小鬼殺しと夜を狩る一族   作:レーラ

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新キャラの魔術師タイプのキャラが来ましたぞい!



ヴェルナンデスの魔術師

「ヴェルナンデス?!」

 

 ヴェルナンデスと呼ばれる女魔導師。彼女が放った雷光弾(ホーリーライトニング)によって岩石巨人(ゴーレム)1体は倒したが、まだ3体は五体満足だ。

 

 岩石巨人の全身は強固な岩によって守られて、身体が欠損してもすぐに元に戻る。だが胸部にある赤い結晶を壊す事で息の根を止める事が出来る。

 

 それざ破壊されない限り、岩石巨人は無限に暴れ続ける。それぞれが3人を目掛けて襲い掛かって来る。

 

「積もる話は後ほど……彼奴等を狩りますよ!」

「そうね……!行くわよ!」

 

 3人が一斉に駆け出し、それぞれ1体ずつ相対する形となる。

 

 3人の中でもヴェルナンデスは近接戦闘が不得手であり、セイバーと女武闘家のような機動力が無ければ直接力で相手をねじ伏せるパワーも無い。

 

 だが彼女は魔術こそが最大の武器である。ゴーレムの正面に立つと、魔導書を開くと杖をゴーレムに向ける。魔導書に刻まれた文字が金色に輝く。

 

一閃の雷(ライトニングレイ)!」

 

 無詠唱で杖から一筋の光線を放つと岩石巨人が結晶を守らんと掌を前に出した。だがヴェルナンデスは杖を下ろすと岩石巨人に背を向けた。

 

「呆気ないですね」

 

 ヴェルナンデスがそう言い放つと、岩石巨人は仰向けに倒れ、その衝撃で身体がバラバラに砕け散った。赤い結晶ごと。

 

 その手で守ろうとしたが、無詠唱で唱えた光線はその指の間から真っ直ぐに抜け、赤い結晶を貫いていた。

 

 これこそがヴェルナンデスの強みだ。本来魔法を行使する際、三語節を組み合わせて行うものであるが、ヴェルナンデスはその三語を既に魔導書に刻み込んであり、それを触媒としてそのまま詠唱せずに発動する事が出来る。

 

 当然、行使すればその文字は消えてしまう為、再度使うにはそこに呪文を記し直さねばならない。

 

 だがこの無詠唱で魔法を放つ事で、今のように一瞬の速さが勝敗を決する際には大きなアドバンテージとなる。これがヴェルナンデスの必殺無詠唱魔術(スペルレスマジック)である。

 

 

 一方、セイバーは岩石巨人の攻撃を避けるが、その手首に繋がれた鎖が鞭のようにしなり、不規則な軌道を描くせいで思うように近寄れない。しかも無作為に暴れ回るものだから、行動パターンが読めない。

 

 それでもセイバーは一瞬の勝機に賭けるべく、回避に専念。振り回す鎖をひたすら避け続ける。そして、岩石巨人がセイバーを潰さんと拳を振り上げようとした。

 

 セイバーはこの時を待っていた。一瞬で駆け出すと、振り下ろされた拳を身体を捻って避ける。そしてそのまま回転しながら岩石巨人の肘を剣で切断した。

 

 残った片腕で弱点を守ろうと手で覆う。これで片腕も切断しない限り腕は落ちない。

 

「想定内だっての……!」

 

 セイバーは不敵な笑みを浮かべながら、スカートの中に隠してある短剣を全て出す。

 

「うおおおおぉぉぉ!!」

 

 雄叫びと共に力を解放。武器覚醒(アイテムクラッシュ)を発動すると、10本だった短剣が無数に増え続ける。

 

「行くぞ!千本の刃(サウザンドエッジ)!!」

 

 増えた短剣を目にも止まらぬ早さで投擲。まるで無数の矢が降り注ぐが如く、短剣の強襲が止まない。だがそれらは全て岩石巨人の手で守られている。はずだった……。

 

 ピキッ。

 

 音と共に生じた亀裂。短剣が刺さり続けている箇所からヒビが入る。

 

 同じ箇所を連続で攻撃を加え続ける事でその強固な守りを強引に崩そうとしている。しかも短剣はまだ半分以上を残している。

 

 息もつかぬ速さで投げる短剣の連続攻撃を受け続け、遂にその手が完全に砕け散った。さらに残った短剣が投擲され、それらは全て守りを失った赤い結晶に全本命中。核は砕け散り、岩石巨人は倒れた。

 

 そして残るは女武闘家が相対する個体のみ。だがセイバーのように強引に崩す技や、ヴェルナンデスのような搦手を持たない彼女は防戦一方だった。

 

(アグネアは……いや、ダメだ……!)

 

 セイバーから譲り受けたアグネアの指輪。自身の精神力を糧にして雷を放つサブウェポン。古城でゴブリンに使った際、意図しない発動だったとはいえ1回だけで体力の半分も持っていかれた。

 

 もしここで外した場合、確実に動けない所を潰されてしまう。仮に当てたとしても弱点に当たらなければ何の意味もない。ここで使うにはリスクとリターンが釣り合わない。

 

(どうする?!どうすれば良いの?!)

 

 打開策が見つからないまま回避行動しか取れない自分に苛立ちと焦りが募るばかり。一旦距離を取って構え直した時だった。

 

「1つに拘るな!」

 

 既に岩石巨人を倒したセイバーがたった一言、女武闘家に助言をした。その表情は真剣そのもの。師として、弟子である女武闘家へ贈った。

 

 1つに拘らない。それが一体何を意味するのか、思案した時、岩石巨人がセイバーの声に反応して向きを変えてしまう。

 

「げっ……」

 

 セイバーとヴェルナンデスの2人なら、たった1体の岩石巨人を倒す事など容易いだろうが、それでは意味が無い。それに、標的がこちらに向く事を想定していなかったのかセイバーに僅かに焦りが漏れている。

 

「セイバーさん!」

 

 大切な人を守る為に考えるのをやめて駆け出した。自分の持ちうる全ての力を出して、地を蹴って跳躍した。

 

「うおおおおおおぉぉぉ!!」

 

 雄叫びと共に繰り出される膝蹴り。それが岩石巨人の身体に直撃した。その衝撃でバランスを崩して転倒した。

 

「倒した……?」

「ある意味……ですがまだ喜ぶには些か早計です」

 

 無闇矢鱈に出した攻撃で倒れた岩石巨人を前にあっけらかんとしているが、ヴェルナンデスが注意をする。

 

 まだ核が無事である岩石巨人がゆっくりと起き上がる。

 

「それを忘れないで」

「え?」

 

 セイバーにそう言われて最初こそは分からなかったが、先程の自分の行動を思い返してハッとした。

 

 弱点である核を破壊する事に集中するあまり、全体が見えておらず、守る事しか出来ていなかった。

 

 目的は確かに岩石巨人を倒す事だが、その手段は多彩。今の膝蹴りもそうだ。

 

 攻めなくては勝てない。そして、攻め手は持ちうる技術と道具全て。ならば1つずつ使って活路を見出す。

 

「はい!」

 

 力強く返事をする。とてもいい顔をしていた女武闘家を見て少し嬉しくなるが、ヴェルナンデスがムスッとした顔になる。

 

「え?何?」

「……何でもありません」

 

 しまいにはぷいっと顔を背ける。何でそんな反応をするのか分からないセイバーは首を傾げる。

 

 自分の足りないものに気がついた女武闘家に恐れはない。起き上がった岩石巨人が出鱈目に腕を振り回して暴れ回るが、今更そんなものに当たる女武闘家ではない。

 

 腕の間を掻い潜って、無防備な膝をを回し蹴りで蹴りこむと、情けなく膝をつく岩石巨人。背後に居座る小さなハエを叩き潰そうと腕を水平に払うも、女武闘家は岩石巨人の頭の上を飛んで、その正面に着地した。

 

 岩石巨人に目があるのか定かでは無いが、前にいるにも関わらずその姿形を認識していないようだ。恐らくこの岩石巨人には目がない代わりに拾い上げた音で反応しているようだ。おかげで核がガラ空きとなっている。

 

「この距離ならば!」

 

 懐に入った女武闘家のアグネアの指輪に光が宿る。そのまま握り拳を突き出し、コアを殴る。

 

「サンダァァァァーーー!!」

 

 雄叫びと共に放たれた雷が岩壁の身体諸共、核を穿ち抜いた。核を破壊され、そのまま背中から落ちた岩石巨人の身体は微塵となって消えた。

 

「やった……おわっ!」

 

 アグネアの指輪を使った事で体力を大幅に消費した女武闘家は、自分の膝が震えていた事に気付かず歩こうとした時にその均衡が崩れた。

 

 だが転ぶ前にその腕を掴んでくれたお陰で大事には至らなかった。

 

「セイバーさん……!」

「良くやったね。ほら、これ飲みな」

 

 もう片方の手で雑嚢から精力剤(マインドアップ)を渡してやる。それを飲んだ女武闘家の身体は何だか軽くなったように感じ、セイバーの支えも必要無くなった。

 

「ありがとうございます」

「良いって事よ。それじゃあ、この奥も調べましょうか」

 

 セイバーを先頭に、3人は岩石巨人が現れた扉の中へと進む。中は燭台が1つもない、松明がなければ目視も出来ない暗黒の空間となっている。

 

 壁画を調べても何が記されていて、何を意味するのか、3人に理解出来ないはずもない。壁には仕掛けもなく、文字通り何も無い空間だった。

 

「撤収するよ。ここには何もない」

 

 どうやら元々この坑道には何もない所だったようだが、それがいつしか夜の一族の隠れ穴となり、さらにはゴブリンの巣穴にもなっていたようだ。

 

 だが収穫がなかったわけではない。帰り道、通らなかった道がもう一本あり、そこを進むとゴブリンに攫われた女人を発見した。まだ息があり、ヴェルナンデスが小癒(ヒール)を掛けてやった。

 

 後は坑道から脱出し、彼女が住んでいた近隣の村に返した。これにて依頼完了。辺境の街へと帰る前に……

 

「改めて紹介するわ。この子はヴェルナンデス。見ての通り魔術師よ」

「は、はい……よろしく……」

「結構です」

 

 女武闘家が挨拶しようとするが、どうでもいいのか遮ってしまう。それよりも、ヴェルナンデスはセイバーにグイグイと寄る。

 

「な、何?近いんだけど……」

「あなたはいつまでこんな田舎で騎士の真似事をしているのですか?」

「い、いや……それは……」

 

 ジーッとこちらを見るヴェルナンデスの目力が強いのかまともに顔を見れない。

 

「あなたには崇高な使命がある……それを……」

「あ、あの!」

 

 先程から置いてけぼりを食らっている女武闘家が間に割って入った。

 

「あの、セイバーさんが困ってるじゃないですか!もうその辺で……」

「部外者には関係の無い話です」

 

 ヴェルナンデスにそう切り捨てられる。先程から無愛想な態度に思うところがあったのもあり、いよいよ我慢の限界が来た。

 

「あなた、さっきからなんなの?!突然出てきて、挨拶も無視して!」

「そういえば、誰です?」

 

 歯牙にも掛けない態度が女武闘家を怒らせている。無自覚なのか気にする素振りも無くセイバーに問う。

 

「この子は私の弟子、職業は武闘家。一党も組んでる」

「へ、へぇ……」

 

 意外な表情をするもすぐに消して、女武闘家の方を見る。

 

「悪い事は言いません。すぐに一党を抜けて、他の方と組んでください」

「はあぁ?!」

 

 ヴェルナンデスから一方的に言い放たれても、女武闘家がはいそうですかと受け入れるわけがない。だがその刹那……

 

「ぎゃっ!」

 

 セイバーのチョップがヴェルナンデスに振り下ろされた。

 

「な、何をするんですか……?!」

「ヴェルナンデス、今のアンタにそれを言う資格はないと思うよ」

「な、何故ですか?!」

 

 納得がいかないヴェルナンデスが問い詰める。だがそれを簡潔に、こう述べる。

 

「だってアンタ冒険者じゃないじゃん」

 

 冒険者ではない。そう言われてもヴェルナンデスには理解出来ない。

 

「冒険者じゃないから……え、何故ですか?」

「一党の事は同じ一党と話し合って決めるのが当然。だけどアンタ、一党でもないし……そもそも冒険者でもないから、部外者じゃん」

「へ、屁理屈です!」

 

 セイバーの理屈は通っているが、それでもヴェルナンデスはまだ納得いかない様子。だがそんな彼女には構わず、一党の頭目であるセイバーは進行方向を指して歩き出す。

 

「じゃあ帰ろっか」

「はい!」

「え?!ちょっと!私を置いていかないでくださぁぁーい!」

 

 今度はヴェルナンデスが置いてけぼりをくらい、慌ててその後を追いかけた。

 

 




性能
ヴェルナンデス
武器:魔術の杖、魔術事典
装備:魔術師のローブ

サブウェポン:聖書

使用魔術
清らかな炎-ホーリーフレイム-
炎の竜-サラマンダー-
絶対零度の河-コキュートス-
氷の花弁-ブルースプラッシュ-
雷光弾-ホーリーライトニング-
一閃の雷-ライトニングレイ-
風の刃-エメラルドスワロー-
小癒-ヒール-
浄化-サンクチュアリ-
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