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支度が出来た私とアベルは一先ず、結婚祝い品の『天空の盾』を受け取るために屋敷へと戻ることにしたのだけど……。
「ね、姉さん……?」
「どうしたのフローラ? そんなに私をジロジロ見て」
フローラが私を見て何故かすごく驚いている。何か顔についているのかしら?
「えっと、その……とっても綺麗になりましたね」
「そうかしら? 普段と変わらないと思うけれど」
髪のセットはアベルに手伝ってもらったけど、他は普段の私と何も変わらないはず。
「いえ……今までの姉さんとは別人の様です。 とても女性らしくなったというか……その、とても色っぽくなったというか……」
「…………ああ」
まあ、大っぴらに口に出すようなことではないのだけど。
とりあえず、当たり障りのないことを言おうとしたら、フローラが先に口を開いた。
「も、もしかして、昨夜はお楽しみでしたか!?」
「なんでフローラからそんな言葉が出てくるのぉ!?」
完ッ全に予想外だった!!
それは宿屋の親父の特権じゃないの!?
ほら、アベルも私もフローラも!皆顔真っ赤じゃない!!
「おお、デボラにアベル君。 改めて結婚おめでとう……って、三人ともどうしたんだ?」
パパの存在がこれほどありがたいと思ったのはいつ以来だろう?
少なくともこの気まずい空気はどうにかなった。
「ではアベルくん。これが約束の『天空の盾』だ」
「ありがとうございます、ルドマンさん」
「いやいや、気にすることはない。
そういえば、ヘンリーさんたちは今朝お帰りになったが、アベルくんのことを色々と聞かせてもらったよ。なんでも、攫われたお母様を救うために伝説の勇者を探して旅をしているとか」
「はい。その通りです。 それでなんですが、ルドマンさんは他の天空の武具について何かご存知ではありませんか?」
「知っているぞ。 ポートセルミから南に船で向かえばテルパドールという国がある。そこには『天空の兜』があると言われている」
ここで『天空の兜』の情報を得ることになるのね。
じゃあ次の目的地はテルパドールということになるのだけど……。
「船に関してはポートセルミにある私の船を使いなさい。
行き先を告げれば船長がそこへ船を出してくれるよう伝えておこう」
この辺りは少し原作と違うのかしら?
確かここで船で自由に旅が出来るようになるのだけど……現実的に考えれば乗組員もいるし、彼らにも生活がある。常に船を乗り回すなんてこと出来ないでしょう。
原作であっという間に着いた距離も、この世界ならきっと数日はかかるわね。
……あと、幼い頃はどうだったか覚えていないけど、船に乗って旅をするのは初めてなのよね。楽しみだわ。
「それと、恐らく君ならルーラで向かえるだろうが、ポートセルミの西には結婚式を行ったカジノ船もある。 帰る前にいつでも特別室を使える様に伝えてあるから、夫婦で少し遊んでいったらいい」
「え?カジノで遊んでいいの?」
「…………デボラ、お前は少し賭け事に関しては手を抜きなさい。
少なくともスロットはやめてあげなさい」
「そんな!? あれで目押しするのが生き甲斐なのに!?」
「それとポーカーで無双したからお前はオーナーに勘弁してくれと言われたのを忘れたのか!? 何事もほどほどに、だ」
肩を落としたものの、じゃあ次は目隠しでスロットをすればいいと思い至った私は、ここで私はとあることに気づいた。
「あれ? パパ、私がアベルに着いて行くこと知ってる?」
「……お前のことだから、アベルくんの旅に着いて行くと言うのではと思っていたよ。 何度屋敷を抜け出して冒険に明け暮れていたかを知らない私たちではないだろう?引き止めてもお前は抜け出して追いかける、そうだろう?」
「流石パパ。私のこと、よく分かってるじゃない」
「だろう? だから私が言えることは……気をつけて旅をするのだぞ。疲れたらいつでも帰ってきなさい。私の屋敷はいつでも二人を歓迎しよう」
「パパ……」
「そして、世界が本当に平和になったその時こそ、家族揃って一緒に暮らそう!」
「ルドマンさん……」
「アベルくん、娘を頼んだぞ」
「……ええ、必ず守り通してみせます」
アベルの目には涙が浮かんでいる。
きっとパパの優しさに触れて、改めて家族が増えたという事実にまた孤独が癒されたのね。
こうして、パパとフローラに挨拶をし終え、早速旅に──とは行かず、せめて数日はこの別荘で過ごすことにした。
何故かと言えば、結婚して身体を重ね合ったけれど、私たちはまだお互いのことを全て知ったわけじゃない。
旅の中で分かりあうことも出来るけど、こうして安全な場所で過ごせるのは原作でもあまりない……はず。
グランバニアに着けば、そこからまた運命が激しく動き出すことになる。 わ、私がアベルの子を産むことになったり……ね?
その前に落ち着いて話したりする機会があるのは今ぐらいだし、急がずとも『天空の兜』もグランバニアも逃げない。
なので、今後の旅の予定を話しながら、夫婦として分かりあうための数日を過ごした。
アベルも余さず自分の過去を語ってくれて、まずは彼の故郷サンタローズに……アベルの父、パパスが亡くなった遺跡に向かおうという話になった。
壺確認イベントはスルーです。理由は転生デボラさんの最初の冒険した場所が封印の壺のある場所で、定期的に確認しに行ってたからです。
次回から旅立ち+新婚旅行編になります。
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