赤バーから黄色になっていて凹んだ私ではありますが、これが今の実力……
文章構成力クッソ低いしあまり面白い事も描けないからそーなるのは当然ですわw
あれはいつの日だったか……。まだ私がまだ幼かった時だった。
修道院で受けた厳しい修行を受けていた私が1度だけ、姉に連れて行ってくれた場所。
そこは、オオアマナが辺り一面に咲いている花畑だった。
周りには誰もいない、私たち二人だけの空間だった。
だからなのか、私は今でもあのオオアマナの花弁が舞うあの景色が忘れられなかった。
姉は誰よりも強くて、とても優しい人。オオアマナの真っ白な花弁のようにとても美しく、清らかだった。
私が修行で泣いている時も、彼女は励ましてくれた。頑張れば褒めてくれた。
私が危険な怪物と遭遇した時は、私を守ってくれた。
いつか、私も姉のようになりたい。立派になって守りたい。そう言った。
そうしたら、姉はいつも首にかけている十字架のロザリオを握ってお祈りしてくれた。
「いつもあなたに、光があらんことを」
そう言うと、姉は抱きしめてくれた。
姉の温もりは、私の心を安らいでくれた。
だけど、今思えば……姉の声が、どこか泣いているようにも聞こえていた……。
どうして……姉は………
――
薄らと開いた瞼が天井を映す。まだ眠気を帯びた視界は微かにぼやけて見えている。
「またあの夢か……」
溜息をつきながら起き上がると、白くも鍛え上げられた裸体を隠していた毛布が落ちる。
ここに帰って来てどれだけ眠っていたのだろうか、体感では10時間程眠っていたと推測するが、この部屋では確かめようがない。
簡素なベットから起き上がり、跳ねた髪を整える。白銀の装備を身に纏ってから雑嚢の中身を確認する。
「あっ……そうだ。聖水全部使っちゃったんだっけ」
昨夜のオーガとの戦いでハイドロストームを発動させる為に聖水を全て使ってしまった事を思い出す。
「仕方ない。瓶はそこで調達するか」
そう言うと部屋を出る。向かう先は世話になっている商店。ギルドから出ようとした時だった。
「セイバーさん!やっとお目覚めでしたか!」
「あっ、受付嬢」
カウンターから受付嬢が心配そうな顔をしている。
「大丈夫なんですか?あれから丸一日眠っていたみたいなんですが……」
「え?丸一日?」
受付嬢から告げられた衝撃な真実。曰く、帰って来たセイバーはそのまま眠ると、まるで死んだかのようにピクリとも動かなかったのだとか。
「何度起こしに来ても、セイバーさん起きなかったんですよ、一体何があったんですか?」
「まあ……うん、過労かな」
セイバーの言う事もあながち間違いではない。アイテムクラッシュは威力が絶大な分、その対価である使用者の負担も相応なものとなっている。それを2回も使ったとなれば、体力など残らない。
「まだ少し身体は重いけど、寝てばっかりいたら身体が鈍っちゃうもの。それに、道具も補充しておきたいし」
「そうですか……。無理はなさらないでくださいね?」
「はいよ」
軽く手を振ってギルドを出る。陽の光を浴びて身体を軽く伸ばしてから商店へと向かう。
――
「いらっしゃいま……これはこれらセイバー様!ようこそ……」
「良いって良いって。いつもお世話になってるんだから」
店に訪れたセイバーを出迎える商人の表情には決して彼女に媚びを売っているわけではないのが分かる。
セイバーに命を救われた恩があり、さらにはいつも商品を買ってくれる常連客でもある。そんな彼女には頭が上がらないのもあるが、心の底から彼女を慕っている。
セイバーの方も質の良い商品を売ってくれる商人に感謝しており、不足しているものがあればいつもこちらで調達している。
「今日は何をお求めで?」
「短剣と
セイバーが指したのは何の変哲もない水が入った小瓶。
「は、はぁ。構いませんが、一体何にお使いで?」
「ちょっとこれで武器をね」
商人にはその意味が理解出来なかったが、セイバーならばと喜んで販売する。お代を払って商品を受け取った。
「ありがとう。また来るわね」
「こちらこそ、お待ちしております!」
今のところ常連客となっているのはムーンセイバーとその一党達だけだ。最近は他の客も入ってきてはいるが、その中でも商品を買ってくれるものは微々たるものしかない。
それでも贔屓にしてくれる冒険者がいるという事は、商人にとって何よりも救いとなる事だ。
――
商店で買い物が済み、ギルドへ戻って来た。扉を開くとロビーで手を大きく振りながら女武闘家がこちらに向かって走って来た。
「セイバーさんセイバーさん!見てくださいこれ!」
首に掛けてある認識票を引っ張り出す。その小板は白磁ではなく黒曜石で出来ている。
「おっ、黒曜等級になったか!」
「そうなんです!オーガの討伐の功績が認められたんです!」
「良かったじゃん!これで新米から卒業ね!」
冒険者の等級は一定額の報酬を獲得し、さらには人格を加味した査定を受け、問題が無ければ昇級が認められる。人格も実力も問題ない、そう認められたのだろう。
となれば、もう1人の白磁の方も気になるところ。
「私もです」
ヴェルナンデスに関しては問題外だろう。元々白磁にしては実力は桁違い、人格面に関してはやや気難しい所はあるが、その程度は障害にもならない。
だがヴェルナンデスは1つ、大きな不満を抱えている。
「言っておくけど、いきなり紅玉とか銅とかは無理だからね」
「ぐっ……」
まだ何も言っていないにも関わらず、先んじて不満を看破されてしまった。だがその不満は顔にも出ており、嘘を見抜く力が無かろうがバレるのは自然の流れだ。
「そうだセイバーさん。あの神官の子も黒曜になったんですよ」
「ああ。あの子も」
女神官はオーガとの戦いでは全身全霊を掛けて皆を守りきった。その功績は計り知れない。
だが肝心なゴブリンスレイヤーが来ていない。まさか自分と同じで過労なのかと苦笑いを浮かべるが、すぐに切り替える。
「なら、アンタも技の1つを身につけないとね」
「技?」
いつもギルドの裏手にて基礎体力と技術の向上を目的に基礎運動やセイバーとの組手が殆どだった。だが今回は人間型の木の人形が幾つも並べられている。
「今回はアグネアを使ってやるわよ」
今は女武闘家のもう1つの武器とも言えるアグネアの指輪から放たれる雷光の一撃。それで何をするのか、検討もつかない女武闘家は手を挙げて質問を投げかける。
「これを使って……何を?」
「確かにあんたは、アグネアでオーガ討伐に貢献した。それは紛れもない事実。最初にやったアグネアの拳も悪くなかったわ。それでも……まだ決定打に欠ける」
アグネアの雷と女武闘家の拳の組み合わせは強力ではあるが、まだアグネアの力をまだ十分に引き出しているとは言い難い。岩石巨人の守りを崩す事は出来ても、数々の名だたる冒険者を葬ったオーガのような硬い防御を打ち崩せない。
「アグネアは本来、強固な守りを崩す雷の矛。一点に集中し、高めた力を一気に放出する。ちょっと貸して」
女武闘家はアグネアの指輪を外してそれを一旦返す。受け取ったムーンセイバーはそれを人差し指に填める。
「って言ってもアグネアは、強力すぎる故に精神力を結構使っちゃう。だから連続使用と継続して放つのはリスクが大きいんだけど……」
説明しながら人形から少し離れた位置に立つ。そして指輪を填めた右手で拳を作る。その瞬間……
「うおおおぉぉっ!!」
虚空に突き出した正拳。その直後に指輪から轟雷が放たれ、その方には木の人形がある。雷は人形の胴体を貫れその衝撃で倒れた。
「い、今のって……」
自分が放つ雷よりも強く激しく轟き、萎縮した女武闘家が尋ねる。
「これがアグネアの
ムーンセイバーは指輪を外してそれを投げ渡した。大切な武器を雑に放り投げて慌てた女武闘家。落としかけるもキャッチ。再び指輪を填める。
「じゃあやっていこう。まずは……」
「今のは何の音ですか?!」
そこに受付嬢が慌てて駆けつけて来た。その原因が先程のアグネアの音である事は明白だ。
「これは一体……?」
倒れた人形の胴体には風穴が空いている。その穴の周囲には焦げ跡があり、煙は消えていない。ムーンセイバーの周囲に人には女武闘家だけ。だが受付嬢を見るムーンセイバーの表情が引きつっている辺り、一番の容疑者は彼女だ。
「え、えっと……これはね」
「セイバーさん!ここを使うのは構いませんが、周りの迷惑も考えてください!あまり騒がしくすると、他の冒険者さん達の信用問題に関わるんです!もし今後もこのような事があったら、次からは使わせませんからね?!」
「ご……ごめんなさい……」
弁明の機会すら与えられず、正座させられたムーンセイバーは受付嬢にこっぴどく叱られる。
彼女を怒らせてはいけない。説教を受けながらそう心に誓った。
――
受付嬢にこっぴどく叱られては裏手は使えなくなってしまった。やむを得ず人がいない町外れの森にて行う事になった。ここならば騒ぎを聞きつけて部外者がやって来ることはないだろう。
「さあ、やってみな」
ムーンセイバーに促され、拳を握りしめてそれを人形に向かって突き出した。指輪から放たれた一筋の雷は人形の身体に突き刺される。被弾して倒れた人形の胴体は木が墨のように黒くなっており、起こすとその破片が塵のように落ちる。
「ダメだ……」
あの身体を迸るような衝撃と全てを破壊する威力。女武闘家が放ったものはそれに遠く及ばない脆弱なものなのは見て明らかだ。
「もう一度」
セイバーに促され、もう一度放つも結果は変わらなかった。ただ人形は雷を受け続けた影響でボロボロになっていた。
「はぁ……はぁ……どうして……」
「ちょっと休もう」
疲弊した彼女にムーンセイバーが歩み寄る。その手から
「いただきます」
瓶を開けてそれを一息に飲み干した。口の中に薬特有の苦味が広がる。
「苦い……」
「やっぱり難しい?」
「はい……。連続で出せるようになっていても……セイバーさんのようには上手くいきません。全ての力を集めて思い切り出しているのに……」
「それだよ」
言い終える前にムーンセイバーに指摘されて呆気にとられる。
「アンタ力みすぎ。思いっきり殴る動作のせいで、せっかく集めた力がバラバラになってる。アンタの放つ雷はまさにそうなの」
起こした人形の身体をよく見せる。女武闘家は怪しいところが無いか隅々まで見ると、ある事に気付いた。胴体には数箇所の本の小さな穴が空いている。だが極細な穴は複数、それもバラバラにあり、どれも背中には届いていない。
「分かったかな?そこで思い出してみようか。私の時との違いに」
「違い……あっ……」
ムーンセイバーがやった時の穴は1つ、それも大きな風穴を空けるほどに。
(アグネアは本来、強固な守りを崩す雷の矛。一点に集中し、高めた力を一気に放出する)
一点集中。ムーンセイバーが言っていた事を思い出した女武闘家はハッと大きく目を見開いた。
「強壮剤も飲んだ事だし、もうやれるはずだよ。さあ、もう一度やってごらん」
「はい!」
大きく強い返事。再び人形と正面から相対する。静かに目を閉じ、拳を作りながら精神を集中、ムーンセイバーの雷をイメージを思い浮かべる。
(アグネアはあらゆる守りを崩す矛。一瞬で、一点に、一撃を放つ……!)
アグネアの指輪に光が集まったと目を見開いて構えに入る。目の前の標的を向けて、握った拳を突き出す。
「はあぁっ!!」
自身の武術の要領で突き出したその拳から、巨大な蒼雷が放たれ、まるで刃のように集約されたそれは人形の胴体を穿ち、その衝撃で倒れた。
「やった……」
「ハハハ……!上出来だよ!よくやった!」
背中を強く叩かれ、バランスを崩した女武闘家。ムーンセイバーが放った雷と同じ、周囲を轟かせる雷を自分が放てたのが今でも信じられないのか、そのままへたりこんでいる。
「これを……私が……」
女武闘家が放った雷によって人形の胴体には風穴が空けられている。穴の焦げ跡から煙が発せられている。だがそれは紛れもなく女武闘家が放った雷によるものである。
「まだ信じられない?なら、立てる?」
立とうとしたが途中で足元がガクガク震えて覚束無い。足に力が入らないのであれば、2本のそれは身体の自重を支えきれず膝崩れを起こしてそのまま座り込んでしまう。
「足に力が……!強壮剤は確かに……」
「あれでもアイテムクラッシュだからね。そうなるのは当然よ。強壮剤が必要になるくらい疲れてるのに、飲んだ直後にそんな無茶したら、思うように立てなくなるわ」
「は、はい……」
セイバーから忠告ともう一本の強壮剤を送られる。それを受け取って再び一気に飲み干す。やはり苦味で吐きそうになる。それから間もなくすぐに立ち上がる事が出来た。
「けど一日で放てるようになるなんて、大したものだわ。あとは回数ね。そこは力をつけて増やしていくしかないわ」
「ありがとうございます!」
まだ体力が少ないという欠点は残るが、これからつけばいいと割り切る。とはいえ、アグネアを短期間で操れるようになったのは嬉しい誤算であり、今後の活躍に期待出来る。
頼もしくなってきた愛弟子の頭を撫でて褒めてやった。
轟雷の一撃《サンダーインパルス》
アグネアのアイテムクラッシュ。精神力を糧に轟雷を放つ。
使用者によって性質が異なるが、ムーンセイバーの場合は標的を正確に誘導出来る雷を放つ。
女武闘家の場合は一撃が重く雷を拳に乗せ、それを振り抜く。いかなる守りをその上から強引に破壊して貫く。
元ネタ:キャッスルヴァニア 白夜の協奏曲 正拳+雷の魔導書 のスペルフュージョン