魔女だし、幻想だし。   作:覚め

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能力は、輝夜姫の真似事。


第1話

魔女の私は、ここ最近退屈だ。その上本体である私はもうずっと動いていないし。暇だし退屈だし。幻想郷…その中にいる魔法使いか。適当に何人か見繕って悪戯しに行くことにした。本体から分かれた私を更に四等分にして、そのまま皆別の道を通って行く。私と同じ方向は一人。魔法の森に住む二人の魔法使いを尋ねる。私はその中でも人間に近い方。

 

「こんこーん」

 

「はいはーい!」

 

ドタバタ、と音がして鈍い音を出しながら扉が開かれる。明るい笑顔でこちらを見る目は、どこか好奇心に満ちていた。彼女はどんな人間なんだろう?心が湧く。

 

「ん?…おまえ、誰だ?」

 

「私?私は…そうね、ラメって呼んでくれると嬉しいわ。貴女は?」

 

「私は霧雨魔理沙。それで?何かの用事でここを訪れたんだろう?」

 

「いえ?悪戯をしに来たの」

 

「悪戯…それは私に面と向かって言うことか?」

 

あら、そうだったの。ということは、他の私も同じような間違いをしている事だろう。何か後悔が走るけれど、それもまた。退屈逃れにはちょうど良い。

 

「そう。じゃあ、お茶を飲みに来たわ」

 

「初対面の奴の家に?」

 

怪訝な顔。随分と私を警戒している。それほどに実力がないのか、警戒する事で勝ってきたのか。それでも、私は退屈逃れに来たのだから、それも良い事。

 

「そうねぇ…じゃあ」

 

扉の上に飾ってある看板を見る。何でも屋さんなのかな?

 

「お茶をしたいから依頼しに来たわ」

 

「ん、お客さんだったか。良いぜ、どこで飲む?」

 

「この森も良いけど、私は室内が良いわね。貴女の家の骨組みに使われてる木材。良い匂いよ」

 

「…そりゃ、どうも」

 

招かれながら、彼女は功績を語る。人間から魔法使いになろうとしていること。異変解決?にほぼ毎回関わっていて、実力も勿論あること。中でも、彼女が自身を代表すると言っていたマスタースパークは、直撃して無事だった者はいない。らしい…私の本体を動かすのには、丁度良いのかな。

 

「ま、中でも一番大きな異変は…夜が明けない異変だな。真相は別だったんだがな?」

 

「その異変なら、私も知ってるわ」

 

「お、その時の私の活躍、聞くか?」

 

「いいえ。それには及ばないわ。夜がなかなか明けない異変…フフ、全然違うことを言ってるのね」

 

「…どう言う事だ」

 

「それ、私が頼まれてやった事なの。月が変だから、月を出したままにしておいて、って。変な妖怪に。私としても、私の住処がなくなるのは勘弁だったから、協力したのよ」

 

「ほー…私は、どうやらとんでもない魔法使いを招いたみたいだな」

 

何やら帽子越しに頭を掻く魔理沙を横目に。あれは私が起こしたと言うよりも、アレより後に本体が幻想郷に興味を持って分身を出したから、私が入っていたものが起こしたこと。と言った方が正確なはず。まあ、そもそも正しい情報があるのかは知らないけど。

 

「貴女、とても良いお茶を淹れるのね。」

 

「褒めてもらって光栄だ」

 

「フフ。そろそろ行かなくて良いの?」

 

「何がだ?」

 

「あら、博麗の巫女と会うんじゃないの?」

 

「…なんで知ってんだ」

 

「簡単よ、簡単。カレンダーを見たらわかることよ。だって、霊の字と、社の字があれば。幻想郷に住むものなら大概分かるわよ」

 

「あー、こりゃあな…去年のだ」

 

「あら」

 

悪戯らしいのだと思ったのだけれど、どうやら違った様子。それに気付いたのか魔理沙はニヤニヤしていた。はしたないと言えれば良いのだけれども、人の家に来てジロジロ見回る私の方がはしたないので、何も言えない。フフ、少し楽しい。

 

「悪戯しに来たからって、悪戯をしなきゃいけないなんてことはないんだが?」

 

「するのもしないのも自由。そうだ!私の魔法を少し見せてあげましょうか?」

 

「本当か!?」

 

「じゃあ、外に出ましょうか。魔法の対象として、砂時計はない?その方がわかりやすいの」

 

「分かりやすい…壊さないか?」

 

「勿論」

 

「それじゃ、少しデカいのがあるな」

 

外に出て、砂時計を眼前に捉える。呪文を唱えるなんてことはしない。魔法使いの肝は、他人に真似させるには千年かけさせる事。それができない魔法なんて、ただの基礎魔法の延長でしかないのだから。砂時計に魔法をかけると、その状態が認識され、止まる。

 

「時を止めるのか?」

 

「皆、そう言うわ。でもね、それだと駄目。時を止めたと言うことは、外部からの干渉を止めてると言う事。魔法が外れれば、止められた干渉は進み始めるわ」

 

「…それで、この魔法は?」

 

「何も受け付けない。外部からの干渉はないし、内部からの干渉もない。完璧な保存魔法と考えてもらって構わないわ。」

 

「へぇ…」

 

魔法を解くと、砂時計の中身が落ちる音だけが聞こえる。魔理沙はどうやら何かを考えているらしい。私は、お茶を飲むために戻らせてもらうけど。魔理沙の淹れるお茶は美味しい。本体が淹れるお茶よりも、ずっと。本体は味すら感じない身体なのだから、お茶なんか飲まなければ良いのに。

 

「貴女のマスタースパークとやらを見せてもらえる?その威力を目で見て知りたいわ」

 

「ん…いや、だめだな。私の奥義はここで撃つと周りの奴らに怒られる。」

 

「そう…それじゃ、見るのは次の異変の時、ということ?」

 

「まあな。それだけ強いって事だ!期待して待ってろよ、ラメ!」

 

「…それじゃあ、悪戯の方行きましょうか」

 

「えっ」

 

「点いてた火、私の魔法で保護しておいたの」

 

「…!ばっか、お前!」




魔理沙「…熱くない…?」
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