タイトルは蒼月の十字架やHarmony of Despairでもお馴染み。
是非本家のBGMと共にお楽しみください。
セイバーの前に現れた災厄の怪物、ゲーゴスの咆哮が塔の内外に響く。塔の部屋は広いはずだが、その巨体のせいで行動可能範囲が狭くなっており、今にも接触してしまいそうな程に近い。
セイバーを追っていたはずのゴブリンもホブすらも上回る巨体なゲーゴスの姿を見た途端、驚愕を露わにする。
ゲーゴスがセイバーを潰さんと自ら頭を振り下ろした。
「ヤバっ……!」
宙返りで距離を取りながら頭突きを躱す。だがすぐ背後にはゴブリン。どちらにしろ両方とも葬らなければセイバーは生き残れない。
着地後、すぐに走り出してゲーゴスの正面を避け、ゴブリン達との距離も取る。
一方ゴブリンは自分達の根城を踏み荒らす怪物を前にして憤る。ゲーゴスを排除せんと集団で襲いかかる。
槍や短剣、棍棒でゲーゴスの全身に攻撃するも、怯む様子は一切なく、逆にゲーゴスが身体を振り回すだけでゴブリン達は一瞬で飛ばされ、そのまま床や壁に叩きつけられて絶命する。
ゴブリンの粗末な矢で射られてもものともせず、逆に肋骨剥き出しの胴体から夥しい量の血が噴射、それを浴びたゴブリンはまるで酸を浴びたかのように苦しみもがき、最期は悲鳴1つすら挙げられずに息絶えた。
逆に怯えて戦えないゴブリンを見つけ、口を大きく開くと、異常な吸引力で吸い込み始める。慌てて逃げようとしても既に遅く、ゴブリン達はそのままゲーゴスの口まで吸い込まれてしまい、その不揃いの歯によって骨ごと噛み砕かれる。
残ったこの群れの最後の変異種であるホブゴブリンも、ゲーゴスの頭に棍棒を振り下ろした。これだけの力でやれば……ホブは勝気だったが、それが無意味だと知るのはゲーゴスが再び口を大きく開けた時だった。
口から光を大きく集約させている。ホブゴブリンは自分の力がまるで通用していないと知って狼狽する。
だがその間もなく、ゲーゴスが口から放った光線によって跡形もなく消し飛ばされた。
一連の暴れっぷりを目の当たりにしたセイバーの表情が青ざめている。
雑魚とはいえ、ゴブリンの群れをたった一体で全滅させたその破壊力は並の竜種のそれを超えている。
仮にこの魔獣がここから解き放たれれば、これ一体が引き起こす厄災がどれだけのものか計り知れない。たとえゲーゴスがここから出られなかったとしても、並の冒険者が勝てる相手ではない。
今ここでゲーゴスを倒す。それ以外の選択肢は無い。セイバーは剣を抜く。
巨大な枷のお陰でゲーゴスの動きは鈍く、容易く背後に周り込める。足を狙って剣の刃が足を切りつける。
「――――――――――!!」
だが腐った皮膚は見た目に反して硬く、ダメージが入った様子はなく、ピンピンした様子で大きく口を開けると腐った皮膚から頭の肉が剥き出しになる。
再びゲーゴスの口から光が集まる。これをまともに食らったらヤバいと察知したセイバーは直ぐに側面へと全力で走る。
ゲーゴスが咆哮を挙げた途端、集まった光が光線のように放たれた。側面に周ろうとするセイバーを打ち落とさんとそのまま撃っている。
だがやがて、光線が消えると口を閉じ、肉は再び皮膚に覆われる。それをセイバーは見逃さなかった。
(弱点はそこか……?!)
確証は無いが、どの道やらねばジリ貧となる。セイバーはそのままじっと動かずにいると、その姿を捉えたゲーゴスが再び口を大きく開けた。この時、腐った皮膚から肉が剥き出しになった。
その瞬間を待っていた。
セイバーはすぐさま駆け出して飛翔。
「やあああぁぁぁーー!!」
空中で刃をゲーゴスの露になった肉を目掛けて突き刺した。肉を貫かれた
「なぁっ?!うわぁっ!」
巨体に振り回されたセイバーはそのまま放り出された。
ゲーゴスは地団駄を踏むように床を強く、何度も踏みつけてから再び咆哮を挙げる。だが今度は肉剥き出しで倒れるセイバーに襲いかかって来た。
「ヤバっ!」
急いで立ち上がった途端、ゲーゴスが高く飛んだ。
「おいおいおいおい!それはまずいって!」
セイバーを押し潰さんと飛んだゲーゴス。これを身を翻して避けるのは簡単だが、本当にマズいのはこの先だ。ゲーゴスのような巨体が、こんな脆い塔の床を思い切り着地したらどうなるか。
案の定、着地と同時にゲーゴスの重みに耐えきれなかった床が抜け落ち、同時に周囲の床も崩落を始めた。
「まず……うわあぁっ!!」
セイバーがいた床も抜け、悲鳴を挙げながらゲーゴスと共に落下していく。ゲーゴスが床に落ちても次の下層の床が耐えられるわけがなく、次々と破壊して落ちていく。
その階にいたゴブリン達も、ゲーゴスの巨体に潰され、それ以外のゴブリンも同様に落下して行き、最下層へと叩き落とされた。まだ下層にいて、着地の衝撃に耐えられたとしても、床だった瓦礫によってその幸運も潰える。
ゲーゴスと共に最高層で戦っていたセイバーもこのままでは最下層まで落ちて、最終的には叩きつけられて即死。生き残るには落下の勢いを殺す他ない。
ならばとゲーゴスに刺さった剣を掴んでそのままゲーゴスの身体にしがみついた。
そのままゲーゴスは最下層に叩きつけられ、床に頭部がハマってしまうも、ゲーゴスは生きている。
一方セイバーはゲーゴスの身体にしがみついていたお陰で、着地時の衝撃は全てゲーゴスが受けてくれた。
ゲーゴスが頭を引っこ抜く前に、急いで剣を引き抜き、距離を取る。
「――――――――――!!」
だが60mの高さから落下した衝撃で、ゲーゴスの足枷が割れてしまう。縛りから解放されたゲーゴスの俊敏さは巨体ながら速くなっている。
だがセイバーは不敵な笑みを浮かべた。
「ちょっと予定は狂ったけど、一気に下まで降りられてラッキーだったわ!」
元々ここにいるゴブリンを全滅させる為に最下層まで向かおうとしたが、邪魔が入った事でそれが出来なくなってしまった。
使い所はここだ。そう見極め、クロスを天高く放り投げると同時にゲーゴスがセイバーを踏み潰さんと高く飛び上がった。
「これで終わりだゲーゴス!滅せよ!」
身体中にみなぎる力を解放。天高く放り投げたクロスが呼応するように光が満ち、セイバーを中心に輝き出した光の柱が周囲の闇を払う。
セイバーさんの作戦通り、私は捕まった冒険者を介抱して塔から脱出を果たした。
こっちを見つけるゴブリンは誰もいない。安全だと確信した所で、彼女の身体を毛布で包む。まだ微かに息がある。
「ここまで来れば……けどあの人は……」
新米の私が言うのも変だけど、塔の中で1人戦っているセイバーさんが心配で仕方がなかった。
さっきから塔の中から聞こえる、まるで獣の雄叫び。頂上からだと思うけど、外からでも聞こえていた。一体この塔に何の怪物がいるのか?今セイバーさんが戦っているのはそれなんじゃないか?
セイバーさんの言う事は絶対に従う。約束したけど……
「やっぱり、セイバーさんを見殺しに出来ない!」
破門にされても仕方がない。だけど、私の信念に反する事はしたくない。
「ここで待っていてください。私はあの人を助けに……」
助けた冒険者を安全な場所に置いて、セイバーさんを助けに行くべく城に戻ろうとした。
「えっ……?!」
突如塔の中から眩い光が発せられた。眩しくて直視出来ない。
「何なのこの光……?!」
その眩きが壁の隙間から漏れだし始めると、塔が中から崩壊を始めた。
「あれって……!」
崩壊してゆく塔の内部から天空へと駆け上がる十字架の螺旋。それが塔の壁を破壊し、打ち上がったゴブリンの身体を砕いていった。
その中にはゴブリンとはかけ離れた異形の怪物もいた。そいつもゴブリン達と同じ運命を辿ったのは言うまでもなかった。
次第に光は消えていき、地平線の彼方から暁光が差し込んで来た。
間違いない。今のはセイバーさんだ。セイバーさんはこれを狙っていたんだ。だけど、セイバーさんは無事なのだろうか?私は急いで瓦礫の城へと走って行った。
セイバーの技は何なのか?
悪魔城をやっていた方なら分かってくれるかと思います!
ただ滅茶苦茶強くしちゃったかな……?
ちなみに今回のゲーゴスはGrimoier of Soulsを参考にしてます。