魔女だし、幻想だし。   作:覚め

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神子「こいつほんとに…」
聖「仲良くしましょ」
ロータス「ええ」
神子「なんかもう逆に気持ち悪いな」


第13話

「本当は、貴女を責める権利なんてないのはわかってたの」

 

あの時、命蓮に誘われて、そのまま二人についていけば良かった。私自身が、彼について行くことを断った。今の私が、白蓮を責め立てることは出来ない。私の選択を私が後悔しているだけ。それだけの話だったはずなのに、拗れて、貴女に八つ当たりをしていただけ。

 

「だから、ごめんなさい。」

 

「…許しますよ。これからは、私と貴女は友達です。根源が同じで、和解したんですから」

 

「それじゃ、私はこれで」

 

神子がどこかへ行った。私は、どこか無気力感に包まれて、下に落ちて行く。初めて自分の心に整理がついた気がして、初めて自分に向き合った気がして。ようやく、すっきりした気持ちで過ごせる。明日は何をしようか。何を考えようか。分身と同じように、幼稚に過ごせるだろうか?

 

「…あら」

 

「綺麗な弾幕に釣られて、な」

 

「私は魔理沙に連れられて」

 

「あら、あら」

 

「大魔法使いなんだろ?」

 

「ええ、そうよ」

 

「その大魔法使いに認められたくて、ね?」

 

「そう、それなら、こっちも二人で、よね?」

 

「ええ」

 

「…まずいな、勝ち目あるか?」

 

「バカ言わないで。人手も馬力も、こっちの方が上よ」

 

咄嗟に出てくる人形達。アリスのものだ。それに馬力も、恐らくは魔理沙のこと。でも、それがいくらあったとして、継続して出せる力でなければ意味はない。現に、私と聖が本気になって1分と保たなかった。全く、火力も人手も負けているのはそちらだと言うのに。

 

「ず、ずるいぜ!分身して数で追いつくなんて!」

 

「…そう?勝つためにはなんでもする。勝てない相手には毒を仕込む。そうやって生きていくのがあなた達人間でしょ?」

 

「ちょ、ちょっと。心まだ戻ってませんよ」

 

「そうよそうよ」「分身差別反対」「多々良小傘ともっと遊ばせろ」「反省したからって偉そうに」

 

「ふん」

 

分身を取り込み、心を戻す。永遠の中の私を、一人だけ摘み出し、そのまま出す。これが私の分身。何故か永遠は、欠けた部分を補う。補い方は知らないけど、それを利用している。永遠を操り、私の一部を抜き取り、互いに補わせる。そうして私の分身は生まれる。…単細胞生物みたいだと言った奴、麻薬漬けにしてやるから出てきなさい。

 

「ま、少なくとも私と白蓮の前では、実力不足だったのよ」

 

「…んだよー。少しは成長したと思ってたのに」

 

「私の人形も悪くなかったと思ってたのに」

 

「そう。それじゃあ、また」

 

「またなー」

 

さて、何をしようか。分身を作って、また何かをしても良いけど。魔法使いらしく何か作り出そうかしら。それとも、騒霊みたいなものを作ってみようか。いや、それだと私は後追い。後追いじゃない、何か、新しい魔法。そうだな。永遠はもう遊び尽くしたし…

 

「何か、遊んでいれば思いつくかしら」

 

「やや、この前の!」

 

「あら…あら?」

 

「この子は兎さん。怪我してて、少し可哀想だから見てるんだけど…」

 

「…そう?私の目には、怪我なんてしてないように見えるけど?」

 

「え?いやいや、この、ここの足の膨らみ!これは内出血とかでしょ!」

 

「私が言ってるのはそうじゃないの」

 

「?」

 

「もし貴女が内出血したとして、何か気にする?」

 

「…いや?」

 

「その兎、妖怪なの、分かってる?」

 

「え!?」

 

どうやらわかっていなかったらしい。小傘を退かし、事情を聞く。仲間にいたずらをして、うさぎの姿になって逃げ出していたらここに来たらしく、その時に見つかってからずっとこうらしい。変な兎だ。足の膨らみの原因は単なる腫れらしい。見かけだけのもので、心配するものでは無いと。

 

「心配損ね」

 

「なんだぁ…よかった」

 

「ふふ。あと、傘の修理とか頼める?」

 

「え、なんで?もう壊したの!?」

 

「壊したと言うより…そうね。弾幕ごっこをしてる時に使ってて、そのまま弾幕が…」

 

「んー…良いよ。わちきの腕、とくとご覧あれ!」

 

「ありがとう。いつ頃取りに行けば良いの?」

 

「うーん…壊れ具合にもよるからなぁ…骨組みなら一週間。紙の部分なら三日とか」

 

「あら、意外と速いのね」

 

「骨組みは本数にもよるけどね。骨の部分作ることから始めるし。まあ、仕方ないかな?」

 

「そうねぇ…明日もってくるから、その時にお願いできる?」

 

「はーい」

 

傘の予約、よし…蹴飛ばして壊れたなんて言えないかな。後で弾幕で…それこそバレるか。明日、本当のことを言うとしよう。それはともかく。広場に着いた。石畳が少しだけあるような場所で、一体何を持って広場というのか。実際は少し広めの十字路なだけで。そこで聞き耳を立てる。すると、噂話。

 

[竹林の中にある病院、あそこの兎…そうそう、アレね。ウチの旦那が、折れた足を触られて絶叫してる患者を見たって]

 

[私なんか、兎が落とし穴仕掛けてるの見たのよ。気味が悪い…もしかして、人を埋めてるんじゃ]

 

他愛のない噂話。根も葉もない、ただの噂話。まあ、そういう奴等であることに違いはなさそうだが。にしても、竹林か…そういえば。小傘を騙してた兎…アレ、仲間にいたずらしたとか…だったら、良いか。丁度良い、新しい偉業も思いついた。

 

「新しい妖怪を作りましょう。自分で自分を恐れる、自分で自分を形作る妖怪を」

 

「や、やめてください!」

 

「私の部下にしてしまいましょうか?」

 

「ごめんなさい、昼間のアレは、本当に偶然なんです!」

 

「…別に、小傘を騙したからじゃないのよ。」

 

「じゃあ、なんで」

 

「私の聞こえる範囲で、悪事を働こうとしたから、かな?」




終わり。
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