天空の花嫁の姉って?   作:ざいざる嬢

9 / 33

日間なんと3位!UAも20,000突破しました!
ありがとうございます!



死の火山

 

 

 

 アンディと別れてからしばらくして、私も『死の火山』を目指していた。

 なお、ここに来るまでにアベルと遭遇することはなかった。

 もしかすると、あの話を聞いてすぐに『死の火山』に向かったのかもしれない。そうなるとアンディは出遅れてしまったことになる。

 ただ、記憶だと『死の火山』に出現するボス【ようがんげんじん】はなかなか強かった記憶がある。3体同時に現れる上に、炎対策を怠れば全滅は免れない。

 

「アベルたちならメタリンがいるから苦もなく倒せそうな気がするわね。

 でも、メタリンはビビリだから上手くいくとも限らないか」

 

 ふとよくメタリンを仲間に出来たよなぁと思う。確か仲間になる確率はかなり低いはず。むしろなんでただのスライムが仲間になっていないのか不思議なくらいだ。

 と、そんなことを考えながら道中襲ってくる魔物たちを『グリンガムのむち』で文字通り一掃し、先に進んでいく。

 

 それにしても暑い。いや、熱いが正解か?まあ、そんなことどっちでもいい。汗で服が肌に張りつき気持ちが悪い。この辺りの魔物が弱いとはいえ普段着で来たのは失敗だった。

 道中、リタイアした候補者がいないかを探しながら進んでいるため、どうしても時間がかかってしまう。その分汗もかくので不快度はどんどん上がっていく。

 

「いっそ全裸で……待て待て、暑さで頭がおかしくなってるわ」

 

 こういう時にフバーハが使えたら暑さが軽減されたりするのだろうか?なんたら考えながら進んでいくと、床から溶岩が漏れ出しているエリアに辿り着いた。

 なんの対策もなしに歩けば火傷を負うであろうこのエリアはドラクエ5 をプレイした人なら、馬車に一人以外全員突っ込んで被害を最小限にしてやり過ごしたりしただろう。

 なお、私は一人なのでそんな方法は取れない。なので……。

 

「トラマナ」

 

 トラマナ、私が使える数少ない魔法のひとつだ。こうしたダメージを負う床なんかから身を守る魔法だ。一人旅にはある意味必須の魔法でもある。

 こうして溶岩地帯をくまなく探し、地下へと続く道を通ると……。

 

「あ、天然の回復の泉じゃない」

 

 回復の泉。ドラクエならよくある全回復してくれる素敵なスポットだ。

 よくこれがある近くでレベル上げをしたものだ。

 そしてこれがあるということは、メタ的に言えば最深部に近いということでもある。

 

「人が来た形跡は……あるわね。アンディか、アベルかどっちかかしら?」

 

 何はともあれ、この回復の泉の周囲はどういうわけか暑さがかなり和らいでいる。周囲に人の気配が無いのを確認し一度着替えることにした。

 

「あ〜、もうびしょびしょじゃない。 流石にこれをもう一度着るのは嫌ね」

 

 脱いだ服を簡単に畳んで道具袋に入れる。今の私は下着姿だ。側から見れば痴女だろう。断じて違うが。

 

「代わりの服は……ああ、これでいいか」

 

 取り出したのは鎧。

 鎧と言っても全身鎧ではない。ドラクエファンならご存知であろうあの鎧だ。

 それらを身につけ、準備完了!動きやすいし、嫌いじゃないのだけど、これを着て帰った時にパパだけじゃなくてママやフローラにも怒られたのは記憶に深く残っている。別にいいと思うんだけど。

 

 そう、当時と今の私の格好はいわゆる『ドラクエ3の女戦士装備』だ。

 ビキニアーマーと言えば伝わるだろうか。

 前世でこれを見た時は「そんな装備で大丈夫なの……?めっちゃエロいし……」と思ったものだけど、実際に着ると動きやすいし、この世界にも普通にこの格好でいる人もいるので全然気にならなかった。

 精々男どもの視線が胸と尻に注がれる程度である。見物料は取った。

 

 着替えを終えると、人の気配を感じる。誰か辿り着いたのだろうか?もしくは覗き?

 一応警戒しつつ、近づく気配を待つと──。

 

「すいません、僕たちは怪しい者では……って、デボラさん?」

 

「デ、デボラさん!?なんでここに!?」

 

 アベルが現れた。それもアンディを連れて。

 ……これは一体どう言う状況なのかしら??

 

「あら、こんな所で会うなんて奇遇ねアベル」

 

「ええ、まさかこんなところで出会うとは思ってもいなかったですよ」

 

 よく見ると二人共──アベルの仲間の魔物も含めて──ボロボロだ。

 アンディに関してはアベルに肩を貸してもらっている状態だし。

 一先ず警戒を解いて武器も収める。

 

「みんなして随分ボロボロじゃない?何があったの?」

 

「ええ、少しばかり激しい戦いを繰り広げまして……」

 

「ワイも【くさったしたい】から焼死体に早変わりするところでしたわ!」

 

「面白くない。出直してきなさい」

 

「ひ、ひどい」

 

「スミス、申し訳ないけど私も面白いとは思えませんでしたよ」

 

「ピエールまでそんな!?」

 

 スミスのせいで脱線してしまった。おのれスミス。

 

「アンディさん、デボラさんとは知り合いなんですか?」

 

「え、ええ、幼馴染ですので」

 

「幼馴染?確かフローラさんとも幼馴染だったって──」

 

「……そういえばちゃんとした自己紹介はしていなかったわね。

 改めて、私はデボラ。サラボナの大富豪ルドマンの娘で、フローラの姉よ」

 

 するとアベルたちが驚きの表情へと変わった。そんな顔も出来るのね。なんだか新鮮だ。

 

 

 





死の火山でアベルとアンディに何があったのかは次回予定。

余談ですが、デボラが戦乙女と呼ばれるようになった原因はこの女戦士のビキニアーマーを着て屋敷を抜け出した後、何処ぞで魔物の大群と戦って勝った姿が目撃されたから。
その容姿と戦いっぷりからサラボナだけでなく、あらゆる所にデボラのファンがいる。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。