだぞ」

 

「追放?」

 

「ああ。貴族の娘とか嫁さんとかを片っ端から食い散らかしてたら親父に愛想つかされてな。議会で弾圧されて罵詈雑言の嵐と一緒にロケットに縛り付けられてボンッ。無事ここに流れ着いたってわけだ」

 

 ……あんまり深堀しない方がいいかもしれないね。父親が色狂いだった話なんて聞くだけ損だろうし。

 

「まあ、キヴォトスっていう宝島に漂着できたのは幸運だったな。そしてここで生まれ育ったお前も運がいい。ここはただの学生でも相当な量の神秘を持っている。俺の星では上級魔族以外はカスみたいな魔力しか持ってなかったからな」

 

 ……うむ。ここにきて魔法の要素が出てくるとは驚きだ。

 まあ、その出どころの星が消えちゃった以上、そんなファンタジーな存在は目の前のお父さんしか居ないんだろうけど。

 

「サキュバスなら男の精気を奪うのが普通だが……こんな良い女ばっかの星に生まれたら、そりゃ女好きにもなるよな」

 

「えっ……?」

 

 苦笑いを浮かべるお父さんの言葉に思わず呆けた声を出してしまう。

 それも仕方がないだろう。だって女の子が好きだなんて話は、両親を含めて誰にもしたことがないのだから。

 

「俺たちが出す淫気ってのは食事の対象にしか効かないように出来てんだよ。性欲の発生と共に発現するからすこし早すぎる気もするが、流石俺の子なだけあってマセてんな? 父ちゃん嬉しいぞ!」

 

 満面の笑みで私の頬を両手で揉み拉くお父さん。

 私が初めて彼をお父さんと呼んだときくらい喜んでいるが、こちらとしては複雑な気持ちだった。だって性欲があることがバレたんだよ? 普通に気まずくない? 

 

「だが、誰彼構わず誘惑しちまうのはいただけないな? 一流のハンターってのは狙って得物を仕留めるもんだ」

 

 同族を食い散らかして追放された男に言われても些か説得力に欠ける気がするが、妙に楽し気なお父さんの邪魔をしたくないため口を閉じておく。

 自分の得意分野を意気揚々と子供に教える様は、まるで子供とキャッチボールをする休日の父親のようにも見える。私前世で父親の顔すら覚えてないけど。

 

「まずは現実での淫気の制御を覚えてもらう。そうしないと、この前のミカちゃんみたいになっちゃうからな」

 

「えっ、何それ?」

 

「覚えてないのか? 俺が眠らせる前、あの子お前の胸に顔うずめて股擦ってただろ」

 

 あれ私のせいなの!? 

 様子がおかしいとは思ってたけど……うわぁ。悪いことしちゃったな。

 

「……そう、だったんだ」

 

 ショックが隠せなくてどもってしまった。いい匂いって言われたのが嬉しかったから、お母さんに頼んで香水とか買いに行こうと思ってたのに……

 

「子供は大人に比べて淫気の耐性が無いからな。それに対する()()の仕方も分からないだろうし、あのまま行けば色々と歪んじまう所だったな……若干影響残ってると思うけど」

 

「……ごめんなさい」

 

 最後の言葉こそ聞き取れなかったが、お父さんが居なかったらきっと大変なことになっていただろう。

 友だちになれると思って安易に接した私が迂闊だった。

 

「何も謝ることはないぞ。淫魔としては普通のことだからな。だがさっきも言った通り、お前にはそれを制御してもらう必要がある」

 

「うん……でも、制御って、どうすればいいの?」

 

「まずは自分が発している淫気を認識するところからだな……とは言っても……ちょっと難しいんだよな」

 

 腰に手を当てて悩まし気に唸ったのち、お父さんは背中に生やした大きな翼をはためかせて瞳を赤く光らせた。

 

「……?」

 

 確かに厨二心くすぐる格好いい動きではあったが、何か特殊な動きが起きるとかは無かった。

 

「……まあ、そりゃこうなるか」

 

「えっと……」

 

 強いて言うなら少し甘い匂いがする程度だろうか? 一体何をしようとしたんだろう。

 

「淫気による発情の強さは『自分から対象への欲求』と『出している淫気の強さ』と『対象の淫気耐性の弱さ』の掛け算によって決まる。この『自身から対象への欲求』ってのが少し厄介で、エロい目で見てなくても可愛いとか、神秘を美味そうに思うだけでも発動するんだよ」

 

「えっ……じゃあ、お父さんは私のこと可愛くないって思ってるってこと?」

 

 自分でそう言った途端、瞳が滲む涙で潤うのを感じた。

 ……いい加減この緩すぎる涙腺を何とかしてほしい。最近泣きすぎて恥ずかしいとすら思わなくなってきたし、そろそろ尊厳を無くしそうで怖いんだよ。

 

「違う違う。この場合、お前の淫気耐性の強さが影響してるんだよ。前二つをかけて一万になったとしても、同じ数で割ったら一になるだろ?」

 

「……ふーん」

 

「嘘じゃないからな。もしお前の耐性がミカちゃんレベルだったら、今頃ビクンビクン震えながら、芝生に盛大に塩水をぶちまけてるだろうよ」

 

 ……品が無さすぎるこの男。娘に対してなんてことを言うんだ。セクハラで済ませられないレベルの発言だぞ。

 意地の悪い笑みを浮かべていたお父さんだが、次の瞬間神妙な顔つきに戻って何かを考えるように顎に手を当てた。

 

「……ちょっと試していいか?」

 

「? うん」

 

 そう言うと、お父さんは私の手を取り、手のひらを上に向けて開かせた。

 すると先ほど街を破壊したものと似たような、しかしピンク色をした渦のようなものを発生させて、私の手のひらに乗せた。

 

「わわわっ」

 

 生暖かくてぼんやりしたような、筆舌にしがたい感触が手のひらに広がっていくのを感じる。

 

「それが魔力……お前の場合神秘とのハイブリッドだな。そのままその感覚を維持してみろ」

 

「う、うん」

 

 お父さんの手が離れ、不安になりながらも頑張ってイメージしてみる。

 何度か不安定に分離しそうになったものの、時間をかけて安定させることに成功した。

 

「上手いぞ……さて。ちょっとした実験みたいなもんだ」

 

 野球ボール程度のピンク色の球が、私の手のひらからほんの少し浮いた状態で静止する。

 完全に安定したことを確認しお父さんの方を向くと、非常に楽しげな様子でこちらを見つめていた。

 

「じゃあ、好きなタイミングでそれを握りつぶしてみろ。思いっきりな」

 

「うん……やあっ!」

 

 その言葉に従い、卵を砕くようなイメージと共に思いっきり握りつぶす。

 球体はガラスの割れるような子気味いい音と共に砕け散り、桃色の空気と共に辺りに飛び散った。

 

「?」

 

 もやのような空気が飛び散るが何も起きない。

 不思議に思って首を傾げていると、少し遅れて甘い匂いのする空気が私の鼻を刺激し……!? 

 

 

 

 

 

「────え゛っ、……なっ、なにこ、れ゛っ!?」

 

 

 

 

 

 独特な香りと共に突然高熱を出したような、体中が火照っていく感覚に襲われる。

 しかし風邪をひいたときとはまた違う熱さに立てなくなり、私はその場に膝を突くようにして倒れてしまった。

 

「っはははは! そりゃあ、自分の体に特上の神秘が宿ってたらこうなるか!」

 

「お゛っ♡、嫌っ、……っ、ぢらないっ♡ わだしこんなのっ」

 

 下腹部を中心に迸る焦がれるような熱は、時間と共に未知の感覚へと変わっていく。

 

「おかしいと思ったが、これは納得だな。鏡に映る自分に発情できるんなら、こんな年でも発現できるだろうよ」

 

 お父さんが感心した様子で話しているが全くもって聞き取れない。そんな余裕などとうに消えている。

 

「俺たちはこうやって、年上の異性に淫気を出してもらって能力を発現させるんだよ。俺も従姉の姉ちゃんにやってもらったんだぜ? 懐かしいなぁホント」

 

 とうとう四つん這いで震えることすら叶わなくなった私は、生暖かい感触がパンツに染みこんでいくのを感じながら芝生の上に倒れ込んだ。

 

「やめ゛♡、お父しゃ♡ たすっ、助けっ……パパぁ゛♡」

 

 へその下を這いまわる暴力的な心地良さ逃れようと足を動かすが、そんな焼け石に水をかける如く行為は徒労に終わってしまう。

 

「よし。今日はこの辺にしておこうか」

 

「っ!? はっ、はぁ……」

 

 倒れた私の首筋に手を触れると、先ほどまでの熱が嘘のようにスッと引いていく。

 運動をした後のような心地よい疲労感と脱力感がどっと体を襲ってくるのを感じながら、私はお父さんに寄りかかった。

 

「とまあ、こんな感じで色々教えていくから、立派な淫魔になれるように頑張ろうな?」

 

 倒れ込むように寄りかかった私を抱き上げ、背中をさすりながら優しく語り掛けるお父さん。

 しかしそんな言葉に返す余裕もなく、私は自分をこんな目に遭わせた手下人の胸に顔を埋める事しかできない。

 

「っ……!」

 

「……リリス?」

 

 返答がないことを不思議に思ったお父さんが私の名を呼ぶ声が聞こえる。

 その瞬間私はありったけの空気を吸い込み、お父さんの分厚い服を思いっきり握りしめる。

 

 

 

 

 

「うわあああああああん! お父さんのばかぁぁぁあああ!!」

 

 

 

 

 

 そして、自分の裸を初めて見たとき以来の、激情を込めた大声を出すのであった。

 

 

 





 表現が過激すぎる場合は修正します。
 次で小学校入学かな。

 クソ雑魚TSサキュバス:自分に欲情する変態なのが悪い。
 お父さん:どちらかというと大悪魔に近い存在。良いパパだけど倫理観に種族柄がでてる。キヴォトスに淫魔の手が掛からないよう故郷の星を消し飛ばされた。感想で心配していた人、安心して大丈夫ですよ

 アンケートや感想を見る限りメス堕ちは止めておいた方が良いですね。ですが書いてほしいって人も多かったので、完結後とかにR18版IFとかで書いてみようかな。
 それはともかく女先生概念を忘れるとは不覚でした。
 アンケート取りたいと思います。回答よろしくお願いします。

 ぜひ高評価お気に入りよろしくお願いします。
 全部に返すのは難しいですが、来た感想は全て読ませてもらってます。

女先生概念は……

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