BOOKOFFでたまたまSFCドラクエ5の攻略本上下巻を見つけたので、思わず購入。
当時使っていたであろう人のメモとか挟まったままでほっこりしましたね。
でも一番驚いたのは装備紹介のページで色んなキャラが装備を身につけているイラストが各ページにあるんですけど、スライムナイトが鎧を装備するとナイトの鎧が丸々変わるんですね……衝撃でした。
「私は少しですが、人の心を読むこともできます。
多分あなたたちの勇者さまを強く求める心が、私を感じさせたのでしょう。
何故それほどまでに勇者さまを求めるのか、事情を聞かせてくれますか?」
勇者のお墓を離れて、アイシス女王と合流し情報交換の場を設けてもらい、アベルの事情を説明した。
魔界に攫われたアベルのお母様の話から始まり、攫われた母を取り戻すべく幼い自分を連れ【てんくうのつるぎ】を手に入れるも、志半ばで斃れてしまった父の話を。
その遺志を継ぎ伝説の勇者を探しながら天空の武具を集める旅をしていると話し終えると、アイシス女王は目を見開いて驚き──アベルに重要なことを伝えた。
「まあ!それでは亡き父にかわって母親を魔界から救い出すために!?
もしやその父とは、パパス王のことではっ!?」
「パ、パパス王!?」
「この地より海をこえた、はるか東の国 グランバニア。
その国のパパス王が、攫われた王妃を助けるため、幼子を連れて旅に出たと……。
旅人のウワサに聞いたことがあります。
もしその幼子があなたなら、東の国グランバニアへ行ってみるといいでしょう」
ここで初めてアベルは自身の出生と血筋を知った。
アイシス女王の話に偽りはない。だってそれは全て本当のことだから。
自分の知らない父パパスの思わぬ背景を知ってアベルは何を感じたのだろう。
今はただその事実に打ちのめされているように見えるけど……。
「パパスって……アベルのお父様と同じ名前よね? じゃあ、アベルは王子ってことになるのかしら?」
「お、王子!? 僕が!?」
「そういうことになるかもしれませんね。 それを確かめるためにもグランバニアへ向かうことを勧めます。
ただ……グランバニアへの道は険しいものになります。かの国へ行くにはセントベレス山の次に高いとされる山脈を登らなければなりませんから」
そうね。あの山は原作でもかなり険しい道のりだったわね。
登ったり下りたり、時には落ちたり……道が大分複雑なのよね。それが現実だとどうなっているのか見当もつかないわ……。
【死の火山】も原作知識とは違ったのだから、準備は万全にしていかないといけないわね。
「デボラ……」
「ええ、行きましょう。 アナタの故郷──グランバニアに」
次の目的地が決まった。
それから城を出て宿に戻るつもりだったのだけど、アベルを先に行かせて私は再びアイシス女王と対面していた。
「あら、デボラさん。 どうなされましたか?」
「女王の御力を借りて、どうしても確認しておきたいことがあります。 よろしいでしょうか?」
「確認したいこと、ですか? 未来を予知して欲しいというのならお引き取りを」
「いえ、それには及びません」
この世界の未来なんて私はとうに知っている。
けれど、私という本来なら
だからこそ、これだけはどうしても確認しておきたい。
「では何用で……?」
「………………その、私って妊娠しているのかなって」
「え? ……その、今なんとおっしゃいましたか?」
「で、ですから! わ、私が妊娠しているかどうかを知りたいんです……」
言った! 言っちゃったわ!! ああ恥ずかしい!!
顔から耳まですごく赤くなっている気がするわ!! 【メガザルロック】に負けないぐらいに!!
そう。私が知りたかったのはアベルの子供を──双子が原作通りに妊娠しているかどうか。
することはしているけど、もしも妊娠していなければしばらくこの国に留まって搾り取ってでも孕む必要がある。
天空の血筋であるフローラと姉妹の私がアベルの子を産まなければ勇者は誕生しないのだから。
「な、何かと思えばそういうことでしたか。 それぐらいなら構いませんよ。
でも、それならアベル様もご一緒の方がよかったのでは?」
「いえ、アベルにはまだ秘密にしておきたいんです。
ただでさえアベルが抱えているものは多いから、少しぐらいは私が楽させてあげたいんです」
多分、この時点で妊娠が発覚したらサラボナに帰って私だけ残されることになる。
原作の展開を考えれば、私と子供にとっては最良の決断なのかもしれない。アベルにはルーラもあるし、いつでも会えはする。
けど、そうなるとアベルを隣で支えてあげられる人がいなくなってしまう。それは避けたい。
なによりも折角家族になったのに、それを一番欲していたであろうアベルが私たちを置いて旅をするのは……違うでしょう。
「分かりました。 ではこちらへ」
アイシス女王は私と目を合わせると、何やら呪文を唱え始めそして──
「まあ……どうやら双子をその身に宿しているようですよ。 おめでとうございます」
「そ、そうですか。 ……よかった」
どうやら無事懐妊していたみたい。本当によかった……。これで心配ごとがひとつ減ったわ。
それなら色々と用意しておかないといけないわね。山越えのこともあるわけだし。
薬草や聖水だけじゃなく、食料や防寒対策もしておかないと……山の麓の宿屋で全部揃うかしら?
途中で倒れるイベントが発生した村もあるから物資はそこまで気にしなくても──「デボラさん」──あ。
「も、申し訳ありません! 少し考え事をしていて……」
王族相手になんて失礼を……と自分の行いを反省しているとアイシス女王が私の手を取って語りかけてきた。
「デボラさん、焦ってはいけませんよ。
先程、少しだけあなたの心を読ませていただきましたが【てんくうのかぶと】が僅かにでも反応を示したということは、きっとあなたも勇者さまと同じような使命を負っている。 おそらく私もそれを感じたのでしょう。
ですが、その使命はひとりで抱え込んではいけませんよ。 勇者さまも多くの仲間の助けを得て世界を救われました。
あなたは大抵のことはひとりでこなしてしまうようですが、もっと周りを頼ってもよいのです。
夫婦なのでしょう? 妊娠のことはともかく、これからのことは話し合うことをすすめます」
どうしてか、アイシス女王の言葉が胸にすとーんと落ちていった。まるで今まで見つからなかったパズルのピースがハマったような、そんな感覚。
なんとなくだけど、私はこの世界に転生してからあまり人を頼らずにいたと思う。
前世があるからか、独り大人びていたというか……大体のことは出来てしまったから。
アベルにあれだけ「夫婦で支え合おう」といいながら、当の私がなんでも先に決めて動いて、支え合おうとなんてしていなかった……。
「そっか。 私、何でもかんでもひとりでやろうとしてたわ……」
そうよ、そうよね。なにも私ひとりの力でこれからのことは解決できないのだから、もっと周りを頼るべきよね。
旅も、出産も、これからのことも全部。
私の行動指針が定まった気がした。
「アイシス女王陛下、金言をいただきありがとうございます」
きっと、今これを言われなければ私はこのままだっただろう。
全部ひとりでやろうとして──最終的には手に負えなくなって倒れる。そんな未来があった。
だからこそ、それを戒める言葉を授けてくれたアイシス女王には感謝しかない。
「お気になさらず。 使命を持った御方を導くのが私の使命でもありますから」
この方は真に民を導く女王なのだと理解させられた。
アイシス女王に深く礼をし、城を後にする。
次なる目的地グランバニアに向けて、私たちと運命は動き出した。
おまけ
「それはそうと、よろしければこちらをお受け取り下さい。 ささやかですが祝いの品です」
「……これって」
手渡されたのは、アイシス女王の侍女が着ている【おどりこのふく】に似たデザインの衣装だった。
「今夜はお楽しみでしょうか? ふふふ」
……こんなところまで導かなくてもいいんじゃありませんか!? 女王様!!
この辺りから転生デボラさんのステータスが下がり始めていきます。
理由はもちろんお解りですね?