船の扱いですが、原作ではルーラと共に船も転移しますけど、今作においては船は一緒に転移せず、乗組員の生活もあるので必要な時のみ使用、という形にさせていただきます。
ポートセルミ、ビスタ港、カジノ船、テルパドールへの航路がある感じです。
……思えばグランバニアの大陸って港町とか無いんですよね。あるのは宿屋ぐらいかな?交易とかどうしてるんでしょう?
数日、別荘で過ごした後、いよいよ旅に出ることになった。
パパやママ、フローラ、アンディなど親しい間の人に別れの挨拶をして私たちはサラボナを後にすることになった……のだけれど。
「やや! 貴女がデボラ様か!このサイモン、是非手合わせ願いたい!!」
本当に私が知らない間に【さまようよろい】のサイモンが仲間になっていたらしい。
いや『死の火山』の時点で馬車の中に黒焦げの状態でいた鎧がいたような……もしかして【ようがんげんじん】に分からされて消沈していたから気づかなかったのかしら……?
というか、確か【さまようよろい】って仲間になりにくいんじゃなかった?メタリンといい、アベルは妙な運の高さがあるわね。
「いざ!いざ!!」
「ほら、サイモン。 デボラが困ってるからほどほどに……」
「そんな! このサイモン、アベル様より強いと言われているデボラ様に挑むことを数日間ずうっっっっと楽しみにしていましたのに!!」
なんていうか、サイモンってこんな感じのキャラだったのね?ちょっとびっくり。ここまで来たら【ホイミスライム】も仲間にしてあげたい気持ちがあるわね。
「サイモン殿、あまり我儘を──」
「我儘?我儘となピエール!? このサイモン、我儘など言ったことはありませぬぞ!我が道を行っているだけでありますぞ!!」
「それが我儘というのです!!」
ピエールとサイモンが言い争ってる中、アベルを見やれば少し困った顔をしていた。
「サイモンさんは出会った時からああだったんだ。 なんでも、噂に聞く戦乙女に勝つって意気込んでて……僕の馬車に半ば強引に乗り込んで……」
ええ……。そんな裏話があったのね。
でも、これからの旅で言うことを聞かない仲間はちょっと面倒よね。
一度上下関係を理解させないとダメね。
「サイモン、だったかしら?」
「おお、デボラ様。もしやこのサイモンと手合わせを?」
「いいわよ。ただし、条件があるけど」
「条件、ですと?」
「ええ。私のアベルに勝てたら相手をしてあげる。
でも、もしサイモンがアベルに負けたのなら……私たちに剣を捧げ、仕えなさい」
サイモンは【さまようよろい】で、いわば騎士、戦士としての側面を持っている。そんな彼に実力差を示し、忠誠を誓わせることが出来ればここまで輪を乱すようなこともしないでしょ。
「いいでしょう。 アベル様には恩がありますが、デボラ様に挑むためです。ご理解願おう」
サイモンが剣を抜き、盾を構える。かなり様になっている。
そんな臨戦体制に入ったサイモンを他所に、私はアベルへ話しかける。
「アベルもあれから腕を上げたのでしょう? その腕前、見せて頂戴?」
「デボラ……ちょっと強引過ぎないかい?」
あまり納得していないアベルだけど、言い方を変えればきっとやる気を出してくれると信じて私は決定的な言葉を口にした。
「あら、アベル。 私を守ってくれる、っていうのは嘘だったのかしら?」
それを聞いたアベルは無言で剣を──パパスの剣を構えた。
そう、それでいいのよ。
アベルとサイモンが向かい合い、視線を交わす。
「先手必勝!つるぎのまい!」
サイモンが剣を踊るように振るう──って、サイモンって特技覚えたっけ?
というか、つるぎのまいって覚えられるのね。確か、この特技が出たのは──7からだったかしら? 踊り子の職業と戦士の職業が必要だった気が──って考えてる場合じゃないわね。
対してアベルは冷静にサイモンの剣を捌いていく。一太刀も浴びていない。これは私と会ったばかりのアベルでは出来なかったんじゃないかしら?
「むぅ!?やりますな! せいやーっ!!」
サイモンはつるぎのまいを避けられながらも、突きや盾での攻撃も加えることで果敢に攻めていく。
それをアベルは余裕を持って凌ぎ──。
「ここだっ!」
「なっ──ぐはっ!?」
僅かに出来た隙をついてアベルの剣がサイモンを襲った。それを防げないサイモンは宙を舞い、そして他に伏せることとなった。
「僕の勝ち、だね」
「み、見事なり……このサイモン、井の中の蛙だということを思い知りました……」
サイモンは立ち上がり、負けを認めたようだった。
剣を鞘に入れ、アベルの前に跪いて戦士の誓いを始めた。丸く治ってなによりだ。
「このサイモン、アベル様とデボラ様の剣となり、盾となりあらゆる障害を払うことをここに誓います」
「サイモン、改めてよろしく頼む。 みんなも、それでいいかな?」
メタリン、スミスは頷き、ピエールは渋々ながら了解していた。
プックルは我関せず、とばかりに欠伸をしている。可愛い。
こうして、サイモンと私が仲間に加わった。
……それにしても。
「アベル、随分と剣の腕を上げたわね。見違えたわよ」
カボチ村で会った時よりも剣が洗練されている。
鋭く、速く、それでいて重いという感じだ。これはパパスの剣が強いだけでなく、アベルの技量が上がっているのは間違いないはず。
「ありがとう。 デボラと一度別れてから鍛え直したんだ。父さんのようにはまだいかないけれど……」
「向上心があるのは良いことよ。 これからは私も付き合ってあげるわ」
「ああ、是非お願いしたいな」
またアベルとの共同ですることが増えた。 自然と嬉しいと感じるのはやはり私が女になり、アベルの女になったからか……いや、そんなことはもうどうでもいい。
今はアベルの力になれることが嬉しいのだ。
私たちはそのまま何度か魔物との戦いがあったものの、無事ポートセルミに辿り着き、船でビスタ港へと向かった。
目指すはアベルの故郷であるサンタローズだ。
サイモン、実は死の火山回でちょっとだけ出ています。
【ようがんげんじん】にボコボコに燃やされて馬車に引っ込められています(笑)
サイモンのつるぎのまい、で察した方はきっと私と同年代だと思います。
この後の新婚旅行ルートはサンタローズ→ラインハット→カジノ船→テルパドールという予定です。
レヌール城やアルカパの話があってもいいんですけど、あまり本編に関わらないためカットします。申し訳ない。
良ければ感想、高評価よろしくお願いします。