天空の花嫁の姉って?   作:ざいざる嬢

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精神的BLって難しいなと感じた今日この頃。
これが私なりの表現ということで何卒。



結婚式

 

 

 アベルのルーラで『カジノ船』へと転移して早々にアベルが倒れてしまったため、アベルを控え室のベッドで休ませている。

 確かフローラの結婚イベントでも同じ様な場面になり、目覚めてすぐに結婚式が始まるという流れになっている……が、その流れを私はぶち壊した。

 

 まず、パパを怒った。一度に全員ルーラは無理があるだろうと。

 流石のパパも悪かったと思ったのか素直に反省している。いつもとは逆の立場になった。

 それから、時間の都合というのは『カジノ船』の船長との話し合いで解決させた。そもそも私たちの結婚式だというのに、急かされるというのもおかしい話だからだ。人生でたった一度しかないかもしれない結婚式なのだから、万全の状態で臨みたい。

 

 ……と、長々と語ったが本当のところ私自身の決心をつけるためでもあった。

 今世では女として自覚して生きてきたものの、いざ前世と同性の相手と結婚というのは私の覚悟を決めるのにもどうしても時間がかかった。

 なにせ私が結婚する気がなかったからだ。ビアンカかフローラ、この二人だと思っていただけに、私は前世の男という部分と決別する時間がなかった。

 なので、今の私はこれからアベルの妻になるのだと口に出し、自覚し、受け入れるための精神統一をしていた。

 

「大丈夫、大丈夫よ私」

 

「何が大丈夫なんですか?」

 

「うひゃあっ!?」

 

 アベルが目覚めた。そして精神統一しているところを見られて少し焦る。

 

「お、起きたのね。 良かったわ、ここに着くなり気を失ったっていうからここで休んでもらってたの」

 

「ご迷惑をかけてしまいす──」

 

「謝らないで。今回は全面的にパパが悪いわ。新郎にこんな無茶させて」

 

 と、アベルが目覚めたタイミングを見計らってかパパが従者を連れて入ってきた。

 

「おお、アベルくん。無茶をさせてすまなかったね。

 さて、もう少し休んでもらいたいところなんだが、そろそろアベルくんも準備をしないとな」

 

 パパが従者に目をやると従者は白いタキシードを用意していた。そして、彼のトレードマークでもある新しい紫のターバンも。

 あれは私が用意させたものだ。原作だと花嫁はウェディングドレスを着ているのに、主人公──アベルはそのままだ。どうせなら着飾って欲しい。

 

「これはデボラからアベルくんに是非着てほしいと用意したものだ。 まさかこういうことに疎いと思っていたデボラがそんなことを言い出すとは思っていなかったよ。はっはっは!」

 

「パパ?」

 

「おおっと、あまり私が長居するわけにもいかないな! アベルくんも着替え終えて準備が出来たらこの男に伝えてくれ。

 準備を終え、君たちの用意が出来次第式を始めよう」

 

 パパは私に怯える様にしてそそくさと出て行った。

 結婚式って女性はウェディングドレスで男性は白いタキシードってイメージがあるんだけど、ドラクエ世界では違うのかしら?

 ちなみにフローラにも「姉さんにもそういう理想があったんですね」なんて暖かい言葉をいただいた。

 

「こんな衣装まで用意してもらって……デボラさん、ありがとうございます」

 

「……いいわよ、それぐらい。 それよりも」

 

 私はアベルに詰め寄りジッと顔を見つめる。

 アベルの顔が赤くなっているが、気にしない。というか、もしかして酒場で顔が赤くなってたのってお酒のせいじゃなくて私のせいだった……ってこと?

 

「式を終えれば私たちは夫婦になるわ。 なのに、アベルにそんな畏まった話し方をされると距離を感じるの。 だから、これからは私をデボラと呼ぶ様に。いいわね、これは命令よ?」

 

「は、はい。 デボラさ──デボラ」

 

「うん、よろしい。 じゃあ私は隣の部屋で待っているから、ゆっくり身を整えてきなさい」

 

 そう言って私は一度部屋を後にした。アベルの準備が終わるまで、再び精神を落ち着ける。彼の妻となることを受け入れるために。

 

 

 そして、しばらくして──

 

「準備出来ました」

 

 アベルが白いタキシードを着て出てきた。

 正直に言おう。めっちゃ似合ってる。新しく贈ったターバンもタキシードによく映えている。

 

「デボラさ──デボラ?どうしたの?」

 

「い、いえ。 なんでもないわ」

 

 ビアンカとフローラを思って我慢してた感情が溢れ出てしまう。端的に言えば今の私は照れている。旦那の格好良さに。

 

「な、ならいいんだ。 言いそびれてしまったけどデボラもとてもよく似合ってる」

 

「ん"ん"っ!!」

 

 追撃してきた。女の私に会心の一撃だ。八割は持っていかれただろう。

 

「準備が出来たようですので、これからの説明をさせていただきます」

 

 と、ここで従者の男がこれからの説明をしてきたが正直耳に入っていない。まあフローラの結婚と同じ流れならパパに着いていって神父に誓って後は──。

 

 

「それでは花婿様。 神父様のもとへ私がご案内いたします」

 

 そうだ!指輪の交換と誓いのキスがあるんじゃん!

 ああ!私の心の準備がまだ整いきってない!

 

 

 





転生デボラさんが白いタキシードをアベルに贈ったのは、前世で自分が着たかった衣装だったから。つまり前世では未婚です。そして無自覚です。

転生デボラさんは結婚に興味ないと言いつつも、前世からの理想を持っていて違う形で叶えたっていうちょっとエモいエピソードのつもりです。
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