今回は導入なので短めになります。
私が石に変えられ、意識が遠のいていく感覚だけが残りやがて失われた。
私が前世で死んで意識をが遠のいていった時と同じ感覚に近い。けれど、今こうして意識が再浮上しているのは石化が解けたからか、それともまた転生でもしたのか。
どうかこの目覚めが三度目の転生でないことを願いたい。
……柔らかな温かい光に包まれ身体の感覚が戻っていくのを感じる。
どうやら、三度目の転生ではないと感覚的に理解し浮かんできた私の意識はホッと一安心する。 石から人に戻るのはこういう感覚なのかと……。
原作知識で言えばこの呪いを解いてくれているのはアベルの母であるマーサだ。いや、もう
そうして、長らく意識がなかった私が目を覚まし最初に目にしたのは──
「………!!」
「「お、お母さん……!!」」
「デボラさん……無事に戻れてよかった……!!」
目の前にいたのは四人の人物は涙を浮かべて私を見ている。
ひとりは私の愛しい夫であり、この世界の主人公でもあるアベル。
小さなふたりは私とアベルとの間に出来た愛しい双子、レックスとタバサ。
──そして最後のひとり、
「ああ、よかった……」
それを見て私は安心した。
ああ、私の運命への足掻きは無駄じゃなかったんだと。
「デボラ……よかった! ようやく……ようやく
「アベル……」
アベルが涙を流しながら私をギュッと抱きしめる。あまりにも力強く抱きしめられたものだから思わずウッと声が出そうになったけど、それを何とか抑える。
何故かと言われれば、その抱きしめる強さや仕草がかつての抱きしめ方ではなく、本当に私がそこにいるのかを確かめるような痛々しいものだったから。
「大丈夫よアベル、私はここにいるわ」
私はアベルの背に手をまわして、泣いている子供をあやすようにポンポンと叩きながらアベルに語り掛ける。
「ごめんねアベル……あんな別れ方になっちゃって……」
「デボラは何も悪くないよ……悪いのは、あの時危険な目に遭っていたのに助けられなかった俺で! 俺が守るって約束したのに……!!ゲマが……石になったデボラを破壊するって……!! 俺に……もっと力があれば!!」
……ああ、そういう展開になっちゃったのね。
恐らくはあの
違うのは今度はアベルじゃなくて石になった私が人質にされたってところね。
そりゃあ心に深い傷が残っても仕方がないわよね。
「……でもこうして助けてくれたんでしょう? ありがとう」
「…………ぐずっ」
「ほら、私は大丈夫だから。 それに……みんな見てるわよ?」
ふと見ればさっきまではアベルとレックス、タバサ、ビアンカしかいなかった場に
「あ~、デボラさん。目覚めたばっかで悪いけど今だけはアベルを優先してやってくれ。 こいつ滅茶苦茶頑張ってたからさ」
そう言うのは完全武装しているラインハットのヘンリー王子。何故こんなところに?よく見ればラインハットの兵士と思わしき兵たちの姿も見える。
「デボラ様、ご無事で何よりです……。 失礼ながらアベル王もずっとデボラ様をお救いになるために随分と張りつめておりましたので……その、お手柔らかに」
そう言いながらレックスとタバサをよく頑張ったとばかりに頭をなでているのはサンチョだった。その後ろにはグランバニアの兵の姿が見える。
……なにこれ、こんな光景全然知らないんだけど?
「デボラ姉さん……よかった。 姉さんのことだからきっと大丈夫だと信じていたけど……あれ?安心したら涙が……」
「フローラ……。 デボラさ──いえ、デボラ義姉さん、お久しぶりです。結婚してから逢えず仕舞いでしたが、こうしてまた逢うことが出来て本当に良かったです!」
フローラとアンディまで!?ナンデ!?
自然とフローラに胸を貸してるし、いつの間にこんないい男になったのよ!?
もう挙式はしたのかしら!?
「……えーっと、色々と聞きたいことがあるのだけど……とりあえず一度帰りましょうか?」
私が想像していた以上の結果になっていて正直頭がパンクしそうなのよね。
それと……
なんか身体が重い気がしたのはこれのせい!?
「そうだね、話したいことが10年分あるし……帰ろう、グランバニアに」
そうして私たちは船に乗り込み(?)
空飛ぶ船ってなんか良いわね。年甲斐にもなくはしゃいでしまったわ。
次回から転生デボラさん不在の10年間を明らかにしていきたいと思います。
既に色んなところで原作との差異が出来ているので、何がどうなってそうなったのかを考察しながらお待ちください。
余談ですが、ユア・ストーリーで好きなシーンを挙げろと言われたらブオーンがラインハット兵+ヘンリー王子+サンチョを乗せた船を運んでくるシーンですね。
あそこは劇場でおおっ!って思わず声が出ましたね。個人的激熱展開でした。
その後その興奮がアレのせいで一気に冷めることになるわけですが()
感想、高評価よろしくお願いします!!