後、遅くなりましたがアンケート協力ありがとうございました。
名前はデフォのレックスとタバサにします。
作者センスだとノワールとかネロになっていました。なんてセンスのない……名前が安直に黒の外国語だなんて……。
「男の子の方は目もとがアベル様にそっくり。優しそうで、それでどことなく不思議で…。
女の子の方はそうね……。やっぱりお母さん似かしら。大きくなったら きっと美人になりましてよ」
出産を終えて精魂尽きた私の両隣に産まれたばかりの双子が寝かせられる。
双子が無事に生まれて近くには出産を見届けたアベルが目もとを潤ませて双子を眺めている。
「……アベル、私の代わりに抱き上げてあげて」
「えっ!? だ、大丈夫かな……その、抱き上げ方が……」
「では失礼して……どうぞ、お抱きになってください」
シスターが男の子を優しく抱き上げてアベルに抱き方を教えながら手渡した。
アベルも赤ちゃんを傷つけないようにと全身に力がこもっているのが見て分かる。肩が上がっちゃてるんだもの。
「フフッ……アベル、もっと肩の力を抜いたら?」
「いや、力を抜いてうっかり落としたらと思うと……」
「アベルはそんなこと絶対しないわよ」
私も少し身体を起こして女の子を抱き上げてあげる。
こうして抱き上げてみると……意外と難しいわね。首がすわっていないから支えてあげないと……と思うとアベルみたいに力がこもってしまう。
「デボラも肩が上がっているよ」
「思っていたよりも難しいわね。 ……こんなことなら抱き方の練習もしておくべきだったわ」
原作に立ち向かうために色々と講じていたけれど、先ばかり見すぎて生まれる子供のことまで見えていなかったわね。反省しないと。
「抱き方は私共がお教えしますのでご安心を。 それよりも、この赤ちゃんたちにお名前をお決めになってください」
あ……名前。どうしよう。どんな名前がいいだろう?
原作だと双子の名前は主人公が決めることになっていたわね。
「アベル、何か思いついた?」
「名前か……そうだな、トンヌラとプリンはどうだろう?」
「……トンヌラとプリン、ね」
どこかで聞いたことがあるわね。トンヌラは確かパパスがアベルにつけようとしていた名前で……プリンはどこから来たのかしら?
「あ~……あんまりよくなかったかな?」
「いや、そんなことないとは思うのだけど……」
「じゃあトランクスとブラっていうのは……」
「それは絶対にダメ」
鳥山〇とベジータが許しても、私は許さないわよ!
そもそもメタいこと言うと四文字までしか名前つけられないでしょ!?ゲームじゃないからそんな縛りないけど!!
「じょ、冗談だよ! ……それはそれとしてデボラは何か思いつかないの?」
「私? そうね……」
正直、私にネーミングセンスは期待しないでほしい。
でも、まあ原作になぞらえるなら……
「男の子はレックス、女の子はタバサはどうかしら?」
原作のデフォルトネームだけど、悪くはないでしょう。
現にアベルの反応も悪いものじゃないし。
……よくよく思い返すとこの光景、ゲーム開始のパパスとマーサのやり取りそっくりじゃない?
「レックスにタバサ……うん、良いんじゃないかな!決まりだ!」
一先ず名前も決まって安心ね。
安心したらなんだか眠くなってきたわね……。
「二人が大きくなるまでに世界が平和になればいいわね。 ……ふわぁ、流石に疲れたからもう寝ることにするわ」
「そうだね……ゆっくり休んで。おやすみデボラ」
「アベルも試練が終わったばかりなんだから、しっかり休むのよ。 おやすみなさい……」
そうして私は眠りについた。
両隣にある双子のぬくもりに包まれてぐっすりと眠れたと思う。
翌朝、双子の泣き声で起きた私は使用人の助けを受けながら初めての授乳をしていた。
双子なので同時に……というのは母親初心者の私には難しく、介助を受けながらなんとか二人に乳を飲ませている。
「次からは一人ずつにするわ……」
「その方がよろしいかと……。 一応、乳母もおりますのでそちらにお任せしていただいても良いと思いますが」
「乳母ね……。 でも出来るだけ私が世話してあげたいわ」
原作通りに進んでしまったら私がこの子たちと触れ合えるのはもう数日もないから、出来るだけこうして触れ合っていたい。まだ赤ちゃんだから憶えていられないと思うけど、私が愛していたというカタチを少しでも残せるように。
「わかりました。 ですが、ご無理をなさらないように……何かあればいつでも申しつけてください」
「ありがとう、助かるわ」
そんな会話をしていると、ノックと同時にドアが開けられ──
「おはようデボラ、よく眠れ……あ」
「あ」
入って来たのはアベルと仲間たち……丁度授乳中の私を見て入っちゃいけないタイミングだったことを悟ってクルリと身体を後ろに向けそのまま扉を閉めてしまった。
「……その、おはようアベル。 ごめんね、今丁度レックスとタバサに──」
「言わなくていい!言わなくていい!! お、俺こそごめん!返事も待たないで入っちゃったから……」
「気にしないでいいわよ。アベルも私と子供たちのことを想って一番に会いに来てくれたんでしょう? それなのにあれこれと説教する気はないわ」
と、扉越しにアベルに話している内にお腹がいっぱいになったのかレックスとタバサは心地よい眠りについた。
それから双子を起こさないように静かに入って来てもらった。
「この子らがお二人の子供ですか……何とも可愛らしいですね」
「ああ、可愛ええなぁ……。抱き上げたいけど……起こしたら悪いもんなぁ」
「ごめんなさいねスミス。 次に起きた時はあなたを呼ぶわ」
「ええってええって! もう少し大きくなってからでも遅くはないんやから!」
てっかめんで素顔は見えないけど、スミスは本当に嬉しそうに──それこそ自分の子供を見て微笑んでいるように見えた。本当に子供が好きだったみたいね。もしかしたら、くさったしたいになる前は家庭を持った人間だったのかしら……?
そんなことを考えながら仲間たちに子供のお披露目を終えた。
種族は違えど共に旅した仲間から祝福の言葉を貰えたのは嬉しかったわね。世界中の魔物がこうなら良かったのに。
そうしてみんなが部屋を後にしてからアベルが改めて話し出した。
「実は戴冠式が明日行なわれるってことになって……」
「すごい急ね」
原作でも試練を終えて出産した翌日には戴冠式が行われて、その夜に……ってかなりタイトなスケジュールよね。まあ、ゲームだから仕方ないのかしら?
でも、現実になるとそうとは思えなくなるのよね。
「ところで試練の方は大丈夫だったの?」
「ああ、王家の証を取りに行った帰りに襲われたよ。
ん?カンダタとシールドヒッポだけじゃあなかったの?
「カンダタ一家とか言っていたかな?中々強かったけど、みんなもいたし、無事に倒せたよ。
ただすごい逃げ足でね……捕まえたりっていうのは出来なかったんだ」
それなら仕方ないのかしら?まあ確かに青年期後半だとカンダタこぶんが何体かいたから一家を築いていてもおかしくない……のかしら?
一家といいながら実際は一味というのが正しいと思うけど。
「それなら仕方ないわね。 でも無事でよかったわ」
「それは僕の方もだよ。 帰ってきたらデボラが危ないって言うから抑えようとするサンチョやオジロン叔父さんを押しのけて急いで駆けつけて……」
「そうなのね……でもアベルがいてくれたお陰で心強かったわ。無理をしてでも駆けつけてくれてありがとう」
頬に感謝のキスをすれば照れくさそうにするアベル。可愛いわね。
「それで、戴冠式は大丈夫なの?」
「ああ、それなんだけどこの式で俺の出自を明かしてオジロン叔父さんから正式に王位を継承するってことになっていて、その後は城を挙げての宴を開くって言うんだ。
でも、大臣がデボラは赤子を産んだばかりだから式には出ずに身体を大事にって」
「そう……」
ここまでは原作通りかしら。問題はここからね。
「ねえアベル──「失礼します。 ああ、やはりこちらにおいででしたかアベル様」──ッ!!」
タイミング悪く現れたのは大臣。相変わらず嫌な顔をしているわね。
「大臣、どうしたんだい?」
「王妃様との団らん中に申し訳ありません。 実は明日の式のことでいくつか確認しておかねばならないことがあったので私が直接参った次第です。 申し訳ありませんが御足労願えませんか?」
「そういうことなら構わないよ。 ごめんよデボラ、また後で」
「ありがとうございます。 ……ではデボラ王妃もあまり無理をせず身体を休ませるようお願いします」
「ええ、そうさせてもらうわ」
大臣が私に嫌な視線をぶつけてくる。不快ね。
負けじと私もガンをつけてやると少しギョッとした顔をしたのを見て少し気分がスッとしたわ。
そうして大臣はアベルを連れて去っていった。
これからのことを考えると頭痛が痛いけど……出来る限りのことはしたつもりだ。
後はどこまで抗えるか……。出来ることなら戴冠式後の宴にはほどほどに参加して戻ってきてもらうように頼むつもりだったけど、大臣のことだから私に余計な手出しはさせないようにするだろう。そうなると、これ以上は難しいわね。今は子供たちもいるし……。
先行きが不安な中、私は必ずあの展開を打破して見せると決意を固め、双子を抱きしめた。
そして翌日──
何が起こったのよ!?
ネタ解説すると、トンヌラとプリンはドラクエタクトにおけるサマルトリア王子とムーンブルク王女の名前らしいです。
トランクスとブラはCDシアターでリュカの声がベジータ(CV堀川りょう)なので、その繋がりでのネタです。
いよいよ青年期前半が終わる……!