そして総合評価5000を超えました!皆様ありがとうございます!!
今回も転生デボラさんが暴れます。
「ふぅ……」
戦闘が終わり一息吐く。
周りには倒した魔物たちの残骸が転がっている。
デカいオークは少し梃子摺ったわね。無駄にタフだった上にデカいキメラが激しい炎を吐いて協力してくるから厄介だったわ。
だからおいかぜを起こして炎を跳ね返して事なきを得たわ。
……さて。
「やっと起きた? 遅いお目覚めね。アンタがおねんねしている間にお仲間は全滅したわよ」
「……貴様ァ!!」
せいけんづきでぶっ飛ばしたジャミがようやく立ち上がった。不意を突いたとはいえ、きあいため+せいけんづきは中々のダメージを与えられたみたいね。
私はこれからの戦いに備えてホークマンの持っていた剣を拾い上げジャミへと切っ先を向ける。
「私を攫ったのが運の尽きね。ここでアンタを倒してグランバニアに帰るわ。愛する夫が待っているの」
「……ナメやがって」
「あら、そんなつもりはないのだけど。むしろナメていたのはそっちでしょう? 仮にも戦乙女だなんて呼ばれていた私相手にこの程度の戦力しか用意しなかったなんて」
まあ情けないことにあっさりと薬を盛られて攫われたんだけどね。
けどジャミは怒り心頭で私を殺意が籠った眼で睨みつけている。
「いいだろう。あのまま大人しくしていればよかったものを……あの世で後悔させてくれる!!」
ジャミが戦闘態勢に入る。恐らく例のバリアは展開済みだ。
私も剣を構える。さて、まずあのバリアをどう攻略するか……。
確かほぼ全ての攻撃を無力化できるみたいなバリアだったはず。でもそれはあくまでゲームでの話。
「試してみましょうか」
幸いバイキルトは効いたまま。なら──
「
舞い踊るような剣戟──最大で5回の斬撃を繰り出す特技だ。ばくれつけんと同じぐらいに重宝している必殺の特技だけど──ジャミの身体に傷はつかない。
それを見たジャミが何故かホッとした顔をしたかと思えば、そのまま腕を振り下ろし叩きつけを見舞う──が、これを難なく回避。とはいえ、地面を蜘蛛の巣状に砕くぐらいの威力を持っているみたいだ。
「わっはっはっ!!効かん効かん!そんな攻撃効かぬわァ~!!」
そのまま連続で叩きつけを繰り出すジャミの猛攻を躱しながら分析を続ける。
攻撃の最中時折隙を見つけてカウンターを入れるも何の痛痒を与えることも出来なかった。
そうなると私からの攻撃は
なら──と、私は後ろへと大きく跳躍しジャミと距離を取る。
それを見たジャミが私が臆したと勘違いしたらしくニタリと嗤い、呪文を唱え始めた。
「逃げても無駄だ! バギクロス!!この狭い空間でのバギクロスは避けられまい!!」
ジャミは勝ち誇っているけどこれは好都合だ。
相手が魔法を使うのなら、私も魔法で応戦するだけだ。
「避ける必要なんてないわね!マホカンタ!!」
「何!?」
私はフローラと違って攻撃系の魔法は使えない。魔法の才は間違いなくフローラの方が上だ。羨ましい。
でも、フローラに劣るだけでバイキルトやマホカンタといった補助魔法は私も使える。近接戦闘を得意とする私にはこれで十分。
それに魔法でフローラに劣っても習得している特技の数ならフローラに勝る。
「グゥゥウウッ!!おのれぇ!!」
「あら、自分の魔法だと傷を受けるのね」
どうやらあのバリアは反射した魔法は自分の力だからか無効化できないらしい。
私がマホカンタを使える以上はジャミは魔法という手札を1枚失ったことになる。そうなると次に出してくるのは──
「ならばこれはどうだ!? 食らえェ!!」
ジャミが大きく息を吸い込み──そしてこごえるふぶきを吐き出した。
流石にフバーハは使えない私だけど、これも既にデカいキメラとの戦いで披露しているし、それを知らずに吹雪を吐いたということはジャミはそれを見ていなかったのね。
「おいかぜ!!」
デカいキメラの時は素手で、今度は剣を振り風を起こし
「なんだとォ!?」
吹雪を返されると思ってもいなかったジャミは自らの吹雪を一身に浴びてしまう。
当然というか、なんというかこれもバリアが防ぐことはなくジャミの身体を凍てつかせた。
「なるほど、そのダメージを受けないギミックの攻略法が見えてきたわね」
「おのれ、小賢しい真似をしおって!!」
少なくともジャミの力を返す形で利用すればバリアを無視してダメージを与えられる。近接攻撃なら、うけながしのかまえで捌くことが出来ると思うけど……これは少し現実的ではない。
うけながしのかまえは一度の攻撃を受け流して返す特技だけど、
ジャミを煽って大振りの攻撃を受け流すことが出来ても、それは最初だけ。次からは間違いなくそれを避ける攻撃をしてくるだろう。
それにうけながしのかまえは体力の消耗が意外と激しい。特に産後で万全な状態ではない私が何度も連続して受け流すのは正直厳しい。
こうなると互いに有効打がないから戦闘は泥沼化するだろう。
それを踏まえてなお
多少の傷ならめいそうで癒すことは出来るけど、体力は消費する。それにめいそうはホイミなどと違って高い集中力を要する。ジャミの攻撃を避けつつめいそうを行なうのは至難の業だ。
それこそ回復狩りをされてしまうことも考えられるし、ジャミがおいかぜを使わない状態になった私へ吹雪を吐いてくるかもしれない。
どう考えても圧倒的に不利。となれば、執るべき手段はひとつ。賭けに近い手段だけど、これしかない。
「じゃあ、ここからは小細工抜きでやり合いましょうか……」
剣を上段に構え、ジャミを見据える。本当なら
イメージする。あのバリアをも無視してダメージを与えられるだけの力を。
「……よかろう。どうやらお前は直接!この手で痛めつけねばならぬようだからな!!」
ジャミもその馬のような肉体を活かしたクラウチングスタートのような姿勢を取り、私に攻撃すらさせまいと意気込んでいるように見える。
それでいい。どの道これが上手くいかなければ私の負けが決まるだけだ。
「死ねいデボラ!!」
ドッ!!と言う音と共にジャミが目の前まで迫る。蹄の手が私の胴体目掛けてその全身ごと振り抜かれようとしている。まともに受ければアウトだろう。
対して私は迫るジャミに対してではなく、剣に全ての意識を集中し──まじんの如く斬りかかった。
「バ、バカなぁッ!!?」
私の目の前で袈裟斬りにされたジャミが傷口から血を噴き出して倒れる。
まじん斬り──まじんの如く斬りかかり、会心の一撃か不発かの二択を迫る特技。
多くの作品で主に
そこで思いついた。つまり
原作でもいくら敵の防御力が高くとも会心の一撃はあらゆる耐性を無視してダメージを与えられた。なら会心の一撃を狙える攻撃なら勝機があるということになる。
もしかすると最初のせいけんづきも会心の一撃が出たのかもしれない。そしてジャミは会心の一撃にバリアが通用しないことを知らなかった……そうじゃないかしら?
だから一か八かの賭け。これが通じなければ、もしくは不発ならきっと倒れていたのは私だろう。
「なんだ……効くんじゃない、私の攻撃」
そう言ってやればジャミはありえないという驚愕の顔を浮かべたまま私を睨みつけている。
「こ、こんなことが……あってたまるかぁッ!!」
「!」
やぶれかぶれの大振りの一撃をバックステップで躱す。
そして追撃──もちろんまじん斬りだ。
「ぐぎゃあっ!!?」
再びジャミの肉体に大きな傷が刻まれ、そのまま膝が崩れる。
──ジャミの震える瞳から私への恐怖の感情が伝わってくる。
本来なら無敵のバリアによってアベルたちを迎え撃ち圧倒するはずだった。けれど、それは叶わずバリアは難なく攻略され瀕死に至ってようやく手を出してはいけなかった相手という事実に気づいたのかもしれない。
「あ、ありえないぃ……こんなはずでは……」
「さようなら、ジャミ」
「ま、まさか伝説の゛ォッ!?」
最後のまじん斬り──会心の一撃!!
ジャミの首が会心の一撃によって生じた衝撃で弾け飛び、そして斃れ二度と動かなくなった。
「……はあ、しんどかったわね」
まじん斬りの三回連続成功という結果に思わずホッとする。連続で成功していなければ、もっと戦いは長引いたでしょう。
でも無事に倒せてよかった……。
後はこの塔を脱出してアベルと合流すれば──と、思っていた矢先。
「ほっほっほっほ。 見ていましたよ、今の戦い」
不気味な声が背後から聞こえた。言葉こそ丁寧だけど、その声は明らかな邪悪を孕んでいてエコーのように周囲に響き渡る。
咄嗟に振り向きざまに剣で斬りかかるも、それを予想していたのか剣を掴み取られる。
「おやおや、これは危ないところでした」
紫のローブを纏った魔法使いのようなその風貌に青い肌。
──アベルの仇敵、ゲマがそこにいた。
次回でデモンズタワー編終了です。
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