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そして、序章最終話となります。うん、まだ序章……
そして最後には新キャラが?!
長い夜が明け、陽光が差し込む。
セイバーが使用した技によって、塔は完全に崩れ落ち、瓦礫となったそれはゴブリンを、最上階に収容されていたゲーゴスを滅した。
技の使用者であるセイバーはその瓦礫の上で膝をついていた。
「はぁ……はぁ……」
心臓の鼓動が速く脈打つ。呼吸を荒くしたハンターの足元が覚束無い。顔色も悪く、立っているのも辛いようだ。
何とか残った壁の陰に入って寄り掛かると、雑嚢から瓶を出して液体を一気に飲み込む。
「はぁ……はぁ……。持っていて……良かった……」
少しずつ呼吸が落ち着いてきており、心臓の鼓動も一定のリズムに戻ってきた。
「にしても、
塔が崩壊する直前まで時は遡る。
「滅せよ!
解放した力はセイバーを中心に発した光の柱を、巨大な光の十字架が螺旋状に空へと駆け上がった。対魔の力を特に強く持つクロスの力を極限まで解放し、あらゆる闇を滅ぼす。
だが古城の作りではグランドクロスの威力に耐えられず、崩壊は早かった。ゴブリン諸共、ゲーゴスを一撃で葬り去ってからはまさに時間との勝負を強いられた。
息絶え、塵となったゲーゴスの中から深紅の玉が、邪悪な闇を表すように禍々しい魔力を帯びていた。
それを確認すると、セイバーは魔法陣を展開。刻印を刻むと、魔力の玉は陣の中へと吸収された。
用が済んだセイバーは急いで城から脱出。落下する瓦礫を避けながらここまで逃げ延びたが、グランドクロスによる消耗が激しかった事もあり、動けなくなって今に至る。
(予定外だけど、コアソウルを無事に回収。けど、それがどこにあるのやら……)
壁にもたれてため息をつく。これと同じものを探す為にここに来た。今回のコアソウルは予期しなかったものではあるが、目的達成である事に変わりない。今はそれで良しとした。
そしてセイバーが持ちうる技の中でも最高にして究極奥義、《
その破壊力はこの塔の惨状が物語っている。だがその代償もあまりに大きく、特にグランドクロスは体力の消耗が激しい、最強にして最後の切り札。それも元々、たかがゴブリン相手に使おうとしていた。
だが今回は予想外だったとはいえ、それを使わなければ勝てない相手だった。
「まだまだ……未熟だな」
「セイバーさぁーん!セイバーさぁーん!」
セイバーを探す声。声色からして女武闘家のものだ。どうやらセイバーを身を案じて戻って来た。ゴブリンは一匹残らず潰した為、襲われる事は無いが不用心だ。
「ありゃ……戻ってきちゃったか」
異変を悟られないよう、もう一度深呼吸をしてから立ち上がる。空になった瓶を捨てて、女武闘家の前に姿を現す。
「ここだよ」
「セイバーさん!良かった……無事だったんですね!」
「何とかね……。あの人は無事?」
「はい。息もあります。ちゃんと治療を受ければ……」
ちゃんと状態を把握しているようで、セイバーも安心する。
「荷車がもうすぐ来る。そうしたら、近くに……」
だが背後の瓦礫の山から出てきた一匹の影がセイバーの後頭部に狙いを定めた。
「セイバーさん後ろ!」
「えっ……?!」
潰したと思っていたゴブリンが、1匹だけ生き残っていた。気がついて振り返る事が出来ても、セイバーが武器を振るう前にゴブリンのナイフが彼女の急所に先に届いてしまう。
(これじゃ届かない……だけど……!)
命を救ってくれた恩人に凶刃が迫る。だがそれでも諦めず拳を前に突き出した。
その刹那、女武闘家が填めていた指輪が光出した。
「えっ?!」
何が起きたのか分からない。理解する前に指輪から青い雷光が放たれた。それはセイバーにすぐ迫るゴブリンの身体を貫き、焼き払った。
「な、何これ?!一体?!」
突然の出来事に理解が追いついていない女武闘家だが、それと同じくらい、セイバーが驚愕している。
(アグネアを……使った?!)
セイバーが渡した指輪、その名はアグネアの指輪。使用者の精神力を糧に雷を放つ対魔のサブウェポンの1つ。
だがこれはクロスや聖水と違い、体力を消耗する。セイバーは当然扱えるが、これを扱えるようになるまでかなりの時を費やした上に、体力を消耗してしまうので、決戦の場で使おうとは思わず、使用してこなかった。
それをお守りという形で女武闘家にあげたのだが、まさかそれを1ヶ月という短時間で初めて発動出来た。とはいえ、まだ未熟な女武闘家の精神力だけでは1回撃っただけで膝をついてしまう。
「はぁ……はぁ……」
だがセイバーはもしかしたら、と女武闘家の秘めたる才能に目をつけた。一先ず、女武闘家を立たせようと手を差し伸べる。
「ねえ、大丈夫?」
「は、はい……。ただその……私も……何が何だか……」
「ううん。咄嗟とはいえ、それを使えたのは凄いよ。お陰で助かった」
ヘトヘトな女武闘家の頭を撫でて褒める。今回は文句なしの100点満点の大活躍だった。そこに、ようやく荷馬車がやって来た。
「あ、来ましたよ!」
「本当だ。おーい!ここだー!」
女冒険者を担いで運ぶと、自分達も乗り込んで近くの村に向かうよう指示をする。
そこに到着すると、セイバーが治療してほしいと村人に頭を下げて、それが叶うと急いで女冒険者を医者に診てもらう。
「これで一安心ですね」
「私達はね。けど……」
自分達は助かった。だが女冒険者のパーティは壊滅。たった1人遺された彼女が今後どのような道を辿るのか分からない。せめて生き残れた事が幸運だったと思えるように願うしかない。
とりあえず彼女は一旦村で療養して、これからの事を決めるという。
セイバーと女武闘家は荷馬車に乗って辺境の街へと戻る。その道中、荷馬車に揺られながらセイバーは改めて問う。
「ねえ、アンタはまだ……私の弟子になる事諦めてないの?」
突然の問いにビックリする女武闘家だが、答えは決まっている。でなければここまでついて来ない。
「はい。そのつもりです」
諦めの悪い女武闘家に呆れるしかない。だがそれも含めて、彼女の良い所なのだろう。
まだ純粋で無垢。猪突猛進の持ち主で、精神的にも大人のように見えて幼さが混じっている。こういうのは、誰かが守ってやらなければ、前回のような聞きに陥りやすい。
「……しょうがない」
「え?」
「私の完敗。認める所は認めなきゃね」
元々武術の才能はある事は知っていたが、更なる技術を身につけさせ、そらにアグネアの指輪を使いこなせれば、間違いなく銀等級以上の活躍が出来るだろう。セイバーはそう評価しているが、それを本人には明かさない。
それでも認められたのがものすごく嬉しいようで、笑顔がこぼれる。
「まあ弟子と言っても、私とアンタじゃ戦い方は違うだろうから、教えられる事は限られる。なら私とパーティ組んで、経験を重ねていきましょうか」
「同じパーティ……良いんですか?!」
「え、もしかして嫌なの?」
「あ、いえ!違うんです!まさか同じパーティになれるなんて、嬉しくて……!」
同じパーティを組む事が未だに信じられない様子だが、一緒に戦えて、学ぶ事も出来る。今の女武闘家にとってこれ程喜ばしいことはない。
「じゃあ、改めてよろしくね」
「はい!よろしくお願いします!」
ここにセイバーと女武闘家のパーティが結成された。とはいえ、今日は鍛えてやる体力はない為、それは明日からという事になり、辺境の街に着くとその日は解散した。
――
月が浮かぶ夜。かつて罪深き城と謳われた古城は、たった一夜にして瓦礫となって果てた。
壁だった煉瓦も煌びやかな燭台も、今となっては等しくゴミとなり、荘厳さも感じられない。その瓦礫やゴミの中にはピクリとも動かないゴブリンの遺体も含まれている。
夜風が吹くと、砂や塵が遥か彼方へと飛んでいく。そこに足を踏み入る者が1人いた。踵が高いブーツでありながら、不安定な足場でまっすぐ姿勢を保っている。
「まったく……派手にやってくれたものですね」
呆れのため息を吐く。ローブを羽織っていて、顔は見えないが、その声色の高さからして女であることが分かる。腰には杖を、左手には書物、もとい魔導書を携えている。
言わば、女魔導師と言える。
杖を天高く掲げて詠唱を唱える。魔導書のページがパラパラと独りでに開いていき、ページに刻まれた文字が光り出す。すると、杖から一筋の光が空に放たれ、拡散すると女魔導師を中心に透明なドームが作られた。
「払いの結界。人も魔物も関係なく、しばらくここには誰も入れない。何とか隠蔽は出来そう」
目的を果たせば最早ここに用はない。女魔導師は瓦礫の山から離れる。
「まったく……今回はコアソウルを偶然入手出来たとはいえ、寄り道がすぎます」
独り言なのだが、誰かに対する説教にも聞こえる。
「ですが、漸く居所は掴みました。
2つの満月が浮かぶ夜空を見上げ、フードを取ると茶色の長い髪が美しく靡く。彼女が向かう先、そこには静かに眠る辺境の街がある。
彼女は自らの足で、この闇路を歩くのだった。
女武闘家が仲間になった!
というわけで次回から第1章です!
新キャラも登場しました!紹介は本格的に登場してからにします!
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