天空の花嫁の姉って?   作:ざいざる嬢

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アベル、アンディ回です。


炎のリング

 

 

「それで、何があったの? 見たところ全員ボロボロみたいだけど」

 

 私の自己紹介に一時どよめきが起こったものの、すぐに収まった。

 なので、アベルとアンディに何があったのかの説明を求めた。

 

 

「アベルさんとはフローラの結婚相手へ求める条件を話された時に知り合ったんです。

 なんでもアベルさんはサラボナに着いた時に偶然出会ったフローラに何かしらの運命を感じて参加を決めた……ですよね?」

 

「え、ええ。そうなんです」

 

 あれ?アベルの受け答えがなんだか歯切れが悪い。どうしてかしら?

 

「それで、彼も私もデボラさんのご存知の通り『死の火山』に挑むことになって……」

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

 最初にこの火山にたどり着いたのは私でした。

 デボラさんに鍛えてもらったお陰で多少の苦労こそありましたが、なんとか先へと進むことが出来て……ようやく最深部に辿り着くと、そこには『ほのおのリング』があったんです。

 

 私は喜びに打ち震えました。これでフローラとの結婚に一歩近づけるって。

 ……それがいけませんでした。

 リングに触れようとした矢先、溶岩の魔物が3体現れてそのまま戦闘になりました。

 不意を打たれた形になったので、初動が遅れてしまって火傷を負ってしまいました。デボラさんの教えのおかげでそれは早めに治療出来たのですが……思いの外、この魔物が手強く1体倒すのが私には精一杯でした。

 残る2体に追い詰められ、ここで死ぬのか……と思った矢先に。

 

「アンディさん!大丈夫ですか!?」

 

 後から追いついたアベルさんが助けてくれたのです。

 ですが、ここからが問題で……。

 

 

 ☆☆☆☆☆

 

 

「さ、更に3体増えた?」

 

「そうなんです。 アベルさんに助けてもらい残る2体を……と思ったら新手に3体現れてしまい、激しい戦いになりました」

 

 そんなの原作にもなかった。原作でもボス戦で3体相手にして終わりなはず。

 ……もしかして。

 

「『炎のリング』の試練、なのかもしれないわね」

 

 原作で語られることはなかったけど【ようがんげんじん】という魔物は『炎のリング』を得るための試練だったのかもしれない。

 1パーティにつき3体倒すことが『炎のリング』を得ることが条件、というものなら説明がつく。

 最初にソロで挑んだアンディに3体。

 その後、アンディを助けるために乱入して来たアベルたちパーティに3体現れたとすれば辻褄は合う。

 

「最終的に私のひょうけつ斬りやヒャダルコ、アベルさんたちの活躍で乗り越えることが出来ました。

 その後は全員全てを出し切った戦いだったので回復の泉で傷を癒してから帰ろうという話になったんです」

 

「じゃあ『炎のリング』は──」

 

「私が持っています」

 

 私の問いに答えたアベルの手のひらには『炎のリング』があった。

 

「私がアベルさんが得るべきだと思ったんです。

 実際、私では『炎のリング』を得ることはできなかった。

 ならこれは私を助けた上で魔物を退けたアベルさんにこそ相応しいと」

 

 アンディは納得している様で、晴れやかな顔をしている。

 対してアベルは普段通り──に装っているが、どこか暗い顔をしていた。どうしてだろう?

 もしかすると、これだけフローラを想っているアンディからフローラを奪ってしまうことに罪悪感を感じてしまっているのかもしれない。

 確かにアンディからするとBSS案件かもしれないが、アベルがビアンカを選べば杞憂に終わる案件でもある。

 そうでなくても、アンディはフローラ以外に結ばれる相手がいるので気にしなくていい……と思えるのは私が原作知識を持っているが故か。

 一先ず、褒めておくとしようか。

 

「そうだったのね。一先ず『炎のリング』の獲得おめでとうアベル。

 これで後は『水のリング』を手に入れればフローラとの結婚が待っているわよ」

 

「あ、ありがとうございます。 でも……」

 

「なに?私の可愛いフローラが嫌なの?」

 

「そんなことはないです!」

 

 やっぱり歯切れが悪い。まあ、これらについては時間が解決してくれるでしょ、多分。

 

「もう少し休んだら帰るわよ。 いい?生きて帰るまでが冒険よ。サラボナまで油断しないこと」

 

「分かってるよ、デボラさん」

 

 よし、帰り道は私が先頭に立って露払いを「デボラさん」ん?

 

「何かしらアベル?」

 

「私はダンジョンから抜け出す魔法のリレミトと、行ったことのある場所へ移動出来る古代の魔法ルーラを使えるので、良ければ帰りは私に任せてください」

 

 ……ああ、そういえばそんな便利な魔法があったわね。

 私はそういう便利な魔法が使えないから失念してたわ。

 私が使えるのは一人旅に便利な魔法ぐらいだから……リレミトは覚えられなかったけれど。

 

「そういうことならアベル、任せたわよ」

 

「ええ。 では皆さん馬車の中に入ってください」

 

 アベルの馬車へと入っていき、スミスには申し訳ないがスミスから離れた場所に──座ろうとしたら、見覚えのない鎧がそこにいた。

 激戦の後故か黒く汚れている。これは……。

 

「リレミト!」

 

 と、考える間もなく私たちは『死の火山』を後にした。

 

 

 余談ではあるものの、私がビキニアーマーで帰ったのがバレた途端にパパたちから再び叱責を受けたのは言うまでもなかった。

 アベルとアンディからは苦笑いされてしまった。後で見物料を接収しなければ。

 

 




この時点でようがんげんじん6体相手とか中々地獄めいた光景の気がする。
当然転生デボラさんがその場に乱入した場合更に3体追加される。
ハードモード過ぎるなぁと思いつつ『水のリング』にはそういうのが無いから、ここでこれぐらい盛ってもいいだろと思う私がいた(笑)
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