魔女だし、幻想だし。 作:覚め
聖「仲良くしましょ」
ロータス「ええ」
神子「なんかもう逆に気持ち悪いな」
「本当は、貴女を責める権利なんてないのはわかってたの」
あの時、命蓮に誘われて、そのまま二人についていけば良かった。私自身が、彼について行くことを断った。今の私が、白蓮を責め立てることは出来ない。私の選択を私が後悔しているだけ。それだけの話だったはずなのに、拗れて、貴女に八つ当たりをしていただけ。
「だから、ごめんなさい。」
「…許しますよ。これからは、私と貴女は友達です。根源が同じで、和解したんですから」
「それじゃ、私はこれで」
神子がどこかへ行った。私は、どこか無気力感に包まれて、下に落ちて行く。初めて自分の心に整理がついた気がして、初めて自分に向き合った気がして。ようやく、すっきりした気持ちで過ごせる。明日は何をしようか。何を考えようか。分身と同じように、幼稚に過ごせるだろうか?
「…あら」
「綺麗な弾幕に釣られて、な」
「私は魔理沙に連れられて」
「あら、あら」
「大魔法使いなんだろ?」
「ええ、そうよ」
「その大魔法使いに認められたくて、ね?」
「そう、それなら、こっちも二人で、よね?」
「ええ」
「…まずいな、勝ち目あるか?」
「バカ言わないで。人手も馬力も、こっちの方が上よ」
咄嗟に出てくる人形達。アリスのものだ。それに馬力も、恐らくは魔理沙のこと。でも、それがいくらあったとして、継続して出せる力でなければ意味はない。現に、私と聖が本気になって1分と保たなかった。全く、火力も人手も負けているのはそちらだと言うのに。
「ず、ずるいぜ!分身して数で追いつくなんて!」
「…そう?勝つためにはなんでもする。勝てない相手には毒を仕込む。そうやって生きていくのがあなた達人間でしょ?」
「ちょ、ちょっと。心まだ戻ってませんよ」
「そうよそうよ」「分身差別反対」「多々良小傘ともっと遊ばせろ」「反省したからって偉そうに」
「ふん」
分身を取り込み、心を戻す。永遠の中の私を、一人だけ摘み出し、そのまま出す。これが私の分身。何故か永遠は、欠けた部分を補う。補い方は知らないけど、それを利用している。永遠を操り、私の一部を抜き取り、互いに補わせる。そうして私の分身は生まれる。…単細胞生物みたいだと言った奴、麻薬漬けにしてやるから出てきなさい。
「ま、少なくとも私と白蓮の前では、実力不足だったのよ」
「…んだよー。少しは成長したと思ってたのに」
「私の人形も悪くなかったと思ってたのに」
「そう。それじゃあ、また」
「またなー」
さて、何をしようか。分身を作って、また何かをしても良いけど。魔法使いらしく何か作り出そうかしら。それとも、騒霊みたいなものを作ってみようか。いや、それだと私は後追い。後追いじゃない、何か、新しい魔法。そうだな。永遠はもう遊び尽くしたし…
「何か、遊んでいれば思いつくかしら」
「やや、この前の!」
「あら…あら?」
「この子は兎さん。怪我してて、少し可哀想だから見てるんだけど…」
「…そう?私の目には、怪我なんてしてないように見えるけど?」
「え?いやいや、この、ここの足の膨らみ!これは内出血とかでしょ!」
「私が言ってるのはそうじゃないの」
「?」
「もし貴女が内出血したとして、何か気にする?」
「…いや?」
「その兎、妖怪なの、分かってる?」
「え!?」
どうやらわかっていなかったらしい。小傘を退かし、事情を聞く。仲間にいたずらをして、うさぎの姿になって逃げ出していたらここに来たらしく、その時に見つかってからずっとこうらしい。変な兎だ。足の膨らみの原因は単なる腫れらしい。見かけだけのもので、心配するものでは無いと。
「心配損ね」
「なんだぁ…よかった」
「ふふ。あと、傘の修理とか頼める?」
「え、なんで?もう壊したの!?」
「壊したと言うより…そうね。弾幕ごっこをしてる時に使ってて、そのまま弾幕が…」
「んー…良いよ。わちきの腕、とくとご覧あれ!」
「ありがとう。いつ頃取りに行けば良いの?」
「うーん…壊れ具合にもよるからなぁ…骨組みなら一週間。紙の部分なら三日とか」
「あら、意外と速いのね」
「骨組みは本数にもよるけどね。骨の部分作ることから始めるし。まあ、仕方ないかな?」
「そうねぇ…明日もってくるから、その時にお願いできる?」
「はーい」
傘の予約、よし…蹴飛ばして壊れたなんて言えないかな。後で弾幕で…それこそバレるか。明日、本当のことを言うとしよう。それはともかく。広場に着いた。石畳が少しだけあるような場所で、一体何を持って広場というのか。実際は少し広めの十字路なだけで。そこで聞き耳を立てる。すると、噂話。
[竹林の中にある病院、あそこの兎…そうそう、アレね。ウチの旦那が、折れた足を触られて絶叫してる患者を見たって]
[私なんか、兎が落とし穴仕掛けてるの見たのよ。気味が悪い…もしかして、人を埋めてるんじゃ]
他愛のない噂話。根も葉もない、ただの噂話。まあ、そういう奴等であることに違いはなさそうだが。にしても、竹林か…そういえば。小傘を騙してた兎…アレ、仲間にいたずらしたとか…だったら、良いか。丁度良い、新しい偉業も思いついた。
「新しい妖怪を作りましょう。自分で自分を恐れる、自分で自分を形作る妖怪を」
「や、やめてください!」
「私の部下にしてしまいましょうか?」
「ごめんなさい、昼間のアレは、本当に偶然なんです!」
「…別に、小傘を騙したからじゃないのよ。」
「じゃあ、なんで」
「私の聞こえる範囲で、悪事を働こうとしたから、かな?」
終わり。