天空の花嫁の姉って?   作:ざいざる嬢

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なんと連続投稿が出来た!!
いつまで持つかな……。


チゾットの村

 ──チゾットの村。

 ドラゴンクエスト5において珍しいルーラで訪れることが出来ない村で、一年中雪が降り積もる山村だ。

 特産品としてコンパスが有名だとネッドの宿屋で聞いた覚えがあるわ。

 

 でも、そんなことよりもこの村では重要なことがある。

 原作においてチゾットの村を訪れるとビアンカかフローラは妊娠した影響か、到着した途端に倒れてしまう。

 そして一日宿屋で介抱される、というのがこのチゾットの村でのイベントだ。

 

 そんな未来を知っている私はというと、倒れてみんなに迷惑をかけないように体調に気をかけ無理はせずに防寒もしている。

 村に着いて足取りなどにも気をつけながら、一歩一歩進んでいく──倒れない。 よし、倒れなかったわ!! これで一安心ね!! 私は原作に勝った!!

 

 

 

 

 

 ──などと、その気になっていた姿はお笑いだったわ。

 

 

 

 

 

 チゾットの村に泊まった翌日、私は体調を崩し寝込んでしまったのでしたと……。

 

「ごめんねアベル……」

 

「いいんだよ、気にしないで。 どんなに対策していてもどうしようもないこともあるってことさ。 父さんも昔アルカパに泊まった翌日に風邪を引いて数日寝込んだこともあったし」

 

「ああ、前話してくれたレヌール城でのお化け退治の話ね」

 

「あの時はビアンカのお母さんが父さんの面倒を見てくれててね。 張り切って看病してくれていたのを覚えているよ」

 

 そう言いながらアベルは私の看病をしてくれる。

 転生してからは健康そのもので体調を崩すなんてことがなかっただけに、こうして看病されるのは新鮮な感覚ね。ありがたいわ。

 何度か教会の神父様が検診に来てくださったけど「環境の変化による体調不良」という診断結果に終わった。

 私の所感だと、この体調不良は妊娠からきているのだと思う。これを知っているのは今のところ私とテルパドールの女王様だけだし、張りを感じるもののまだお腹もそこまで大きくなっていない。だからこの時点では気づかなかったんだと思う。

 前世の保健体育の授業でそうした知識を若干得てはいるけれど、まさか転生して当事者になるとは思いもしなかったわよね。 結婚するのはビアンカかフローラだと思っていたし。

 結局のところ原作のストーリーの流れには抗えなかったわね……。倒れずとも体調は崩してしまったし。

 とりあえずは私の体調が回復するまで数日チゾットの村に滞在することに決まった。

 

 

 

 滞在中、私は基本宿屋のベッドで休んでいて、アベルが面倒を見てくれる。

 でも、アベルもずっと私を看病しているわけにもいけないから、同じ仲間ということでアベルが席を外すときは仲間モンスターの面々が何かと世話を焼いてくれた。

 

「デボラ様! 病は気からといいますぞ!このサイモンと手合わせして体を動かせば──」

 

「サイモン殿!! アベル殿からデボラ殿は絶対安静といわれているでしょう!!」

 

「そんなことも言っていましたな。 でも大袈裟──」

 

「サイモン殿、それ以上言うのであれば同じ騎士(ナイト)として軽蔑しますが」

 

「じょッ冗談ですぞ! HAHAHA!!」

 

「はぁ……デボラ殿申し訳ありません。 この馬鹿(サイモン殿)がいると疲れるでしょうから、外に出してきますので……」

 

「お!?手合わせしてくれるのですかな!? では外で待ってますぞー!ひゃっほーい!!」

 

 アベルから与えられた命令を無視してサイモンは意気揚々と部屋から駆け出して行った。

 【さまようよろい(サイモン)】ってかしこさ20未満だっけ……?*1

 

「……ピエール、苦労してるわね」

 

「……この度はなんとお詫びすればいいか」

 

「気にしないで。私は大丈夫だから。 ただ、それだとピエールの気が済まないだろうから、サイモンは思いっきり叩きのめしていいわよ」

 

 その後、ピエールの人形部分が深く頭を下げてサイモンのもとへと向かっていった。

 ピエールのことだから自分からアベルにも報告するだろうけど、私からもフォローはしておこう。

 

 ……と、考えていた矢先にドアをノックする音が聞こえた。

 

「あ、デボラはん。 具合どうでっか?」

 

 現れたのは『てっかめん(鉄仮面)』を装備した謎の人物──ではなく、くさったしたいのスミスだった。

 

「あらスミス? そのてっかめん、身長が高いあなたによく合ってるわね」

 

 くさったしたい──スミスは意外と身長が高い。 普段がに股で猫背になっているから判りづらいけどピンと立てばアベル並みに身長が高いのだ。

 背が高い人物がこうした鎧を着けているとかっこよく見える。まあ鎧は『うろこのよろい』だから『てっかめん』に比べると見劣りしてしまうのが難点だけど。

 

「そ、そうでっか? ふへへ……褒められると嬉しいなぁ……」

 

 『てっかめん』で覆われているから顔は見えないけれど、照れくさそうに頭をかこうとしている様を見だけでどんな顔をしているのか想像できるわね。

 本人目の前にして申し訳ないのだけど、どうもスミスは苦手なのよね。

 私がお化けとか苦手なのもあるけど、仲間になったからには毎日顔を会わせるわけだからそんなこと言ってられないから慣れるようには努めたけど……。

 心根は優しいんだけどね?

 

「アベルはんが()うてくれてんですわ。 これでワイももっと貢献出来るっちゅうことですわ」

 

「それはよかったわね。 期待してるわよスミス」

 

「デボラはんのお腹の子供もワイが守ってみせますわ」

 

 ──絶句。スミスの言葉に私は虚を突かれ言葉が出てこなかった。

 私が妊娠していることはまだパーティの誰にも言っていないのにどうして。

 

「……あ、これ言っちゃマズかった?」

 

「……一応聞いておくけど、いつから知ってたの?」

 

「気づいたのは砂漠……ああテルパドールや。あのあたりからデボラはんのお腹に生命(いのち)を感じてな? 多分気づいてるのはワイだけやと思うで?」

 

 なるほど。ゾンビ系モンスターだからそういう生命の芽生えなんかにも気づきやすいってことかしら。

 まさか一番最初に気づいたのがスミスになるとはね……。

 

「あ、デボラはんも理由(ワケ)あってアベルはんにも言うてないんやろ? それならワイも黙っとるから安心してくれや」

 

「そう言ってもらえると助かるわ。ありがとう」

 

「ええってことよ。 あ、でもひとつだけお願い聞いてもらえるか?」

 

「私に出来ることならいいわよ」

 

「その……な? 赤ん坊が生まれたら抱かせてほしいんや。ワイ、子供が好きなんやけどこんな見てくれだから怖がられるやろ? でも、これならワイの顔見て怖がることはないやろ?デボラはんも大丈夫そうだし」

 

「あ~……やっぱり気づいてた?」

 

「そりゃあもう。アベルはんからもデボラはんは怖がりだって聞いたしな?」

 

 思わず天井を仰ぎ見てしまう。

 まあ、初対面の時もスミスを見て馬車に乗るのやめちゃったしね!バレてるのも当然よね!!

 

「本っ当にごめんなさいねスミス」

 

「ええんやで。元々はモンスターなんやから怖がられるのには慣れてるんや。 それで──」

 

「さっきの話ね。 もちろんいいわよ。無事に産まれたらアベルの次に抱かせてあげるわ」

 

「ホンマでっか!? やったー!嬉しいなぁ!!」

 

 全身で喜びを表すスミスを見てほっこりした一幕だった。

 

 けれど、同時に一抹の不安が生じてしまった。

 原作ストーリー通りに進めば起きてしまう悲劇。

 このチゾットの村での体調不良も結果的に覆せなかった私は、もうすぐ訪れる最悪を乗り越えられるのだろうかと。

 

 

*1
ドラクエ5において、仲間モンスターのかしこさが20以下だと命令を聞かない。




気づいたらサイモンが完全にアイツになってしまった件。
お前持ってるの剣で槍じゃないだろ。
でも後悔はしてない。(書きやすい)
そしてスミスの関西弁は合っているのだろうか……間違っていたらすみません。

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