天空の花嫁の姉って?   作:ざいざる嬢

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Xで報告した通り、いくつかの話にchatGPTで作成した挿絵を追加しました。
なお、今回の話にも挿絵が入っています。

また、今回アンケートがありますので協力していただけると助かります。


グランバニア デボラのてがみ

 ドリスとのお茶会の後、私は即座に行動を起こした。

 ──手紙。シンプルでありながら、このドラゴンクエストという世界においては重要な連絡手段となる。

 ドラゴンクエスト5では瞬間移動魔法(ルーラ)は既に失伝していて、習得しているのはアベルとベネット爺さんと一部の魔物ぐらいだ。離れた場所にいる相手と意思疎通を図るのは非常に困難だ。

 だからこそ、手紙という連絡手段が重要視される。自分の意思を文字にして相手に届きさえすればそれを伝えられる。

 ああ、なんでこんな簡単な方法を思いつかなかったんだろう。馴染みが無さ過ぎて思考に入ってすらなかったわ。

 とりあえず5人に宛ててそれぞれ個別の内容を書いていく。行き先はサラボナに2通、ラインハットに1通、そして()()()()()()()2()()

 

「ふふふーんふーんふーんふーんふーんふーん♪」

 

 いけない。ついつい鼻歌が出るぐらいに楽しくなっているみたい。思わず踊っちゃいそう。

 この手紙作戦は言わば最後の手段であり、私の狙い通りにいけば()()()()()()()()()()()

 もちろん、最後の手段にならないことを心から願っているけどね?

 

 

 

 ──その日の夜、アベルが帰って来たのを見計らって話しかけた。

 

「お疲れ様アベル」

 

「ありがとうデボラ。 調子はどうだい?」

 

「毎晩聞いてるわね、それ。 心配しなくても大丈夫よ、ほら」

 

 ベッドに腰掛けている私はアベルを手招きしお腹に耳を当てるように誘導した。

 

【挿絵表示】

 

「……あ、動いた」

 

「そうね、動いた感覚があるわ。 お腹の子供は元気に育ってくれているみたい」

 

「よかった……男の子かな?それとも女の子かな?もうすぐ生まれるのかな?」

 

「時期的に考えればそろそろかしらね?男の子か女の子かまでは判らないけど……どちらにせよ可愛い赤ちゃんが生まれてくることに違いはないわ」

 

「ああ~会えるのが楽しみだなぁ」

 

 私のお腹に優しく頬擦りしながらアベルが幸せそうに笑う。

 出来ることならこのまま幸せの中にいたいと思う。アベルの曇った顔なんて見たくないもの。

 

「それよりアベルは大丈夫なの?もうすぐ王の試練を受けるんでしょ?」

 

 多分、原作通りならアベルが王の試練を終えた日に産まれるはず。

 加えて言うとアベルが試練に挑む場合、予めいつ出立するかを申請しないといけないらしい。

 これも絶対大臣のせいよね。確実にカンダタたちを送り込むために仕込んだに違いないわ。

 

「ああ、一通り王として学ぶべきことは知れたから、後は慣れるまではオジロンさんたちが支えてくれるって言うから……そうだね、来週には試練に向かおうと思うよ」

 

「そう、じゃあそれまで少しゆとりができたわけね?」

 

「そ、そうだけどどうしたんだい?」

 

「いやね、アベルとやっておきたいなーってことがあって」

 

「やっておきたいこと?」

 

「ちょっと気が早いけど……未来の子供たち宛てに一緒に手紙を書かない?」

 

「手紙?」

 

「そう、大体5歳ぐらいになったらきっと文字も読めるようになっているだろうし、その時に私たちは生まれる前にどんな気持ちだったのかなんかを書いておいて、伝えてあげるの。

 生まれる前から私たちはこんなに子供を愛していたんだよっていうのが伝わると思うんだけどどうかしら?」

 

「……良いアイディアだね。とても思いつかなかったよ!早速書こう!」

 

「そんな急がないで。 アベルも疲れてるんだから今日はゆっくり休んで、明日から書き始めましょ」

 

 そう言って私はアベルをベッドへと誘う。

 アベルがこの話に乗ってくれてよかった……。そう、グランバニア宛ての手紙のひとつは子供たちに向けて。要は置手紙のようなものね。

 原作通りに進んでしまえば私たちは子供と同じ場所で過ごすことは出来ず、寂しい思いをさせてしまう。けれど、こうして手紙があるだけでも私たちの愛を伝えることが出来る。

 もちろんそうならないのが一番だけど、念には念を。子供たちに、愛をこめて。

 

 寝る前にキスを交わして眠りにつき、翌朝早速手紙を書き始める。

 内容は思った以上に難航して、お互いに悩みながらあーでもないこーでもないと話し合って子供への手紙を綴っていく。

 久しぶりに夫婦で過ごす時間は楽しく、ずっとこのまま──原作通りにならなければいいのにと思う気持ちを心の隅へと押しやりながら、どうせならプレゼントも用意しようという話になってまた悩み始めた。

 

「う~ん……一体何なら喜ぶだろう?」

 

「どうせなら身に着けられるものがいいわよね。そうなるとアクセサリー(装飾品)かしら?」

 

「アクセサリーか……子供に与えるならペンダントとか腕輪の方がいいかな?」

 

 あ、そういえば……。

 

「……ひとつ、思いついたんだけどロケットはどうかしら? ロケットの中に私たちの今の絵を描かせて、私たちがいつでも傍にいられるようにって」

 

 『おもいでのロケット』というアイテムがある。これは青年期後半の序盤でサンチョから主人公に手渡されるパパスとマーサ所縁のアイテムで、最初はロケットに何もないけれどエンディング後に妖精の城で過去のエルヘブンに行き、若かりしパパスに協力してマーサを描くための道具を集めて元の時代に戻るとロケットの中にその絵が現れる……というエピソードがある。

 なら、それにあやかる形ではあるけれど同じものを用意したいと思った。

 パパスは何年も色褪せない絵を求めていたため、当時は完成できなかった。必要なパオームのインクも手に入るのは青年期後半だ。今この場にはない。

 けれど、()()()()()()()()()()。絵が色褪せてしまった頃にはまた新しい絵を入れればいいのだから。

 ──それこそ、家族が勢ぞろいした絵を。

 

「それ、すっごくいいね! デボラは本当に何でも思いつくなぁ!すごいよ!」

 

「そんなことないわよ。じゃあ、早速お願いしに行きましょ」

 

 サンチョ伝いにオジロン王に依頼し、大臣の介入もなく無事ロケットの作製と画家による私たちのデッサンが開始された。

 どうせなら、と城に飾る用の絵画も描くことになりアベルの予定していた試練に挑む日は先へと追いやられてしまったが、それでよかったかもしれない。

 

 今だけは、未来の不安を全て忘れてこの幸せな陽だまりの中にいたいと思ってしまったから。

 

 

 




手紙の宛先は一体誰なのかが分かるのは青年期後半です。予想してみてください。
次回、いよいよ……。

感想、高評価よろしくお願いします!

双子の名前

  • レックスとタバサ
  • ティミーとポピー
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